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マジカルマスターシャイニードラゴンズ

仮面ライダーウィザード』感想・第41-42話

◆第41話「魔法使いは運命」◆ (監督:舞原賢三 脚本:香村純子)
 「おまえも魔法使いになったのか?!」
 「さあ、終わりの刻よ」
 白い魔法使いプロデュースのキャッチコピーと共に、真由ザードが両手に巨大な爪を装着するとメデューサに戦いを挑む一方、変身解除に追い込まれた仁藤が動きを封じられる中、ひび割れの加速する譲の背中から巨大な蜘蛛のような脚が生えてくるCGは、人外の存在が這い出してくる気持ち悪さが出ていて良かったです。
 「くじけるな譲! おまえ変わりたかったんだろ!? 成長したとこ、朱里ちゃんに見せたかったんだろ?! だったら踏ん張れ! 変わったおまえを見せてやれよ!」
 精神世界の譲は、事故の日の風景を目にし、全てが砕け散りそうになったその時――朱里の唇から漏れた言葉によって人の理へ自身を繋ぎ止め、ファントムを押さえ込む事に成功。
 「ヘイヘイ、聞いてないぜ~? 俺はこれいったいどうすりゃいいんだ?!」
 ひとまず朱里と譲をさらおうとしたシルフィーが、仁藤の体当たりを受けて朱里だけをさらって姿を消す一方、真由ザードはメデューサと激突中。
 ウィザードは橋にぶら下がり中。
 爪と銃を扱う真由ザードはテレポートまで用いると、メデューサの髪攻撃をバリアで防いで互角の戦いを演じ、あ、やっと主人公がリングに復帰しました。
 即席のコンビネーションアタックを受けたメデューサは大技で目くらましをすると撤収し、西川くん(変態)に、ゲートと魔法使いの秘密について説明。
 「ホワット?! あのボーイの中には、まだファントムがいるのか~」
 「そう。そして彼のような特殊な人間が、魔法使いとなりえる」
 西川くんは、さらってきた朱里を利用して絶望ミッションを継続する事となり、魔法使いの増加を危惧するミサは、ミッションに追加条件を指定。
 「もし絶望されないようなら……消せ」
 ミサが、これまでなら決して選ばなかった手段を口にするのがインパクトがある一方、関係者一同はひとまず面影堂に集まって情報を整理し、落ち込む譲を魔法使いに勧誘する真由と、それを止める晴人。
 「白い魔法使いは何がしたいんだ? あいつは一体なんなんだ?!」
 平気で未成年を戦いに巻き込もうとする行動をいぶかしみ、核心を突く質問をする晴人だが、真由も、白い魔法使いプロデューサー略して白Pの正体は知らず……ただ修行中に、
 「魔法使いはあと二人必要なのだ。そうすれば、全てのファントムを倒す力を得られる」
 と語っていた事を明らかにする。
 ……パズルのピースはだいぶ揃ってきた感じですが、このところのソラの言動とワイズマンの不可解な動きを重ね合わせると、「魔法使いをこそ増やしたい」のが絶望ミッションの真の目的とかでしょうか。
 その場合、白い魔法使いとワイズマンの間になんらかの繋がりが無いと不自然になりますが、逆にそこさえクリアすれば割と辻褄は合ってしまいそうな気はしないでもなく……正体不明だが人間としてのシルエットが描かれて白くて紫色なワイズマン、ラスボスとしてはやたら押し出しが弱いところはありますし、前作では「声が檜山修之になる鉄仮面」が活躍していた事を考えると、「声が古川登志夫になる指輪」はあっても何もおかしくなく、「支援者っぽい人と黒幕っぽい人」が同一人物なアレ……?!
 そもそも今作、主人公も主要キャラも、物語の開始当初から現在に至るまで戦いの背後関係を全く把握していないのですが、晴人が最初から“サバトの目的を勘違いしていた”――すなわち、ファントムではなく、魔法使いを生み出す事こそがサバトの真の狙いだったのでは? と考えると、大仕掛けのミスディレクションとして、ありそうな気もして参りました。
 魔法使いがファントムを妨害すると、魔法使いかファントムかの場面にさえ辿り着かない問題はありますが、第23話における白Pの「これで、一人、完成した」発言からすると、ファントムと戦う事による魔法使いの育成も必要条件のようであり、もともと魔法使いが体内のファントムを制御している存在――つまり、“ファントムの変種”である、と捉えれば、これは一種のファントム蟲毒の一面もありそうでしょうか。
 そして、“古の魔法使い”がファントムを喰う存在である事を考えると、ファントムとはむしろ魔法使いのなり損ないにして魔法使いの餌なのかもしれない……とはちょっと推測が走りすぎだと思いはしますが、ヒーローと怪人が本質的には同根である改造人間テーゼへの今作のこだわりからしてもありそうには思えるところ。
 魔法使いを増やし育てる事に絶望ミッションの真の目的があるならば、“その先”(賢者の石?)の狙いがコヨミに関係しているのは想像に難くなく、どう転がるにせよ、ろくでもなさそうな予感。
 晴人と共に笛木のモンタージュを完成させた凛子は、木崎から国安への異動を打診されると、躊躇0秒で大喜びして承諾し……あ、今の職場への思い入れとか、全くないんだ……。
 改めて人間味を見せた木崎は、モンタージュを目にして何かの心当たりを調べるが、ある人物まで辿り着いた時に、室内に違和感を覚え……エ、エクスプロージョン?!
