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Don't stop ブンブン!

『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第2話

◆バクアゲ2「情報屋は認めない」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:冨岡淳広
 運び屋の拠点は――大・邸・宅。
 そして、地下に、秘密基地があった。
 …………しかし、地下の秘密ガレージ、そこにある真っ赤な車、機械生命体…………ブンブン総司令の親戚に、ブンベルト・ブンデルシュタインさんとか居ないかちょっと不安になってきます。
 「依頼人は某国駐日大使。ある極秘の資料を、極秘で来日している同国大統領に、極秘で届けてほしいそうだ」
 「極秘だらけか……爆上げだな」
 ……キザな運び屋、範道・大也はあれなのか、金で買える世俗の贅は楽しみ尽くして、もはや金で買えないスリルとロマンだけに生の輝きを感じられる人なの?(笑)
 「ああ」
 前回はほとんど無表情だった背広の人、鳴田・射士郎も微笑を浮かべ、どうやらこの、いっけん水と油風味の二人は、根っこのところで爆上げセンスに通じるところがある模様。
 「国家機密ってやつ?! なんかスパイ映画みたい!」
 そこに素っ頓狂な前回の積み荷、志布戸・未来が顔を出し、のっけからハイテンション。
 「……なんでこいつがここに居る」
 「だって、あたしもブンブンジャー!」
 「認めてないぞ、俺は」
 射士郎が未来をばっさり切り捨てたところに、空気は読むのではなく入れるものなブンブン総司令がカレーを持って現れ、今回の重要な情報:大也と射士郎は、褒め方が地味。
 ひとまずランチタイムになると、ブンブン総司令は事故で地球に落ちてきたところを大也に助けられた異星人であると明かされ、「……意気投合して、今は仲間だ」の前に明らかに不自然に間が空きましたが、地球に到着した当初は、「この星を分捕ってやるブンブン~」とかやっていたのかもしれません。
 妙にハシリヤンの事情に詳しいし、伝説の初代総長の可能性も捨て置かずにキープはしておきたいと思います(笑)
 (※なお、私がその方が楽しいので、たとえ公式サイトで既に明らかにされている情報や設定でも、本編内で明確になる前は、コメント欄での言及は控えて頂けるよう、お願いします)
 ハシリヤンとは、色々な星のワルの寄せ集めである宇宙マフィア(暴走族ではないのか……)であり、自らサンシーター(微妙に、「三神官」みたいに聞こえて嫌(笑))を名乗る三下トリオの上司に切り込み隊長マッドレックス、更にその上に“ボス”が居る組織構造に触れられ、複数の隊長格が下っ端を使って縄張りを広げ、組織内での勢力争いをしていそうな雰囲気でしょうか。
 ギャーソリン=だいたい「上納金」らしく、三下トリオは切り込み隊長から地球での行動権限を認められると変なポーズを取り、多分だいたい「V8を讃えよ」。
 ……ブンブンは、ハシリヤンの初代総長よりも、ハシリヤンとの勢力争いに敗れた宇宙ヤクザ・ブンドリヤンの元組長とかの方が可能性が高い気がしてきました。
 「ブンブンジャーは、俺とブンブンの夢に繋がってる」
 一方、ブンブンジャーとはハシリヤン襲来を見越して密かに結成された地球防衛組織……ではない、と語られるも、その目標はまだ明かされないまま仕事の時間になると、大也は射士郎に、見習いとして未来を同行させるように指示。
