『仮面ライダーＸ』構成分析
左から、話数・サブタイトル・監督・脚本・簡易評価。
◆第１話「Ｘ．Ｘ．Ｘライダー誕生！」 （監督：折田至 脚本：長坂秀佳） ◎
◆第２話「走れクルーザー！ Ｘライダー！！」 （監督：折田至 脚本：長坂秀佳） ○
◆第３話「暗殺毒ぐも作戦！！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） －
◆第４話「ゴッド恐怖の影！！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） －
◆第５話「一つ目怪人の人さらい作戦！」 （監督：田口勝彦 脚本：鈴木生朗） －
◆第６話「日本列島ズタズタ作戦！」 （監督：田口勝彦 脚本：鈴木生朗） △
◆第７話「恐怖の天才人間計画！」 （監督：折田至 脚本：長坂秀佳） ○
◆第８話「怪？！ 小地球・中地球・大地球」 （監督：折田至 脚本：長坂秀佳） －
◆第９話「Ｘライダー必殺大特訓」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） －
◆第１０話「ＧＯＤ秘密警察！ アポロガイスト！！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） ○
◆第１１話「不死身の水蛇怪人ヒュドラー！」 （監督：折田至 脚本：鈴木生朗） △
◆第１２話「超能力少女をさらえ！」 （監督：折田至 脚本：鈴木生朗） －
◆第１３話「ゴッドラダムスの大予言！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） －
◆第１４話「アポロガイストくるい虫地獄」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） ◎
◆第１５話「ゴッド秘密基地！ Ｘライダー潜入す！！」 （監督：折田至 脚本：伊上勝） △
◆第１６話「逆襲アポロガイスト！ Ｘライダー危うし！！」（監督：折田至 脚本：伊上勝） ○
◆第１７話「怖い！ 人間が木にされる！！」 （監督：山田稔 脚本：村山庄三） －
◆第１８話「怖い！ ゴッドの化けネコ作戦だ！」 （監督：山田稔 脚本：鈴木生朗） －
◆第１９話「ゆうれい館で死人がよぶ！！」 （監督：折田至 脚本：鈴木生朗） △
◆第２０話「お化け！？ 謎の蛇人間あらわる！！」 （監督：折田至 脚本：島田真之） △
◆第２１話「アポロガイスト最後の総攻撃！！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） ◎
◆第２２話「恐怖の大巨人！ キングダーク出現！！」 （監督：内田一作 脚本：伊上勝） －
◆第２３話「キングダーク！ 悪魔の発明！！」 （監督：田口勝彦 脚本：伊上勝） －
◆第２４話「復しゅう鬼ジェロニモ！ 音もなく襲う！！」 （監督：田口勝彦 脚本：伊上勝） －
◆第２５話「謎の怪盗 カブト虫ルパン！！」 （監督：内田一作 脚本：鈴木生朗） ○
◆第２６話「地獄の独裁者 ヒトデヒットラー！！」 （監督：内田一作 脚本：鈴木生朗） ○
◆第２７話「特集 ５人ライダー勢ぞろい！！」 （監督：内田一作 脚本：平山公夫／中瀬当一） －
◆第２８話「見よ！ Ｘライダーの大変身！！」 （監督：内田一作 脚本：村山庄三） －
◆第２９話「死闘！！ Ｘライダー対Ｘライダー！！」 （監督：田口勝彦 脚本：鈴木生朗） △
◆第３０話「血がほしい――しびと沼のヒル怪人！！」 （監督：田口勝彦 脚本：鈴木生朗） △
◆第３１話「立て！ キングダーク！！」 （監督：折田至 脚本：村山庄三） △
◆第３２話「対決！ キングダーク対Ｘライダー」 （監督：折田至 脚本：伊上勝） ×
◆第３３話「恐怖！ キングダークの復しゅう！！」 （監督：内田一作 脚本：村山庄三） △
◆第３４話「恐怖の武器が三人ライダーを狙う！！」 （監督：内田一作 脚本：鈴木生朗） －
◆第３５話「さらばＸライダー」 （監督：折田至 脚本：伊上勝） ○
監督〔内田一作：１４本 折田至：１３本 田口勝彦：６本 山田稔：２本〕
脚本〔伊上勝：１４本 鈴木生朗：１１本 長坂秀佳：４本 村山庄三：４本 島田真之：１本 平山公夫／中瀬当一：１本〕
