東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

年明けバトルフィーバー

『バトルフィーバーJ』感想・第7-8話

◆第7話「お家が燃える!」◆ (監督:広田茂穂 脚本:高久進
 「我はエゴスの神の子、火の玉怪人。我らエゴスに敵対するものは悪だ! 悪は燃やし、滅ぼさねばならぬ。燃やせ! 燃やせ! 灰にしろ!」
 「「「燃やせ! 燃やせ! 灰にしろ!」」」
 やや和風なおどろおどろしい描写で放火を推奨するエゴスの集会が描かれ、そこにかかるサブタイトルの字体だけ見ると、不思議コメディ》が始まりそう。
 文言は全く、愉快でもなんでもないのですが!
 ある夜、たまたま火事場の近くを通った際に野次馬の中に見た、炎を見つめて笑みを浮かべる少年に引っかかりを覚えた謙作が出勤すると、そこにはBF隊の新メンバー、ロシア語の挨拶を解する九官鳥が。
 「どうしたんだこの九官鳥?」
 「鉄山将軍の、プレゼントだってさ」
 「おまえたちを監視してるのさ。サボると将軍に報告するぞー」
 凄く、期待したい、ニューフェイスですね!!
 新聞を広げていた伝が連続放火事件について持ち出すと、前夜の出来事を語った謙作は、九官鳥から少年の行方を追えと命令を受け……文字通りに、鉄山将軍の代理の役回りでありましょうか。
 なお、一応の前作となる『ジャッカー電撃隊』では、第15話よりテコ入れ策の一環(?)として喋るサイボーグハムスターが投入されており、
 桜井五郎「……ハムスターが口を聞いた」(超シリアスに)
 は忘れがたいリアクション(笑)
 あまりにも流暢に人語を操り、BF隊と自然な意思疎通をする九官鳥も恐らくサイボーグ手術の犠牲者だと思われますが、鉄山の不在時は、九官鳥から命令を受ける立場となったBF隊、たぶん、九官鳥の階級は元帥ぐらい。
 再び火事の現場で少年を見かけた謙作は、その後を追うもエゴスの襲撃を受け、フィーバー! 少年は放火の被害で家族を失い、そのショックで記憶を失って入院中であり、「火が僕を呼んでいる」と、放火の気配を感じ取っては夜ごとに病院を抜け出していた事が判明。
 自らも孤児であり、鉄山に拾われた過去を持つ謙作は少年の境遇に同情すると、中央アジアの地で育んできたパチンコの妙技を伝授し……ええと、あれです、台に向かってハンドルを握っていると銀色の玉が金に変わる不思議な錬金術の方ではなく、銀色の玉をゴムで飛ばす方って…………パチンコが好きだからパチンコの使い手みたいな発想だったの?! と今気付いて、少年とヒーローの暖かな触れ合いに混ざる若干の寒風(笑)
 謙作との接触を危険視された少年は、露骨に怪しい監視役だった看護婦に首を絞められたショックにより、その看護婦こそが放火の犯人だったと記憶を取り戻し、相手がエゴスなら、見た目はただの看護婦でも躊躇なく顔面に裏拳とハイキックを叩き込むバトルケニア――国防の前には皆平等。
 少年の記憶から火の玉エゴス部隊のアジトも判明し、覆面を奪って集会に潜入するもバレてしまったコサックが、一人で大暴れ。火の玉怪人が三つ叉の剣からビームを飛ばしてくてるが、そこに仲間が揃うと、個人名乗り&不揃いジャンプから――
 「「「「「バトルフィー-バーJ!!」」」」」
 な、名乗った……!
 ダンス要素と思われるステップと斜め並びから、第7話にして初の、必殺技の前振りではないチーム名乗り。
 火の玉怪人の危機を見たサタンエゴスは火の玉ロボットに出撃を命じ、やたらキラキラした仮面(どうも前作の三日月仮面を思い出してなりません)の下の全身茶色タイツが凄く簡素なデザインなので、巨大化すると、若干ギャグっぽい。
 だが火の玉怪人は、ケニアに足をひっかけられて斜面を転がり落ちたところを、新フォーメーション(二人が後ろを向かない)のペンタフォースでさっくり爆殺され、自分たちのアジトを踏み潰す火の玉ロボットに対して、バトルシャーク出撃。
 前座の戦闘機部隊をオートコントールで撃墜すると、胴体が割れてBFロボが出撃し……なんかもう、このまま全部オートでもいけるのでは……?
