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ブシは喰わねどビッグボンバー

戦隊ブラック&ホワイトの系譜を雑に振り返る

 以下で用いている「枠」とは、個別の作中におけるポジションの意とご理解ください。取り上げているのは、完走している作品のみとなります。

●ブラック編
1980年代


科学戦隊ダイナマン』 ダイナブラック/星川竜 ――サブリーダー・ニンジャ枠
電撃戦隊チェンジマン』 チェンジグリフォン/疾風翔 ――サブリーダー・残念枠・軟派
光戦隊マスクマン』 ブラックマスク/ケンタ ――サブリーダー・ロマンス枠
超獣戦隊ライブマン』 ブラックバイソン/矢野鉄也 ――ヤンキー枠
高速戦隊ターボレンジャー』 ブラックターボ/山形大地 ――サブリーダー

1990年代


地球戦隊ファイブマン』 ファイブブラック/星川文矢 ――末っ子枠
鳥人戦隊ジェットマン』 ブラックコンドル/結城凱 ――結城凱
超力戦隊オーレンジャー』 キングレンジャー/リキ ――追加戦士・少年戦士
電磁戦隊メガレンジャー』 メガブラック/遠藤耕一郎 ――リーダー・真面目枠・パワー系
星獣戦隊ギンガマン』 黒騎士/ヒュウガ ――追加戦士

2000年代~


百獣戦隊ガオレンジャー』 ガオブラック/牛込草太郎 ――パワー系・コメディリリーフ
爆竜戦隊アバレンジャー』 アバレブラック/アスカ ――超戦士
轟轟戦隊ボウケンジャー』 ボウケンブラック/伊能真墨 ――年下枠
炎神戦隊ゴーオンジャー』 ゴーオンブラック/石原軍兵 ――真面目枠・コメディリリーフ
天装戦隊ゴセイジャー』  ゴセイブラック/アグリ ――パワー系

 戦隊ブラックといえば、
 「星川竜、見参! しゃぁぁぁぁぁ!!」
 であり、私の趣味嗜好を歪めた大いなる原因として、シリーズの中では割と思い入れのある色となります(笑)
 傾向はかなり顕著に分かれていて、まず80年代は、サブリーダーが主流。以前ブルーの項で触れたように、この時期のブルーは序列3番手ぐらいのアイドル枠の傾向が強い関係で、黒ないし緑にサブリーダーが割り当てられている事に。
 その黒緑が追加メンバーとなり、初期メンバーの弟分ポジションとなる『ライブマン』は、3人スタートゆえの変則パターンといえます。
 同じサブリーダーでも、ダイナブラック/星川竜・チェンジグリフォン/疾風翔が、レッドに拮抗しうる能力・存在感を持ったサブリーダーだったのと比べると、ブラックマスク/ケンタ・ブラックターボ/山形大地とは、チーム内での重みに差があるのですが、作劇の変化だとすると、詳細に検討しても面白い要素かもしれません。
 90年代に入ってファイブブラック/星川文矢は、サブリーダー的ポジションから大きく離れ、5人兄妹の末弟に。『ファイブマン』の設定における長短ですが、なまじ教師(子供達を導く立場)の為に年下枠というほど人間的成長を軸に据えて描けなかった上で、対比に置かれた双子のレミが実質的な序列2番手だった為に随所で存在感を喰われてしまったのは、少々不憫。……『ファイブマン』はとにかくレミが強すぎた上に後半からはシュバリェ旋風が巻き起こった為に、青桃黒がまとめてなぎ倒されてしまった感はあります。
 続くブラックコンドル/結城凱は結城凱なのですが、何が結城凱なのかというと、「天堂竜と対比してこそ栄えるキャラクター」なのが結城凱であって、シリーズでも珍しいタイプの設計がされているキャラクター。
 単独で考えると、「残念キザ」とでもいった立ち位置なのですが、アオレンジャーに始まって、ダイナブラックやチェンジグリフォンに見える、「レッドと同格に近いサブリーダー」ポジションを煮詰めると共に、80年代後半のライバル悪役(盗賊騎士キロス-ドクター・ケンプ-流星光-初代艦長シュバリェ)に見られたキザ要素を取り込んでおり、「チーム内に居る宿敵キャラ(と書いて「とも」と読む)」とでもいえましょうか。
 そんな凱が物語を通して「サブリーダー的存在になる」ところに『ジェットマン』の一つの面白さがあるのですが、天堂竜を「理想の80年代ヒーローで表面をコーティングしたレッド」とするならば、結城凱は「80年代サブリーダーとライバル悪役の境界的ブラック」であり、その両義性からすなわち、「トリックスター」とするのが、最も適切なのかもしれません(そういえば海賊版では、神様にゲームで勝利し、他界と現世を行き来していたり、実に「トリックスター」的)。
 キングレンジャー/リキは黒か金かいつも悩むのですが、カラーの関連づけで考えると、同じく少年追加戦士である『五星戦隊ダイレンジャー』のキバレンジャー/吼新星・コウの白黒裏返しなのだろうか、と今回は黒扱いで。
 メガブラック/遠藤耕一郎は、恐らく、シリーズ初の黒リーダー。真面目が高じすぎてマッドヒーロー化している優等生で、好きなキャラです(笑)
 黒騎士/ヒュウガは元リーダーにして追加戦士であり、サブリーダーが主流だったブラックが、90年代末にリーダーそして元リーダーに昇格した後、00年代に入って急激に、チーム内ヒエラルキーが低下。
 これは00年代になって序列二番手ブルーが主流になってきた事によるスライドと思われますが、戦隊史上でも劇的な失権といえ、「やあみんな! 今日は悪かった! 俺は、反省すべきところはちゃんと反省して、直すべき所はちゃんと直す! だから、 問題点をどんどん言ってくれ!」。
 とはいえ、規格外戦士のアバレブラック/アスカや、チーム内ヒエラルキーは低いが物語上の扱いは大きめだったボウケンブラック/伊能真墨の例もあるので、ヒエラルキーは下がりつつも、変則的なアプローチに使いやすい色、ではありましょうか。
 完走作品の関係で、この10年のブラックがリストアップされていませんが、『キョウリュウジャー』『キュウレンジャー』『リュウソウジャー』と、コンスタントに登場し、ヒエラルキー再浮上の気配も見えるところで、『ドンブラザーズ』の黒が、どんなポジションになるかは、楽しみなところです。

