東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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只今渋滞中

仮面ライダードライブ』感想・第31-32話

◆第31話「大切な記憶はどうして消されたのか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 生身進ノ介の飛び蹴りで吹っ飛んだらどうしようかと思ったが、さすがに耐えて良かったブレン。
 ……まあ、ドライブ(ノーマル)に変身した途端に、一方的に叩きのめされるのですが。
 今度こそブレンを逆さ磔から拷問にかけようとするドライブだが、剛が現れてドライブに襲いかかり、ドライブは海落ち。進ノ介とベルトさんは001への対応で意見が割れて大げんかするが、そこに、父親・巌を探してほしいと青年・藤木徹が現れて、特状課は001による大規模な記憶改竄の痕跡を発揮する……。
 「我々は進化する為に、人間の感情が必要だ。だから、人間を研究し、それぞれが特別な感情を手に入れた。ブレンは嫉妬を、メディックは愛を。ハート、君は喜び」
 そ、そうなの感はどうにも漂いますが、少なくともブレンの「嫉妬」は、人間と関係ないところから生えてきたような……(笑) まあ、そこまでの研究観察の下地があったからこそ、としておくところなのでしょうが。
 「そして私は……この強烈な感情が更に成長し、極限を超えた時、我々は、最後の進化を遂げる。その時こそ、第二の、グローバルフリーズの開幕だ!」
 高らかに告げる001は、背後に氷の結晶のイメージが浮かび上がると、進化体を披露。
 「成る程。泊進ノ介……あの男があなたを最終進化させる鍵という事か」
 「ハートよ、君も早く探したまえ。自分の極限を超えさせてくれる――鍵を」
 藤木家の事件は001が進ノ介の前にぶら下げた餌である事が示唆され、真影を見送るハート様が、いい表情。
 「……俺も、もう見つけているさ」
 一方、ミスターXを名乗るメールを受け取った進ノ介は、10年前に日本中を震撼させた新型ウィルス騒動の背後にも真影の存在があった事を知ると、問答無用の正面突撃を仕掛けるも、まんまと氷の針を打ち込まれてしまう。
 「久しぶりだな、クリム。そんな姿で、覚えているのだろう? あの夜の恐怖を。クリム、おまえがその悪夢から解放される事は無い。――それがお前に与えられた、罰だからな」
 プロトドライブ撃破の場に居合わせた001は、ベルトさんを嘲弄すると悠然と去って行くが、何故か記憶改竄の効かなかった進ノ介は、真影を追跡。
 「やはり、効かなかったようですね。人間の記憶を凍結させる、私の能力」
 12年前、同じく001の能力を打ち破り、真影壮一の正体に迫った一人の刑事――それこそが、進ノ介の父、泊英介。
 「同じ目だ。奴もそうやって、私を睨んだ。決して屈することのない強い意志。私はたじろいだ。そしてその時、私の中にある感情が生まれた。屈辱だ!」
 001に導かれるように変身したドライブに対し、001は進化体を発動し……なんとなく、顔が狐っぽい。
 「私の名はフリーズ。全てを凍らす」
 その放つ冷気は、フォーミュラの高速移動よりも早くドライブを侵食し、手も足も出ないままドライブは変身解除。
 「残念だったな」
 「ふざけるな! 俺のエンジンは止まっちゃいない!」
 「ほぅ……それだ。その執念。さあ、立て。立つんだ」
 最終進化の為に進ノ介を利用しようとするフリーズに向かい、立ち上がる進ノ介で、つづく。
 進ノ介の前に因縁の敵として001が現れ、父の死の謎と、10年以上前から仕込まれてきた陰謀に迫る大きなうねりの真っ最中なのですが、都合のいいお邪魔キャラとして利用されるだけの剛、が死ぬほどつまらないので、見ていて熱量がフリーズ。
 身内の洗脳展開は、洗脳されたキャラを気に懸けてこそ面白くなるわけなのですが、実質放置を受けており、正直、藤木家のドラマに尺を割くよりも、剛を心配する描写を差し挟んでほしいところ。
 霧子を傷付けない為にチェイスが剛の記憶操作について喋らなかったのはわからないではないものの、その結果として「001を倒せば剛も助けられる筈」というプロットの合流が発生せず、進ノ介の「001を追う」が地上を走っている間は剛の問題が完全に地下に潜ってしまい、刑事の優先順位としては間違ってはいないものの、その障害としてしか浮上してこない剛の“都合のいいお邪魔キャラ”感が増してしまう事に。
 上手い作品だったら、表の流れの隙間に、霧子やベルトさんが剛を気に懸ける台詞をそれとなく一つ二つ配置しておくのですが、そんな事もないですし……。
 001との対決を執拗に避けようとするベルトさんは、プロトドライブ敗北にまつわる悔恨が今更ながらにクローズアップされ、進ノ介の喪失を恐れる気持ちが前面に出るのですが、そこに焦点を合わせる程に、剛の事も少しは気にしてあげて……という気持ちになり、用意されている車線よりも多くのプロットを一斉に走らせようとして、あちら走ればこちらがつかえる大渋滞、の感。
 これまでの言行からすると、「隠す事」が「守る事」だと思っているのがベルトさんの弱さ、といった印象を受けますが、果たして諸々、ここから上手く交通整理できるのか。

