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フィーバー血が騒ぐ

『バトルフィーバーJ』感想・第23話

◆第23話「決戦!! 怪人総登場」◆ (監督:竹本弘一 脚本:高久進
 世はインベーダーゲーム(※1978年8月~タイトースペースインベーダー』稼働開始)が大流行。
 もちろんBF隊も揃ってゲームに興じ、国防省を通してエゴスから突きつけられた挑戦状に対して、やる気ゼロ。
 「あーあ……いいムードだってのに、ええい! エゴスの馬鹿野郎! インベーダーより始末が悪いや!」
 「そんなこと言ってもなぁ」
 「「「「「あーあ」」」」」
 一同、溜息をつきながら立ち上がり……衝撃の、九官鳥元帥真っ二つまであと5分!
 給料分は働かねばならぬのが宮仕えの辛いところ、と呼び出しの場所に向かったBFは爆発の出迎えを受け、真っ赤な私服姿のサロメを相手に、だらけた調子で突撃していく――妙に自信満々ですが、少なくとも、サロメに格闘戦で勝った事は無いのでは(笑)――が、手鏡ビームで迎撃を受けるとムンクの『叫び』めいた顔をした地獄の殺し屋・ゴースト怪人が出現。
 「笑わせないでよ」
 「おまえたちエゴスの怪人は、これまでバトルフィーバーに勝ったためしがないぜ」」
 「そうそう。出てきてはやっつけられ」
 「尻尾を巻いて退散し」
 「最低の野郎だぜ」
 ゲームの時間が惜しいし、面倒くさいから帰れ、とリズミカルに談合を持ちかけるBFは、怪人が本当に帰る素振りを見せると背後から不意打ちを仕掛けようとするが、まんまとトラップに引っかかって宙づりにされ、バトルフィーバーの、手段を選ばない思考を、計算に入れている……!(笑)
 じゃあもうペンタフォースしようとするとゴースト怪人が多重分身の術を用い、ものの見事に翻弄されるバトルフィーバー。
 「俺の本物がどれなのか、おまえ達には見破れまい」
 分身ゴーストの挑発に乗ったBF隊は、次々と地雷で吹き飛んで各個撃破され、手も足も出ないまま、完敗。
 「馬鹿者がぁ!!」
 京介・謙作・曙が負傷し、アジトで鉄山将軍から懇々と説教を受けると、背後からの罵詈雑言に耐えかねた謙作は九官鳥ロボを締め上げて破壊し……登場当初にロボットと明言はされており口も悪いですが、一応、小動物の姿をしたものを、ヒーローチームの一員が腹立ち紛れに二つに割る乱暴がきっちり映像にされるのが、とんでもなく『バトルフィーバー』。
 「九官鳥に八つ当たりしたところで、問題は解決しないぞ!!」
 鉄山将軍は九官鳥の無惨な扱いに対して思ったよりドライな姿勢を見せると、謙作を叱責。
 「将軍、自分たちは敗北だと思っておりません。ちょっとやられただけです」
 往生際の悪い謙作はどこかで聞いたような弁解を始めるが「敗北は敗北だ!」と一蹴され、将軍はBF隊に蔓延る慢心を戒めようとする。
 「……これまで君たちは、エゴス怪人相手に力一杯戦ってきた。これまでの、君たちの戦いを見てみよう。ビデオテープ、スタートだ」
 ……未だかつて見た事が無いレベルの、重々しすぎる、回想スタート(笑)
 一同、視聴覚室に揃うと映像が流れ出して、エゴスの巨大兵器に対し、国防省の秘密兵器BFロボが立ち向かう巨大戦からバトルフィーバーの戦いに次ぐ戦いが振り返られる趣向となり、場面と全く合っていないムーディーな挿入歌を背にBFロボの初陣が回想される、曲調も合っていなければ歌詞もバトルシャークについてという何もかもズレている劇伴が大変『バトルフィーバー』ですが、一見ありきたりの総集編も、『バトルフィーバー』にかかるとこうなる……!
 そこから合唱曲風味の爽やかな挿入歌に変わると、将軍の趣味なのかロボの戦闘シーンばかり続くが、ようやく個々のメンバーにスポットが当たっていき、インベーダーゲームに夢中の部下のモチベーションを取り戻す為、給料を上げるかわりに、過去の活躍を取り上げる鉄山流マネジメント。
 伝は野球、謙作はタマゴ、京介はエスカルゴ、曙はマンモス、ダイアンさんは当然、第1話まで遡り…………野球場で戦っている敵はそれ、バトルフィーバー隊なのですが(笑)
 「勝ち負けは時の運。敗北を恐れてはならない。敗北を乗り越えてこそ、また、戦う新しい力が沸く。肉を切らせて骨を断つ、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ……」
 顔つきの変わった一同が潔く敗北を認めると、鉄山将軍は飴と鞭を使い分けて5人を激励し、将軍の巧みな人心掌握術により、国防勇者のマインドを再セットされたバトルフィーバーは、お馴染みのパッチワーク映像で戦闘員を撃破すると、揃い踏みからゴースト怪人へと雪辱戦を挑む。
 「ヘッダー、先程のバトルフィーバーとは違うぞ」
 その戦いをモニターしながら、ただならぬ殺気を感じ取るサタンエゴス様。
 「おまえやサロメにはわからんか? バトルフィーバーの体に、異常な殺気がみなぎっている。それに引き換え、御子の思い上がった、あの態度はなんだ。御子が危ない!」
 減給とか御免だ
 降格とか御免だ
 懲罰房行きとか御免だ
 心を一つにスクラムし、高まる殺意でゴースト怪人の分身攻撃を前にも動じる様子を見せない5人は、「武士道精神に徹して、精神統一だ!」と、その場にかがみ込んで精神を集中し……折角ならダンス要素を引っ張り出してくれても良かったのにとは思いましたが、これはこれで、ぶっ飛びすぎて面白い事に(笑)
 ……後の『オーレンジャー』の兜割りとかとをちょっと思い出しますが。
 BF隊は心眼を発動して、驕り高ぶるゴースト怪人の正体を見破ると、反撃開始。怪人は慌てて弟ロボットを呼び出すが、例のように例の如く兄貴の方からペンタフォースされ、抵抗は見せるも大爆死。
 回想シーンでも使われた挿入歌で巨大戦となり、『ぼくらのさわやかフィーバー学園』とか始まりそうな歌をバックに、巨大な得物をぶつけ合うロボとロボ。押し合いへし合いに勝利したBFロボは挿入歌をぶった切ってクロスフィーバーを放つと、電光剣唐竹割りで一刀両断にしてみせるのであった。
 ナレーション「勇気に向かって走れ、バトルフィーバーーーー!!
 会心の勝利を収め、手を重ねるBF5人の頭上には太陽が浮かび、勇気と夕陽を掛けた……?! で、つづく。
 サブタイトルから再生怪人エピソードかと思ったら、過去の戦いを映像で振り返る3分の1ほど総集編でしたが、慢心というか通常営業のBF隊に始まり、随所に見える『バトルフィーバー』らしさが、メタ含めて変な面白さを生む一本でありました。
 次回――危うしダイアン。そしてFBIの、「攻撃員」とは。