東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

シェパード活躍せず

『バトルフィーバーJ』感想・第11話

◆第11話「ペット誘拐大事件」◆ (監督:広田茂穂 脚本:高久進
 見所は、泥棒を捕まえようと本格的なブービートラップを仕掛ける小学生トリオと、見事にそれに引っかかる曙四郎。
 「おい待て、話せばわかる。俺が泥棒に見えるかよ。この顔はどう見たって、正義の味方だろ」
 「いや、どう見たって悪党のツラだな!」
 世間ではこのところ、幼稚園や小学校の飼育小屋を狙ったペット盗難事件が連続しており、報道に怒りを燃やすも不審者と間違われて逆さ吊りになった曙は、なんとか小屋の見張りを請け負うと、深夜、今度こそ本物の不審者を、バナナの皮で滑らせた(笑)
 ……という、まさか実写でやるとは思わなかったギャグが直球で放り込まれるなど、全体的にコメディ寄りの演出。
 わざわざペット泥棒に出張ってきたエゴスの構成員は、曙に蹴散らされるとコブラ怪人のアジトへ逃げ帰り、恐るべき悪魔の組織エゴス、その目的は……
 「コブラ怪人がペットを誘拐しているのは、ただ単に飼っている蛇どもの餌にするためではないぞ」
 え? えええ?! ……え、ええ、はい、サタンエゴス様が言うなら、きっとそうなんでしょうね……という表情になりながらも次にサタンエゴス様が何を言い出すのか、かしこまりながら探り探り話を進めるヘッダー(笑)
 「子供たちと動物を結ぶ愛が、やがて勇気を生み、我らサタンエゴスに立ち向かってくる」
 ……何か、ふんわりとした事を言い出した。
 「……はぁ」
 「ヘッダー!」
 「はっ! ははーっ」
 「はぁはぁはぁはぁ言ってわかっておるのかヘッダー!」
 「ははーっ」
 サタンエゴス様のツッコミにヘッダーが同じ言葉を繰り返し、なんと、狙ったギャグでした。
 「ペットを誘拐し、子供達を悲しませなくちゃいかんのじゃよ、わかったかヘッダー」
 自らの立案した作戦の正当性を主張するサタンエゴス様の言い回しもちょっとおかしく、もしかすると今回のサタンエゴス様は、いつものサタンエゴス様が徹夜麻雀で惨敗したショックで寝込んでいる為に急遽それらしく振る舞っている、代理エゴス様3号とかかもしれません。
 ペット誘拐事件とエゴスとの関わりを把握したBF隊では、九官鳥元帥を囮に使ってエゴスに故意にさらわせ、発信機を頼りにアジトの場所を突き止めようとするが、協力を頼んだ小学生トリオもまとめてさらわれてしまう、安定のやらかし。
 九官鳥元帥と小学生トリオがスパイとバレて始末されそうになった時、鳴り響くBGM……に何故か反応してアジトの外に飛び出すコブラ怪人一味……え、その音、劇中で実際に響いているの?!
 いやまあ、今回はそういう罠としてスピーカーとか仕掛けていたで成立する範疇ではありますが、『ボウケンジャー』の、「イメージエフェクトかと思っていたら本当に爆発していた」ばりの、アクロバットな劇伴の使い方から今回もED曲でのバトルとなり、ジャパンの竹藪バトルや、コサックの足技乱舞など、アクションシーンそのものはなかなか見応えがあるのですが、早急に、バトルに合わせやすい、挿入歌が欲しい(笑)
 コブラ怪人の噛みつき攻撃にケニアが苦戦するが、5人で袋だたきにするとコブラロボット出撃。
 「我が子よ! 我が兄弟よ! 我が命は不滅! 兄弟力を合わせて、バトルフィーバーを倒せぃ!」
 じゃあ、あいつを先に片付けよう、とコブラ怪人はペンタフォースで瞬殺され、サタンエゴス様の願いとは裏腹に、もはや悪魔ロボットの出現が、怪人の死亡フラグ(笑)
 コブラロボの大暴れには迫力があり(そういえば今作、《ウルトラ》シリーズでお馴染みの佐川和夫さんが特撮監督で参加されていますが、円谷プロを離れてフリーとなり、翌1980年から特撮研究所に籍を置く時期との事)、その間に少年たちがペットを助け出そうと奮闘が描かれたのは良かったところで、ケニアもそれに気がつくと、バトルシャーク発進。
 5人はOPテーマと共にBFロボに乗り込み、国防省上層部での1ヶ月以上に及ぶ協議の末に大型特殊車両として登録される事になったのか、シートベルトを、付けた。
 よく見ると背中のどこかにナンバープレートが付いているかもしれないBFロボは、槍の切っ先でコブラロボの胴体を横薙ぎにすると、クロス・フィーバー!
 「諸君、私の勇気ある行為に、盛大な拍手を」
 小学生トリオも誘拐されたペット達も無事に救出されると、九官鳥元帥を囲んでみんな笑顔で大団円……となるのですが、多分その九官鳥はいよいよの場合には遠隔操作でぽちっと自爆する手筈だったのが国防のジャスティス。
 冒頭、小学校でのドタバタ劇にだいぶ尺を割くと、これまでの今作におけるユーモア担当=「スイッチオフ時のBF隊」がエゴスにも拡大して、ヘッダーが近眼のとぼけた老人みたいな演技を見せ、いきなりトーンが変わりすぎてちょっと困惑。
 小学校の女性教師はヒステリックなのかと思えば急に物わかりのいいところを見せたり、小学生トリオのキャラ付けが特に後半に繋がるわけではないなど、全体的にコミカル要素の演出に場当たり感が強く、作品の方向性にブレが見え始めつつ、まとまりが今ひとつな一本でありました。
 次回――愛ある限り戦いそうな雰囲気。