◆第32話「進化の果てに待つものはなにか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 追田警部が「ロイミュード」と言えないのは、警察組織への記憶改竄の余波による精神汚染の影響だった!
 は、複雑骨折からの強引な着地が面白かったです。
 ミスターXから送られてきた情報の精査により、12年前から藤木家と良く似た状況の誘拐事件が起きている事が判明し、進ノ介は決死の覚悟で、体内に刺さった001の針を抜き取る事を決意。一方、「超進化体」について知ろうとするチェイスはハートと激突し……最近の戦績でいうと、チェイサーの方が格上ですね!
 「超進化体とは、進化の最終ステージ」
 「辿り着く為の条件は?!」
 「俺たちが、人間から、学び取った感情を、極限まで高める必要がある。001は屈辱。俺の場合は! はははは! 闘いの中でのみ感じる事ができる……ふふふ、ははは、喜びだ」
 戦闘中に進化を続けているという事なのか、ハート様、嘘くさい勝利。
 「だがな……おまえに対する感情では、超進化は出来ない。やはり、俺を最後に高みへと導けるのは、あの男だけだ」
 「……あの男」
 ハート様は思わせぶりな事を言って去り、特状課は、真影に切り捨てられた仁良からの情報でそのアジトに辿り着き、真影が10年前のウィルス騒動を利用して自身の能力が通用しない人間を探し出し、研究材料として誘拐していた事を突き止める。
 「幾ら貴様が記憶を改竄しようと、人の想いを完全に消す事は絶対に出来ない! そんな人達を……俺は守る!!」
 進ノ介の想いに応え、恐怖を乗り越えたベルトさんは、Start our Engine。
 藤木家のヒューマンドラマを描き(父子のドラマを入れた割に、進ノ介に特別フィードバックされないのは首をひねりますが)、進ノ介が力強く啖呵を切り、ベルトさんと心を一つにし、タイプフォーミュラが派手に火薬を弾けさせ…………001の目的が「屈辱」を受ける事にあるのと、予告の映像から、何もかも壊滅的な茶番劇なのですが、ここまでハッキリ視聴者に対して「このバトルは茶番です」と明示しているにも拘わらず、そこに至る流れをどうして平常運行で組んでしまったのか。
 お陰で後半10分ぐらい、ぼんやりと画面を眺める事になってしまったのですが……全てのお膳立てを整えた上でドライブ衝撃の敗北! とするなら隠すべき要素が沢山あったわけなのに、それら全部フルオープンにした上で、なんの工夫もなくいつも通りにメニューが出されるので、唖然。
 「ふふふふふふふふ……親子してここまで私を怒らせるとは。……その屈辱が、遂に私を超進化させた。もはや私は無敵だ。全ての人間の記憶を、止めてやる」
 フォーミュララリアットで大爆発したかと思われたナンバー001は、高速再生すると黄金に輝く超進化体となり……全てのお膳立てを整えていたのは001の方だった、という事になるわけですが、藤木家という明らかな餌、仁良の切り捨てによる意図的な情報漏洩、「ミスターX」も当人の可能性あり、で進ノ介を自分のところに辿り着かせた節があるのに、感じられるの、屈辱……?
 予想外だからこそ屈辱が生まれると思うのですが……大物策士キャラが「二回目の屈辱を意図的に受ける」自己矛盾に近い状況設定のハードルが高く、膝から激突して地面に倒れた感じに。
 明らかに001にも予想外だった要素を探すと、徹が記憶を取り戻していた部分なのですが、それだと進ノ介に感じた屈辱ではないので物語として通したい理屈が通らない為に、型どおりのバトルを挟んで有耶無耶にした気配もあり。
 001としては「進ノ介が予想を裏切り屈辱を与えてくれる事を期待して罠をかける」わけですが、進ノ介が予想を裏切るところ――流れ的にいえば、生身マッドドクターで針を引き抜き、解毒剤を生み出すところ――は001の目に入りようがない為、その結果としての徹の行動は001に驚きと屈辱を与えるが、それが進ノ介由来なのかわかりようもない、ので屈辱ポイントとして物語が採用できない大渋滞からの大混線を引き起こし、そもそも「計画的に屈辱を受けたい」という目的地の設定を間違えていたし、その上で「どうやって屈辱を誰の目にも明らかに見せるのか」のルート設定にも合わせて失敗しており、必要なのは、カーナビの修理。
 スーパーフリーズの攻撃を受けたドライブは、一瞬の閃光で土手っ腹を貫かれ、泊進ノ介、21話ぶり4回目の瀕死にして、遂に、殉職。
 殉職テロップはやりすぎて悪ふざけ感もあり……色々と首をひねったまま、つづく。
 次回――進ノ介ソウルをトライドロンに移植?!(ちょっとワクワク)