『ヒーリングっど・プリキュア』ざっくり感想
香村純子さんがシリーズ構成という事で、久方ぶりに《プリキュア》シリーズを視聴したのですが、割と面白かったです。
勿論、コンテや演出と噛み合っての事ですが、やはり香村さんは“ヒーロー物の文法”を活用しながら、クライマックスへ向けて一本の綺麗なラインを引いていくのが抜群に上手い。
“助けを求める声”と“それに応える者”の存在が劇的に炙り出される一方、その境界を軽々と越えてみせた主人公の宿すヒーロー性の強固な背景となっている、「救って貰った命を世の中の為に役立てたい」という気持ちが強すぎて、献身というよりも挺身の域に入っている部分は少々引っかかりましたが、香村脚本なら、その危うさは織り込み済みでしっかり向き合ってくれるだろうというのは安心感。
プリキュアデビュー戦で最初に放った大技が、落下エネルギーを乗せた回転式踵落としだったのは、好感度が高いです(笑)
不思議生物が割とアグレッシブで肉弾突撃を辞さない性格なのも、面白く感じたところ。
第2話では、不思議生物の方も現地人を都合の良い傭兵と考えているわけではない、と互いを思う気持ちに焦点をあてて「パートナー」の意味を明確にし、手堅い作り。
第1話時点では、不思議生物達は「杖が本来の姿」なのか「一時的に杖と融合している」のかわからなくてちょっと考えてしまったのですが、適当に猫と合体しようとしたら失敗したので、後者で良い模様(後、この前段において猫まで兎を追いかけず主人公を一人にしない事で、マイペースなようでなんだかんだ目配りのある立ち回りを猫がしており、この辺りが黄色担当の子と繋がっていくのかな、というさりげない見せ方と物語の要請との接続が秀逸)。
不思議生物が装備品と合体する事によりナビゲーターの役目を果たす事で、物語初期における“いきなり戦える”問題を解決する、というのは成る程なアイデアでしたが、今後、物語が進行していく中で“適度に”戦闘中に喋らせないと不自然になる、のは若干厄介に思え、そこをどう捌いていくのかは、気になる部分です。
……まあ、強化展開で武装チェンジ、という手段はありますが(笑)
ラテ様は、正マスコットポジション&様付けで敬われてはいるけど、役割は“坑道のカナリア”で、なんだかエグい……。
悪役は現段階では顔見せ程度ですが、第2話アバンにおける身内による弁明、「倒された」のではなく「ちょっと追い詰められただけ」は大変良いフレーズなので、積極的に使っていきたいです。
「ゼネラル・シャドウはちょっと追い詰められただけだ!」
「ハカイダーはちょっと追い詰められただけだ!」
「飛電はちょっと追い詰められただけだ!」
OP、コンテが田中裕太さん(『プリンセスプリキュア』監督)だと聞くと、画面上手に悪役陣を置いて、下手から笑顔のプリキュア3人が歩いて行くシーンが、らしいな、と思えてみたり。ここで3人の背に命を示す緑の森が広がっていくのも、綺麗なシーン。
そんなこんなで、時々ちょっと感想を呟く、程度な感じで、ぼちぼち見続けてみようかな、と。