 一方、譲を面影堂から連れ出した仁藤は、
 「みんなの為に魔法使いになるってんならやめとけ」
 とアドバイス
 「いいか、魔法使いってのは、命がけなんだよ。それでもやってられんのは、みんな自分の為だからだ」
 「……攻介兄ちゃんも?」
 「いっちばん自分の事しか考えてねぇな~」
 どこまで本音なのか、笑顔から背中を向け、自分でよく考えるようにと譲を諭した仁藤の頭に紙飛行機がぶつかると、風を操るファントムが送りつけてきたメッセージなのがまたいやらしさ全開で、今回の風ファントムは、香村脚本と舞原演出が実にいい噛み合い方。
 広げた紙飛行機には「愛しのハニーが、町外れの採石場で待ってるぜ」と楽しげなフォントで記されており……あるのか、町外れに、採石場
 面影堂で待っているように言われた譲も、“魔法使いの戦い”を目に焼き付けたいと同行を申し出、えらく格好いい音楽で採石場へと乗り込んでいく晴人・仁藤・譲の3人。
 待ち受ける西川くんは、けったいな衣装を風になびかせながら朱里の姿と頭上の鉄骨を見せつけて魔法使いたちを嘲笑い、舞原監督は時々、演劇的な見せ方をしますが、並んだオブジェと背景の大道具といっていいクレーン車&鉄骨で構成された舞台的な空間と、西川くんの衣装と芝居が巧いはまり方。
 晴人らの足を止めさせたシルフィーは、不意打ちで鉄骨を落として譲の目の前で朱里を抹殺しようとするが、伏兵の真由ザードが重力操作で鉄骨を防ぎ、ビックリ仰天。
 「さ、三人目~?!」
 格好良く生身ダブルライダーキックを決めた晴人と仁藤は、馬鹿正直に正面から乗り込んだのが既に作戦の内だったと種を明かし、人質を巡る攻防にはやはり、香村さんのこだわりを感じるところです。
 「やはりあのゲート、消すしかないか……」
 晴人と仁藤がシルフィーと殴り合いを始める中、状況を窺っていたミサは譲に死の照準を合わせるが、調べたいことがあるとそれを止めたのは、上司のソラ。
 真由ザード(約1年間、メデューサの声をあててきた事もあってか、喋り方がやたら格好いい(笑))が譲のガードに入ると、シルフィーの放ったグールに晴人と仁藤は生身のままで殴り込み、メタ的には生身アクションを挟みたい事情があったのかもですが、「晴人」「皆まで言うな」のやり取りが入った事で、見守る譲に、仮面の下はあくまで生身の人間である事を伝えたい意識が二人にあったのかも、と思わせたのは良かったところ。
 しばらく肉弾戦を見せた二人はダブル変身すると、グールを相手に爽快な立ち回りから、自在に宙を舞うシルフィーを相手に空中戦。Hドラゴン&ファルコンビーストの連続攻撃で切り刻むと、地上でインフィニティとビーストHの指輪を同時にアップで収めるカットが格好いい。
 強化フォームが二人で横に並んだのは、もしかすると初でしょうか。
 若干オーバーキル気味のダブル必殺ストライクが炸裂してシルフィーが消し飛び、後日――
 「僕……魔法使いにはならない」
 魔法使いとして戦うよりも、“自分の為に”朱里に胸を張って会いにいける男になりたい、と譲は宣言し、ならば譲の中のファントムを退治してしまおうとする仁藤だが、それを力ずくで止めたのは、白い魔法使い。
 「私とともに来い。おまえは魔法使いになる資格がある」
 「…………僕は……なりたくない」
 「これは――運命だ。おまえも、最後の……希望だ」
 果たしてそれは、誰にとっての希望なのか。
 いよいよ、スカウトを通り越して未成年者略取の悪行へと踏み出した白Pは、止めに入ったビーストに対してDX白い魔法使いソードを取り出すとやはりグルグルと回り、両者の戦いを樹上から見つめるのは、ソラ。
 「ふーん……なるほどね」
 笛にもなるソードを吹き鳴らすとバイソン大行進がかき消され、割と荒っぽいファイトでビーストを地面に転がした白Pは、その胸を踏みにじり、やはり、筋肉も鍛えていた。
 「マジの攻撃かよ?! 俺が死んだら魔法使い減っちまうだろ!」
 「アーキタイプに用は無い」
 白Pから「おまえはアギトでない。アギトになるべき人間でもない」みたいな事を言われたビーストは正面からエクスプロージョンされ、連れ去られる譲。
 そして、凛子からの緊急連絡を受けてその場に居なかった晴人は、まるで爆破にでもあったかのような惨状をさらす木崎の執務室を目の当たりにし、残っていたのは砕けた木崎の眼鏡だけ……譲の誘拐、木崎の失踪、二つの事件を繋ぐプロデューサーは、やはり白い魔法使いなのか?!
