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鈴の音が聞こえる

『GHOST OF TSUSHIMA』感想・その5

 (※発売からだいぶ経過しているので、ストーリー内容に触れています。ご留意ください)

第5話「……毒霧? 毒霧だって?」

 誰かを助けてほしい、と依頼を受けて現場に向かうと8割方死んでおり、無事に助けられた場合は、助けてほしいと依頼した側が半分は死んでいる、それが対馬(※個人の体感です)。
 第1章クライマックスが満足感高すぎたのと、第2章に入ってから土地の風景が荒涼としすぎ&サブキャラエピソードが一気に増えすぎてペースが落ちていたのですが、吾作アーマーを手に入れた辺りから綺麗な景色も戻ってきたので、サブキャラクエストを積極的にこなしていく方針にして(基本、後回しにするプレイスタイル)再ペースアップ。
 今作、基本的に映像表現が意識的に過度であり、月明かりに照らされたススキ野原だったり、足下一面を覆い尽くす白い花の園だったり、時にこの世ならぬ幽玄の美、彼岸と此岸の境界線に接近していくのですが、冒頭の戦いで数多の骸の中で命を拾い、冥人(ゴースト)として蘇った主人公自身が生と死の狭間の存在なので、そういった美の表現と物語とが互いを補強し合う事により、フォトリアル路線ながらも飽きさせない画面作りが違和感なく成立しているのが、ゲームデザインとして秀逸。
 「○○をやる」為には「○○の設定を利用する」とか、「○○の物語」だから「○○に見せる」とか、とにかくそういったゲーム全体のパッケージが非常にお見事。
 そして境井仁は、温泉につかりながら考えていた。
 コトゥン・ハーン(モンゴリアンマフィアのドン)の野郎を、海に沈めて溺死させるか、それとも生きながら火あぶりにして焼き殺すか。
 ……よし、今夜は焼き肉だ!
 島の各地にある秘湯につかると最大体力が増加し、その際、境井が物思いにふけるのですが、たまに凄く物騒な内容を思い描いた後に最大体力が増加するので、変な面白さが生まれます。
 一回、「思い人」の項目があったので、え?! 境井様、許嫁とか居るんですか?! とワクワクしながら選んだら、(一緒に風呂に入ってくれる女子が欲しいでござる……いやいやいや、気の迷い気の迷い)で、ちょっと寂しい半生でした。
 とにかく行く先々で死体を積み上げていくゲームですが、主人公・境井仁の、生真面目で少し視野狭窄ながら、島民に助けを求められると疑わないし断らない(ので10回に1回ぐらいはころりと騙される)性格にはなかなか好感が持てるのが良いところで、高潔すぎる志を土台にした愚者の蛮勇スレスレの一本気さに、絶妙な愛嬌を与えて表現する中井和哉さんが好キャスト。
 そんな境井仁でさえ開口一番、「今度はなにをやらかした」と問いただす、トラブルメーカーのサブキャラも実に上手いアクセントになっています。
 あと段々、石川先生に対して、(こいつ、弓の腕は凄いけど人間としてはクズなのでは……?)を隠さなくなってきたのは、ハラハラします(笑)
 死に損ねた男が、己の価値観を見つめ直す要素が物語の縦軸になっているのですが、ほぼ信仰に近い伯父貴への依存がどうなっていくのかも、ストーリーとしては気になる引き。
 そんなこんなで、武士の矜持と蒙古打破を秤にかけて葛藤しつつも殺し技を磨いていく境井仁は……新たな闇の殺人技を習得した!
 〔鈴(音で敵兵を引きつける暗具)+毒霧の護符〕により、鈴を投げる → 敵兵がそれに触れる → ぷしゅぅっとガスが発生する → 吸い込んだ敵兵がぶしゃぁっと血を吐く → プルプルしながら膝をつくと全身の穴という穴から血を吹き出して死ぬ、という目を疑う光景が発生し、遂に侍道はBC兵器の使用許可へ。
 衝撃の鎌倉神経ガスだったのですが、神社イベント(アスレチック的なエリアを攻略する)で入手した護符だったので、化学兵器というよりは、呪殺なのかも。
 本来は直接的な攻撃アイテムではないので所持数が多い・山なりに投げるので障害物を越えられる・敵兵を移動させた上で発動するので巡回ルートを崩せる、と使い勝手も良く、大変、私好みの殺人アイテム。
 基本、スナイプ大好きなのですが、それとは別に、大変いいものを入手してしまいました。
 寺と僧の名前が増えすぎて、誰がなにやら若干わからくなりつつ、境井仁の戦いの旅は、つづく。