監督は、４連投もあった内田さんが最多で、最初と最後を担当した折田さんがそれに続き……大変どうでも良い事に今になって気付いたのですが、監督全員の名前に、田が入っている……！
脚本は、長坂さんの降板後は伊上さんが引っ張る形となり（劇場版も担当）、緊急体制の面もあったのか、伊上－鈴木が大半を占める、“堅い”作りに。その中で村山さんが、パワーアップ回と客演前編を担当。
簡易評価で◎としたのは、神啓太郎のやりきった笑顔があまりにも強烈だった第１話、アポロガイスト室長退場（その１）の第１５話、退場（その２）の第２１話。これが丁度、個人的ベスト３で、後はなんらかのインパクトが強烈だったエピソードを中心に○がついていますが、感想本文でも書いたように、最終回が割と上手くまとまったのは良かったなと。
唯一×をつけた第３２話ですが、その他の△つけたエピソードに較べて目立って出来が悪いというわけではなく、ＲＳ装置編のどんづまりを象徴するエピソードとして。
星取りの面からはパワーアップの後の第２９話以降に失速が顕著ですが、強化要素が駄目だったというよりも（髪型の変更はちょっと残念でしたが……）、今作においてテコ入れするべきは、「Ｘライダー」ではなく、「設計図争奪戦」の方であったのではと（笑）
秘密兵器を巡る連続物の要素そのものは面白かったと思うのですが、９枚の図面を一つずつ回収していくだけで争奪戦そのものの起伏が足りないのは、残念な展開になってしまいました。
主な出来事は、以下。
第５話 立花藤兵衛登場
第８話 涼子＆霧子死亡
第９話 アポロガイスト本格登場
第１４話 アポロガイスト殉職
第１５話 マコ＆チコ登場
第１６話 アポロガイスト復活
第１７－２０話 ホラー月間
第２１話 再生アポロガイスト殉職
第２２話 キングダーク出現
第２３話 設計図争奪戦スタート
第２８話 マーキュリー回路セット
第３３－３４話 ２号＆Ｖ３客演
第３５話 ゴッド機関壊滅
大まかに区分すると、
●第１部 謎の姉妹編（１－８）
●第２部 アポロガイスト編（９－２１）
●第３部 キングダーク編（２２－３５）
といった具合で、長坂さんの降板にともなって涼子＆霧子が退場した後は、きっかり１クールずつ。
当初持ち込まれたノワール＆ロマンス風味は序盤で敢えなく瓦解しましたが、
・実の息子に自身の遺体を爆破させる神啓太郎
・目潰しは海の男のたしなみ或いは吹き矢は神家では当たり前の護身術
・いきなり自爆する神ステーション
・当たり前のように隠し部屋がある研究所
・居間の壁にかかったレイピア
・普通に飛ぶＸライダー
・放たれる一つ目レーザー（視認不能）を、さらっとかわす立花藤兵衛
・工事現場の三角コーンからミッションを伝えるゴッド総司令
・「死んだ親父から聞いています。並の人間の、十倍の頭脳と体力、そして、正義の心を持つ少年少女を作り出す研究」
・８話に渡ってレギュラーを務めた主人公の恋人とその妹を殺害した凶器が鼻息で飛ぶ吹き矢
と、長坂テイストを中心として圧倒的な狂気の濃度は、『Ｘ』全体の印象を決定づける事に（笑）
またその後も、従来作の大幹部ポジションに、直接の作戦指揮を執るわけではない内部監査の男・アポロガイスト、ビジュアル的なインパクト絶大の巨人・キングダーク、を配置する新しい試みが見られ、シリーズ３作目（４年目）において、従来なかった新機軸を取り入れようとする工夫は（大幅ではないものの）残る形に。
特にアポロガイスト室長は、狂気溢れる衣装と渋い美声を武器に主人公のライバルポジションに躍り出ると、主人公の前で変身コールから激突する、今作における“もう一人の仮面ライダー”ともいえる立ち位置が、大変面白い存在となりました。
惜しむらくは、折角復活した直後に突入したホラー月間と相性が悪く、知性の低下や敬介への執着強化により、独自の立ち位置の魅力が損なわれてしまった事ですが、最終的にそれらを時限式の再生強化手術の影響だった、とした退場回は非常に面白く、個人的にエピソード単体のピークは、ここ。
その後の設計図争奪戦は、ゴッドやＸライダーよりもむしろ“南原グループの狂気”が売りになってしまうのですが、重ねて最終回のノロイ博士によって、『Ｘ』全体が、国産マッドサイエンティスト達による悪夢にまとまったのは、納得感の高い着地になったと思います。
序盤に盛り込まれていた「父（神）殺し」のテーゼが、最終盤に繋がる『Ｘ』を見てみたかった気持ちもありますが、そこの妄想を広げる余地があるのも良かったなと。
