東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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3/28付けレス

 本日は『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー』感想を書きました。

キラメキX

◆インザファイトさん
 >恐らくマスクマン全話中最も知名度が高そうな、「元祖6番目の戦士」の登場回ですが、内容はこんなにも井上節全開だったんだな、と驚きです。
シリーズの歴史としては、そういう位置づけになるのですねー。その文脈で書いていないので当然ではありますが、実に井上敏樹的な、“男と男の魂がぶつかり合う話”ですよね、これ。
 >前回のタケルがあまりにもおかしかったのでそのせいで感覚が麻痺しているというか(笑)
前回のタケルは、私の中ではほぼ無かった事になっています(笑) 少年タケルの方は、説得力あったんですが……。
 >奇しくもこの頃は「仮面の忍者赤影」のアニメ版が放送されており、井上敏樹も参加しています。
参加と親子の関係は知っていたのですが、放映はこの頃だったのですね。
 >最近は井上敏樹の娘の井上亜樹子さんも脚本家として活動し始めています。
元の発言のニュアンスはわかりませんが、外野としては「ある程度の実績を積み変に隠す必要がなくなった」事について、父娘で軽く冗談を言い合った、ぐらいに受け止めておくのが無難ではないかと。

◆あきさん
 >時雨の駆け付け方がちょこちょことすまなそうで
この辺り、どのキャラも描写でちょっとずつ本音の部分が見えるのも、いい感じですよね。
 >でも小夜のこの言い方が、やりくりして駆け付けてくれた苦労を時代を超える大変さに例えた労いになり、
 >時雨が一瞬で元のかっこつけモードを取り戻せたように見えまして、小夜、頼もしいなと思いました。
メイン回前でまだ見えない部分もありますが、第一印象からのチームのバランサーとしての小夜の顔が窺えて、良かったですよね。後々、この二人の本格的なコンビ回は見てみたいところです。
 >もしかしたらそういう冷徹な部分こそが為朝のキラメンタルと直結してる可能性も感じるのが難しいとこかなと思うので、
 >メイン回でどう捌くのか本当に楽しみですね。
勝利への真剣さや戦術面での思考、ゲーマーとしてのこだわり、など色々と繋がってきそうで、充瑠との関係性も含めて、次はどう見せてくれるのか、期待が高まります。
 >等身大戦と巨大戦の組み合わせのバリエーションが増える斬新なシステムだなとわくわくしました。
前作は巨大戦を重視するあまり等身大戦がぶつ切りになりがちという本末転倒が生じてしまいましたが、今作は別個体にする事で、どちらも見せ場として描ける、というのは色々な工夫も出てきて面白そうですね。

