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国防こそがジャスティス

『バトルフィーバーJ』感想・第3-4話

◆第3話「スパイを探せ!」◆ (監督:広田茂穂 脚本:高久進
 国防省のトラックを襲撃するエゴスだが、中から飛び出すバトルフィーバー!
 今、国防省内部ではエゴスに情報を売り渡すスパイの存在が疑われており、国防省(BF隊)とエゴスの双方が、秘密兵器を巡るスパイ合戦で火花を散らす、スパイ物の王道的展開。
 後のシリーズ作品の幾つかにおける、「秘密基地の所在を巡る攻防」は、こういった文脈に基づいていたのだろうな、と思われますが、果たしてスパイはどこに潜んでいるのか……BF隊にも多少は張り詰めた空気が漂う中、何やら不機嫌そうな様子の伝は、建造中の巨大兵器の設計図を小型カメラで隠し撮りすると不自然に姿を消し、残り4人は鉄山の命令でスパイ疑惑の浮上したジャパンを追う事に。
 ……コードネームといえばコードネームなのですが、変身前から「ジャパン」とか「フランス」とか呼び合うのになかなか慣れません(笑)
 今日もレンタカーをタダ乗りしていく伝は科学雑誌の出版社に写真を売り込もうとし……万札が、聖徳太子!!
 不審な行動を繰り返す伝と、それを追う白石らの姿が、レンタカー屋周りやBF連絡員を相手のコミカルを意図したシーンを挟みながら展開し、当時と現在の感覚的違いや、今作の目指していた方向性の問題もあるのかとは思いますが、とにかく全体的にテンポが悪く、パイロット版にも見えた“軽妙さ”への意識が、物語のアクセントになるどころか、リズムを損ねてばかりといった感。
 ……なんというか、企画書には「ウィットに富んで都会的で洒落た雰囲気の……」とか書いてありそうだけど、現場の誰もそれが具体的にどんな雰囲気なのか共通認識の無いまま見切り発車して、気がつくと無人駅で立ち往生している、みたいな出来。
 広田監督というと個人的に、『快傑ズバット』での演出が割と面白かっただけに(特に第19話は絶品)どうしてこうなっているの感が強まります。
 エゴスの女諜報員(曽我町子)が伝に接触すると、信用できないから抹殺しろと命令が下り、エゴスの戦闘員に囲まれてなんかちょっとダンスっぽい動きを交えて戦う伝。
 伝の尾行を続け、あの野郎スパイに間違いないシベリアの大地でイトスギの木のてっぺんから吊してやる、と息巻いていた謙作(メンバー内部では熱血漢の位置づけの模様)は伝を見捨てようとするが、見ていられない、と曙と京介が助けに入るとエゴス戦闘員は撤収し、
 「おい見たか! エゴスは、壁抜けが出来るぞ!!」
 と驚愕を露わにする伝、実際、割と意味不明の衝撃シーンなのですが、この恥知らずなスパイ野郎め! と激高した謙作が伝に殴りかかってそれどころではなくなり、誰も追従しないまま直後にそれどころでは無くなるのだったらビックリアピールする伝自体が必要なかったのでは……? と線路の在処が行方不明。
 揃って海底基地に戻ると、機密情報の盗撮はスパイあぶり出しの為に伝と将軍が共謀して行った茶番劇だったのだとタネが明かされ、大変いたたまれない謙作ですが、国防の為ならばメンバー間の信頼関係など、吹けば舞い散る紙くずのようなものなのです。
 エゴスに情報を流していた国防省高官が逮捕された事でメンバーに真実が説明されると、冒頭で伝が妙に挙動不審だったのは、実際、(お、俺、偽スパイの役とか上手く出来るかな……でも、出来ません、とか答えようものなら将軍に斬られるしな……)と心の底から挙動不審だった事が発覚(笑)
 敵を欺くにはまず味方からスピリットについて、BF隊では当たり前の事すぎて謝罪の素振りさえ見せない伝&将軍が、後続シリーズとは一線を画すスタイルですが、伝と謙作は握手で和解し、残るスパイルートはあと一つ……。
 「あんたの正体は我々にバレた。だからあんたはエゴスに消される」
 協調を取り戻したBF隊は、伝が接触していた編集者をポーズを決めながら取り囲み、脅迫の方法が、えぐい。
 全体的に、洒落たスパイ物文脈の取り込みが空回り気味な今作ですが、ここはとても素晴らしかったです(笑)
 我々は国家権力なので非合法な行為には及ばないけれど、エゴスがどう出るかはあんたの方が良く知ってるよな……? 保護してほしけりゃ、洗いざらい吐いてエゴスを売りな、どの道あんたが助かるにはその方法しかねぇんだよ……と編集者を取り囲んだBF隊は、エゴスもまた巨大ロボを建造中との情報を得るが、直後、編集者の胸を貫く投げナイフ。
 今回はエゴスの諜報員がそのまま怪人に変身してパイロット版の不自然さは解消され、デスマスク怪人の爆弾投げナイフが飛び交うと、一旦距離を取ったBF隊は、隠れてフィーバー。
 高い所での個別名乗りから不揃いジャンプで地上に着地し、OPをバックに、片手の平に片手の拳を当てるポーズ(拱手?)を加えてのGメン歩きから、特にチーム名乗りはせずにそのまま怪人を囲んで戦闘に入った(笑)
 大向こうで「いよ、BF屋!」と掛け声をかける体勢に入っていたところからの梯子の外され感が物凄いですが、国防の為にはあらゆる奇襲攻撃は正当化されるのです。
 引き続きカットの繋ぎが荒っぽい戦闘シーンから人文字BF、そして本日はジャパンのセンターでペンタフォースが発動してデスマスク怪人は塵と化し、BF隊は国防省に入り込んだエゴスのスパイルートを潰す事に成功するのであった!
 次回――君の魔力は100万ボルト。