 一応、5人がジェットオンして乗り込むと、三つ叉剣からの火炎放射を浴びせられたBFロボは、シールド防御。火の玉バルカンを浴びるがクロス・フィーバー! でさっくり撃破すると今日も飛んで帰り、元気になった少年と再会する謙作。
 ナレーション「少年の、悲しい記憶は甦った。その悲しみを乗り越え、少年は、生きていかなければならない」
 が実に1979年という感じですが、いざとなれば、俺のパチンコがいつでも貴様の目を潰すと、胸にいだいて、強く生きろ!

◆第8話「鉄腕エースの謎」◆ (監督:広田茂穂 脚本:上原正三
 休日は少年野球にやかましい声援を送る野球大好きおじさんだった伝、相手チームにサヨナラ打を浴び、失意にくれるピッチャーの少年が「野球なんて辞めたい」と言い出すと車に乗せて墓地へと連れて行き、墓石の前で「兄さんをしのぐエースピッチャーになる」と誓ったのではなかったのか、と突きつけ、いきなり重い……!
 少年の兄・幸一は高校時代に伝とバッテリーを組んでおり、地区大会で快進撃を続けるも、甲子園を賭けた決勝戦前日に交通事故で急死。
 ナレーション「正夫は、親友が果たせなかった甲子園出場の夢を、コウジ少年に託していた」
 やはり、だいぶ面倒くさい野球大好きおじさんだった。
 「練習だよ、コウジくん。人より上手くなりたければ、人の2倍練習するんだ」
 伝は昔取った杵柄でコウジの練習に付き合い、今日見ると30過ぎに見えなくもない伝正夫、現在12-3歳程度(この後出てくるチームメイトの年齢より)と思われる少年を、兄死亡時に野球の道を志すと墓前に誓える年齢――下に見て6歳と仮定すると、高校時代から7年経過で、現在25歳ぐらい……?
 親友の事故死から国防省入省を経て、だいぶ殺伐とした人生を送ってきたのか、20代の若さとかほとんど感じられませんが、手元の、学研の図鑑「スーパー戦隊」によると設定年齢は27歳という事で、9年遡ると、兄の死亡時にコウジ少年は3-4歳。
 自発的に墓前に誓うのはだいぶギリギリであり……まあ、それから数年後に、兄の記録を見て自分から選んだ道かもしれませんが、十代前半の少年に墓石を突きつける伝への心証が真っ黒なので、幼少期から少年の行く道をあわよくば野球へ向けようとする伝の工作があったとしか思えず、図らずも、スポーツ系美談の暗黒面をあぶり出す事に。
 恐らく、そういう意識は特に無かったとは思うのですが、その意識が無い事こそまさに、スポーツ系美談の暗黒面だったりするので。
 ……本筋ではない箇所がちょっと気になってしまいましたが、その頃エゴスでは、怪しいプロモーター風味の人間に変装したスポーツ怪人が、天才スポーツクラブ作戦を開始していた。
 コウジ少年のチームメイトが野球サイボーグにすり替えられると、突如として超リトルリーグ級のボールを投げて大きな話題となり、たった一週間の楽しいトレーニングで貴方もオーラパワーに目覚められる! を謳う怪しすぎる背景を調べようとする伝だが、今日もダイアンは踊り、謙作は喫茶店でゲームに夢中で、BF隊は平常運行だった。
 今、バトルフィーバー隊に必要なのは、フィーバー秘密警察と第一室長!
