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『バトルフィーバーJ』感想・第12話

◆第12話「呪い殺法バラ吹雪」◆ (監督:広田茂穂 脚本:江連卓)
 第10話まで、高久→上原の繰り返しで回してきた脚本ですが、この後『仮面ライダー(新)』『仮面ライダースーパー1』に参加する江連卓さんが初登板。
 サタンエゴス様より、透明化能力と、人を意のままに操る超催眠殺法を授けられたバラの戦士・怪人バラリンカが人間の美女の姿で誕生し、バラの紋様の付いた金色のヘッドセットを被って真紅のベールで口元を覆い、赤と黄色の全身タイツの上から、エメラルドグリーンと金色の取り合わせも鮮やかなマントを羽織ったミス・アメリカも真っ青な姿が、破壊力抜群。
 その目的は、子供を洗脳して親と争わせ、日本の家庭をバラバラにする事だ!
 ……バラだけに?
 バラだけになんですか、サタンエゴス様?!
 「バラリン・バラリン・バラリンカ」
 組織の運営から作戦の立案、怪人の製造からスパイの集めてくる情報の処理まで、働き過ぎでちょっとおかしくなってきている気のするサタンエゴス様だが作戦の初動は上手く進み、バラリンカの歌声を聞いた子供たちが突如として暴力的な行動を取るように。
 エゴス構成員がピエロに扮して付き従う点や、この後、集団誘拐未遂事件を引き起こす事を考えると、バラリンカの派手派手しい扮装には恐らく道化やサーカス団(が寓意とするもの)のイメージが入っていそうですが、村落共同体から外れた芸能民と子さらいを紐付ける部分に差別的文脈を孕む事もあってか、近年ではあまり無い見せ方だなと。
 「子供たちよ! 子供たちだけの王国を作るのじゃ!」
 親子喧嘩の異常な発生率が新聞報道されるに至り、本日も新聞から怪事の気配に鼻を利かせるBF隊が将軍の命令で調査に動き出す中、ケイコの弟・マサルの学校に新任教師として潜り込んだバラリンカは、学校帰りの子供たちを集めると蜂起をけしかけるが、そこにBF隊が名乗りを上げ、Aパートから勢揃いする変化球。
 工作員を蹴散らすも、バラ吹雪の目くらましによって怪人を見失うと、そのまま逃走されるのかと思いきや物凄く唐突に出現する巨大バラリンカ(衣装の色違い)……て、え、その姿が、怪人の姿なの?!
 「我ら聖なるバラの姉妹。今に、死よりも辛い生き地獄を見せてやる!」
 どうやら今回の突飛な衣装は、“この姿が既に怪人”を示してもいたようで、キカイダー01』のダークオカルトロボットや、『快傑ズバット』の奇天烈用心棒と同じ路線でした。
 志田京介、フェンシングのフランスチャンピオン(ちっちっち)……だが日本じゃあ二番目だ。
 バラの姉妹はBF隊に宣戦布告すると姿を消すが、逃走中の怪人の挙動から、無菌培養のバラの性質から泥や土に拒絶反応を示す弱点が判明。マサルをけしかけて泥団子を投げつけさせる事で新任教師の正体を確認したBF隊は、その狙いを探る為に手分けして尾行し、サブライター回にままある、脚本をオーダーされた時点では初期コンセプトを伝えられていたのか、スパイ物テイスト再び。
 二重三重の尾行と攪乱の出し抜き合戦の末、バラリン先生がヘッダーと接触しているのを確認したBF隊は、マサルに盗聴器を持たせ、授業時間を利用した集団洗脳の証拠を入手すると、それを利用して怪人を始末する計画を決定。
 「よし、今度は、儂の催眠殺法を見せるとしよう」
 ……脚本のこだわりだったのか、「術」ではなく「殺法」が繰り返される今回、鉄山が口にすると、死よりも辛い生き地獄を見るのは貴様だエゴス感が半端ありません。
