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岡本太郎式特撮活劇『TAROMAN』感想3

 〔第6話「美ってものは、見方次第なんだよ」・第7話「好かれるヤツほどダメになる」〕

 タローマンの地味に好きなポイント:「なんだそれは」のテーマがアレンジ違いで幾つかバージョンがあるところ。

 第6話、タローマンは容姿について思い悩む女性隊員をむんずと掴み、問答無用で宇宙へ!
 『TAROMAN』世界の宇宙は真空ではない、或いは地球人は真空中でも生存可能な事が明らかになり、二人は奇獣・みつめあう愛が生息する惑星ゲルダへと到着。
 地球人から見れば全く区別の付かないゲルダ星人だが、ゲルダ星人にはゲルダ星人なりの美への苦悩がある事を目の当たりにした女性隊員は、自分の悩みが宇宙的視野ではちっぽけなものでしかない事を知る。
 ナレーション「タローマンは伝えたかった。綺麗さなんてものは、時代時代に変わる、「型」でしかないのだ。太ったのが美人とされる時代もあれば、痩せていなければ、美人とされない時代もある。それよりも、もっと無条件で、絶対的な美を目指すべきなのだ。ひたすら生命が開き高揚した時に、美しいという感動がに起こるのだ。そう、岡本太郎が言っていた」
 芸術が爆発する事もなく、ストレートな教訓話として終わるのかと思いきや、地球への帰路、円盤に乗った黒づくめの宇宙人に「変な顔」呼ばわりされたタローマンは、宇宙船を光線技で攻撃!
 ナレーション「勿論、人の外見にとやかく言うべきでもないのである」
 巨大フジ隊員のパロディを盛り込んだり、一応オチはつけたものの、『TAROMAN』としては大人しい内容だな……と思っていたら、トークコーナーに放り込まれる当時買ってもらったタローマンTシャツが瞬間最大風速を巻き起こし、見事な構成でした(笑)

 第7話、日本の総人口が1億人を超えた時代、ニュータウンの開発中、地中から出現する奇獣、赤い手&青い手。
 ヒーローを讃える群衆からの喝采にまたもやる気を失ったタローマンは、無気力状態で戦いに臨むと、赤い手・青い手にこねくりまわされて奇っ怪なオブジェへと変えられてしまう。
 その姿にテンションが下がった群衆はタローマンの応援をやめ、移り気な大衆の姿への皮肉がパロディとして描かれつつ、それを取り戻そうとするのではなく、むしろそれでいいのだ、と考えるタローマン。
 「積み重ねじゃない、積み減らしなのだ」
 そう、岡本太郎も言っていた。
 「タローマンが、赤い手を食べてる……!」
 怖いよ!
 ヒーローとしてちやほやされたいわけでもなければ、過去の堆積物に埋もれて身動きできなくなる事をこそ否定するタローマンは、赤い手&青い手を侵食・同化すると、巨獣タローマンとなって西の空へと飛び去っていき、自由すぎるタローマンの在り方に悪い影響を受けたビル壊され役の社長がその後を追いかけていくラストシーンが、なんだか怪獣映画感があって好き(笑)
 そして、桃谷ジロウは、このエピソードを100回ぐらい見るべきだと思いました。