東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

アギト・オデッセイ

仮面ライダーアギト』感想・第48-49話

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第48話「大人の走りとはなにか」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
 「私がここに呼ばれた理由はただ一つ。つまり、アギトをどうするかだ。違いますか?」
 警察の会議で謎の大物ムーヴを決める北條さんは、G3ユニットの存続むしろ拡大を主張する小沢の意見に賛同すると、小沢の口にした“未知なる敵”の中にアギトを含める。
 「彼らは、人間でありながら人間ではない。……その可能性は、十分にあると思いますよ」
 発言途中で立ち上がり、お歴々に背中を向けながら言葉の余韻を漂わせて去って行く北條さん……謎の大物ムーヴ!!(笑)
 (人間よ……私の子供達よ……滅びなさい。私はもう、あなた達を、愛する事ができない。滅びなさい……滅びなさい……自らの手で)
 一方、黒の青年は竹藪もとい聖地で宇宙パワーを放射し続け、成る程、あくまでも直接手を下したくはないので、ドッペルゲンガーの目撃者は自殺に至る、と。
 続発する奇妙な自殺者が、全員さそり座の生まれである事に氷川くんが気付いていた頃、涼は暴走ライダー・スコーピオンを気に懸け……
 「俺も物好きでな。ガキの走りが見たくなった」
 -----
 「あれが大人の走りってやつ?」
 「まあな」
 そしてそこから一続きの会話は、20年ぶりに見ても悪い意味で強烈でした(笑)
 ……これ危うく、『アギト』で最も印象的な場面になるところでしたからね……。
 翔一は翔一で同僚の可奈と親しくなるが、またも目撃される、竹藪の発光現象。……もうちょっと! 場所を! 考えて!
 今日も今日とて風のエルは目撃者を消し、それに反応した涼だが、バイクで轢くのを失敗すると、またも完敗。翔一もこれに気付いて風のエルに立ち向かうが、バーニングフィストさえかき消され、苦戦のまま、つづく。
 スコーピオンさんの諸々と、怒鳴り散らすオーナーシェフの存在が辛い47-48話ですが、その反作用で可奈のヒロイン度が急上昇していき、「ちょっと待って翔一くん! ヒロインは私じゃなかったの?!」
 「ごめん、今回出番も無かった真魚ちゃん……記憶を取り戻してわかったんだけど、正ヒロインとは別に、真ヒロインや裏ヒロインが出てくる事は、よくある事なんだ!」
 ヒロインレース最後の直線に入って、まさかの伏兵が物凄い脚で追い込んできたところで、次回――広瀬裕、登場。

◆第49話「怒りの日」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 風のエルに完敗した翔一と涼は、なんとかそれぞれの待ち合わせ場所に辿り着くが、天では解体されたさそり座が十字架の形に並び、北條は会議で更なるアギト脅威説を唱え、美杉家の食生活は……とても荒んでいた。
 「翔一くんが、自立しようとしてるように、我々も、翔一くん離れしなければな」
 ……見る限り、かなり切実かつ深刻(笑)
 それでも家庭菜園の世話は立派に続けている真魚ちゃんであったが、翔一の身辺には真ヒロインが急接近!
 可奈の父はアンノウンに殺されていた事がほのめかされ、スコーピオンはサソリ座であることが明らかになり、日常に不穏な影が迫りつつある中、新たにライオンヘッドの土のエル(CV:三宅健太)が誕生し、アギト候補者の抹殺を再開する。
 「塵から生まれし者どもよ、塵に還るがいい」
 警察では白河(劇中で名前どころか肩書きすら紹介されないのですが、台詞回しと演じる広瀬裕さんのハッタリ力でなんとなく偉い人に見せる力技)が北條の主張を更に押し進め、アンノウンを“守る”為にG3ユニットを存続させると宣言。
 アギトは人間の可能性なのか? それとも、人間にとっての敵になるのか?
 古典的なSFテーゼを下敷きにしつつ、ヒーローフィクションとしては平時の英雄の排除に切り込み、ここまで四十数話から一転して“ただの人間”の思惑が黒の青年に追随する倒錯が描かれ、土のエルの気配にきゅぴーんしたアギトの前に立ちはだかったのは、二体のG3。困惑するアギトに向けられる、二つの銃口で、つづく。
 黒の青年が人類滅亡プロジェクトを開始する一方、人類の側では北條さんが地道に伏線を張り続けていた「人類vs超人類」の構図が表に浮かび上がってドッキングし、今更ですが思えば今作2001年の作品なので、物語序盤を引っ張ったオーパーツは、モノリス的な意識があったのでしょうか。
 果たして、アギトとは、人ならざるものなのか? もしそうならば、アギトと人と結ぶものとはなにか?
 次回――涼またも死す、氷川くん帰郷、そして……「アギトの為に、人間の為に!」。