東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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五つの命が怒りに踊る

 ※以前の配信時に序盤と終盤だけ見ているのですが、改めて最初から見ていきたいと思います(このまま80年代戦隊の配信に突入してくれると大変嬉しい)。

『バトルフィーバーJ』感想・第1-2話

◆第1話「突撃!! 球場へ走れ」◆ (監督:竹本弘一 脚本:高久進
 OP映像、短いカットでメンバー各人の個性を見せる定番の手法から、最後に日本刀を振り回す着物のダンディが全て持っていくのが、恐ろしい仕様。
 凝った書き文字のサブタイトルから、国防省の関係者に近づく赤い傘の暗殺者……と如何にもスパイ物の仕立てで進み、この日本、国防省の人が滅茶苦茶、私は国防省の人間です! と主張する服装で街中を歩いているのが変な面白さ(笑)
 一方、街のレンタカー屋を訪れた背広の男が、突きつけられたレンタカーの請求書に記された特殊部隊の集合メッセージに目を留めると、「レンタル料つけといてくれ」と言い残して走り去り、小粋なジョークなのかどうかは、大変悩ましいところです。
 馬に乗った青年、パリ帰りの美容師、動物と意思疎通をする快男児……レンタカータダ乗り男に集められた4人のメンバーは下水道を通って海底(東京湾?)の秘密基地に集合し、
 「伝正夫」「白石謙作」「志田京介」「曙四郎」
 「緊急連絡を受け、参上しました」
 口髭の中年紳士より、相次ぐ国防省最高幹部の暗殺事件を探るように命じられた4人の男たち――バトルフィーバー隊は、容疑者と目される赤いこうもり傘の女を追うと、何故か後楽園球場のグラウンドに逃げ込んだ女に男4人で拳銃を向け、よってたかって取り押さえるのだが……
 「おかしいなぁ……こいつには毒針なんか仕込まれていない」
 「……それに、この女とは全然違う」
 傘は暗殺道具でもなんでもなく、女の顔は監視カメラの映像とは似ても似つかず、初回Aパートから、大やらかし案件。
 女の正体は、謎の組織エゴスを追ってアメリカからやってきたたFBIの秘密捜査官、ダイアン・マーチンであり、エゴスとは、現代の科学を越えた科学を崇拝し、世界各地の様々な事件の背後で糸を引く秘密結社であった。
 「今の世は邪悪な科学で毒され呪いに満ちている。我らエゴスは、この世の偽の科学を打ち砕き、新しい科学と、我らがエゴスの世界を作り上げるのだ」
 清く正しいオカルト結社であるエゴス、その尖兵である暗殺者をおびき出す為の囮作戦を行っていたダイアンだが餌に食いついたのはBF隊であり、後楽園球場に逃げ込んだのは上官に不測の事態を伝える為だったと理由付け……するにしても苦しいですし、第1話のサブタイトルにするような要素では全く無いのですが、制作中に急遽、プロモーションで後楽園球場&遊園地をねじ込むようにでも言われたのだろうかぐらいの勢い(笑)
 ダイアンの危急を知った上官は、BF隊の指揮官である倉間鉄山将軍に連絡を取り、「日本国内で勝手に囮捜査するとはけしからん」「ど、どうでしょう、ここは、ダイアンは実はバトルフィーバーの隊員だった、という事で手を打ちませんか……」といった高度に政治的な駆け引きの末、FBIからバトルフィーバー隊に無償トレードされる事になったダイアンに突きつけられる、日本刀飛びの儀式。
 「ダイアン、エゴスに勝つ為には死を恐れてはならぬ」