あつまれアニマル

『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー』感想

◆『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー お命頂戴!地球王者決定戦』◆ (監督:竹本昇 脚本:田中仁)
 「人間とジューマンと、多くの動物たちが共に生きる星、地球。人間の世界とジューランドが融合し、大きな変化を遂げたこの星で、大和達は新しい日々を送っていた……」
 新たな世界でそれぞれの道(セラ:養護施設?の先生、レオ:本編第8話で出会ったミュージシャンと改めて友人に、タスク:大学生、アム:ファッションモデル)を歩んでいた元ジュウオウジャーの6人の元に、地球王者決定戦の招待状が届き、人間とジューマンの絆を深める為の催しなら、と参加を決める大和達。
 だがバトルロイヤル型式の予選真っ最中にバドにさらわれた大和が目にしたのは、大会主催者・ポカネは影で闇カジノを運営し、他者の命を宝石に変えてしまう能力を持つ、デスガリアン残党という真実であった――。
 ・レオとセラの激突
 ・妄想フレンズの秘密
 ・バドと大和の共闘再び
 ・相撲
 などなど、本編の要素を拾い上げながらサービス満載で送るボーナストラック的作品で、ヒロインはサイ(CV:釘宮理恵)、そして、謎のコンドル推し。
 細かい成り行きよりもサービス重視の『帰ってきた……』らしい作りなのですが、「手堅い目配り」と「丁寧な段取り」を大きな武器としていた『ジュウオウジャー』本編とのギャップはどうしても大きく、短距離走向けの作品ではないな、と改めて。
 これを機会に今度こそレオと本気の勝負をする、と意気込むセラに対し、「勝ち進むと勝負する事になる」事そのものを考えていなかったレオ、とかはらくして面白かったですが(笑)
 レオとセラが格闘大会で雌雄を決する一方、見物に回っていたタスクとアム、途中離脱の大和くんはコスプレで闇カジノに潜入し、やけに自身満々だと思ったら鋭敏視覚を駆使してルーレットで荒稼ぎする大和くん、妙に手慣れているのですが、本編でジューマンに配られていた“お小遣い”の財源について、大きな疑念が浮上してしまいました(笑)
 タスクは麻雀で役満を連発し、本人「頭を使うゲーム」と主張しているのですが、上がっている役や捨て牌の数を見る限り、縦横無尽にイカサマを駆使しており、大学で何を学んでいるんだタスク。
 ……これがアムだったら、天然のラック値で手が揃っても納得がいくのですが、そのアムはツボ振りのコスプレに興じていました。
 闇カジノをまるごと沈めたダーティージュウオウジャーは、命の宝石を賭けた勝負を挑み、卑怯な罠を乗り越えたサワオが地球王者決定戦に見事優勝。ダブルノックアウトで倒れていたレオとセラが復帰して宝石を取り戻し、宝石にされていたバドも元に戻っていよいよ決戦へ……のところで、コピー幹部のジャグド(第1話で倒されたチームリーダー)を「誰?」と弄るのは、物語の勢いを削いだ上に悪ふざけ感も出てしまい、大失策。
 また、なんの理由付けもなく突然ポカネから生み出されるコピー幹部自体はサービス要素&戦闘の数合わせして許容するとしても、どういうわけか揃って「自分が死んだ後の記憶」を持っていたのは、不思議な上に不可解が重なってしまい、余計な要素に。
 一つの壁を越えた黄&青が強敵アザルドをタッグで撃破するのはともかく、ジニスの復讐の念に燃えるナリアを、本編で特に絡みのなかった白が単純にしばき倒すという全く噛み合わない状況も発生し、記憶の所持そのものがこれといって効果的にならず(台詞を作る都合としか思えず)、今作単独としても劇的さに欠ける上で、本編のキャラクター性も無駄に損ねる残念な事になってしまいました。
 “軽めのVシネマ一本で倒される丁度良い新たなる敵”そのものが、本編が綺麗に落着した作品ほど“本質的な蛇足”になってしまう事情はありますが、黒幕ポカネも大物として描きたいのか小物として描きたいのか話の都合で腰が据わらず(最終的にだいぶ小物に落ち着くのですが、その割にはやたら強い上にコピー幹部を繰り出してくるので見ていて戸惑う)、ヒーローを引き立たせる悪役として全く魅力的にならず。
 特に、人間体(演:林家たい平)の演技が破滅的に稚拙で、登場シーンが端から茶番劇になってしまい、中盤以降の物語が、緊張感や切迫感皆無という惨状を招く大きな要因に。
 夏冬の劇場版でよく見られる、お笑い芸人(など)のゲスト悪役出演と同じ流れでしょうが、そういった起用の中でも今まで見た作品で最悪レベル。
 葉巻になぞらえて扇子をふかすのがメタネタ(落語家だから)なのはキャストクレジット見てようやく理解できましたが、特に面白くない上に劇中だと全く意味不明の行動なので演出による肉付けも巧くいっておらず、いくら『帰ってきた……』とはいっても、作品一本の悪役を張らせるには無理のあったキャスティングで、キャストした方が悪いのですが、作品の出来、という点においては致命傷になってしまいました。
 『帰ってきた……』そのものは、戦隊サイドのサービス要素こそが中心のボーナストラック、と思えば割り引いて考えるべき要素ではありましょうが、最新作を引き合いに出すならば、スーパー戦隊が「極めて本気だ」を構築する為には悪役こそが肝心要であって、そこを構築できなかった事により、物語上のサービスは充実していたが、スーパー戦隊としてのヒロイックな盛り上がりには欠けてしまう事に。
 クライマックスバトル、愛の力でレーザーブレードを発動するサワオ、はちょっと面白かったですが(笑)
 今作最大のサービス要素は、本編で度々「ニンゲンのメスに粉を掛けるレオをゴミのような目で見るタスク」の描写から、アブノーマルな性癖なのではと疑われていたニンゲンとジューマンの異種族恋愛についての一つの解答。
 サイの意見を、採用した!
 最後は、今作必殺ダンスを始めればオチがつくメソッドにより、レッツレッツダンス。
 そもそもあまり期待値は高く持たないで見ましたが、物語云々という以上に、ゲスト悪役の演技・演出・キャラ造形、の出来の悪さが足を引っ張り、全体の質を大きく下げてしまったのが惜しまれます。
 ED後にメンバーがメタ気味な挨拶をする場面とか、そういうもの、としては嫌いではないだけに、悪役が水準レベルなら、ボーナストラックとしてもう少し素直に楽しめたかな、という一作でした。

