東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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年末長文企画

2023年を振り返る:特撮編(今年も長い)

 今年も、〔東映特撮YouTubeOfficial〕を中心に色々踊らされた日々でありました。
 年末恒例、今年も各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、昨日の更新分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』『忍者戦隊カクレンジャー』『人造人間キカイダー』『イナズマン』『イナズマンF』『仮面ライダーV3』『仮面ライダー龍騎』『非公認戦隊アキバレンジャー
ウルトラマンブレーザー』『仮面ライダーX』『仮面ライダーウィザード』『超力戦隊オーレンジャー
仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』『シン・ウルトラマン』『特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』『帰ってくれタローマン』〕
 ※『仮面ライダー龍騎』『超力戦隊オーレンジャー』は再見の関係で、極力、ランキングから外す形になっています。また、『仮面ライダーガッチャード』『バトルフィーバーJ』は、視聴話数の関係で今年のランキングからは外しています。
 性質上、上記作品のラストにまで触れている場合がありますので、ご了承下さい。
 昨年のランキングはこちら→〔2022年を振り返る:特撮編/ものかきの繰り言〕
 まずは、5年ぶりに帰ってきたこの部門!

☆最低な大人部門☆
1位 神啓太郎 (『仮面ライダーX』)
2位 三神将 (『忍者戦隊カクレンジャー』)
3位 大門寺博士 (『仮面ライダーX』)
次点 葉加瀬博世 (『非公認戦隊アキバレンジャー』)

 堂々第1位は、今年最大級のインパクトとなった神啓太郎。
 瀕死の息子を救う為に自身の研究成果を用いて改造手術を行う……まではまだ情状酌量の余地がありましたが、自らも瀕死だった筈の割には妙に落ち着いて吹き込まれたテープの存在で不信感を増大させると、こんな事もあろうかと人格と記憶を巨大コンピューターに移植してバックアップ済みからの「あの島は、私自身だ」発言、間髪入れずに自らの遺体(に見えるもの)を騙し討ちで息子に爆破させる鬼畜の所業から、イメージ映像で浮かぶ、トドメのやりきった笑顔(笑)
 戦慄さえ覚える周到な手筈により、改造した息子の精神を追い込むと、その翌日には泣き言を云いに来た息子の前で自爆する追い打ちを決め、二度に渡る実質的な父殺しにより後戻り不能の領域に実の息子を押し込んで東映暗黒駄メンター史に見事にその名を刻み込んでみせ、おめでとう神啓太郎! 戦え、Xライダー!
 「泣くな敬介。私はここに居る。このJINステーションが私自身なのだ! 行け、Xライダー! 悪の組織ゴッドを倒せ! ゆけ! Xライダー!!」
 第2位は、大人……というか高次存在タイプの暗黒駄メンターですが、大獣神の問題点を改善、するどころか悪い方向に加速させてしまった三神将。
 とにかく、ヒーローが変身合体する巨大ロボなのか、人格を持った助力者なのか、曖昧な位置づけを『カクレン』名物“なんとなく”のまま進めていたのが良くなかったですが、広義の“仲間”としての位置づけを上手く確立出来ないまま、父娘の情やサスケらの青春を弄ぶだけ弄び続けた末に、最終回でそれまで劇中に存在していなかった新しいルールを持ち出すと、妖怪を封じる理想の世界は「憎しみや怒りを永遠に表に出さない」事と言い出す人間性の否定でブラックホールなカタストロフを発生させ、あまり神とか出すものではない……をまざまざと体現してくれる存在となりました。
 「大魔王が憎しみの化身なら、私たち三神将は、愛と、勇気と、希望の化身」
 第3位は、密かに天才人間の研究を続け、許可を得たとして小中学生に投薬、並の人間の十倍の頭脳と体力、そして正義の心を持つ少年少女を作り出そうとして24人の被害者を出した、大門寺博士。正義の! 心を! 人為的に作るな!!
 実際に24人を殺害したのはゴッド機関の鳥人イカロスではありますが、被験者の連続死を受けた後の態度からも完全に正気を失っているのは間違いなさそうな為、計画が継続されていた場合にろくな事にならなかったのは想像に難くなく、善意でも悪意でもない狂気を見せつける、強烈な存在感を示すゲストキャラでありました。
 「こうなると、冬子は、成人するまで生きていて、くれるかどうか」
 次点として、実の父親(テコ入れ当初)がクズ外道だった為にあまり目立たなくなったものの、最終回で改めて過去の所業を振り返ってみると、詳細を知らない謎のアイテムを全てわかっているような顔をして配って無関係な他人を巻き込んでいた件に言い訳が利かなくなった葉加瀬博世さん。
 ルックスでだいぶ誤魔化していますが、長官ポジションとしての邪悪ぶりは公認様に負けず劣らずだと思います(笑) ……伊吹長官とか太宰博士とか道士カクとか、人間性に難を感じる言動を時にルックスで誤魔化している例は公認様にも数多いので、そこまで込みで意図していた可能性もありそうですが。ゆめりあ母の一件で気を遣うなど(これは後々、父親との関係性に上手く繋がる事に)、人の心を残しているのは確認されていますが、暗黒メンターとしてのポテンシャルはかなり高いと思われるので、『アキバ』世界でも、声優として売れてくれている事を祈ります(笑)
 「てへぺろ
 約30年ぶりに見た三浦参謀長がなんかまともに見えたぐらいの強烈なメンバーでありましたが、今年は他に、少年ライダー隊の首魁・立花藤兵衛とか、少年同盟の指導者・キャプテンサラーとか、70年代における命の扱いについて、考えさせられる事の多い1年でありました(笑)
 後、白い魔法使いさんが後半戦できっと何かやらかしてくれるのではないかと、熱い期待を持って見つめております。

