東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

法律屋はまだいない

『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第17話

◆バクアゲ17「ブンとビュン」◆ (監督:加藤弘之 脚本:冨岡淳広
 「会いたくない……いや、会えない」
 瀟洒なバーを買い取って、各々ドレスアップした姿(除く大也)で、始末屋&ビュン・ディーゼルとの会見をセッティングするブンブンジャーだが、肝心のブンブン総司令がビュンとの対面を拒否して一触即発。
 「まさか、おまえらもブンブンジャーとはなぁ。……レッドくんさー、俺達もブンブンジャーなんだがなぁ」
 あ、やっぱり、からまれた、
 「ブンブンジャーは元々、私とブンドリオがビッグバングランプリで使っていたチーム名だ」
 ブンとビュンは、元々BBGにおいて同じチームで走っていたライバルであったと明らかにされ、誰に断ってその名前で商売しとるんじゃワレ、出るところ出てジャッジメントしてもらおうか、あぁん? 宇宙には怖いお巡りさんがぎょうさんおるんやでとスペース訴訟をちらつかせながらの示談金交渉待ったなしの気配になる中、街にジムグルマーが出現し、藤宮ぁぁぁぁぁ!!(いつもの発作です。気にしないで下さい)
 「へっへっへ、健全な悲鳴は、健全な肉体に、宿る」
 ハシリヤンが強制トレーニングでギャーソリンを集めているところに、大也を除く4人が駆けつけるとおめかしモードからのブンブンチェンジで、普段と違う衣装を強調しながらの変身は良かったところ。
 ダンベルの雨が降り注ぐ中、戦闘員を蹴散らす青桃黒橙だが、まんまと筋肉体操に囚われてしまい、ハッキング速度が二倍二倍。
 ……どうもブンブンジャー、敵の特殊能力にあっさり引っかかって行動不能になりがちな印象があります(笑)
 一方その頃、大也はビュンビュンから、ブンブンジャー誕生の経緯を聞かされていた。
 「昔の話だ……私が考えたビュンビュンジャーと、ブンドリオが決めたブンブンジャー、チーム名をどっちにするか、レースで決める事にした」
 チームの命名権を賭けたその一回だけ、ブンブンはビュンビュンに勝利を収め、良かった……! 訴訟は回避された!
 「あれからブンドリオが、どこで、何をしていたのか。私は知りたいのだ」
 BBGから姿を消し、死亡説も噂されたブンブンの消息をビュンビュンは求めており、敢えて「ブンブンジャー」を名乗っていたのは、知財権の主張ではなく、どこかで生きていてこの名前を耳にしたら連絡してこいよこの野郎、というメッセージであった模様。
 裁判沙汰にならないなら聞くこと聞いたしもういいや、と大也は車に乗り込み、ビュンに合わせる顔が無いと考えているブンブンの意志を尊重しているとはいえますが、「元気にカレー作っている」程度の事も伝えずに走り去ろうとする、結構な酷い対応(笑)
 「はぁ……こんな星、ハシリヤンにやっちまえよ」
 「君も地球人だろ?」
 大也の車を興味深そうに見ていた先斗はブンブン活動に賛同せず、二人の価値観の相違を盛り込んでくるのですが、
 ・先斗に地球人としてのアイデンティティを求める大也のピントがズレている気がする
 ・大宇宙におけるハシリヤンの勢力規模と脅威度がピンと来ない
 と、BBGの扱いを含め、背景に大きなスケール感を漂わせるが輪郭が曖昧すぎて全体像が妄想さえ難しい今作の作劇がマイナスに働いて、もう一つ要領を得ないやり取りに。
 「俺はこの星捨てたんだ。こんな戦い、なんの得がある」
 「俺が……いや…………“俺達”がやりたいからやってる」
 「…………そーいうの――だいっ嫌いだ」
 「みんなそう言うよ」