渚にて君を想う

光戦隊マスクマン』感想・第40話

◆第40話「甦れ!愛のメロディー」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
 世界的に名を知られた天才ピアニスト・眉が、孤児だった自分を援助してくれた顔も名前も知らない恩人の“おじ様”を探す為、3年ぶりに帰日。
 姿長官の指示により眉をガードするマスクマンだが、再生能力を持った寄生獣を宿すバルドドグラーの能力により、眉の右手が石にされてしまう。なんとか眉を修道院に連れて行く事には成功するマスクマンだが、満足にピアノを弾けなくなってしまった眉は嘆き悲しみ、姿長官はタケルの問いに眉の素性を語る……。
 10年前――地底に感知された異常なエネルギーの調査に向かったある男が、洞穴の中で砂地獄に飲み込まれる女性の姿を目撃。男は続けて怪物に襲われそうになった少女を咄嗟に助け、しれっと光線銃を使ったぞ!
 目の前で母親を失った恐怖の記憶から幼い少女の精神を守る為、男は少女の記憶を消去し、「眉」として生まれ変わった少女に影ながら支援を続けていたが、名乗り出る事で眉が自らの出自を求め、その結果として恐怖の記憶を取り戻してしまう事を避ける為に、頑なに再会を拒み続けているのだった。
 相手が世界的ピアニストだけに、自称“おじ様”の詐欺師の類いなど出てこないか心配になりますが、恐らく眉の周囲には光戦隊特務部隊(全員忍者)が常に諜報の目を張り巡らしており、仮に二心ある人物が眉に近付こうものらば、おじ様怒りの闇討ちが容赦なく執行されるのです。
 ……このやり取りで最後までタケルが気付かなかったらどうしようかと思ったのですが、長官が握りしめるオカリナ(?のようなもの)を見て真相を察してくれて、ホッとしました(笑)
 物語としては、実は姿長官は(少なくとも)10年前に地底人に接触しており、地底文明の情報を得ていた事が判明しましたが……この人、もしかしなくても、美緒/イアルの正体に気付いていたのではあるまいか。
 地底で語られる眉の正体は、地底一の音楽部族・メルメ族最後の生き残り。
 「その音楽は地底人に安らぎを与え、戦う気持ちを奪う」
 て、それ2年前にやりましたよね藤井先生!!
 まあ、こういったアイデアの再利用/アレンジは珍しい事ではなく、ゼーバは家畜化光線もとい家畜化音波を操る眉の抹殺を改めて命じる。
 地上では、探し求める“おじ様”に届けるべきピアノを弾けない事に眉が嘆き、海そして海。
 (眉……負けるんじゃない。希望を捨てるな。きっと君のおじ様は、そう願っている)
 姿長官はあくまで見えざる“おじ様”に徹する事を選び、修道院に戻ったタケルは、犯人はたぶん長官、と情報を共有。なんとしても眉を守り抜こうと決意するが、フーミンを囮にイガムが眉を捕らえ、フーミンにしては雑に見つかるなと思ったら目的は暗殺ではなく陽動でした、という納得の流れ。
 眉を人質に取ったイガムは、手も足も出ないタケル達を一方的に攻撃し、恨み重なるマスクマンを相手に一石二鳥、という腹づもりだったのでしょうが、当初の目的を見失っているぞ!
 「負けて、たまるか!」
 「みんな頑張れ! 耐えるんだ!」
 ……あ、これは、虹色のパワースーツを来た長官が助けに来るパターンか(笑)
 「……おじ様?」
 「……違う。私は、X0・マスク!」(ポーズ)
 バルドドグラーの攻撃で地に伏すタケル達に自らトドメを刺そうと剣を振り上げるイガムだったが、フーミンをもぎ離した眉の体当たりを受けて思わず殴り飛ばした事でオーラマスクの隙を与えてしまい、進行する残念化(悪性ウィルス)。