 「今まで俺が惚れ込んだもので、失敗があったか?」
 「…………ズルいんだよ。おまえの「惚れた」は」
 なにやら、黒ずくめの射士郎に惚れ込んだ大也がその腕を高く買った二人の馴れ初めが断片的な回想で描かれ……この様子だと射士郎は、歴代戦隊メンバーの中でも屈指の闇の深さでお馴染み、蒼太さんの系列でありましょうか。
 つまり、
 「もう一度選べ。このブンブンチェンジャーを受け取るか、このまま撃ち殺されるか!」
 若干、不滅のなんちゃら感も漂ってきた大也に押し切られた射士郎は未来と共に依頼人との接触に向かうが、突然現れた掃除機グルマーに肝心の積み荷を吸い込まれてしまい、即座に変身しようとする未来と 状況をまず分析しようとする射士郎で二人のスタンスの差を見せるのは、手慣れた描き分け。
 「た、タイヤ人間?!」
 前回はウェディングドレスに拘束された警官が、今回は掃除機に吸引されそうになったところを桃に助けられ、このネタの被せ方は……
中澤監督が好きそう(笑)
 警官を桃が助けている内に何故か射士郎は姿を消してしまうが、ピンチに大也が駆けつけ、吸い込まれ中のハンドル剣を空中でキャッチし、振り向きざまに攻撃を放つのは格好いいアクションでした。
 ひとまず物陰に隠れると、そこに突然現れたロリポップキャンディーの男は「調達屋」だと説明され、赤青桃3人の関係性を中心に置きつつ、既にEDでは一緒に踊っている、不幸属性の香る真面目そうな警察官と、曲者感溢れる調達屋の顔見せもスムーズ。
 赤も変身して掃除機グルマーに立ち向かうが、銃弾は吸い込まれ、接近戦をしようにも近づけずにいる内に、ブンブンワゴンを運転してきた青が掃除機グルマーをつまみ上げるとスクラップ置き場まで運び込み、なにこの、処刑の気配。
 クルマ獣は掃除機の本能の赴くままに周囲のスクラップを吸い込んでいくが、その為に吸い込んだゴミを溜めておく部分――はなんと呼べばいいのだろうと思って、家電量販系サイトで確認してみたところ、ダストケース(日立)・ダストボックス(三菱)・ダストカップ東芝)と見事にバラバラでした!――が一杯になって吸引能力が停止したところで、赤が鮮やかに積み荷を回収。
 状況についていけない桃に対して、全ては敵の性質を分析した上で射士郎が立てた作戦通りだったと明かされ、赤による説明がちょっとくどくど長いかな……と思ったら、
 「だから俺は調達屋に頼んで、この場所を買ったのさ」
 で全部ぶっ飛ばしてきました(笑)
 まあ、少々難を言えば、歩いて喋るサイクロン掃除機の吸引容量に限界があると断定的に扱うのはやや希望的観測が強かったようには思いますが、クルマ獣に掃除機としての常識が残っていて良かった!
 「以心伝心ってやつだ。おまえとは違う」
 え、それ、自分で言うのからの、
 「はぁ~……凄い。ちょっとあたし……感動してる」
 引かずに感動するピンクが無意識にフォロー(笑)
 「凄いのは未来もだ」
 そしてレッドが、クルマ獣に突撃していった桃が射士郎に放置されたのは、時間稼ぎ要員として認められたからだと語ると、積極的に肯定はしたくないが完全に否定も出来ないブルーが不承不承頷き、前回時点で人格はともかく技術には一定の評価を与えていた事も布石に使って、ひとまずのブンブンジャー増員を正式認定。
 まあこのチームのあれやこれやを前向きに受け入れてくれる未来は、かなり希有な人材だとは思います!