 誰一人疑問も示さず、むしろ各々格好つけて日本刀を跳び越えていった男たちの無言の圧力に、なんか変な組織に来てしまった……と口に出さないが顔には出るダイアンだが、上官は既にアメリカへ帰る宣言しており、覚悟を決めて刀――ここでは“死”の象徴――跳び越える事で通過儀礼を果たし、晴れてBF隊の一員として認められる事に。
 ところが、実の父親であったダイアン上司が空港で暗殺者の毒針に倒れ、基地を飛び出し、海に向かって叫ぶダイアン。感情表現の演出が70年代末にしてもちょっと古風に感じますが、それにしても、ダイアンさん美人。
 将軍は建造中の秘密兵器(巨大ロボ)を5人に見せると、完成した強化服バトルスーツを公開し、改めて任命される、バトルジャパン(伝)・バトルコサック(白石)・バトルケニア(曙)・バトルフランス(志田)・ミスアメリカ(ダイアン)、5名のバトルフィーバー隊。
 約40年後の感覚で見ると今作で一番狂っているのは、メンバーの一人の格好がレオタード風味な事ですが(確か、今をときめくマーベル提携作品だった筈なので、その関係でしょうか)、ミスアメリカが指を鳴らすシーンが、もはや“バブルを知る女”にしか見えず、私の脳の非公認汚染も深刻です。
 「君たちは、それぞれ踊りの名手だ。踊りのテクニックを戦いに活かし、秘密結社エゴスを倒すのだ」
 衝撃のメンバー選抜理由が明かされる一方、エゴスではシルエットのサタンエゴス様が、エゴスの敵・バトルフィーバーの誕生を感じ取り、既にスパイが入り込んでいます将軍!!
 エゴスは赤い傘の女を囮にBF隊を誘き出すと、バトルフィーバーvsエゴス、記念すべき初めての激突となり、フィーバーした5人はイメージのダンスシーンを交えながら主題歌バトルに突入し……空手の型は「踊り」なのか、フランスとフラメンコにフラ以外の繋がりはあるのか?!
 バトルフィーバーは共通装備のスティック(太鼓のバチぐらいの長さ)を個人の得意武器へと変形させてエゴス構成員を蹴散らすと、コウモリ怪人を前に空中で光を放つ、人文字のBとF。
 最大の狂気がミスアメリカの衣装なら、最大の衝撃はこのBFで、ヒーロー自ら体を張ってBとFを表現する姿は、見たものを絶対に無事では返さない気概を感じます。
 スクラムを組んだ5人が空中高く放り投げたフィーバースティックが、鉄パイプバズーカのような形状に組み立てられ、
 「「「「「ペンタフォース!!」」」」」
 の叫びと共にミサイルが撃ち出されると、巨大な仮面といったマスクのコウモリ怪人は特に何もしないまま消し飛び、『ゴレンジャー』→『ジャッカー』の流れが一度途切れている事もあってか、チームヒーローの集団戦をどう描くについては、模索の気配が強いデビュー戦。
 放映当時はまだ《スーパー戦隊》前夜なので様式美の確立前でありますし、確立後の印象を重ねてしまう為に余計にそう見えるところもあるでしょうが。
 「おのれバトルフィーバーめ! この仇はきっと取ってやるぞ!」
 エゴス本部では紫のローブに禿頭のヘッダー指揮官(石橋雅史!)が吠え、赤い傘をくるくる回しながらの登場や、ヘッダー指揮官の芝居と台詞回しなど、この時点では歌舞伎的な要素はエゴス側の方が強かったり(ヘッダーに関しては、演者変更による差し替え映像の筈なので、やや大袈裟になっている面はあるかもしれません)。
 ナレーション「かくして、我らがバトルフィーバーと、秘密結社・エゴスとの、戦いが開始された。平和に向かって突き進め、バトルフィーバー」
 ……EDの曲調と映像が驚くほど合っていなくてスクラム感0ですが、とにかく行け、バトルフィーバー!