◆第4話「超魔力の罠だ!」◆ (監督:広田茂穂 脚本:上原正三
 OP、タイトル表示で画面奥からJの字がせり出してくるシーンの演出が強化され、諸事情により今回のヘッダー指揮官は、潮建志でお届けします。
 今回のゲスト悪役である石橋さんと潮ヘッダーが同時に映る場面がある為、潮さんの降板に伴う差し替えが出来なかったようですが、石橋ヘッダーがどこか修行僧めいた雰囲気なのに対して潮ヘッダーは完全な狂神官、といった雰囲気なのは当初の方向性が窺えて面白いところ。
 国防省の兵器研究所が次々とエゴスの襲撃を受けた上、兵器開発担当の参謀がさらわれる事件が発生。拉致されたセガワ参謀は、国防省時代の謙作の上司にして兄のような存在であり、救出に向かうBF隊は、OPインストに合わせていきなりのバトルフィーバー! を見せるが、まんまと囮に引っかかって拉致部隊の逃走を許してしまう。
 BF隊が建造中の秘密兵器のシルエットを、ぼやぼやーんと受信したサタンエゴス様は、その詳細を入手しようとしていたが、セガワ参謀の尋問に失敗。
 そこでエゴスの信徒であり、“21世紀の千里眼”の異名を持つ超能力者・ベンガルの虎を日本に呼ぶと怪人誕生カプセルに放り込み、
 「エゴスの息子よ、おまえの超能力は100万ボルトに増幅された」
 予告でも面食らいましたが、エゴス原始科学によると、超能力の単位は、電圧。
 なお、堀内孝雄の「君のひとみは10000ボルト」が1978年のヒット曲との事で、この時代に流行った言い回しであったのかもしれません。
 エゴスに一杯食わされたBF隊は相変わらずの切り替えの早さでダイアンと京介がお洒落ファッションを披露し合っていると、動物を連れた曙が入ってきて一騒動が巻き起こり、ダイアンさん、本気で曙に近寄ってほしくなさそうで、いずれ、発砲事件でも起きるのではないかとドキドキします。
 そして元上司の行方が気が気でない謙作は……
 (セガワさんは無事だろうか……)
 と呟きながら、パチンコを打っていた。
 気を紛らせる為とかそういったニュアンスなのかもしれませんが、プロフェッショナルらしいオン/オフ通り越して仕事サボって遊んでいるようにしか見えない為、どうにも用法に困惑します(笑)
 一方エゴスでは、超兵器の正体を探り出そうと100万ボルトの超能力で参謀に対する念写が行われるが参謀は何も知らず作戦失敗。そんな裏の繋がりを知らぬ白石は、警察の捜査にも協力しているベンガルの虎に参謀の捜索を依頼するが、念写されたスクラップ工場で発見されたのは、用済みとなって始末されたセガワの死体という、救いの無い展開。
 この件をきっけかに、レンタカー屋で働く中原ケイコがBF隊の関係者だと気付いたベンガルの虎はその身辺を探り、伝がこっそり「見張られている」とメモを渡すのは、今作らしい見せ方。
 前回に続き超兵器を巡るスパイの攻防戦が中心となって描かれ、100万ボルトの超能力により、自身に迫る危機を無意識に予知したベンガルの虎が、無意識の念動力によって車にブレーキをかけた事が、ナレーションによってやたら詳細に説明されるのが、ハイライト(笑)
 その夜、ホラーな演出で改めてケイコに迫るベンガルの虎は、ケイコの記憶を念写によって吸い出すとBF隊の機密情報入手に成功するが、出し抜いたと思ったBF隊にその行く手を阻まれる。
 ベンガルの虎の動きを読み、敢えてケイコの住むマンションの警戒を緩めていたBF隊……てっきり念写を開始した辺りで助けに飛び込むのかと思っていたら、このタイミングまで出てこないのは、結構な衝撃。
 まかり間違わなくても、用済みとなったケイコとその弟が始末されていた可能性はそれなりにあったのですが完全に生き餌扱いで、そう、連絡員やその家族の命など、幾らでも替えは効くのです。
 ……任務の為なら身内も子供も平気で囮に使うといえば、後の電撃戦隊が印象的でしたが、さすがギリギリ70年代の軍人系戦隊、いざとなれば関係者と三親等までの親族は全て捨て石です(前回の伝正夫とて早まったコサックに射殺されていた可能性もあり、それが、それこそが、BF隊)。
 空手アクションのサービスで、石橋雅史vs大葉健二が拳をぶつけ、5人がかりでなんとか優勢を取ったBF隊、5連発で顔面に蹴りを叩き込むのがえげつない(笑)
 形勢不利となったベンガルの虎は念力仮面へと変身し、5人もフィーバー!
 名乗りから斜めに並ぶと今回こそチーム名……は叫ばずにまたも謎のGメン歩きを決め、戦闘員と激突開始。念力仮面との一騎打ちに臨むコサックは強烈な念力の前に追い詰められるが、次々と仲間が助けに入ると、凄く雑な音楽の切り方でバトルフィーバージャンプ! からのペンタフォース!
 今回はコサックがセンターでミサイルが飛ぶと念力仮面は大爆発し、BF隊はセガワ参謀の仇討ちを果たすと共に、巨大兵器の秘密を守り抜くのであった。
 なお、EDのヘッダーは……石橋さんでした。
 次回――遂に激突する二つの超兵器?!