●ホワイト編 (*は女性)


1977 『ジャッカー電撃隊』 ビッグワン/番場壮吉 ――ビッグワン
1985 『電撃戦隊チェンジマン』 *チェンジマーメイド/渚さやか ――アイドル枠・参謀枠

1991 『鳥人戦隊ジェットマン』 *ホワイトスワン/鹿鳴館香 ――ヒロイン枠・お嬢様
1993 『五星戦隊ダイレンジャー』 キバレンジャー/吼新星・コウ ――追加戦士・少年戦士

2001 『百獣戦隊ガオレンジャー』 *ガオホワイト/大河冴 ――年下枠
2003 『爆竜戦隊アバレンジャー』 アバレキラー/仲代壬琴 ――宿敵
2007 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』 ゲキチョッパー/久津ケン ――追加戦士
2015 『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 *シロニンジャー/伊賀崎風花 ――妹ポジ
2016 『動物戦隊ジュウオウジャー』 *ジュウオウタイガー/アム ――小悪魔

 登場サンプルが少ないですが、概ね、男性ホワイト→追加戦士、女性ホワイト→桃の代替色、といった感じ。
 主役を強奪したビッグワン/番場壮吉、少年戦士のキバレンジャー/吼新星・コウ、かなりイレギュラーな立ち回りとなったアバレキラー/仲代壬琴、追加戦士の更に追加戦士だったゲキチョッパー/久津ケン、と男性ホワイトはくしくも変則的なキャラが多め。
 特に、戦隊メンバーにカウントしていいのか悩ましい程の紆余曲折を辿ったアバレキラーについては、以前に本編感想総括で「本文でアバレキラーについて、「ダーク涼村暁?」と触れましたが、シンプルに「ブラックコンドルへのオマージュ」 と見た方が素直だったか」と触れましたが、こうして並べてみると、その方向性をより強く感じます。
 「アバレレッド/伯亜凌駕の対比的キャラクター」であり「ダイノガッツを宿しながらアバレンジャーに敵対する者」(「バードニックウェーブを浴びながら戦士を否定する者」の類似)であるアバレキラーは、対立した二つの価値を同時に身に帯びた両義的存在として、秩序の破棄と対立する二項の媒介者となる「トリックスター」性においてブラックコンドルと共通しており、その両者が白と黒に別れているのも、興味深い点でしょうか(なお両者とも、“ゲーム好き”という共通項を持つのもトリックスターを意識した要素かと思えます)。

 女性ホワイトは、初の『チェンジマン』が白-桃ですが、基本は桃の代替色といった印象で、マーメイドはともかく、白鳥-(鶴)-白虎-白虎、と概ねモチーフ合わせ(※とか書いていたら、シロニンジャーがすっぽり抜け落ちていたのですが、オトモ忍も犬……で、白あまり関係ないですね……某CMで、白い犬が流行っていた時期……?)。
 色があってモチーフを決めているのか、モチーフがあって色を決めているのかはその時々でしょうが、ニンジャホワイトを加えて、おおよそ、8年に一人の誕生率。
 中で特に印象深いのは、頭脳派・清楚美人系の容姿・ヒロイン度高めの扱い、と並びながら戦隊ヒーローの暗黒面を濃縮したような姿を見せたチェンジマーメイド/渚さやかで、近年のトレンドである強ピンクの先祖的存在かとも思っています。
 5人の戦士に躊躇ははいらない!!