『バトルフィーバーJ』感想・第27-28話
◆第27話「初恋泥棒にご用心」◆ (監督:広田茂穂 脚本:上原正三)
「あれがバトルフィーバーの海水浴か。隙だらけじゃ」
京介・曙・マリアと連絡員のケイコ姉弟&トモコ姉妹が海で遊んでいるのを覗き見するエゴスは、トモコの妹ユキを標的に定めると美少年ロボットを接触させるハニートラップを仕掛け、ゲスト少女のアフレコがやたら合っていなくて気になります。
サタンエゴス様が少女マンガ1000冊を読破して完全にシミュレーションした美少年ロボット・タケシは首尾良くユキの初恋を盗み取ると、家に上がり込んでトモコの化粧品に発信機を仕掛ける事に成功し、フォースの暗黒面に目覚めていそうな黒仮面怪人とその率いる特務軍団の目的は、BF隊の秘密基地の所在を突き止める事!
マンションのお隣さん(国防省の物件?)だったケイコとトモコが連れだって出勤すると、秘密の出入り口であるスナックケニヤの所在がエゴスの知るところとなり、特務軍団の襲撃を受けたケニヤ店内で火を噴くマシンガン。
海底基地へと繋がる隠し通路もあっさり発見され、前回のメンバー顔割れから、即座に基地襲撃に繋げてくる怒濤の展開はなかなかの面白さ。
基地内でのんびりお茶していた一同だが、エゴスの特務軍団が秘密の通路をひた走り……セキュリティ甘いな……と思ったら、ラウンジに乗り込まれる前に警報が鳴って一安心(笑)
「エゴスだ。秘密通路を見つけられてしまった」
「自動発射装置のスイッチを入れろ」
あ、通路に、ゴッド機関みたいなトラップが。
銃火をかいくぐって廊下を突き進む特務軍団の方が善玉サイドみたいな映像で、またもBF隊の闇が深まる中、黒仮面怪人を先頭にした特務部隊はバズーカをぶち込んで隔壁を次々と突破していき、そろそろ
1・落とし穴
2・毒ガス
3・海水を流し込む
のどれかが発動しそうですが……モニターで状況を見守る伝が、慌てず騒がずダイヤルを捜査すると通路が変形して特務軍団は海岸へと誘導され、再突入しようとしたところで襲い来る落石とバトルフィーバー隊から迸る悪役感。
新ポーズの揃い踏みから海岸での集団戦となり、Aパート長いな……と思ったら、戦闘の途中でBGMごとぶったぎられてアイキャッチが入りました(笑)
Bパート入っても海岸での戦闘が継続し、大立ち回りの末に戦闘員が壊滅すると、追い詰められた怪人は逃亡。アジトに戻ったBF隊はトモコの口紅に仕掛けられた発信機を発見し……
「どうして私の口紅に」
「無責任だな!」
「酷い!」
「ひどかねぇよ」
……じゃなかった、
「……誰かが仕掛けたんだ」
と伝が類推し、秘密基地勤務の主要メンバーにしても連絡員への信用度がかなり高いのですが、トモコにしろケイコにしろ両親の姿が見えず幼い妹弟と二人暮らしとおぼしき所を見るに、全国の養護施設などに鉄山将軍が手を回し、幼少期より援助を行って絶対の忠誠を誓わせた子飼いの人員とかでありましょうか。
BF隊はユキに接触したタケシの存在を掴み、揺れる乙女心とデリカシーの無い特殊工作員たちの間をとりも……つのかと思われたマリアも「エゴスよ、あの子は」と断言すると、ユキの目を覚まさせる為の荒療治を選択。
タケシの笛の音に誘い出されるユキを敢えて泳がせたBF隊は、少年と少女の後をこっそりと追い、汚い、大人って、汚い。
ユキにかばわれ続けるタケシだが、とうとう本性を現して少女を人質に取ると、フランスが不意打ちを仕掛けて救出に成功。しかし、肘鉄で機能停止した美少年ロボットが地面で無惨に砕け散る大人たちのどす黒いショック療法の行きすぎに気を失ったユキは、虚ろな表情でアジトの医務室に運び込まれ……大人って……大人って……!
