東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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Bは暴力のB

『バトルフィーバーJ』感想・第19-20話

◆第19話「世界最強の美女!!」◆ (監督:竹本弘一 脚本:高久進
 今回の、妙に面白かった台詞。
 「これまでの情報では、犯罪組織エゴスに、プロレスラーのような女は居ない」
 ……どういう精度の調査なのかとか、「プロレスラーのような女」の基準はどの辺りなのかとか、それらひっくるめて謹厳実直を絵に描いたような鉄山将軍が重々しく口にして押し切ろうとする剛腕が、変なツボに(笑)
 その“プロレスラーのような女”は、殴り飛ばして手に入れた警官の制服を用いて、偽警官を利用した現金強奪事件を繰り返しており、マサルの目撃情報から作成したモンタージュを手に、女の捜索に向かうBF隊。
 一方、謎の女の正体はエゴスでも掴んでおらず、エゴスの構成員が女を襲撃するも返り討ちに遭っていたが、サタンエゴス様から調査命令を受けたヘッダーが自ら出撃すると、旧知の仲と判明。
 「いつ見ても、見事な腕前じゃなぁ、サロメ
 「ヘッダー指揮官。お久しぶりです」
 「おまえも元気だったか」
 「ハイ!」
 両者はにこやかに挨拶をかわすと、女の正体はアメリ支部から来たヘッダー秘蔵の弟子だったと判明し……え、あれ? これ、構成員、殴られ損……?
 サタンエゴス様の前ではとぼけていたヘッダー、この場面の反応を見る限りでは強盗事件の真相を把握していたとおぼしいのですが、エゴスに所属していなかった弟子を高く売り込む為、ならまだわかるものの、元々アメリ支部に所属していたならば、人事情報を握り潰して無用の内輪揉めを引き起こしただけなのでは(笑)
 この後、奪い集めた現金を手土産として並べる事でサタンエゴス様の歓心を買うので、どちらにせよ弟子の手柄をアピールしたい狙いはあったのかと思われますが、その為にれっきとした支部員が組織内部に余計な混乱をもたらすという、ワンマン組織のエゴスらしからぬ状況を生んでおり、サロメの扱いは当初は前者(組織外)のつもりで作っていたのが、途中から後者(支部所属)に変わって部分部分でやり取りがおかしくなったと言われたら信じます(笑)
 「たまにはいいところ見せたいよな……」
 落第少年マサルの物思いがコミカル要素として差し挟まれると、再びその目撃情報によりBF隊が出撃。あっさりと捕縛されたサロメは尋問を受けると、アメリカで起きた数々の暗殺事件を陰で操っていたと豪語するが、それ以上に、目隠しをし、椅子に拘束した女を、暗闇の中で代わる代わる詰問する、BF隊の感じが物凄く悪くなっていた(笑)
 「ちょっと痛めつけるか」
 「待て。時間をかけて吐かせよう」
 4人は、国防の名の下にエゴスに人権など必要ない、とフィーバー秘密警察モードに入り、放映当時はシリーズ確立前なので、当然“戦隊ヒーロー”にはカウントされていないBF隊ですが、むしろ今現在、この人たちをカウントしていていいのだろうか? と不安になってきます。
 尋問はもう拷問に代わる一歩手前、のBF隊だったが、サロメの持つ手鏡に仕込まれた発信機を頼りにヘッダー率いる部隊が現場に近づいており、BF隊の秘密基地を暴く為にわざと捕まっていたサロメは、筋力で拘束を破壊すると男たちを蹴散らし、自力で脱出してヘッダーと合流。
 だがBF隊もBF隊で、サロメを海底基地ではなく適当な倉庫街で尋問していてサロメの策は空振りに終わり、罠と罠の騙し合い……というには、所持品も取り上げていなければ、いきなり秘密基地まで連れて行かないのは当然の用心だったりと、あまり効果は上がらず。
 「来い! バトルフィーバー!」
 バトルが始まり今回も主題歌が雑に途中スキップされると、ヘッダー指揮官が近接戦闘を解禁して日米と激突。
 「世界最強の女、サロメ、来い!」
 一方のサロメは仏ソケと激突し、バトルが長尺になると……音楽が露骨に足りない(笑)
 サロメが3対1でもBFを圧倒する一方、思ったより強くなかったヘッダーはジャパンを相手に劣勢に追い込まれると、悪の師弟めがけて、なんの躊躇も無く放たれるペンタフォース。
 大爆発が巻き起こると、負傷したヘッダーはサロメに支えられながらアジトへ帰り着き、サロメのお陰で一命を取り留めたとサタンエゴス様に報告。
 今回のヘッダーは、いつにも増して台詞回しと身振りが大袈裟で、どこまで本気でどこまで芝居なのかわかりにくいのですが、全ては、自分の株を下げてまでエゴスにおける愛弟子の地位を固めようという、師匠心……なの、か?
 「ヘッダーよ、大事にいたせ」
 サタンエゴス様から直々にねぎらわれたヘッダーが、わざとらしくよろけると構成員たちが一斉に駆け寄って、
 「「「ヘッダー様!」」」
 と心配そうに声を揃え、全て、茶番なの……?(笑)
 「それにしてもバトルフィーバーめ……サロメ、この仕返しを、頼むぞ」
 「お任せ下さい!」
 それとも負傷したヘッダーが療養の為にしばらく湯治に出てお休みするという事なのか、とにもかくにも、エゴスに恐るべき新幹部が加わって、つづく。
 次回――配信のサムネイル(女装曙四郎のどアップ)が酷すぎる(笑)

