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3000年の果実

電子戦隊デンジマン』感想・第7-8話

◆第7話「デンジ星の大悲劇」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三
 地球侵攻が遅々として進まず、お肌のコンディションが気になるヘドリアン女王は、アラビア風味な踊り子(ミラーとケラー?)のダンスをバックに、ベーダーの父なる魔神に祈りを捧げ、かつてデンジ星を滅ぼした最強のベーダー怪物の子孫、ウミツラーが誕生。
 今回は完全に海産物なウミツラーは、特殊なバクテリアによりダムを汚染すると、川から海へと下流に汚染を広げ、腐敗指数98度以上の腐った水により東京一帯をヘドロの海に沈める作戦を展開し、川に流れ込んだスライム状のバクテリア塊に襲われる釣り人の姿がまた、残酷ホラー路線。
 ダム湖は一面の真っ赤な軟体物質に埋まり、街には傘を溶かすほどの酸性雨が降り注ぎ、マンホールから強い酸性を持ったバクテリアが溢れ出すと鉄骨を腐食させて陸橋を倒壊させ、大がかりな映像と被害規模で、かつてデンジ星を滅ぼした作戦に説得力を与えてくるのは秀逸。
 腐臭漂う東京湾を調査中、アンパンくわえた青梅は地中から忍び寄るウミツラーの襲撃を受け、緑川と桃井が気付かぬままに、背後で砂中に引きずり込まれそうになる、タイムリーな魔戒のホラーギャグ(笑)
 幸い、ギリギリで緑と桃に救出されると、ウミツラーはすたこらさっさと逃げていき、よく見ると衣装が釣り人つまり、ベーダー一族には「釣り」の文化が。
 「デンジ星は、ウミツラーに襲われたのだ」
 バクテリアの映像を基地に持ち帰るとアイシーとデンジテープが反応を示し、今明かされるデンジ星最期の日。
 ダイデンジンは、間に合わなかった決戦兵器であった事が判明し、海釣りバクテリアの浸食とヘドロ津波により文明の崩壊したデンジ星人は、生き残った僅かな人々がデンジランドで星を脱出、地球に移住しようとするも既にランド内部にバクテリアが入り込んでおり、壮絶な戦いの末、アイシーを残して全滅したのであった。
 「私は、電子戦隊の結成を、アイシーの記憶装置に残した」
 ――そう、つまりこれは、
 3000年越しの、復讐だ。
 第1話における、「君たちは、デンジ犬アイシーに選ばれた戦士。電子戦隊デンジマンとして、ベーダー一族と戦うのだ」の際にデンジランドで解説された「我がふるさとデンジ星は、3000年前、ベーダー一族に滅ぼされてしまった。我々は地球を守る為に、電子ロボット・ダイデンジンを地球に送り込んだ」のくだり、
 ・何故デンジ星人は、3千年も前に縁もゆかりも無さそうな地球を守ろうとしたのか?
 ・何故デンジ星人は、地球をベーダー一族が侵略する事を見越していたのか?
 という不可解な2点の疑問があったのですが、
 ・デンジ星を滅ぼされたデンジ星人は、地球へと 侵略 移住しようとしていたので、ダイデンジンが地球にあった
 ・ベーダー一族がたまたま地球に飛来したので、時は来た、と復讐のプロジェクト・電子戦隊が起動した
 という好意的解釈の余地の無い真相が判明(笑)
 因果関係を逆転させて、地球人に恩を売ろうとしていたデンジテープ、結果的に「取引」としては地球にも大きな利のある関係となりましたが、アイシーは、やはり魔犬。
 敵の凶悪さを知った赤城は陽動作戦を発案し、子供達とバスケットに興じたり、ショッピングに出かけたり、のほほんと日常を過ごしている姿を見せつける。
 ナレーション「電子戦隊の陽動作戦は、図に当たった。ベーダーは、安心して、隙を見せた」
 監視役のミラーとケラーが引き上げるや否や、赤と桃がそれを追跡するのに合わせてEDのイントロが流れ出すのが格好よすぎます。
 ベーダーはベーダーで、ウミツラーが情けなく逃げ出す姿を見せた事でデンジマンは油断したに違いないと思い込んでいたが、腐敗指数の低下に慌てたウミツラーが慌ててダムのアジトに乗り込むと、そこに待ち受けていたのは戦闘員に紛れ込んだデンジマン
 「「「「「見よ! 電子戦隊! デンジマン!!」」」」」
 「「抹殺せよ!!」」
 かくなる上は、と思い切りよくダムを爆破しようとするベーダー一族との集団戦に突入し、ドリルにスピンキックにハンマーパンチで戦闘員を蹴散らすが、怪人のヘドロシャワーや一本釣り攻撃を受け、大苦戦。
 トドメの爆弾で消し飛んだかと思われたデンジマンだが、地中に逃げると第1話以来となるデンジ組み体操で瞬間的にデンジ筋肉に負荷をかける事により火事場のデンジ馬鹿力を発揮するデンジタワーを発動し、溜まってきたストレッチパワーによる連続キックでの反撃からデンジブーメランでスパーク!
 もしかすると《スーパー戦隊》史上初の組み体操かもしれないデンジタワー、緊急時のリミット解除みたいな機能かと思わますが、これが前作だと苦戦の真っ最中にいきなり「スクラム!」で必殺技を発動して逆転勝利だったので、回避からタワー! のワンクッションを挟むだけでも、戦闘シーンの起伏が増しているとはいえます(笑)
 ウミツラーが巨大化して爆弾を連続投下するとデンジタイガーが発進し、その姿を見て驚くベーダー上層部。
 「しまった……! デンジマンめわざと隙を見せてウミツラーをおびき寄せおったか!」」
 将軍、凄く、微妙なタイミングで真相に気付きました(笑)
 ダイデンジンは巨大ウミツラーとの戦いに挑み、前作よりは遥かにBGMに恵まれている今作ですが、さすがに今回は小刻みな切り替えが多くて苦しくなり、巨大戦はOPインストをバックに、鉄球連打から一本釣りをデンジ剣で切り裂いて、満月斬りでスパッ!
 「ああーーーっ! デンジ星の夢、再びならず……!」
 「デンジ星には電子戦隊など存在しなかった。はぁぁ、にっくき電子戦隊め!!」
 怒りのヘドラー将軍が、壁に剣を投げつける武人らしいパフォーマンスを見せ、アイシーに復讐なれりを報告するデンジマンで、つづく。
 ラスト、5人と一緒にダムを走るアイシー(ちょっと左右をキョロキョロ)の図は、珍しくいい意味で犬らしくて良かったです(笑)
 ……ところで、前回からデンジマンの溜まり場が喫茶店に変わっているのですが、なにか撮影上の都合でも生じたのでしょうか。……どちらにせよ多分、赤城の持ち物件だとは思われますが、次回――撮影所コスプレ回。

