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黒い設計図

仮面ライダーX』感想・第24話

◆第24話「復しゅう鬼ジェロニモ! 音もなく襲う!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
 地上の全ての物質をエネルギーに転換してしまうRS装置!
 南原博士の開発したこの装置がジャイアントロボ……じゃなかったキングダークに組み込まれるのを阻止するべく、9枚に分けられた設計図を巡ってXライダーとゴッド機関は激しく火花を散らすのであった!
 と、ベースは密書や秘伝を追う忍法帖スタイルに置きつつ、超兵器を求める連続物の要素を物語の軸に組み込んできたのは、前作『V3』にはなかった要素であり、序盤での長坂さん降板こそあったものの、今作としての独自性を出そうとする工夫が見えるところ。
 掴みのパフォーマンスとして夜道で女性を通り魔的に殺害するサソリジェロニモ、室長が存命なら、「無駄な殺しをするな馬鹿ーーー!」と勤務評定に大きな×印が付けられそうで冒頭から不安になりますが、設計図を入手する為に、ある屋敷(南原邸?)に入り込み、小さなサソリから怪人の姿になれるのは、便利。
 「ここに、8人の仲間の名簿がある筈だ。探せ」
 「……ふふはははははは」
 「誰だ?!」
 「ははははは!」
 ゴッドが家捜しをしていると、物凄く悪人ぽい笑い声で、窓の外に姿を見せる仮面ライダーX(笑)
 「Xライダー、何がおかしい?!」
 「探しても無駄だ。その、8人の仲間の名簿はない」
 先回りして入手すると共に処分していた?!
 「私も探したからだ」
 違った(笑)
 ……今日のXライダーは、冒頭ちょっとテンションがおかしいのですが、南原邸を3日ぐらい徹夜で探し回った後なのでしょうか。
 ブラフに違いない、と当然の反応をするサソリジェロニモは、白人に騙されて復讐の鬼となったインディアンの大酋長ジェロニモの血が流れているのだ、と自らのバックボーンを語ると、戦闘開始。
 しかし必殺のトマホークを軽々と片手キャッチで投げ返されると、すごすご逃走し、開始3分で、今回の悪人軍団も、もう駄目かもしれません。
 一方、敬介も敬介で手がかり皆無の八方塞がりに陥っていたが、マコチコの言行から南原博士の墓を張り込む事を思いつき、墓参に訪れた関係者とおぼしき女性――南原博士の親友だったヤザワ博士の娘――と接触を図るも、ダイス目が悪くイケメン交渉ムーヴにまさかの失敗。
 地の利を得ていたとはいえ、サソリジェロニモの変装した、露骨に怪しげな僧侶よりも信用されないのがショックすぎます(笑)
 敬介の動きを察知したSジェロニモは直接行動に出るとヤザワ娘を脅しつけるが、くしくもヤザワ博士が一週間前に事故死していた事で南原博士の振りまいた災厄もとい設計図を手にする事になったヤザワ娘は、それを敢然と拒否。
 ゲストヒロインを通して、人類の自由と尊厳を守ろうとする精神が描かれると、助けに入るXライダー……は、最近ちょっと、窓から他人の家に上がり込むのが癖になってきていて心配です。
 人質に取られながらも設計図を守り抜こうとするヤザワ娘の覚悟の決まり方が、ちょっと一般市民代表とは言い難くあるのですが、なにぶんあの南原博士の親友なので、事故死した父親も、良くも悪くもキまった人であったろうとは推測されます。
 Sジェロニモの斧攻撃をかわしながら、滝を背にしてのスロー映像はなかなか格好良く、Xライダーは敵の隙を突くと、ヤザワ娘を連れて逃走。
 「キングダークに伝えろ! 二つ目の設計図は、Xライダーが手に入れたと!」
 ゴッドの目を自らに向けると敬介は藤兵衛喫茶でヤザワ娘から事情を聞き、話の流れと娘の態度の軟化からすると、神敬介=Xライダーと正体を明かした可能性は高く(Xライダーとして店の前で娘を降ろして走り去ってから、少し後に敬介として入ってくる超怪しい行動の可能性もゼロではないですが……)、前回の南原娘の前でセットアップに続いて、徐々に無理して正体を隠さない路線に移行しているように見えなくもありません。
 設計図の切れ端はヤザワ博士のもう一人の子供、女性の弟が手帳に挟んで持ち歩いている事が判明するが、少年が学校の友人たちと登山に向かった事を盗聴サソリに聞かれてしまい、敬介は急ぎ丹沢へ…………まあ恐らく撮影の都合なのですが、ついさっきまで、この辺りで戦っていたような(笑)
 登山中の少年たちに不気味な狼煙と太鼓の音が近づきゴッドインディアン軍団が姿を現すのは、<怖い!>シリーズの変奏曲といえ、引率の先生が矢で撃たれると、自らヤザワ博士の息子だと名乗り出る少年も気合いノリが良く、ヤザワ博士はどんな人物だったのか、見られなかったのが大変惜しまれます。
 一行が危機に陥ったところでXライダーが気持ちよく参上すると少年たちを山小屋に逃がすが、中の一人が「ヤザワと一緒に居ると殺される」と別行動を取るのがえぐみのある描写で、しかしその行動が裏目に出て人質とされてしまう事に。
 おもむろに「本当の目的は南原博士の設計図だ」(最初からでは……?)と言い出すSジェロニモや、人質カウントダウンに棒立ちのXライダーなど、やや当惑する展開の末、人質と二枚目の設計図が交換されると、Xライダーの持つ一枚目の設計図を狙い、少年達の隠れる山小屋へ向けて放たれる火矢。
 「Xライダーの泣き所だな。正義と平和を守る奴が、罪も無い人間を目の前で殺させていいのかな」
 「卑怯な奴め」
 「今わかったか」
 恐らく冒頭のやり取りに対応しているのかとは思いますが、どちらかというと、人質を先に解放してしまったSジェロニモがライドルスティックで殴り倒されないかドキドキしていたので、穏当な展開になってホッとしました(笑)
 背後を守りながらの苦しい戦いを強いられそうになるXだが、クルーザーを召喚すると窮地を切り抜け、この辺りの流れは終始強引なのですが、燃える小屋をバックの立ち回りがやりたかったのかも。
 ……戦闘中に、特に意味もなく大写しになりますし(笑)
 ライドルロープによるトマホーク返しは勢いがあって格好良く、スティックによる頭部への攻撃でひるんだところにXキックが炸裂して、サソリジェロニモは大爆死。
 だが設計図の二枚目はゴッドの手に奪われてしまい、三枚目を狙う次なる刺客はカブトムシルパン。次の対戦相手が最後に顔を出すのが、如何にも感溢れていて素敵ですが、残る7枚の設計図は、いずこに…………次回――3枚目の設計図を二人の少年の背中に焼き付ける博士登場!!