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仮面ライダーX』感想・第9話

◆第9話「Xライダー必殺大特訓」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝
 ナレーション「巨大な悪の組織ゴッドに、父と共に殺された神敬介は、瀕死の父の手によって、仮面ライダーXとして甦った。その使命は、世界の平和と正義を守る為、敢然と、謎のゴッド機関を相手に戦うのである」
 霧子&涼子の退場に伴ってOPナレーションが更新され、冒頭から、村、爆発。
 「貴様たちは、ゴッドの人体実験を受けろ」
 吊り橋に追い詰められた村人たちは、ヨロイ姿の駆け足怪人・マッハアキレスによりドリームビールスを打ち込まれるとゴッドの為に働く人間ロボットにされてしまい、唯一、一人の少女だけが村からの脱出に成功する。
 「ふっふっふははははは……」
 逃げた少女を探す工作員の前に、純白の背広に身を包み、黒い手袋と黒いネクタイを身につけた、ただ者ではないファッションの男が姿を見せ、演じるのは前作『V3』第51話で、やたらいい声の登山者リーダー役だった打田康比古さん。
 ファッションは組み合わせでありますが、あ、手袋一つでここまで狂気を上乗せできるのか、と高笑いと共に衝撃の初登場。
 「探しても無駄な事だ」
 マッハアキレスをチョップ一発で崖から落とし、最小限の動きで工作員を叩きのめしていく芸術点10.00の“出来る男”ムーヴを決めた謎の男が、アキレスの短気を嘲笑いながらバイクで走り去っていた頃、敬介は藤兵衛に付き合ってオフロードバイクをかっ飛ばしていた。
 (俺の夢は、この手でグランプリレーサーを育てる事だ。本郷猛、一文字隼人、風見志郎……三人ともレースに出れば間違いなく優勝できた。だが、正義と平和を守る為に世界中に散っていった。そしてまた神敬介だ。鍛えれば本郷たち以上になる。しかし、神敬介も、悪と戦う使命がある)
 ……改造人間は、レギュレーション違反なのでは??
 まあルールの穴は突けそうですが、ここでは「改造人間の悲哀」が「悪と戦う使命」に言い換えられているともいえ、見ている側も忘れそうになる藤兵衛の基本設定を確認しつつ、先輩たちの現状も説明。
 走行中、コースにふらふらと入り込んできた逃走少女を助ける敬介と藤兵衛だが、村からの脱出の際に崖から投げ落とされた少女は諸々のショックから自失状態に陥っており、そうとは知らずに口封じを狙うゴッドの狙撃手、そしてローラースケート工作員が敬介へと襲いかかる!
 前後左右を囲まれ、一方を突けば背後からの攻撃を受ける、ゴッド必殺・地獄車輪陣の術中にはまる敬介だが、セットアップからの上空ジャンプで辛うじて脱出。藤兵衛らの窮地に駆けつけるとマッハアキレスと激突するが、それを見つめる謎の白黒男が引き起こした爆発により戦いが水入りとなって3人が逃走すると、アキレスの前に現れたのは、前回顔見せ登場した日輪シールドの紅い仮面――アポロガイスト
 「自分の任務を忘れるな、アキレス。おまえの第一目的はなんだ!」
 アポロガイストは、「朝令暮改・一石二鳥・臨機応変・一挙両得」を社是とするゴッドの悪い体質に激しいツッコミを入れ、それは、総司令に膝詰めで説教してあげてください!