 活動を再開した掃除機グルマーを相手に名乗りから揃い踏みを決め、「ブン回せ!」のところで、赤を中心に皆が高速回転する画が格好いい。
 「爆上戦隊!」
 「「「ブンブンジャー!!!」」」
 バトルは高速移動表現を中心に展開し、洗車ブラシ攻撃を回避したブンブンジャーは、トリオ必殺(銃撃)でフィニッシュ。……今回あまりギャーソリン集めていないような? とは思いましたが巨大化シークエンスは発動し、ブンブンカー出動。
 「俺達の仕事に優先順位は無い。届け屋も、ブンブンジャーもだ!」
 「たまに熱血するの、やめてくれ」
 は凄く面白かったです(笑)
 ハイウェイバトルを挟んで巨大戦となり、冒頭ではロボットではなく宇宙人を主張していたブンブン総司令ですが、巨大化して変形合体するとブンブンジャーロボを名乗り、人格もそのまま、くすぐったかったり痛覚だったりはあるようなので、今後、腕がもげたり、胴体に風穴が空いたりしないかちょっと不安になります。
 ……まあ個人的には、人格ありロボだから、あまり酷い破壊表現は出来ないだろう、と見せてのブンブンーーー?! から、首から下が壊れただけだ! はちょっと見てみたい気もしますが(笑)
 尺の配分としては恐らく、ハイウェイバトルもメカ要素の見せ場として〔巨大戦〕に勘定しているのでしょうが、巨大ロボバトルは割とさっくりめに片付けられて、爆上げドライバーによる一刀両断で、ブンブンブン!
 かくして掃除機グルマーを退け、無事に届けられたトップシークレットは……某国大統領がメイド喫茶(?)で撮影したツーショット写真。
 「……まあ、ある意味国家機密だったな」
 「…………すまん。まさかあんなプライベートだったとは……」
 大仕事だと思ったら実は……と依頼内容はギャグでオチをつけましたが、テンション爆上げの国家的極秘任務のつもりが私的な写真一枚(まあ大統領の家族関係や支持率によっては、とんでもないスキャンダルに発展する可能性はありますが(笑))だった事を素直に謝る射士郎と、
 「あたし……届け屋の仕事……好きかも」
 そんな射士郎にクスリとしつつ、大統領の笑顔を思い出して、仕事の価値を見出す未来の姿は、二人の好感度を上げて鮮やかでした。
 また、公の大事に関わる仕事かと思ったら全く私的な事柄ではあったけど、必ずしも大きな公の為ではなくてもそこに意味はあるのだと示す事により、ヒーロー作品における「公」と「私」の問題もさらっと取り込んでおり、シリーズにおける蓄積を踏まえつつのツボの抑え方が実に巧み。
 まるで5年ぐらいシリーズに関わっている人みたいな筆の運びで、期待はしていたのですが、冨岡淳広、恐るべし。
 更に、今回のラストで「公」と「私」の対比、それに対する届け屋の在り方を示す事によって、「俺とブンブンの夢に繋がってる」ブンブンジャーについて、「公」と「私」の観念からの視点を投げかけておくのも行き届いており、前半の説明シーンとエピソードのオチが関連性を持ち、「届け屋と、ブンブンジャー」の走って行く道の、手がかりを配置しておくのも、この先に期待を持たせます。
 加えて、国家レベルで依頼を持ち込まれる事もあるが、それを割としょーもないオチにしてもいいし(ただしそれをきっちりとキャラの魅力に繋げる)、大也の金の使い方はこの程度には無茶、という作品の指針が前回に続いて複数示されており、実際にこの後、脚本家の起用をどういった差配にしていくかはわかりませんが、後続の書きやすさへの目配りは歴代でもトップクラスといっていいパイロット版で、中澤×冨岡が、互いの力量を存分に発揮してお見事でした。
 未来の言葉に、射士郎は満更でも無い笑みを浮かべながら歩み去っていき、世界中全部かき回そうとする届け屋たちの物語がアクセルを踏み始めて、つづく。
 立ち上がりが良くても、その後どうなるかわからない事の多いシリーズではありますが、まずは完成度の高いパイロット版で一安心。このまま爆上げに突き進んでくれる事を期待したいです。
 EDはブンブン総司令の歌唱を中心とした恒例のダンスとなり、既に黒要員と橙要員も参加しておりますが……衣装を見るに、早くも黒に迫る、失職の危機。
 ……まあ公務員が兼業で裏家業ぽいものに片足突っ込むのも問題がありそうですし、次回、OPにちらっと見えた眼鏡の女性が登場するようなので、その関係で潜入捜査官、とかで済むのかどうか。