東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

2022年を振り返る:ゲーム編

2022年を振り返る:ゲーム編

 今年はどうも、「ゲームの感想を書くスイッチ」が入らなくて、あまり出力できていなかったのですが、それなりにやってはいたので、主にプレイしたゲームを軽く雑感を交えつつ(概ねプレイ順)。

◆『真・女神転生5』
 『4』からおよそ8年半ぶりとなる、本家ナンバリングタイトル。
 「主人公のLVを上げる事でより強力な仲魔を召喚できるようになる」というシリーズのコア部分を追求・洗練し、テンポよく上がっていくLVと、強化システム周りの出来の良さ&歴代屈指の高性能な合体検索により、〔フィールド探索(戦闘) → レベルアップ → パーティー強化〕のサイクルが非常に快適で、とにかく“パーティーを強化していくのが楽しい”ゲーム。
 その一方でストーリー面では不足が目立ち、シナリオ完成度8割ぐらいで時間切れして世に出してしまったような内容なのですが、今作に関していえば、無理にマルチエンドにこだわらずに、一本道でも良かったのではないかな……とさえ思います。
 『真・女神転生』といえば、ロウ・カオス・ニュートラル! というのは、シリーズの看板ではあるのですが、『4』辺りから顕著な、その約束事を踏まえた展開自体がシリーズのセルフパロディめいてきてしまう……部分を突破する事が出来ず、秘伝のタレを薄めて伸ばしてお茶を濁した、みたいな味わいになってしまったのは、残念でした。

◆『Slay the Spire』
 攻撃や防御などの効果を持つ様々なカードでデッキを組みながら、プレイの度に変化する塔を登っていくローグライクRPG。「ローグライク」というジャンルの面白さがいまいちピンと来ていなかったのですが、成る程こういうものか、と思わせてくれる面白さでした。

◆『FRAMED Collection』
 お洒落パズルゲー。お洒落。Switchのセールで頻繁に220円ぐらいになっているので、軽く楽しめるゲームとしてはお薦め。

◆『SCARLET NEXUS
 地球を取り巻く“断絶の帯”から現れて地上に降り立ち、人間を狙う怪異と戦う、超脳力アクションRPG。
 物語はミッション仕立てで進行していくのでアクション要素が強く、グロテスクな怪物を相手に、念力や発火、瞬間移動などの能力を駆使して戦う、スピード感と爽快感のあるアクションの出来が非常に秀逸でした。
 ストーリーの方は、1クールのアニメに、人外の敵と戦うSF異能力バトルアクションとして思いつく限りの定番アイデアを全て詰め込んだ、といった感じで、良くも悪くも「定食によるフルコース」。
 どこかで見知ったような出来事が続くので新味は薄いものの、矢継ぎ早の進行で全体のテンポは良く、アクションの面白さは活きる作品でした。

◆『ファイアーエムブレム無双-風花雪月-』
 《FE》×《無双》第2弾で、『風花雪月』をベースに、“新たな主人公”による“新たな物語”を描いた、パラレル的作品。
 無双アクションとしては、仲間に細かい指示を出しながら戦えるので、いつの間にか明後日の方向に突き進んでいるとか、勝手に突撃して死にかけているとか、そういったストレスが無かったのが良いところ。
 原典の大きな売りだった豊富な支援会話によるキャラの掘り下げは、さすがに原典ほどではないものの継承されており、親密なキャラ同士による細かい掛け合いの変化なども、気が利いたところ。
 原典のDLCだった灰色の学級のキャラクターが登場して絡めたのはサービスとして嬉しかったところです。
 ストーリー面では、原作において語りきれなかった部分が幾つか丁寧に掘り下げられており、フォドラ世界の物語のサブテキスト、といった感。
 一方で、あくまでスピンオフという位置づけであって原典への配慮や遠慮のようなものも見られ、特に、《FE》名物ともいえる個々のキャラクターのその後が語られるエンディングが無かったのは、大変残念だったところ。
 ペアエンドなども考慮して本格的に作ろうと思うと大変なのもわかりますが……それが無い為に、折角の支援会話でのキャラ掘り下げも宙ぶらりんになってしまい、別の主人公・別の物語までやったのだから、エンディングもやってしまって良かったのではないかなと。
 それは原典への配慮として是とする向きもあるでしょうが、その為にどこまでいっても“異聞”となってしまったのは、一つのゲームを終えた時の満足感を減じてしまったとは思えます。
 ところで、黄組でやっていると公式がやたらにヒルダ×マリアンヌ推しで首をひねっていたのですが、プレイ途中に、これはいわゆる、陽キャ×陰キャ(そして百合)、という流行りのど真ん中なのか、と気付いてしまいましたとさ。

