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怒りの大巨人スタンドアップ

仮面ライダーX』感想・第33話

◆第33話「恐怖! キングダークの復しゅう!!」◆ (監督:内田一作 脚本:村山庄三)
 道ばたで昼寝中、悪夢にうなされて跳ね起きた敬介は、夢で見た中国服の少女がゴッドに追われているのを見て助けに入り、今回も開口一番、
 「女の子に何しやがる!」
 のワイルド路線。
 肥大していく闘争本能の赴くまま、工作員を蹴散らして助け出した少女は南原グループの一員ヤン博士の娘であったが、設計図の断片を受け取った博士夫妻は既にゴッドにより殺害されており……許せない! 許せないぜ南原!!
 身寄りの無い少女は例の如く藤兵衛の喫茶店で預かる事になり、よみうりランドに遊びに繰り出す一同だが、それをキングダークが見ていた。
 「神敬介め。いい気になりやがって。吠え面かくのは、もうじきだ」
 チャイナ少女とイチャイチャし、女子大生二人から嫉妬の眼差しを受ける敬介の姿に地下のキングダークは怒りを燃やし……え、サブタイトルの「復しゅう」って、そういう事だったの?!
 遊園地で遊び回っている間に体調を崩した少女は、敬介の部屋に入り込む事に成功すると、設計図を探して部屋を荒らし始め、その正体はゴッド怪人・ムカデ楊貴妃(女性形の怪人に女性が声をあてている珍しいパターン)。
 「神敬介、命が惜しかったら設計図を、こっちにお寄越し!」
 「はははは……ざけんな。そんな欲しけりゃ、腕尽くで取ってみろ!」
 乱暴な口調で啖呵を切る敬介、マーキュリー回路の影響による人格改造が深刻ですが、メタ的には、今後の仕事の関係で役者さんが“男らしさ”をアピールしたく、制作陣がそれに配慮したようなところもあったのかもしれません。
 ヌンチャクを振り回すゴッド拳法軍団を相手に、ニヒルに笑って鼻の頭をかいた敬介が大変身すると奪ったヌンチャクで戦う辺りは、『イナズマン(F)』などにも見えた当時のカンフーブームの反映でありましょうか(ブルース・リーの没後に、日本国内で続々と主演映画が公開されていた頃)。
 ムカデ楊貴妃もまたヌンチャクを振り回しての死闘が展開し、一当たりの後、撤収。
 「おのれXライダーめ……この恨みは必ず晴らしてやるからね……ひーひっひっひっひ……」
 「馬鹿者め……誰が力尽くで設計図を奪えと言った! おまえのその美貌にものをいわせ、神敬介から、騙し取れと言ったのだ!」
 「しかし、キングダーク様……」
 「むー……もう、お前達には任せられぬ」
 傾国の美貌(?)を活かした中華式ハニートラップ作戦の失敗に本日も雷を落としたキングダークは、自ら立ち上がると、敬介を悪魔の墓穴に誘き出すように指示を出し、ヤン娘がゴッドにさらわれれる茶番劇により、敬介を悪魔の墓穴へとご招待。
 そして、落とし穴に、落ちた!!
 ……頭脳回路への侵食が止まらない敬介、このままではいずれ
 (くっ……なんだこれは、俺が、俺で無くなっていくような……)
 (そうだ敬介。マーキュリー回路がおまえの脳を完全に掌握した時、おまえは完全なる神の器と化すだろう)
 (……そ、その声は、親父……ッ?!)
 みたいになりそうでドキドキします。
 新機軸を打ち出して意欲的な要素を複数盛り込むも、急激な路線変更とその後の紆余曲折により大半が海の泡と消えてしまった『X』ですが、結果として広げきれなかった要素に妄想をねじ込む隙間が多いのは、過去2作とは違う独自の魅力を生んでいるかもとは(笑)
 落とし穴の底にはマコチコが囚われており、髑髏を介して接触してくるキングダークに対し、実はヤン夫妻もその娘もジュネーブで無事に生きており、全てはキングダークのアジトを探る為、仕掛けに乗ったフリをしていただけだと敬介は種明かし。
 ヤン一家が南原博士の犠牲にならなかったのはホッとしましたが、マコチコは思い切り巻き込まれているし、ヤン博士の所在も確認できないままゴッドは偽物作戦を仕掛けたのかなど双方穴だらけになっており、罠の掛け合いとしてはだいぶ無理のある事に。
 「Xライダーに変身しても無駄だ! その小娘どもは、死ぬ!」
 設計図は渡さない、と啖呵を切る敬介だが、マコチコが毒ガスに倒れると態度を変え……この男、マコチコが事件に巻き込まれるのに慣れすぎて、毒ガスぐらいでは死なないと思っていたのでは……?
 設計図はクルーザーの中に隠してあると明かしたXは、お許しを得てクルーザーが召喚するが……
 「とう!」
 なぜかV3先輩が、クルーザーに乗って出てきた(笑)
 仮面ライダーの先輩後輩における体育会的上下関係は、自動走行中の愛車にも適用される事が判明すると、悪魔の墓穴へと突入してきたV3先輩によりXはチコマコと共に脱出に成功し、墓穴に取り残されるKDドクロが大変切ない絵面。
 ところが今度は真ヒロイン・立花藤兵衛がムカデ楊貴妃に人質にされてしまい、
 「……敬介、こうなったら仕方ない。設計図を渡そうじゃないか」
 あっさりと悪に屈しようとする風見先輩だが、常人とは覚悟の違う真ヒロインは自ら虚空へと身を躍らせ、仮面ライダーの足かせになるまいと、いやむしろ、自ら死を選ぶ事で仮面ライダーの背中を押し、少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり――貴様らも永遠なのだーーーーーー! と少年ライダー隊スピリッツを完遂しようとするがその時、仮面ライダー2号が空中で藤兵衛をキャッチして地上に降り立ち、ヒロイン力が凄すぎます(笑)
 敬介は仮面ライダー2号/一文字隼人を紹介されて握手をかわし、その場に居合わせるマコチコはもはや、重要関係者扱い。
 おう敬介ちょっとコーラ買ってこいよ、と先輩後輩の上下関係の確認が行われるかと思われたその時、キングダークのパンチが地上を揺るがし、Xはムカデ楊貴妃と激突。
 2号とV3がキングダークの元へ向かう中、カラス爆弾やムカデヌンチャクなど多彩な攻撃に苦しむXだが、一蹴り入れてからの真空・地獄車ーを発動し、何度見ても、空中で身動きの出来ない敵を、背中から蹴り殺すのがえげつない組み立て。
 「今は、おまえ達と、争っている時ではない! いずれ、決着をつけてやる」
 地下のキングダークの前で合流する3人だが、決着を先延ばしするキングダークはスモークと共に姿を消し、とにかく先輩を出した、以上でも以下でもない出来ではありました。
 恐るべきは、立花藤兵衛の真ヒロインパワー(笑)