ところがそれは特務部隊の計画通りであり、事前にすり替えられていたペンダントの爆発までタイムリミットは6時間あまり……高笑いする黒仮面怪人だが、九官鳥元帥が火薬の匂いに気付いた事で間一髪、爆弾はダストシュートから秘密基地の外部へ投擲され、BF隊は窮地を回避。
「ぬははははは! 遂にやったぞ!」
噴き上がる爆炎を作戦の成功と早とちりした特務部隊が、秘密の出入り口に近づくと、洞穴の奥からスローモーションでペンタフォースが飛び出してくる、ホラー映像。
「あれはなんだ?!」
「純真な少女の心をふみにじる、エゴスの虫けらども! 地獄へ落ちろ!」
フランスが一人で啖呵を切るとペンタフォースが炸裂する変化球で、黒仮面怪人と特務部隊は地上から蒸発し、途中の殺陣がやたら長かったのはこの構成の為だった模様。
なおフランスが一人で飛び出してくるのは何か撮影の都合があったのかと思ったら、この後普通に残り4人も出てきて黒仮面特務部隊の消滅を確認するので、一応フランス回(比較的ユキを気遣う役回り)という事で目立たせようとしたら、ちょっと妙な具合になったいつもの『バトルフィーバー』仕様だったのかと思われます。
深いトラウマを刻まれた少女は海を見つめるが、伊達男の京介がフォローを入れて笑顔を取り戻し、
ナレーション「初恋が、少女の心を、よぎって消えた。だがそれは、誰にでも訪れる、気まぐれな、夏のそよ風のようなものであった」
美少年ロボット惨殺映像が、一夏のアバンチュールで処理された(笑)
筋立てとしては序盤のスパイ合戦を下敷きにしつつ、メンバー交代 → 顔割れ → それを利用したエゴスの特殊作戦、と要素を連動させる事で、BF隊vsエゴスの戦いは新たな局面へ! と後半戦突入の雰囲気を作ってきたのが面白い仕掛けでした。
……しかし黒仮面怪人は、デザインは帝こ……もとい、正統派の割と格好いい系だったのに、どうして演技はコミカル寄りだったのか。
◆第28話「謎のボートを追え」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三)
曙・マリア・ケイコ・トモコ・マサルの5人は、曙のコネ――スナックケニヤのマスターの会員権――で逗子マリーナに投宿する事となり……え、ええとそれは、前回のエゴス襲撃によるとばっちりを受けたマスターの遺品を勝手に拝借した、とかではないですよね……?
ないですよね……?!
マスターの安否が気遣われる中、偶然にも逗子の海ではエゴスが活動を行っており、見所はサロメのマリンルックと、女性3人(+マサル)に囲まれながら、何故か陽気に「縁切寺」を熱唱する曙四郎。
台詞に「さだまさし」の五文字が出てくる東映ヒーロー作品は、多分『バトルフィーバーJ』だけ!
前回に続いてBF隊の基地を見つけ出そうとしているエゴスは、駿河湾を移動中のBF基地をたまたま撮影した男に目を付けると、妻子を人質に潜水を強要しており、潜水調査が最優先だった筈なのに何故か曙にちょっかいをかけ、いつの間にやら罠にかけてケニアを釣り出した事になり、首尾良くケニアとアメリカを捕らえるも、ダラダラしている内に他3名の介入を招く、あっちにフラフラこっちにフラフラし通しの観光タイアップ回らしいエピソード。
鎌倉を通り、江ノ島に触れ、ミニスーパーカーが走り、プールバトルに、モーターボートチェイス(これも、沖に向かっていた筈が、特に人質も活用しない銃撃戦の末に、計画通りみたいな顔で港に戻ってくる謎さ(笑))、の末に戦闘員を蹴散らすアクションの流れでの名乗りを行うと、大変久しぶりの、
「「「「「バトル・フィーバー!!」」」」」
作戦を指揮していたクラゲウニ怪人の、頭部が分離して電撃を発したり(ロボの演出を見ると、どうやらUFOのイメージ)、肩に浮き輪をかけていたり、武器が錨型のツルハシだったり、のデザインは面白く、背後で弟ロボット(劇中で少年の母親に化けていましたが、弟でした!)が大暴れする中、手前でBF隊が戦闘員と立ち回りを行う合成は、今作これまでなかった新機軸。
クラゲウニロボットの大冒険ツルハシアタックに大ピンチのBF隊は、バトルシャークの出動を要請。ウニ爆弾を受けて斜面を転がり落ちるも体勢を立て直すとペンタフォースを放って割と強かったクラゲウニ怪人を撃破し……エゴスはもう少し、御子の命名について時間をかけてから市役所に行ってもいいと思います!
クラゲウニロボットの空飛ぶ頭部による分離攻撃は、これまでの巨大戦とはひと味違う見せ方となりましたが、残念ながらBFロボは電撃無効の耐性持ちで、首が繋がったところを一気の唐竹割りで一刀両断。
エピソードそのものは今ひとつの出来でしたが、通常戦闘や巨大戦に、現代まで繋がる“シリーズらしさ”が見え始めてきたのは、目を引いた要素。
皆で海で遊んで夏のレジャー編は多分幕を閉じ、次回――怪人(の演出)が超怖い。