 これといって劇的な出来事も無いままふんわりとチームを感を主張しつつ、第17話にして、“みんな”って誰よ?! きーーーっ、この泥棒猫!! になっていますが(名もなき大衆から冷笑を受けるような描写はこれまで特に無いですし……)、今作ここまでのところ、過去に絡む大也の思わせぶりな発言は特になんの面白みもなく回収される事例が積み重ねられているので、気取った言い回しから発生するのは、すっかり負の信頼感になっていて辛い。
 「どうする? もっとカオスを楽しむか?」
 走り去る大也を見送った先斗は、ビュンに尋ねられるとしばし考えた後、ブンレッドに続いて、ハシリヤンとの戦いに乱入。
 「おい、ブンブンジャー。――俺を雇わねぇか?」
 「「「「「はぁ?」」」」」
 先斗は返事を待たずに、くるっと回ってビュンビュンビューン!
 ……変身ポーズ、なんとなくゾックス(『ゼンカイジャー』)を思い出すなと感じていたのですが、顔の左斜め上にコントローラーを構えた姿勢が、ちょっとよほほいっぽいのか?(笑)
 「始末屋――ブンバイオレット! 今なら初回無料でお得だぞー」
 「悪いが、間に合ってる」
 「ふん、苦戦してた癖に」
 返す言葉もございません。
 紫は前回に続いて挿入歌に乗って大暴れを見せ、ビュンビュンアローのスナイパーモードでダンベル投げを打ち破ると、タイヤ打ち上げからの爆上げファイヤーで、ブンブンジャ一行様、二週連続で、棒立ち。
 「どうよ~。俺の仕事は速ぇぞー」
 返す言葉もございません。
 戦闘力を見せつけられるバイオレットだがその時、キャノンボーグによって一工夫されたヤルカーが、ギャーソリンを活性化させ暴走体へと進化させるハイウェイ空間と同じ効果を持つハイウェイ光線を放ち、ハイウェイ空間が省略される仕様となってジムグルマーが巨大化。
 ブンブンロボが出撃すると、ビュンディーもコマンド承認で巨大化変形し、
 「教えてやろう。誰が一番早いかという事を」
 とブンブンをあっさりと抜き去って、ビュンビュン行くぜ!
 マシンモードでジムグルマーを轢き倒すビュンディーだったが、改造隊長の仕掛けによりジムグルマーは巨大な無限ランニングマシンに変形。罠にはまって一時はタイヤバーストの危機に陥るビュンディーは辛うじて脱出に成功すると、リタイヤの窮地に駆けつけたブンブンロボが鮮やかなタイヤ交換を行って、レースもとい戦線に復帰。
 ブースト加速から人型にスタンドアップすると、ジムグルマーめがけて爆走しながらビュンビュンメガバズーカを放って粉砕し、そのまま走り抜けてゴールインするとブンブンがチェッカーフラッグを振る画は、車モチーフとレース要素を取り込んだバトルのフィニッシュとして綺麗に決まりました。
 追加戦士キャンペーン中にしても、ブンブンジャーが二週連続棒立ちのまま終わってしまった通常戦闘に対して、ブンブンが咄嗟にビュンディーに手を貸す流れから、無理なく今作らしい“ちょっと一匙”に繋がったのは、良かったところ。
 「いずれ借りは返すとしよう。ブンドリオ!」
 ビュンビュンは格好つけたまま走り去り、あ、あれ、会話は……?
 「いいのか? ブンドリオと話さなくて?」
 「ああ。気が済んだ。あのタイヤ交換で充分だ」
 「……そうか。良かったな」
 お互いにレーサー同士、千の言葉をかわすよりも雄弁なピットストップであった……とビュンは頷き、相棒に笑顔を向け、ちょっといいところを見せた先斗(前回も、子供には優しかったですが)は、何やらレーサーカードのようなものをポケットから取り出し……
 「次はおまえの番、というわけか」
 「…………いや。帰るか、宇宙に」
 何やら地球に思い残しがあるらしい先斗だが、そこにかかってくる改造隊長からの電話。
 一方、ブンブンジャーの方では情報屋が焔先斗の10歳までの情報を集めており、微妙に不穏な空気となって、つづく。
 割と小ネタを散りばめてくる加藤監督の演出が最近の『ブンブン』に足りていなかったものを補ってくれた感があり、先斗乱入から、久々に本業で仕事をする情報屋による引きまでは、割と面白かったです。
 この刺激物が、良い具合にカオスでかき混ぜてくれると作品が活性化しそうで嬉しいですが、次回――6人並んでブン回せ!