 緊迫のまま、つづく。
 ……以前から「白い魔法使い」って音が長いし、固有名詞っぽくもないしでちょっと困っていたのですが、ここに来て、やっている事はどうもプロデューサー業だな……という事で今回から略して白Pと呼称する事にしましたが、メタ的な意図は全く無い事を、特にお断りしておきます(笑)
 どちらかというと、アイドル……?

◆第42話「指輪の小説家」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし)
 「まさか……笛木の事を調べていたからか」
 惨状の現場で、木崎の痕跡を示すものが血に汚れた眼鏡しかない事に、ちょっと絶望しそうな表情になる晴人の芸が細かく、木崎が何を調べていたのか、いかなる手段を持ってしてか不可解にもサーバー上のパーソナルデータさえ完全に消されている事が判明。
 「晴人、あいつはおまえの恩人かもしんねぇが、譲を助け出す為には容赦しねぇ。いいな」
 木崎の失踪と譲の拉致、二つの失策に二人の魔法使いは失意にくれ、ここで仁藤と白Pの間に強烈な因縁が生まれたのは良い目配り。
 ミサは新たなゲートを発見してファントムを送り込んでおり、ベテラン小説家・西園寺に迫る、シルクハットの手品師めいた男に扮したファントム・スフィンクス
 「じゃあ今度こそ、ファントムが生まれればいいね。ワイズマンの為にさ。ははははは、はははははっ!」
 腹を抱えて笑うソラのこの言い様からすると、前回の推測はほどほど外れなさそうというか、白い魔法使いだいぶ真っ黒か……?
 デザインがかなり格好いいスフィンクスはウィザードに阻まれると一時撤収し、譲を探す仁藤は真由に接触。凛子は、失踪前の木崎が既に手を回していた事により国安へ異動となると、仁藤と真由の姿を目撃し、晴人不在の場面でもここまで積み重ねてきた人間関係が連鎖していくのは、如何にも終盤の作劇といった感。
 ……瞬平は、良くも悪くも晴人の付き人に終始するのですが、ゲートを相手に「晴人をやたらに持ち上げまくる」のが、本人にその気が薄くとも、虎の威を狩るなんとやらというか、どうにも太鼓持ちめいて見えるのが好感度の上がりにくい一因になっている気はしており、本人なりの熱心さを好感に繋げる形で見せる気配りが、もう少し欲しかったなと思うところ。
 前々回の、青春の甘酸っぱさに一致団結して、何も言わずに自転車を貸すところとかは良かったのですが。
 西園寺は10年前、酷いスランプに陥っていた自分を立ち直らせてくれた少女との再会を望んでおり、少女が落とした玩具の指輪をずっと大事に持っていたのだが、それをスフィンクスが拾った事で再び狙われ、ウィザードがそれを阻止。
 スフィンクスを相手に増殖タイムを発動したウィザードが、グルグル回りながらの属性攻撃で大量のグール軍団を次々と屠っていくのは格好良く決まり、大量のグールを単独で片付けるにも合理的ですし、状況がそこまで切羽詰まっていない時は、このぐらいのアクションのサービス優先でも良いと思うわけなのですが。
 「まったく、あなたの存在は大問題だ」
 数を減らしてからインフィニティの流れもスムーズとなり、衣装と台詞回しと原典への絡め方は凝っているスフィンクスは、その間に逃走。
 一方、協力して白Pの捜索に当たる事になった仁藤と真由に、木崎の一件を打ち明ける凛子だが、そこにソラが屋根から参戦。
 「僕、君たちに協力できると思うんだけどな~」
 「……協力?」
 「教えてあげようと思って。白い魔法使いが、居る場所を。ふふふ、どう? いい話でしょ?」
 「…………乗った」
 仁藤が虎穴に入る事を選択する一方、面影堂に引きずられていった西園寺が出会ったコヨミこそが、10年前の少女……? と最近カウンターの後ろに放置され気味だった正ヒロインにようやくフォーカスが戻ってきたところで、つづく。
 木崎の眼鏡に誓って事件の深淵に迫ろうとする凛子や、食事そっちのけで譲を探し回る仁藤と真由の接触、といった裏の動きは良かったのですが、無駄に感じ悪いゲート、無駄に不快な署長、無駄に高圧的な瞬平、といった辺りの描写がノイズで、不快感をギャグにするのは一種の定番ではあるのですが、もうすこし節度が欲しいな……とこの時期の諸田監督への不信感もあって、演出面での引っかかりの多いエピソードになりました。
 会話の間に困ると、人物2人の周囲をカメラでグルグル回るのも、個人的にはやめてほしい演出。
 次回――そろそろ白Pの目的が判明?