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神話の終わりと闇の巨人

仮面ライダーX』感想・第22話

◆第22話「恐怖の大巨人! キングダーク出現!!」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝
 見所は、
 「貴様は、何者だ? ゴッドの怪人ではなさそうだな」
 「俺の名は、ジンギスカンコンドル」
 ジンギスカンコンドル?」
 ゴッド怪人の路線変更を受け止められない神敬介。
 つい先日、神話怪人をこれでもかと見せつけられたばかりですし、致し方ありません。
 海辺で洞穴を発見した兄と妹(大学生ぐらい)が興味本位で中に入り込んでみると、その奥で目にする眠れる鋼鉄の巨人が強烈なインパクトの導入で、巨人の瞳が開かれると兄はぐしゃりと握り潰され、妹が気絶したところに現れたのは、ジンギスカンコンドル・ガマ五右衛門・サソリジェロニモ・カブトムシルパン、の怪人カルテット。
 新展開の冒頭で、謎の巨大存在と一挙4体の怪人が登場すると、ジンギスカンコンドルとは、草原の覇者ジンギスカンの心とコンドルの凶暴性を組み合わせた怪人だと説明され、歴史的人物×生物、に怪人モチーフが変更。
 ……とはいえ、フィクションのキャラクターであるルパンや、実質的に講談の解釈であろう石川五右衛門などが入っている事から完全に歴史とは言い難い神話への近接は感じられ、ゴッド怪人の本質的な路線は継承されているといっても良さそうではあります。
 八の字髭がチャームポイントのCコンドルに吸血ビールスを打ち込まれて解放された女性はマコとチコの親友であり、病院へ見舞いに向かう二人だが、それがきっかけで、Cコンドルに狙われる事に。
 Xライダーに撃退されたCコンドルは捨て台詞を残して飛んで逃げ、マコとチコはひとまず都会のホテルに身を隠すが、既にCコンドルの血の奴隷とされている友人が部屋を訪れると窓を開き、
 「駄目よ開けちゃ!」
 「だって、開けろと命令されたんですもの」
 は、なかなかホラー。……まあ、それなりに立派なホテル(しかも高層階)の窓は、そんなに大きく開くように出来ていないとは思いますが(笑)
 友人により招き入れられたCコンドル(使い魔のデザインといい能力といい、やっている事はコウモリ怪人)によりマコとチコも血を吸われると吸血鬼作戦の尖兵とされ、人間樹木・猫人間・吸血コンドル人間(扮装は猫人間に準拠)……と割とざっくり酷い目に遭うマコ&チコ、この調子だと最終回の頃には、様々なゴッドの毒物を浴び続けた結果、体内に抗体が出来てその力を自在に操れるようになった百獣の魔女ぐらいにはクラスチェンジできるかもしれません。
 ……生き延びる事が出来れば。
 ホテルを訪れた藤兵衛もマコに血を吸われ、知らぬ間にCコンドルの下僕とされた3人に襲われた敬介は、血を……血を……血……?
 敬介の体内を流れているのは、極道親父が精製した、人間の血液を模したゾーグ体液とかのような気がしてなりませんが、とにもかくにも倒れた敬介は、Cコンドルが偽医者として勤務する病院へと運び込まれ、神敬介を手中にしたぞとほくそ笑むコンドル医師が布団をめくると、ベッドに寝ているXライダーの図が、わかっていても超怖いホラー返し(笑)
 「Xライダー?!」
 「貴様の吸血ビールスが、私に通じるとでも思っていたのか!」
 ですよね……。
 ゴッド機関に怒りのホラー返しを叩き込んだXライダーは、正体を現したCコンドルと病室で戦闘開始。
 Cコンドルが飛んで逃げるとクルーザーを呼んで追いかけ……どうもCコンドル、Xライダーのスペックを把握していないように見えるのですが、アポロン宮殿の爆破と共に、勢い余ってこれまで集めた戦闘データも全て消し飛ばしてしまったのでしょうか。
 ミニチュアワークを交えての空中戦(出来はよくない)となり、今回もなんか普通に空を飛ぶXは地上に着地すると工作員を蹴散らし、槍を手にしたCコンドルと一騎打ち。
 ジンギスカンファイヤーの猛威にさらされるが、ライドルスティックを口に叩き込んで発射を封じると、溜めを効かせたX・・・キィック! で勝利を収めるのであった。
 ジンギスカンコンドルの爆死と共に吸血ビールスの効果は消え失せてゴッドの吸血鬼作戦は失敗に終わり、「怪人を倒すと状態異常が回復」パターンなのですが、理屈はさておき劇中で先に「倒せば治りそうな気がする」と言及をさせてはおり、最低限の目配りは行われていたり(80年代の《スーパー戦隊》などよりはむしろ尺が長かったりもあるでしょうが)。
 エピソードとしては伊上先生の定番詰め合わせといった内容で可も無く不可も無く、どこかで見たような展開のパッチワーク感が強かったですが、モチーフが路線変更された敵の姿に、「おまえ、ゴッド怪人じゃないだろ?」と反応する敬介は大変面白かったです(笑)
 大仰な名前と見た目もあり、《スーパー戦隊》感覚で置物系ラスボスとしてずっと後ろに居るのかとばかり思っていたキングダークが、第22話で登場した新幹部扱いだったのは大変驚きでしたが、大胆にも涅槃仏をモチーフにしたと思われるその姿と闇の王の名を冠した規格外の偉容の中に、神啓太郎の脳みそが入っているのではないかと大変不安になりながら、つづく。