◆第8話「白骨都市の大魔王」◆ (監督:竹本弘一 脚本:江連卓)
 魔神ガチャピックアップも電子戦隊の前に敗れたベーダー一族では、映像を駆使して時間を自由自在に操るフィルムラーがプレゼンされ、
 「ふははははは面白い! 街を死に瀕した、人間どもで埋め尽くせ。東京を、白骨都市にせよ」
 の言い回しが格好良く、フィルムラーが出撃。
 早速、東京に映画スナックを開店し、呼び込みをしているのは多分ミラーさんとケラーさんと思われるのですが、人類文明への馴染み方が凄い(笑)
 前作のサロメも頻繁に衣装を変更しては工作活動を行っていましたが、女性幹部コスプレ回のはしりといった感じで、既にミラー&ケラーの方が、桃井あきらより衣装パターンが多いのでは……?
 「あれはまさしく……青梅大五郎」
 無料サービスに惹かれて青梅と子供たちは映画スナックへ入店し、既にデンジマンの中身が把握されているのですが……思えば前回時点で、かなりピンポイントな監視を受けておりました(笑)
 店の表にかかっていたポスターは『2001年宇宙の旅』なのですが、映画スナックの中身は、体感型の映像アトラクション――実質お化け屋敷――になっており、クレジットを見るに、不気味な白衣の老人は、名悪役・安藤三男さんでしょうか。
 「恐怖映画館に、ようこそ」
 かなり趣味の悪いビックリ屋敷で恐怖のフィルムに翻弄された末に、ガスを浴びせられた青梅と少年たちは、ようやく外に出ると、なんと揃って老人に。
 「おい青梅……いい加減にその変な変装をやめたらどうだ」
 今回は溜まり場がアスレチッククラブ内部に戻り、事情を説明するも邪険に扱われて、キレて丸めた雑誌を投げつける青梅(笑)
 どうせカツラとヒゲだろう、と赤城と黄山(一緒に行動する事が多く、漂う仲良し感)が青梅の白髪をむしり取ろうとするコミカルな一幕が描かれ、さすがにそろそろ、あれこれマジ……? と顔を見合わせる赤城と黄山、沈鬱な表情で背後に並ぶ子供達の視線が、割と冷たい。
 そこに桃井と緑山が駆け込んできて巷に溢れる老人化事件を伝え、顔を出したアイシーは特に役に立たず、赤城らは5人揃って映画スナックへ。
 待ち受ける老化ガスにデンジスパークで抵抗すると、デンジスティックの直撃を受けたフィルムラーが、人々の時間を操っていたフィルムを吐き出し、青梅復活。
 廊下に仕掛けられた罠によって壁にプレスされそうになる5人だが、赤が問答無用のデンジキック! により一撃で壁を粉砕してみせ、やはり後のオーレッド(初期)は、正しくこの系譜だなと(笑)
 活動拠点を失ったフィルムラーだが、ゲリラ的に老化ガスを撒き散らして東京を白骨都市に変えていき、
 「今夜は、あのビルの壁をスクリーンに、今世紀最大の映画ショーを、開いてやるぞ!」
 とギネスブック登録を目指して、悪魔のプロジェクションマッピングを計画する。
 デンジイヤーは地獄耳によりそれを感知したデンジマンだが、再び逃走したフィルムラーは新映撮影所へと潜伏。一当たりした怪人は撮影所のフィルムの中に逃げ込み、何かリアルな撮影の都合があったのか、デンジマン姿のままフィルムを漁って怒られたり、デンジマン姿のまま映画館の偉い人に事情を説明してフィルムを試写してもらったり……と無理のある映像かつ間延びした展開が続き、勢いとしては撮影所内部で決着をつければスマートだったのに、余計な出入りが加わって、テンポが急速に悪くなってしまいました。
 集団戦に突入すると、フィルムラーの場面転換能力により、西部劇、時代劇、スポーツ物でアメフト、と各種コスプレバトルが展開し、とにかく青梅というか大葉健二が抜群の身体能力で何をやっても格好いい。
 コスプレはむしろヒーローを利するだけ、とデンジマンに戻すとすかさずデンジブーメランが炸裂し、フィルムラーが大爆発するとOPがぶちっと切断される懐かしの超編集は、どこか、セルフパロディの趣があります(笑)
 巨大化したフィルムラーは、ざっくりデンジ剣のサビとなり、めまぐるしい展開とコミカルなアクセントが利いてAパートは割と面白かったのですが、Bパート入ってからのテンポがあまりに悪くて残念でした。
 次回――予告映像のジャイアント黒電話はインパクト大ですが、どうなる?!