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つながるえん

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』感想・第26話

◆ドン26話「フィナーレいさみあし」◆ (監督:茶谷和行 脚本:八手三郎
 「さて、『リバイス』も終わった事だし、そろそろ終わりにしようか」
 いきなり『リバイス』最終回の映像から、マスターのぶっ飛んだメタ発言に始まり、『リバイス』見ていないと物凄い置き去り感。
 ニチアサファンサービスといえばサービスですが、毎週セットで楽しみにしている人でも皆が皆、リアルタイムで『リバイス』→『ドンブラ』と見ているとは限らないであろう事を考えると、構成があまりに勇み足にすぎたのでは。
 「終わり?」
 「え? 何をですか?」
 「ドンブラザーズだよ」
 「「「はぁ?!」」」
 どうやら、ちょっと飽きてきたらしいマスターはドンブラザーズ終了を宣言し、そもそも戦いの終わりとは何か? “敵”を全て倒す事は可能なのか? 此の世に人が存在する限りその欲望が尽きる事は無いのではないか? 探し求める光明寺博士はどこか? 幸せを掴むのはいつの日か? ドンブラザーズは征く、果てしない戦いの道を。
 やにわに真理に触れたマスターは、戦いに終わりが無いのならばそこには自発的な区切りを付ける事が必要なのであり、ならば今この瞬間がその区切りであっても何もおかしくはない、と詭弁を弄し……やはり、管理に飽きてきたのでは。
 「決まりだ。今日でドンブラザーズは、最終回だ」
 淡々とした物言いで鬼猿雉を丸め込んだマスターは、最終回記念にMVPを決めようと宣言し、途端に色めき出す3人。
 「受賞者には、素敵な商品をプレゼントしよう」
 画面が六分割されてメンバー選りすぐりの表情がアップで並び、タロウが、とても邪悪です(第7話の妄想相撲シーンにおける、猿原の指を潰して高笑いする場面でしょーか)。
 かくして各人のPRコーナーが始まる、という趣向の総集編で、脚本は井上敏樹を一回休ませて、東映特撮ファンにはお馴染み、超大物原作者の八手三郎さん。
 鬼猿雉それぞれの呪いとの出会い、ヒーロー活動をどう捉えているかが描かれ、過去の映像をただ繋ぐだけではなく、自己PR(「証言」)という形でそこに言葉を重ねる事で、これまでの経緯とメンバーの現状認識をわかりやすく整理したのは、総集編として良い工夫でした。
 「先代のサルブラザーに指摘されて、初めて気付いた。私にとって戦いは自然。……そんな気はしていたが、私は生まれながらの 戦闘民族 ヒーローだったのだ」
 侘び寂びの戦士! みたいな事を猿原は言い出し、雉野は……みほちゃんのPRでした。
 正体不明で住所不定のイヌブラザーは、外部からソノニがMVPに推薦し、犬塚の過去と獣人との関わりを説明しつつ、途中で犬塚証言に切り替わって、やはり、みほちゃんの活躍で締められる事に。
 「犬塚翼……せいぜい逃げ続けるがいい」
 そこから、桃井タロウ、あの野郎……! となってドンオニタイジンに繋げると、『リバイス』完結記念ドンブラ組体操……の背後でいつの間にかカウンターに座っていたソノイが、多分よく知らないジロウに言及。
 「だが、私の宿敵は、あくまでもドン・モモタロウ……」
 今週の喫茶どんぶらは多分、時空の狭間にあるメタ空間、と好き放題でソノイが立ち去ると、いよいよMVPの発表となって“用意されていた”封筒にマスターが鋏を入れ…………って、今までのPR合戦にはなんの意味も無かったのでは。
 鬼猿雉は期待に瞳を輝かせるが、案の定、出てきた名前は――五色田介人。
 自分で最終回を宣言しておきながら、ドンブラザーズは半年しか戦っていないが、「俺は、遙か昔から戦っている」と言い出したマスターは、しれっと前作の戦い(あくまで同一人物を主張なのか?)を活躍シーンに加え……
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 「あの患者、まだ身元が分からないのか?」
 「ああ。酷いもんだよ。脳神経がズタズタにやられてる。一生あのまんまだそうだ」
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 「だが、みんなに開かれているのが、喫茶どんぶらだ。MVPの俺から、みんなに素敵な商品をあげたいと思う」
 自作自演の三文芝居の末にマスターは3人に包み紙を渡していき、この時点でサイズ感から予想はつきますが……中から出てきたのは、売れ残じゃなかった、新たに作られた五色田介人2nd写真集(自費出版?)。
 「俺はヒーローとして生まれ、ヒーローとして戦い、ヒーローであり続けるもの」
 腕組みして決め台詞を言い放つマスターに、3人はそれぞれ理由をつけて写真集を押し付け合うと最後に雉野からまとめて返品され、
 「……み、みほちゃんと、みほちゃん、みほちゃんが、みほちゃん、みほちゃん! みほちゃーーーーーん!!」
 結論:前半戦のMVPは、みほちゃん。
 最終回と聞いてパフェを食べながら待機していたソノザに向けて、次回こそ最終回にしてみせる、とソノイが宣言して、つづく。
 とにかくキャラが強いので、個々の語りを交えた情報整理は総集編の工夫として面白く、はるかのPRが序盤から一気に超強火ファン・ソノザとの出会いに飛ぶなど、今後に向けたそれぞれの大事なものの確認を含めたシーン選択もテンポが良くて秀逸でした。
 一方で、主にマスターを中心に、割り切った作りにしても余りにもメタすぎたのは個人的な好みからは外れるところでしたが(『リバイス』映像と前作ゼンカイザーは、幾らなんでもやり過ぎた感)、真夏の朝の夢、とでもいったところでありましょうか。
 まあ本当にマスターが『ゼンカイジャー』の五色田介人と同一人物とするならば、どんぶらマスターは、様々な世界を巡り、数多の戦いを重ね続けた末に、本人の言うように完全に「ヒーロー」概念と化し時空さえも超越した介人であるのかもしれません。
 次回――今度こそ決着?! そして、鬼・鬼・鬼?!