東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

武士と冥人の間で

『GHOST OF TSUSHIMA』感想・その7

 (※第3章のストーリーには、触れておりません)

最終話「拙者は――まだ、冥人だからな……!」

 「境井ぃぃぃぃぃぃ!!」
 「伯父貴ぃぃぃぃぃぃ!!」
 雪で真っ白に染まった博多駅をバックに、全身に乾いた銃弾を浴びながら、境井と志村がダイナマイトを手にハーンのリムジンに突っ込んでいくクライマックスは感動の名シーンでしたね……
 そんなわけで、『GHOST OF TSUSHIMA』クリア。
 前回書いたように、第2章のラストが大変盛り上がり、第3章は一気。
 プレイ時間は約70時間でしたが、体感その2倍ぐらいの濃厚なゲーム体験となり、世評に違わぬ名作でした。面白かった!
 最終的に、温泉・稽古台・狐・神社・かがり火・和歌・装具は、コンプリート。のぼり旗・蒙古の品・文と書状、は集めきりませんでした。……文と書状、全40に対して10ちょっとしか拾っていないのですが、いったいどこにあったのか。
 文書系は、物語の背景を補足して割と面白い内容なのですが、さすがに面倒で、全部集める気にはならず。
 なお、旅人の服を着ているとのぼりや書状に向けて風を吹かせられる事に、ゲーム最終盤まで気付いておりませんでした(笑)
 戦闘に自信が無いので、装備は基本、政子殿に貰った武家の鎧と防御系の護符で固めた、体力&防御力重視。これに稲荷の護符を加えて物資を稼ぎ、中盤以降は潜入時に毒霧の護符を身につけて毒ガス兵器で攻略。好きなプレイスタイルは、長距離狙撃。
 ゲーム的には、ステルス必須のクエストではパズルゲーム的な基本の解法がだいたい用意されているし、通常時は正面からカチコミでも割となんとかなるしと、通して二つの手段のバランスが良く、主人公の成長も、プレイヤーの意志でどちらかを優先する事は出来るが、どちらかに極端に偏る事は無いのでプレイスタイルを縛らず、その時の気分で、今日は一騎打ちから始めよう! が気軽に出来るのは良かった点。
 勿論、プレイスタイルに合わせて特化していくビルドが楽しいゲームもありますが、今作に関しては、ゲーム的成長もまた、二つの道の間を常に歩き続ける主人公を補完する要素になっていたのが、上手いデザインでありました。
 何度か書きましたが、とにかくストーリーとゲーム的なシステムの融合がお見事で、パッケージングがひたすら上手かった一作。
 また、個人的にこれまで、(大変雑なくくりですが)海外RPGってゲーム的に凄いと思っても物語にはどうもノれない場合が多かったのですが(洋画や翻訳小説でそんな事は無いので、何か洋ゲーの文脈があるのだろうと思ってはいるのですが)、今作は「時代劇映画」のフィルターを一度通す事によって中間に共通の文脈が発生しており、特に主人公の境井仁の心情に納得しやすいのは、プレイしやすいポイントの一つでした。
 病的なほどの「美」への執着も最後まで徹底され、主人公・境井仁が「生きて、勝つ」為に侍の美学を捨て、血と泥にまみれて戦い続ける一方で、その旅路の外側は常に幻想的で凄絶でさえある「美」が張り巡らされるコントラストも、また鮮やか。
 大満足でした。