 バラリンカの策謀により、手に手にナイフを握った子供達がその親を刺す、血の惨劇が後楽園ゆうえんちで巻き起ころうとするがしかし、閃くナイフの代わりにマサルの泥団子がバラリン先生に投げつけられてバラリンカがたまらず正体を現すと、アトラクションの上に姿を見せるバトルフィーバー。
 「我々はおまえがかけた催眠殺法を一旦解き放ち、新たに子供たちに、泥団子催眠殺法をかけておいたのだ」
  …………え。あれ? 聞き間違いでなければ、この人たち今、「エゴスを罠にはめる為に一般市民の小学生集団に催眠をかけて囮に使った」って言いましたか。
 世が世なら戦隊活動停止レベルのスキャンダル間違い無しですが、子供たちには鉄山の催眠殺法により(鉄山本人が催眠術を使ったのか、鉄山考案による催眠術を利用した作戦を「殺法」と称しているのかは不明)、いっけんバラリンカの催眠にかかっているようでいながら、その実、ここぞという時にケイコの指示で泥団子を投げつける催眠がかけられており、後の電撃戦隊をソフトに感じる日が来ようとは思いませんでした(笑)
 大規模囮作戦に巻き込まれている保護者の皆さんは、同様の催眠がかけられているか、後で口座に謎の謝礼金が振り込まれるかの、どちらかです。
 本日もEDテーマをバックに遊園地のアトラクションや段差を活かしてのバトルとなり、フランスは怪人とフェンシングで再戦するが、特に決着はつかないまま妹ロボが出現すると、ざっくりとぶった切られるEDテーマ。
 姉を手の上に乗せた妹ロボから爆撃を受けると、OPイントロに合わせてフランスがセンターでスクラムし(フェンシングの因縁はほとんど消化されませんでしたが、一応メイン回扱いらしい)、ペンタフォースの直撃により妹ロボの手の平の上でさっくり消し飛ぶバラリンカの死に場所が酷い(笑)
 序盤から、音楽の使い方や画面の繋ぎに違和感の多い今作ですが、
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 戦闘BGMだったED曲、フェードアウトも無しにぶったぎられる → 妹ロボ登場 →
 ちょっとピンチぽい音楽 → 妹ロボの攻撃をうけてスクラム
 OPインストでフォーメーションからペンタフォース! →
 BGM強引に省略したところに大音量で被さるバラ怪人の悲鳴「あーーーーー!!」 →
 あ、姉さんが消し飛んだ、と無言で手を見る妹ロボ →
 バラリンカの消滅を明確に示したかったのか、不自然に一瞬だけ挟まる妹ロボのバストアップ →
 サタンエゴス様の命令で無言のまま動き出すロボ
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 と、ここまででも屈指の乱雑さが、極めて間の抜けた映像を生み出しており、音響、編集、諸々ひっくるめて演出、超・大事。
 鉄山がバンクでバトルシャークを発進させると、勇壮なBGMでバトルフィーバーロボが大地に立ち、BF隊ジェットオン。巨大バラリンカが繰り出す、炎を噴き出す剣を鎖で押さえ込むとクロスフィーバーが放たれ、見た目人間の女性を短刀でぐっさりは体裁が悪いと判断されたのか、カット切り替わるといきなり妹ロボがばったり倒れている姿で爆発し、色々締まらないながらも、エゴスのバラリン大作戦はBF隊によって阻止されるのであった。
 大変奇抜な格好のゲスト悪役だと思ったら、悪魔ロボットの出現と共に別路線の怪人だった事が判明する宙返りが、終盤に加速するキカイダー01』ばりの超編集によって、それどころでは無くなって終わる、荒波にもまれる小舟のようなエピソード。
 チーム名乗りや全員が正面を向いたペンタフォース新フォーメーションの導入など含めて、第7-8話ぐらいから少しまとまりが良くなってきたかと思ったら、またも最初期の混沌ぶりに戻ってしまい、最低限もう少し作品としての型が落ち着くのはいつの日なのか、飛べ、戦え、バトルフィーバーJ!