◆『龍が如く7-光と闇の行方-』
 尊敬する組長の為、若頭の身代わりとして警察に出頭、18年の刑期を終えて出所した下っ端極道・春日一番を待っていたのは、すっかり勢力図の様変わりしたヤクザの世界で、組織を裏切り大きな権力を手に入れたかつての親だった……のド王道で始まる、ヤクザファンタジーRPG。
 色々あって、全面核戦争後の世界なみに治安の悪い横浜異人町に流れ着くと、天下晴れてフリーターとなった主人公が、ハローワークでホストやストリートミュージシャンジョブチェンジして戦う色物感とは裏腹に、凝ったシナリオがよく出来ていて、いやこれが面白かった!
 特に、やたら大仰でそれ自体がファンタジーRPGのパロディめいたサブタイトルが、物語の中でしっかり回収されるのは、お見事。
 ところどころ、トンデモ理論で吹っ飛ばしていく箇所もあるのですが、最後の最後まで目配りの利いたストーリーの構造が、非常によく出来ていました。
 私は基本、「対比」がしっかり書けている物語が好きなのだな、と気付いてみたり。
 ゲームとしては物量で殴ってくるスタイルで、とにかくやれる事が多く、定番のサイドクエストに、工場への投資、会社経営、公道カートレース、各種ミニゲーム……それら多彩な“遊び”の数々をやればやるほど主人公パーティの強化に繋がる一方、大半のサブ要素がやりたくなければ別にやらなくてもいい、という作りなのが、思い切りの良さ。
 かなりウェイトの大きい「会社経営」もあくまで脇道の扱いなので、そのクエストを進めると仲間になるキャラ(割と強い)は、ストーリーイベントだと存在が消えて無くなりますし(笑)
 シリーズらしさなのか、序盤はちょっと下ネタ寄りのクエストが目立って若干引き気味になったりもありましたが、中盤以降は、正攻法の人情物クエストが主人公のキャラクター性とうまくはまり、元下っ端ヤクザなので良くも悪くも重みの無い主人公の為、コメディからシリアスまで何をやっても飲み込みやすい、というのはプレイしやすいところでした。
 特撮ファンとしては、主人公の敬愛する組長役が中井貴一なのですが、その中井貴一の演じる役が凄く宮内洋っぽくて、中井貴一が演じる宮内洋、みたいになっていたのがちょっと面白かったです(笑) 多分、帽子のせい。

