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マーキュリーが止まらない

仮面ライダーX』感想・第34話

◆第34話「恐怖の武器が三人ライダーを狙う!!」◆ (監督:内田一作 脚本:鈴木生朗)
 見所は、「設計図を」と聞いて受け取ったアタッシュケースを、いきなり打撃武器にする敬介。
 RS装置の設計図の断片、その最後の1枚を持つアマミヤ博士が来日。空港へ出迎えに向かった敬介だがゴッドの襲撃を受け、前回の拳法着に続いて、今回は古代ローマ風のトーガ+月桂冠で、どうしてここに来て、ちょっとしたコスプレ路線なのかゴッド戦闘工作員
 博士を連れて囲みを突破しようとする敬介だが、来日前にゴッド怪人・タイガーネロの襲撃を受けて操り人形と化していた博士に背後から組み付かれ、姿を見せるタイガーネロ。
 「もうおまえの役目は終わった。死ねぇ」
 敬介の動きをコントロールする為の餌だった博士はぐっさり刺し殺されるが、もはや目の前で人が死んだ事など毛ほども気にせず、用があるのは設計図だけとばかりにニヒルに笑うとアタッシュケースを手に立ち去ろうとする敬介は、偽のケースに仕込まれていた毒ガスを浴びてゴッドに囚われ……正直、自業自得な気はしてなりません。
 「よくやったぞ。さすがは悪人軍団の切り札、タイガーネロだ」
 当然、博士の持つ設計図は既にタイガーネロの手中にあり、新発明の設計図、そのバラバラにされた9枚の内の1枚を目にして本物だと断定できるキングダークの中身は、やはり高名な物理学者なのでは……。
 「これで、儂の手に入った、設計図は、2枚」
 残念すぎる現状把握が続き、Xライダーが勝負に勝って試合に負ける作劇はしにくかったのかもですが、取った取られたの面白みがあまり出せなかったのは、RS装置編の残念だった点。
 残る設計図を手に入れようとするタイガーネロは、敬介を人質にして藤兵衛に設計図との交換を要求し、とうとうゴッドに渡ってしまう全ての設計図。
 「ゴッドに約束などないわい」
 非道なタイガーネロにより敬介が絞首刑とされる寸前、風見先輩がバイクで駆けつけ、ライディング変身・V3!
 V3先輩の活躍により自由の身となった敬介、高いところ(この後の場面を見ると、スキーのジャンプ台か……?)に居て風が強い為、頭髪がもう、物凄い事になっていてですね、本当になんて事をしてくれたんだ、マーキュリー回路……。
 「タイガーネロ、設計図を渡せぃ!」
 「改めて勝負をつけてやる。タイガー竜巻地獄!」
 タイガーネロをは自らつむじ風と化す事で設計図を持ち帰る事を優先し、
 〔ところてん方式で優先順位が上書きされる・短気をおこして攻撃手行動を取る・誰も最優先目標がわかっていない〕
 などが頻発する怪人業界においては希有な人材で、確かにこれは、悪人軍団のエース(笑)
 「はーっははははは! でかしたぞ、タイガーネロぉ!」
 9枚の設計図を手にしたキングダークは高笑いと共に立ち上がり、下からあおりの映像が、良い迫力。
 「これこそ、確かに、RS装置の設計図だ。これが完成した暁には、おまえを、ゴッド最高幹部に、推薦しよう!」
 ……あ、「してやろう」ではないのか(笑)
 どんなに体が大きくても、重役会議の投票権は一人一票!
 ゴッド機関は、一人一人の個性を尊重します!
 正義の! 心を! 人為的に作るな!!
 世界地図から日本を抹消するべくRS装置の制作が進む中、敬介が工作員に取り付けていた発信機を頼りにXとV3はゴッドのアジトへとバイクを走らせ、タイガーネロ部隊は、科学班も月桂冠装備(笑)
 発信機に気がついたネロは二人を待ち受けると、完成したRS装置をお披露目し、究極の破壊兵器を前に身動きの取れない二人に迫る、試し撃ちの危機。
 「仮面ライダーV3、後は頼む」
 「なに?」
 「設計図を奪われたのは俺の責任だ。俺が命に替えてもあの装置を破壊してやる!」
 「待て! その役目は先輩の俺だ!」
 「いや、俺が行く」
 「よし、共に行こう」
 「うん」
 いや、二人とも行ったら駄目では……?(笑)
 一人が捨て身で突撃した隙を残りの一人が突くとか、一人が相討ちを果たした後に残りの一人が後始末をつけるとか、そんな発想はあれよあれよという内に二人の脳裏から消え去り、自己犠牲を主張し合っている内にテンション爆上げとなったXとV3は、自分のハンドルをブン回せ! と揃って正面突撃してしまうが、発射の号令をかけた瞬間、裏切り者の仕掛けた装置によりRS装置は大爆発。
 万一に備え、ゴッドの研究所に潜入していた一文字隼人の工作によりRS装置の発動は阻止され、更に一文字は、設計図の中枢回路部分を既に奪還している事を明らかにする。
 「私の変身をお目に掛けよう!」
 ゴッド戦闘員を蹴散らし、堂々たる先輩ぶりを見せつけた一文字が変身を決め(台詞は初変身の時のセルフオマージュでしょうか)大地を蹴ってライダージャンプ!
 3ライダーはタイガーネロを取り囲み、竜巻地獄をかわすと真空・地獄車!
 ……前回今回と、目を光らせたXが爆発を背負った直後に、まるっきり棒立ちの怪人のカットが入るのは何故(笑)
 背中にXキックを受け、最長不倒距離を叩き出したタイガーネロが大爆死すると、建物の向こう側に姿を見せるキングダーク。
 一文字の奪った設計図は必ず取り返してみせるもんね、と告げると姿を消し……キングダーク、掴みのインパクトは素晴らしかったと思うのですが、物語が佳境に向かうにつれ、どうしようこいつ……感が増していき(倒す事そのものはなんとでもなるが、その前段階では大変絡めにくい)、大袈裟に出てきては何もせずに帰るだけの人になっているのは、残念。
 スタート直後(ある意味、以前)に路線修正、一桁話数の内にメインライター降板の事態を考えれば持ち直して粘り腰を見せていた今作ですが、RS装置編における失速はいかんともしがたく、最終盤に客演の先輩がおいしいところを持っていく、恐らくは避けたかったであろう展開から、次回――さらばXライダー!