 ……まあ考えてみるとゴッド総司令、今もって全く実態の掴めない声だけの存在なので、経理と営業と開発がそれぞれ好き勝手に現場に指示を出している可能性は否定できず、ゴッド機関の闇は深い。
 そんなゴッド機関の膿を出すべく、新たに雇用された悪の経営コンサルタントアポロガイストが社内体質の改善に乗り出した事など知るよしもなく、記憶喪失の少女の身元情報を呼びかける藤兵衛と敬介は、アキレスが藤兵衛に向けて打ち込むもXライダーによって防がれた毒針に、少女が激しい反応を見せる事に気付く。
 これ幸いとショック療法に飛びつき「もっと近づけろ」と言い出す藤兵衛を、「気が鎮まるまで少し待ちましょう」と敬介が止めてホッとしたのも束の間、少女の父親を名乗る中年の男性が店を訪れると、男の言い分を怪しんだ敬介はその後をちゃっかりと追い、アトラスの正体見たり。
 「少々危険だったが、ミキちゃんの記憶は回復した。お前のお陰でな」
 ……藤兵衛と、五十歩百歩だった。
 世界の平和と正義を守る為、人の心が二の次になりがちな70年代、少女を助けてアキレスとの戦いに挑むXだが、ショットガンを連射しながら現れたアポロガイストに少女の身柄を奪われてしまうと、空中回転からのXキックを華麗に外し、逆にアキレス高速回転スローを受けて、水中へと叩き込まれてしまう。
 「ドリームビールス作戦はあと3日後。Xライダーめ、それまでには回復できまい」
 前話に続き、通算4度めの完敗(←重要)を喫した敬介は、傷だらけの体で辛うじて喫茶店へと辿り着き……
 「なにがXライダーだ。俺は自分自身が恥ずかしい」
 「そうか……生まれて初めての敗北感を味わったのか」
 あ、あれ?!
 「どうしたらいいんだ…………オヤジさん、教えてくれ。こんな時、俺の先輩である仮面ライダー、3人の仮面ライダーは一体どうしたんだ」
 …………脚本流用回の第3話(2回敗北)はまだしも、前回、地球投げでぺしゃんこにされた顛末(藤兵衛が居なければ恐らく全滅だった)に敗北を感じていないのはさすがに不自然すぎて、もしかすると、霧子と涼子に関する記憶が不要なファイルとして全てクリーンアップされてしまったのかもしれません。
 「……彼等は立派な正義の戦士だ。敗れても敗れても、歯を食いしばって自分自身の手で立ち上がったぞ」
 「立ち上がった?」
 「敬介! 仮面ライダーは敗れても敗れても、立ち上がった!」
 すがりつくような敬介の手を振り払った藤兵衛は、先輩の姿を語り聞かせて叱咤激励し、これまで控えめだった前2作との接続が急速に進む明らかな路線変更から、藤兵衛登場の第5話で描かれた“仮面ライダーの襲名”と“魂の継承”を改めて強調。
 「……俺だって……俺だって仮面ライダーXだ。名誉ある先輩の「仮面ライダー」を名乗っていながら、少しでも弱音を吐いた自分が恥ずかしい。俺はやる。やるともオヤジさん!」
 「そうだ。ライダー1号も2号もV3も、この俺を踏み台にして幾度もピンチを切り抜けた。ダブルパンチも空中キックも、死にものぐるいのトレーニングから生まれた、必殺技。敬介、Xライダーも今、必殺の大特訓をやる時が来たんだ」
 そして、求められるイニシエーションは当然……特訓だ!
 藤兵衛がどこかから調達してきた機関銃で、高い所から飛び降りるXにペイント弾を浴びせる目的不明の特訓が始まり……せめて視聴者には、事前に特訓の目的を説明してほしいのですが(笑)
 さらわれた少女の安否が不明な中で悠長に特訓をやっている場合なのか感・これまでの敗北のメモリが消去されている疑惑・どちらかといえば小者に描かれていたアトラスに必殺キックをかわされて特訓に持ち込む展開の説得力不足……と流れの荒っぽさが目立つのですが、伊上先生としても、本来なら長坂さんがメインを張る筈が降板騒動に巻き込まれた部分はあったのかと思われ、あからさまに『V3』のパターンをスライドしている作りに苦しさが窺えますが、果たしてこの謎の特訓から、如何なる技が編み出されるのか?! で、つづく。