◆第20話「危険な幽霊狩り」◆ (監督:竹本弘一 脚本:曽田博久)
 一週間前に飛び降り自殺が起きた城南女子大学学生寮において、幽霊が出現?
 ケイコ経由で調査を頼まれるも嫌がる曙だが、女子大の寮に興味津々の白石が乗り気で話に加わり、巻き込まれる形で曙は嫌々女装で潜入捜査……しようとするが、
 「その顔で女に化けようなんて、随分ねぇ……!」
 と寮を取り仕切る教師に叩き出され、その間にしれっと女装謙作が入り込む鮮やかなチームプレイ……?
 ところが白石もプール掃除を頼まれて窮地に陥り、ワンピースの水着姿を披露、はせずに逃走。
 サロメは女記者に化けて寮に入り込み、曙は荷物の中に入って改めて潜入に成功し……とドタバタが続いた末、夜陰に響き渡る悲鳴の元に曙が駆け込むと、見つかったのは、自殺した学生の妹。
 「お姉ちゃんは、殺されたんです」
 爆弾発言と共に、自殺した学生が大事にしていたペンダントが消えている事が明らかになり、曙が本部に資料を持ち帰ると「諸君。どうもこのペンダントの石は、地球のものではないらしい」と判明し、BF隊は正式な任務としてペンダントの行方を追う事に。
 「良いか。この隕石の中には、宇宙の未知なる生命の遺伝子が、化石となって含まれている」
 鉄山将軍の読み通り、事件の陰には、宇宙由来の強力な怪人を作り出そうとするエゴスの暗躍があり、一計を案じた伝と京介は、ケイコらを引き連れ女子柔道部の交流名目で女子寮へと入り込む(なお、前回から連絡員Bが交代しているのですが特に言及はなく、名前を呼んで印象づけるような事もないまま進行)。
 何かと不審な態度の目立つ寮の監督教師を 椅子に拘束して 問い詰めるとペンダントを盗んだ事を自白し、ここまで基本的にドタバタ喜劇めいた進行だったのに、教師がペンダントを盗んだ理由は「夫の借金苦の為」とシビアな事情が飛び出してくるのが、だいぶ呑み込みづらい展開。
 全体通して、
 ・女子寮潜入を巡るドタバタ劇(下心満載で出てくる白石)
 ・騒がしい女子大生のリアクション
 ・同じく騒がしい寮の教師
 ・遺品の盗難発覚
 ・窃盗犯は教師で、理由は借金苦
 ・エゴスに殺害された被害者はほぼとばっちり
 と、喜劇的要素と悲劇的要素の落差が激しく、悲劇を背負った被害者妹の登場をスイッチとして、前半と後半で雰囲気を切り替える意図だったのかもですが、その妹の出番はラストまで無くなるし、任務開始後も国防の為の強権を発動するでなしに柔道コスプレとか始めるので味付けの調和が取れず、ただただ、まとまりの悪い出来上がりになってしまいました。
 サタンエゴス様にせっつかれたサロメが女子寮を襲撃するとBF隊が立ち向かい、今回もめったやたらに強いサロメ(なおヘッダーはワンシーンだけちらっと登場し、湯治の旅には出ず)。
 BF5人がかりで繰り返し攻撃を仕掛けると、ロープで足をひっかけたところにスピアを投げつける鬼畜コンボであわやZ指定を受けそうになるがサロメはそれさえもしのぎ、撤退を支援したギザ歯怪人がロボット召喚。
 一応、被害者殺害の実行犯とされたギザ歯怪人、変装して女子寮を家捜しするも先生に追い出され、これといった活躍もない上で、劇中でなんと呼ばれているのかさっぱり聞き取れなくて困りましたが、特にモチーフの無い宇宙人っぽい怪人、との事。
 ギザ歯ロボットが盛大に工場地帯で大暴れすると、困った時の投げナイフで攻撃してくる怪人はペンタフォースで吹き飛び、バトルシャーク発進。
 困った時のエゴスビームで攻撃してきたギザ歯ロボットは、シールド! マサカリ! フィーバー! そして唐竹割り! の、概ねバンクコンボで消し飛び、城南大学女子学生寮はエゴスの魔の手から守られるのであった。
 取り戻されたペンダントは国防省で預かる事になり、引き続きエゴスに狙われる事は確かに無くなるのですが、姉の死の真相を確かめる為に九州から一人で上京してきた少女が、やたら物分かり良くペンダントを預けていくロボットのような描写もマイナスで、曽田さんの今作初参加でしたが、残念な出来。