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さくさく『イナズマン』

イナズマン』感想・第23話

◆第23話「呪いのえのぐが人を溶かす」◆ (監督:山田稔 脚本:平山公夫)
 スライム状の奇怪な絵の具の塊が門の隙間からとある邸宅に侵入し、家の主人を殺害する怪奇展開でスタート。
 更に、とある絵画展ではキャンパスの絵が次々と溶けていくと、そこにも絵の具スライムが出現して大量の毒ガスを噴出し……
 (妙な事件だ……絵の飾ってあるところで、次々と絵の具まみれになって人が死んでいく。……もしかしたら、新人類。……奴らの仕業か? いったいなんの為に)
 警戒を強める五郎だったが、公園で写生していた子供たちまで無残に犠牲になり、掴みの怪奇 → 大量殺人、と来て、新人類帝国の恐るべき計画や如何に?! が……「久々のミュータント集め」でした、と子供一人の誘拐にスケールダウンを果たすちょっと絶望的な内容。
 いつもの新人類帝国といえばいつもの新人類帝国なのですが、事態がエスカレートするどころか凄い勢いで規模が縮小していき、物語の冒頭に一番大きくて綺麗な花火を打ち上げたのはいいけれど、その後は手元に全く火薬が残っていない目を疑う構成に、こちらの心も無に近づいていきます。
 無差別殺人を繰り返す絵の具スライムの正体にして、何故かOPのクレジットがひらがな表記のえのぐバンバラは、特殊能力が通用しないマサル少年に目を付けてさらおうとすると、邪魔に入ったイナズマンを絵の具の沼に沈めようと領域展開。
 「どうだイナズマン、絵の具の恐怖を知るがいい」
 「貴様! 新人類の化け物か!」
 「絵の魂を食らって生きる、絵の具バンバラだ!」
 元よりその傾向はあったにしても、もはや改造超能力戦士を通り越して、妖魔怪異の類を自称し始めているのですが、新人類帝国はどうなってしまっているのか。
 絵の具バンバラは、少年を抱えるイナズマンを責め立て、少年がうなされる悪夢や、イナズマンが絵の具の沼でもがくシーンがひたすら続き、とにかく、尺が余っているのは伝わってきます。
 いつもの返し技でさくっと脱出後、少年が病床の母親の為に絵を描いていると母子愛のドラマが挟まれ、その母親を人質に少年をスカウトしようとする絵の具バンバラだが、またも渡五郎の妨害にあって失敗すると、再び領域展開。
 「渡五郎、サナギマンに変転する前に溶けてしまえ~」
 直後、普通に剛力招来(笑)
 「バンバラ~! どうだサナギマン、動けまい。貴様がそうしている間に、マサルは我々がもらってゆく」
 直後、即座に方針変更(笑)
 毎度ながら役に立たないボディーガードである同志諸君が敗北後、マグマよりちょっぴり熱かったぜ! と変転したイナズマンが少年を助け出し、必殺のチューブミサイルを雷神号にはじき返され、巨大な絵の具のチューブを抱きしめながら木っ葉微塵に吹き飛ぶ絵の具バンバラの死に様はちょっと面白かったのですが……
 ・ピークを先頭に持ってきてしまい、ダラダラと坂を下っていくだけの単調で尻すぼみな構成
 ・露骨に尺稼ぎめいた映像の繰り返し
 と基本的な部分での出来が悪すぎました。
 トドメに、道中ドラマの盛り込まれた母親の存在が一切顧みられる事なく、帝国兵にさらわれる際に目を怪我した少年が、顔に包帯グルグル巻きで現れて「君の目は絶対治る!」とイナズマンに励まされる意味不明の地点に着地し、70年代前半基準としても、あんまりな一本。
 次回――新人類帝国崩壊の危機?!