◆第2話「エゴス怪人製造法」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三
 「おぉぉぉぉぉ! 御子よ!!」
 サタンエゴスより我が愛しの息子と称されるエゴスの戦士・キバジシ怪人が誕生し、黒タイツ&マントに、遺跡のレリーフのような仮面を付けたエゴス怪人が、本部詰めの幹部ポジションよりも結社内部の位階が上に置かれるのは、面白い組織構造。
 第1話に続き、画面に表示されたサブタイトルの字体が凄く面白楽しそうなのですが、この後、成績トップを嫉まれた中学生の少女が、同級生の願いを聞き入れたエゴス怪人によって暗殺されます。
 「……原因不明の事故が多すぎる」
 ナレーション「このところ、奇怪な事件が続発していた」
 に続いて、「毒ガス」「飛び降り自殺」「ガス心中」といった新聞の見出しが次々と映し出される中に「暖冬異変」明らかにジャンル違いが混ざっているのですが、ギャグなのか正気なのか全く判断がつかなくて困ります。
 「他の連中はどうした?」
 「……ハッ……フランスとダイアンは、恐らく……」
 「恐らくなんだ?」
 「ハッ、恐らく……」
 ディスコで踊り狂っていた。
 「ケニアは?」
 捨てられた犬猫の世話をしていた。
 「コサックは?」
 パチンコをしていた。
 BF隊は、長官の命令を平然と無視する、有能だが一筋縄ではいかない連中とその気苦労するまとめ役、とまずは描かれ、“軽妙さ”への意識が強めに感じられるパイロット版。
 その一方で、同級生の排除を願った少女が、成績トップに立てた事に満面の笑みを浮かべる描写が大変苦く、エゴスは、会員となった者の願望にかなった事故や事件を引き起こす事でその信奉者を増やし、日本国内に密かにその勢力を広げているのであった。
 ナレーション「エゴスとは、現在の文明が発達する以前に、地球で栄えた、原始科学の一団であった。現在なお、謎とされている、巨石文化の数々も、エゴスの原始科学を用いて築かれたものだと、彼等は主張する。念じれば、夢がかなう。そんな甘い誘いで、エゴスは次々と会員を増やしていた」
 有史以前に現代より進んだ文明が存在していたと主張し、現世利益を説いて支持者を獲得する、割とリアリティ高めなエゴスの背景設定が語られ、母親から子供に向けての、
 「洗脳してもらえば、勉強好きの子になるわ」
 が、戦慄の切れ味。
 被害者の死によって利益を得る人間を再調査する中で、背後の未来道場に気付いたBFは、怪しげなフランスかぶれの男として京介が道場に潜入するも捕まり、突入した伝らが地下へと続く隠し階段を発見。
 「フィーバーだ」
 「「おう」」
 フィーバー! の声とともにくるっと一回転するとバトルスーツを身に纏った姿に変わり、必要な変身コールそのものなのか、「変身」を示す隠語なのかは、今のところ不明。
 EDテーマに乗ってカチコミを仕掛けたBFは、別働隊のミスアメリカが京介らを救出しすると洗脳施設をフィーバー爆破し、OPテーマと共に高い所で個人名乗りを決めると、こだわりの不揃いジャンプから、Vの字に並んで、「フィーバー!」。
 戦闘員をアクロバットアクションで蹴散らし、キバジシ怪人のレーザー攻撃をかわしたBFは空中へと舞い上がり、空に輝くBとF。
 「「「「「バトル・フィーバー・J!!」」」」」
 なお第二話現在、「J」がどこから飛び出してきたのかは全くの不明であると共に、個別名乗りから続くチーム名ではなく、あくまで必殺攻撃の前振りなので……つまり、「ジャンプ」のJ?
 人文字を作る事により高まった鋼鉄のスクラム、フィーバーエネルギーを充填したBFにより、ミスアメリカ中心としたVの字フォーメーションから放たれたペンタフォースがキバジシ怪人を消し飛ばすと、見合い道場作戦の女指揮官はサタンエゴスの裁決により死刑とされ、サタンエゴス光線で消滅。
 「サタンエゴス様、バトルフィーバーは、予想以上に、強力です」
 「案じるな。我に超兵器あり。ふふ……今に見ておれ」
 御簾の奥でサタンエゴス様が不気味に嗤う一方、BF隊は捨て犬と戯れて和やか大団円の雰囲気を出すのですが、成績トップ欲しさに友人を呪い殺したに等しい少女は一生引きずるレベルのトラウマ案件なのではこれ……? で、つづく。