東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

哲学する猫

仮面ライダーX』感想・第18話

◆第18話「怖い! ゴッドの化けネコ作戦だ!」◆ (監督:山田稔 脚本:鈴木生朗)
 ある生暖かい晩、散歩中の藤兵衛が目撃する巨大なネコの影……時計の針が音を刻む少女の寝室にもシルエットと共に黒猫が入り込んで父親の部屋へと駆け込むが、黒猫を抱えた母親が不気味に嗤うと、その姿が奇怪なネコ人間に変貌する……と、前回よりも明解にスリラーを押し出した導入。
 それらを影で操っていたのは、少女の父親に謎のヴィールスの培養とワクチン作成を命じていた博士で、その正体は、ゴッドの怪人キャッティウス……ってもうそれはただの、古代ギリシャやローマ人風に呼んだネコでは?!
 「おまえもネコ人間になって、ゴッドの化けネコ作戦を手伝うのだ」
 父親もまたネコ人間にされると、残った少女にも大キャットーの毒牙が向けられるが、そこに飛び込んでくる敬介。
 Xライダーがゴッド工作員を蹴散らしている間に少女を救出した藤兵衛は、マコとチコの暮らすアパートに向かい、喫茶店では危ないからここで……と少女を預けようとする藤兵衛も藤兵衛なら、それを軽い調子で引き受ける2人も2人だな……と思っていたら、そこに姿を見せる、黒猫。
 「化けネコ?」
 「ホント、どんな顔してんだろう?」
 「「あはははは、ははは、ははは」」
 「おい。何がおかしいんだ」
 少女がネコに怯える事情を説明したところ、背を向けてけたたましく笑い始めたマコとチコが振り向くと、その顔は既にネコ人間!
 ……は、まさしく怪談のパターンでありますが、新レギュラーへの扱いが凄い(笑)
 とはいえ、マコとチコも被害者に=クライマックスで皆助かるのだろう、と安心感を与えつつ、馴染みのあるキャラクターが被害に遭う事でショックを強くする点では、効果的に機能はしています。
 「生憎この建物の人間は、えへへへ、もうみんなネコ人間だ」
 スキピオ・キャトルヌスが姿を見せると、藤兵衛が血路を開いた隙に逃げ出した少女はライドルロープによって団地ネコ軍団の手を逃れ……なんだか『V3』もここで戦っていた覚えがありますが、悪の組織にとって立地条件が良いのかこのアパート。
 黒猫モチーフの怪人・キャッティウス、両肩に牙を剥き出しにした口の意匠が入っているのがグロテスク……と思ったら、明るいところでよく見たら手の爪でちょっとガックリしましたが、ヴィールス付きのキャットクローでXに迫るも、屋上から投げ飛ばされると、キャット空中三回転により着地を決めて逃走。
 両親を奪われ、心に深い傷を負った少女を励まそうとする敬介は、一時的な病気なので必ず治してみせると説明するイケメンムーヴを発動すると、ネコ人間の集団はどこへ姿を消したのか、そしてなぜ少女が狙われるのかに思いを馳せ……ゴッドのアジトでは、
 「化けネコ作戦は少しも順調に行っていない!」
 はい、室長から駄目出しが入りました。
 キャッラテスは、化け猫ヴィールスの培養が思うように進んでいないと弁解し、何故なら、「ネコ人間になると、頭の程度もネコ並になってしまう」のだ!
 「…………元の人間に戻して痛めつけろ!」
 怪人の頭脳も大体ネコ並だったとオチが付き、前半はスリラー要素を徹底してエピソードの一貫性はあったのですが、Bパートに入ると、求められたオーダーには大体応えた、みたいな具合で少女も化けネコ作戦もほとんど放り出されて、強引にXとの激突に持ち込んで片付ける形でお茶が濁された感じになったのは残念。
 アジトにおびき寄せられた敬介はネコ怪人の待ち伏せを受けるが、仮面ライダーネコXの危機をくぐり抜けてセットアップに成功すると、キャット爆弾をライドルスティックで撃ち返し、激しい攻防の末にXキックで大勝利。
 だが、ネコ人間と化した人々を救うため、ワクチンを巡って室長と戦う事になる二段構えとなり、Xと生身で一当たりの後、高いところに跳び上がってからチェンジする室長、描写だけ見ると、完全に悪役サイドの仮面ライダーとなっています。
 カイゾーグとガイゾーグが激しくぶつかり合うが、室長が脇に置いておいたワクチンを奪ったXがネコ人間の治療に向かうと勝負は強制終了となり、両者の決着を付けるわけにはいかないし、アポロガイストの格はまだ下げたくないしで、キャラとしては面白いものの、前線に出すぎると扱いが悩ましい事に。
 「くそぉ……仕返しは必ずしてやる」
 だがそんな制作側の配慮を、馬鹿者ぉ、と一刀両断したアポロガイストは、決闘の盛り上がりを台無しにされた腹いせを胸に自ら遠吠えタイムを果敢に行い、残念系ライバルへの道をまた一歩踏み出してしまうのだった。
 両者の行動原理と執着が盛大にズレている、のが如何にもヒーローと一方的悪のライバルという感じですが、Xライダーはゆく、ゴッド機関との果てしなき戦いの道を!