◆『イースIX -Monstrum NOX-』
 巨大監獄にとっ捕まった“赤毛冒険者アドル・クリスティンが陰謀と呪いに巻き込まれ、異能に目覚めた仲間たちと戦うアクションRPG。
 バトルや探索などの基本システムは非常に出来の良かった前作『8』を踏襲して安定感があり、物語の核心に迫る謎とシステムを上手く融合しながら全体をシティアドベンチャーにまとめたゲームデザインは秀逸。
 一方、前作『8』においては、無人島に漂着して一蓮托生の生存者たちが脱出を目指して共に戦う事の必然性がスムーズだったのと比べると、同じシステム継承しようとするあまりに、プレイアブルキャラ以外の仲間を含めて戦うイベント戦の取り込みには無理が出てしまい、そこはストーリー上の引っかかりになってしまった部分。
 秘密の怪人活動の割には、ほいほい協力者を作りすぎなのでは……? という。
 終盤になると物語の進行と共に“仲間”の説得力が増して徐々にその問題は解消されてはいき、やれるアクションが増えれば増えるほど街中を走り回るのも楽しくなってくるので、尻上がりに面白くなってくるゲームでした。
 パーティキャラそれぞれの持つ特殊能力を、仲間になった時点で共有できるようにした事で、特殊移動をする為にいちいちキャラを変更しなくてはならない、というような煩雑さを排除したのは、英断であったと思います。
 後、石川界人は意外と、チンピラバトルジャンキー役も似合うなというのが発見。
 バトルシステムの大幅変更がアナウンスされているのがやや不安ですが、発表された『10』も楽しみ。

◆『Sniper Elite 4』
 第二次大戦中、ナチスドイツの秘密作戦を阻止する為に凄腕の狙撃手として戦うTPS。
 一度やってみたかった、ステルスアクション要素ありのスナイパーTPSで、一枚マップによるミッションをクリアしていく形式なのですが、何が素晴らしいってゲーム開始時のマップ読み込み以降はミッション中のローディングは無く、しかもセーブ・ロードがやたらめったら早い事。
 頻繁に死んで頻繁に再開するゲームなのですが、オートセーブも小まめにやってくれる上に再開が早いので、死んで再開、におけるストレスが皆無に近いのが、とにかく素晴らしかったです。
 難を言うと、主人公の登坂能力が割と低い事で(まあ、時と場合によっては背中に対戦車砲背負っていたりもするのですが)、このぐらいの崖は登れるだろう、という段差が基本的には登れない事。
 オープンワールド系のアクションRPGほど移動に自由度が無いのは、そういったゲームをやり慣れると物足りない部分でしたが、その分、ぐるぐる回って最適な狙撃ポジションを発見した時の嬉しさはあり、300メートル離れた位置から一方的なスナイパーの殺戮を楽しめます。
 また、スナイパーライフル以外の攻撃手段が用意されているのも面白いところで、アサルトライフルにピストル、ナイフによる近接格闘など、敵を排除する手段が豊富。潜入破壊工作のプロフェッショナルである主人公はトラップの扱いにも精通しており、複数の爆弾を駆使して不利な状況を覆していくのがまた、非常に楽しかったです。
 基本、都合良く高所を取れない事が多いので、ブービートラップで敵兵をはめていく作業が有用なのが、大変私好みでありました。……あまり調子に乗って仕掛けていると、予想外の距離で連鎖誘爆が起きて、自分の仕掛けた地雷で自分が吹っ飛んだりもしますが。
 難度ノーマル(的なやつ)だと、敵3人ぐらいに囲まれるとさっくり死ぬ一方で、完全に囲まれる前に茂みから飛び出して、サブマシンガン振り回して絶叫しながら(気分)猛ダッシュで逃げると案外逃げ切れるぐらいの難度だったのも、丁度良い案配で楽しかったです。