 眉を逃がしたマスクマンは寄生獣の角を叩き折って眉の治療薬を手に入れると、後は用済みとばかりジェットカノン。巨大バルドのクロー攻撃を受けるグレートファイブだったが、慌てず騒がずグレートガンで本体を撃ち落とすと、珍しくシールドで光線攻撃を反射してから、ファイナルオーラバースト。
 中盤以降は特に、巨大戦はざっくり傾向のマスクマンですが、通常戦闘が気合い重視かつ追い詰められた時こそ命の炎が燃え上がるスタイルである事とのギャップの大きさもあり、結果的に物凄く、冷徹な計算を元に地底獣を抹殺していく印象になって闇が深い。……そういえば、初代戦隊巨大ロボであるところのバトルフィーバーロボには、劇中最強の存在である鉄山将軍をモデルに戦闘モーションがインプットされていた節があり、グレートファイブも敗戦を機に姿長官をモデルにしたニュー戦闘プラグラムが組み込まれたのかもしれません。
 寄生獣の角から作り出された治療薬により眉の右手は元に戻り、眉を励ますタケルに向けて、(いやおまえそこは俺のターンでしょ?! おまえ彼女いるじゃん! 俺に言わせろよ!)と視線を向けるケンタだが……考えてみると、戦隊シリーズにおいて、「二枚目ポジション」が赤、というのは割と珍しいでしょうか。序盤から、従来作とはややアプローチを変えたレッド(リーダー/主人公ーヒーロー)像を模索しているように見えるもあまり巧く機能していなかったタケルですが、物語が押し迫ってから、キザに活路が見出されるとは、さすがに思いも寄らず(笑)
 キザでニヒルでちょっと影のあるヒーロー、というのは一つ二つ前の世代のモデルといえそうですが、お義兄様には改めて、妹を誑かした男の身辺調査をお勧めしたい。
 そして……
 (おじ様、私、信じています。今は会えなくても、いつか、必ず会える事を)
 ドレスアップした眉のピアノが無人のホールに響き、舞台袖からそれを見守るタケル達は、そっと扉を開けてホールに入ってきた姿長官に気付く。
 (眉……私はどこに居ても、どんな時でも、君を見守っているよ。そして、いつか必ず……)
 しばし戦いを離れて目を閉じた長官は追想にひたり、海そして海。
 長石×藤井コンビとしては、ケンタ夏の蜻蛉回の同工異曲といえますが、藤井邦夫のロマンス趣味と長石多可男の映像的情緒が密接に絡み合い、海そして海。
 (親愛なる、おじ様。私は今日、おじ様に、会えたような気がしました。ありがとう、おじ様)
 去りゆく姿の背中、一心にピアノを弾き続ける眉、そして日本を飛び立つ飛行機、で、つづく。
 話が面白かったか、と言われると可もなく不可もなく、といった程度でしたが、やる事はやった上で、スト2分強、ピアノとモノローグと映像美だけで構成するという、当時の尺(本編17分強)を考えると、かなり攻めた一本。
 ケンタ回と比べると、姿長官のキャラクター性に合っていたのは良かったと思います。
 また、眉がチューブの重大な秘密を知っているのではないか? と推測するも、危うい記憶を甦らせてまで無理にそれを知ろうとはしない事でマスクマンのヒーロー性が上がったのも良かったところ(ちなみに4年後に「地球を守る為なので当然記憶を甦らせるべき」と、いたいけな少女を戦士思想に改造してしまう主人公が登場する戦隊があるのですが、公私を混同するな、俺たちは戦士だ!)。
 姿長官回としては、闇討ちオーラおじさんばかりではないダンディーな紳士の一面を引き出した上で、地底からの脅威への対策・調査が長年に渡り行われてきた事・地底人=絶滅させるべき侵略種族ではない事・姿長官はなんだかんだほどほど人情を介す人物、というこれまでの積み重ねを最終盤を前に補強してきたのは、手堅い。
 次回――これは、井上敏樹の大好きなパターンですが、果たして(笑)