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星炎(かがや)け、エンゲージ

ファイアーエムブレム エンゲージ』始めました

 神竜が座す聖地リトスと、それを取り囲むように存在する4つの王国からなる世界――エレオス大陸において、寝ている間に、人のベッドの上に薔薇を撒き散らしたの誰だよ?! で始まる、シリーズ最新作。
 かつて出現した邪竜との戦いの後、千年ぶりに目覚めた神竜である主人公は、異界の英雄たち――《召喚士》(エムブレム)――の力を秘めた12の指輪を集め、復活した邪竜と戦うべく、仲間たちと共に世界を巡る旅に出る……なお、4つの王国はそれぞれ、「豊穣」のフィレネ・「武力」のブロディア・「自由」のソルム・「叡知」のイルシオン、と二つ名がつけられているのですが、そこは、「武勇」とかで良かったのでは? と神竜様は思いました!
 シリーズ前作『風花雪月』は、“血の同窓会”を合い言葉に、庭を歩けばトラウマにぶつかり、復讐と殺戮が肩を組んで踊り、差別と憎悪が人の心を焼く世界で、かつての同窓生が敵味方に分かれて戦場でまみえる血と青春の士官学校物語ビフォーアフターを圧倒的なボリュームと作り込みで送り出してきましたが、今回は、「復活した勇者! 甦る魔王! 集めろ秘宝!」と明解なストーリーラインを軸にして、青年勇者の冒険譚の型に則ったRPG寄りの作り。
 現在、第5章をクリアしたところなので、この先で変わってくる部分もあるかもですが、シリーズ従来作の印象が〔ストーリーイベント:2/戦闘マップ:8〕ぐらいで進行するとしたら、今のところ今作は〔イベント:7/マップ:3〕ぐらいの感触で、マップとマップの合間にイベントが挟まるというよりも、イベントとイベントの間にマップがあるようなバランス。
 シリーズ過去作でいうと、ストーリー性を強める方向性だった『ECHOES』(『外伝』リメイク)の思想的発展系、といった雰囲気。
 後、シリーズ過去作のキャラクターと合身するのが『幻影異聞録』を思わせて、煌びやかなキャラクターデザインと合わせて個人的な“RPG寄り”のイメージを強めているところはあるかもしれません。
 ストーリー面でもシステム面でも今作最大の特徴となるのが、シリーズ過去作の主人公が、指輪に宿った異界の英雄《召喚士》として登場し、味方キャラクターと共に戦う事。
 原典のキャラクター像をベースにしつつ当人そのものではなく、切り離された力が人格を持ったエネルギー体と化しているみたいな具合の《召喚士》は、概ね指輪の守護霊のような存在で、戦闘中のビジュアルは完全にスタンド。
 指輪に宿る事に慣れすぎて時々ちょっと台詞が怖いのですが、それぞれの英雄に応じて、能力値ブースト・パッシブスキルの発動・3ターン限定だが追加スキルと必殺の大技を使用可能になるエンゲージ、といった性能を持っており、タイトルにも冠された《エンゲージ》による大技をどのタイミングで使うのか、がシリーズ従来にはない新しい戦略性となっています。
 この指輪を、自軍ユニットの誰にでも装備させる事が出来る、のが一つのキモで、贔屓のキャラを優先して育てたり、攻略の利便性に合わせたりを行えつつ、それぞれエンゲージ時の台詞やビジュアルが用意されているのが、嬉しいところ。
 ちなみにエンゲージすると大体、ひらひらがついたり周囲に何か浮かんだり当人が普通に空を飛んでいたり、ラスボス……とまでは言わないものの、四天王の一角、ぐらいの見た目になります。
 ざっくりいって「変身」&「必殺技」である《エンゲージ》を最大の特徴として、他にも幾つか新たな要素が戦術面で加わっており、その一つが、〔剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い〕3すくみはそのままに、有利な相性の武器で攻撃する事で敵の反撃を封じる「ブレイク」。
 これによって恐らく、複数武器を使える事の有用性や、キャラクター(職種)の使い分けの重要性が増す事になるのかな、と。
 また、そのブレイクを無効にする「重装」、地形の防御効果を無視する「魔道」、味方の攻撃に参加する「連携」といった、職種の戦闘スタイルに合わせた特殊能力が設定されており、特に歩兵職の色分けが強くなった印象。
 この後、クラスチェンジなどをするようになってからどうかはわかりませんが、とにかく騎乗一辺倒になりがちだった近作の強化スタイルに楔を打ち込む作りになっていれば面白いな、と期待するところです。
 出来る事が一通り出そろうまでそれなりに時間がかかる、のもRPG寄りのゲームデザインに感じますが、恒例の支援会話に指輪の英雄との絆レベルといったキャラクターの育成要素は充実しており、完成度の高いシステムをベースに、新しく取りこんだ試みも悪く無さそうな気配。
 現時点で気になるところがあるとすれば、主人公の前髪をハサミでちょきんと切りたくなる……のはさておき、ストーリー重視の作りなのに、イベントシーンの作りが荒い点で、割と典型的な失点なのですが、例えば「妨害を蹴散らして目的の部屋に飛び込むと謎の敵が居て対峙する」といったシーンがあった場合、
 A:妨害を蹴散して目的の部屋に飛び込む
 B:そこで謎の敵を目にする
 C:謎の敵と対峙して言葉を交わす
 のBの描写が抜けて〔A→C〕と演出している場面が幾つかあり、突入からカット切り替わるといきなり敵と話している、みたいな形で流れのぶった切られた場面転換になってしまっていて、総じて場面転換が急、ないし場面と場面を繋ぐ描写が抜け落ちており、シリーズとしてあまり蓄積の無い部分とはいっても、2023年のゲームとしては、3Dモデルによるイベント演出の拙さが目につくのは残念。
 また、臨場感と違和感はどうしても紙一重でありますが、移動中を示すイベントシーンで会話をかわすキャラだけしか画面に居ないとか、君らずっと徒歩なの?!とか、それなりの大所帯で行動している設定なのに、省略しすぎてその雰囲気が出せていないのも、物足りないところ。
 ゲームの場合、話が進めば演出のレベルが上がる、という事は無いと思いますが……開発途中でこなれてきて、後から作ったイベントシーンはぐっと演出が良くなっていたりすると嬉しいですが(笑)
 良い点を一つ挙げておくと、遠景ビジュアルと会話シーンの背景を兼ねる関係でか、背景映像が凄く綺麗。後、戦場として使われていたマップが、そのまま戦闘終了後の散策シーンで表現されているのは、なかなか面白いと思いました。
 もう少しキャラクター数が増えてからが色々と本番になってくるかと思いますが、しばらくの間、ブログの更新頻度が鈍ったら、エレオス大陸で指輪を探しているのだと思って下さい(笑)