◆『ソウルハッカーズ2』
 発売前に公開されたOPムービーのセンスの悪さに様子見モードに入っていたところ、先月ぐらいに「パッチでダッシュや戦闘の高速化など実装」の記事を目にして、「え? むしろ、今までダッシュ無かったの……?!」と思っていたら、丁度そのタイミングで新品が安売りされているのを目撃してしまい、つい購入。
 というわけで、ダッシュ・戦闘高速化以外にも、ゲームバランスの各種調整が入ったバージョンでの感想となりまずが……これ、ダッシュと戦闘高速化が無い状況で触っていたら、恐らくぶん投げていたと思います(笑)
 とにかく戦闘のテンポが異常に悪く、普通にプレイしていると、苦痛を感じてくるレベル。
 戦闘中に状況や行動に応じてキャラクターが喋りまくるのはなかなか楽しいのですが、それに合わせた為なのか、個々の動作がいちいち遅く、そのくせスキルの映像自体は別に面白くもなんともないので、発売後3ヶ月近く経ってから戦闘の高速化が実装されるのは、正直酷い。
 ダッシュに関しては実装の結果、エネミーシンボルに影響するスキルがほぼ無用の長物と化してゲームデザインの根本が変わっており、恐らく元々は、移動用のスキルを駆使しながら切り抜けていくのを楽しんでほしい、みたいな発想だったのかとは思うのですが、後半のダンジョンに行くほど、無闇に歩行距離が長くなる為、これまた無いとやっていられないレベル。
 全体的に、なんとなーく感じていた嫌な予感がどんぴしゃだったというか、スタッフの志が先行しすぎて、客観的視点が欠け落ちているタイプの作り。
 今あえて、25年前のタイトルに『2』と付けて発売する時点でプレイヤーも織り込み済みというつもりだったのかもしれませんが、90年代RPGの“不便”な部分を現代にそのままスライドしても、“ゲームとしての面白さ”になるとは限らないわけで、2022年になって、カジュアル寄りのRPGでワープゾーンだらけのダンジョンをやらされるとは思いませんでしたし、無駄な階段の上り下りの繰り返しとか、終盤のダンジョンのデザインに関しては正直、最低、の一言。
 パーティメンバーと交流を深める事で、それぞれの魂に関わるダンジョンが広がり、そこを探索する事でスキル獲得による強化とキャラの掘り下げに繋がる、といった辺りは面白く、バージョンアップ後はそこまで悪くはないゲームになっているだけに、“シビアな面白さ”と“ただ面倒くさい”を取り違えたダンジョンのデザインは残念でした。
 また、電脳生命体である主人公〔無〕・国防組織のエージェント〔白〕・悪の秘密結社の暗殺者〔黒〕・両組織の間をのらりくらりと漂うフリーランス〔灰〕、という価値観の違う4人が諸事情で組む混成パーティを「世界の縮図」と見立てるのは意識的なものではありましょうが、結果的に、今作の表現する「世界」そのものがあまり広がらず、世界の終わりに立ち向かい、なんだかんだ70時間以上プレイした割には、物語に壮大さを感じられずに狭いサークルの中で終わるこぢんまりとした印象になってしまいました(下手すると作り手サイドは意図的に、壮大なサーガの中の「局地戦」と位置づけている可能性もありそうなのがまた、漂う独りよがり感)。
 これには、世界観を支える重要なキーである「サマナー」についても、スタッフの中だけで出来上がりすぎていて、そういった背景をプレイヤーに向けて上手く出力できなかった為もあるでしょうが(洋ゲーにままある断片的テキストほど割り切っているわけでもなく)、総じて、作り手サイドの自己陶酔が後半に行くほど目立ってしまい、印象が悪いまま終わってしまった一作。

 思ったより長くなってしまいましたが……最後に今年のベスト1は、今更ながらのプレイで圧倒された、
 『GHOST OF TSUSHIMA』。
 映画みたいなゲーム、ではなく、映画的手法を駆使する事により時空を超えた主人公の行動原理にプレイヤーを接近させ、絶望的な戦いの末に、泥をすすりながら如何にして刀を握り直すのか、を劇中の主人公とそれを操るプレイヤーに刻み込んでくる導入が、まず圧巻。
 病的なまでに「美」に執着した映像を背景に、勝利の為の闇討ちか、武士の矜持を貫いてのカチコミか、ゲームシステムと主人公の葛藤の接続も非常に上手く、物語・キャラクター・システム、のパッケージングが極めて優れた、傑作でした。

 来年はまず、『ファイアーエムブレムエンゲージ』が楽しみです。冷静に考えると、合う合わないは結構出るシリーズなのですが、楽しめる事を期待したい。