 「ダイアン!」
 「私が好きな選手は、ベーブ・ルースだけよ」
 ダイアンには完全に意味不明な台詞で拒絶され、給料以上の仕事はしない・給料内の仕事もなるべくしない、オフタイムの描写のちゃらんぽらんぶりが徹底している今作ですが、そこで当時の風俗描写が挟まるのは、ちょっとした特徴になっています。
 仕方なく一人で潜入を試みた伝は、天才スポーツクラブ内部のロッカーで眠る改造人間を発見するが、直後にスポーツ怪人の襲撃を受け、ロッカーの中から一斉に飛び出してくる戦闘員の図が面白い。
 「邪魔はさせないぞーー! バトルフィーバーめ!」
 ジャパンが一時撤収するとスポーツ怪人は甲高い声で絶叫し、後のシリーズ作品における変態怪人路線の萌芽も見えるところです。
 相手がエゴスとわかったならカチコミじゃ、と溢れる血潮を殺意に変えようとするBF隊だが、伝は敵の目的を探りたいと変装しての監視活動がしばらく続き、世間に被害が広がる事を防ぐよりも、泳がせた敵の目的を把握して確実に根絶を図る、それが国防のジャスティス。
 やがて世間には、誰でも簡単にオーラパワーに目覚められるならコツコツ努力をする必要なんて無い、という風潮が広がっていき、今作第2話のアレンジにして、後の『オーレンジャー』のアチャチャの学校にも通じる上原大先生の得意パターンとなって、「子供達に努力する事を忘れさせ、怠ける人間を増やす」事こそが、エゴスの真の狙いであると明らかに。
 「エゴスは子供たちに、安易な生き方を教え込もうとしてるんだ」
 サイボーグ野球少年に発信機を取り付け、天才クラブの合宿所へと急ぐBF隊だが、その介入を知ったスポーツ怪人は、子供たちを爆破して証拠隠滅を目論み、敵を泳がせていた事であわや大惨事になりかけるも、寸前で爆破を阻むBF隊。
 崖の上での名乗りから主題歌バトルに突入すると、戦闘員を適度に蹴散らした後、ホッケーマスクのスポーツ怪人とジャパンの一騎打ち、そして怪人の元に一同が揃っての戦いと、今回は主題歌とバトルの流れもあっており、段々、戦闘シーンは良くなってきた気配。……なにか都合が合わなかったのか、ミス・アメリカ不在な点には目をつぶる事にして。
 「弟よーーー!」
 BF4人に囲まれて連続攻撃を受けたスポーツ怪人が絶叫すると、空中一回転しながらスポーツロボが出現し、巨大爆弾を次々と放り投げられたBFは、基地に救援を要請。
 「ペンタフォースが出来ない! ダイアンすぐ来い!」
 基地で待機名目だったミス・アメリカがバトルシャークで出撃し、今回も適当にエゴス戦闘機を撃墜すると、現場に到着して早速さっくりペンタフォース!
 残るスポーツロボに槍で立ち向かうもホッケースティックに苦戦するBFロボだが、鎖分銅で足を引っかけると、即座にクロス・フィーバーを叩き込んで勝利を収め、武装の多さや必殺技のモーションなどは、70年代アニメのスーパーロボット、特に武者モチーフからザンボット3やダイターン3を思い出すところです。
 秘密兵器を巡るスパイ合戦を軸にしていた序盤の構造がBFロボの完成と共に終了し、エゴス怪人による作戦を軸にしつつBF隊のメンバーを絡めるキャラ回の構造となって、現代まで続くシリーズのセオリーにだいぶ近い形にモデルチェンジ。
 大物俳優なので、当初から全話出演してもらう予定では無かったのだろうと思われますが、鉄山将軍に代わって九官鳥元帥が登場するのも丁度良くスイッチの切り替えとなって、前回-今回で、第2部スタート、といった雰囲気になりました。
 九官鳥元帥は、九官鳥から「真面目に仕事しろ」と言われるのが無理のないユーモアになりつつ、指示をスルーするにしても聞くにしても相互のダメージが少ないのは割と上手いアイデアだな、と。
 ……あまり勤務態度が悪いと不適切ポイントが限度を超えて、変形した頭部から九官鳥バスター!が放たれる仕様です、きっと。