☆メカ部門☆
1位 モエモエズキューーン (『非公認戦隊アキバレンジャー』)
2位 ライドル (『仮面ライダーX』)
3位 無敵将軍 (『忍者戦隊カクレンジャー』)
次点 キングピラミッダー (『超力戦隊オーレンジャー』)

 第1位は、ヒーローの変身ガジェットが美少女フィギュア、で非公認の非公認ぶりを見せつけてくれた、モエモエズキューーン。公式パロディ作品としては、基本的に毎回用いる最重要装備品が、まず公認ではあり得ないデザインな事で作品とチームの特質を現す明解極まりないシンボルとなり、作品そのもののMVPともいえる存在。また、武装と通信機を兼用してガジェット数を絞りつつ、変形機構によって銃が割れると美少女の顔が出てくるデザインは、特撮ヒーローと二次元美少女、二つの文脈が重なり合ったところに生まれる一種の異形として秀逸で、神啓太郎と並ぶ今年屈指のインパクトにして、デザインから使われ方まで隙なく貢献度の高いメカでした。
 「「「重妄想!!!」」」
 第2位は、Xライダーの基本武装・ライドル。シリーズ3作目(4年目)の新機軸の一つとして採用された、変形機構付きの手持ち武器で、シンプルな造形ながらアクションシーンの切り口を大きく広げた点を高く評価。特に、変形機構によって剣術と棒術、二種類の殺陣を一人で可能にしたアイデアは秀逸で、前作とは違う見栄えを殺陣に加えてくれています。また、前作ではライダーマンのロープアームが、潜入や脱出に使われるなど用途に広がりがあって面白かったのですが、スタッフも面白いと思っていたのか、補助としてのロープモードになるのも、一つの装備に機能が巧くまとまり、気にいっている要素。
 「ライドルスティック!」
 第3位は、三神将としての暗黒駄メンターっぷりはともかく、お城ロボとしては、非常に秀逸なデザインだった無敵将軍。二足歩行ロボとしての格好良さとモチーフである城らしさの両立に、白黒ベースのシックな色合い、必殺剣も格好良く、胴と腕の間に砲門を挟み込むスーパー合体のアイデアも面白くて、良い巨大ロボでした。
 「「「「「無敵将軍、誕生!」」」」」
 次点として、放映当時はこれといって良い印象が無かったのですが、約30年ぶりの再見でちょっと印象の変わったキングピラミッダー。感想本文でも書きましたが、当時は次から次(当時基準)に投入される新メカにやや引き気味になって盛り上がれなかったのですが、改めて見ると、スーパー合体×要塞合体×そして箱! と、グレートタイタン(『フラッシュマン』)以降における、《スーパー戦隊》巨大ロボ強化の歩みの落とし込みとしては、凄く納得感のある存在だなと(笑) 足を伸ばして手を生やして最後に顔が出てくれば大体ロボットでOK、という変形の力業ぶりも嫌いではなく、再発見のあったメカという事で。
 「「「「「「スーパーレジェンドビーム!!」」」」」」
 後、ランクインはなりませんでしたが使われ方の印象的だったマシンとして、『仮面ライダーV3』より、空を飛ぶ敵に対抗する為、空中飛行の特訓を散々繰り返した末に、あ、最初からバイク飛べた……と新必殺キックの発射台に使われたハリケーン(笑)

☆助演部門☆
1位 結城丈二/ライダーマン (『仮面ライダーV3』)
2位 『にじよめ学園 ズキューン葵』 (『非公認戦隊アキバレンジャー』)
3位 仮面ライダー1号&2号 (『仮面ライダーV3』)
次点 川崎クリマーズ 長崎茂 (『帰ってくれタローマン』)

 第1位は、結城丈二/ライダーマン。最終的に「私」の復讐を捨てて「公」のヒーローになった者であり、こじらせ系ヒロインの面もあり、どの部門でエントリーするか悩んだのですが……作品スタート時のモチーフを再利用する形で登場すると、序盤ではあっさりスキップされた復讐テーゼに改めてスポットを当てるなど、物語全体の見通しを良くして最終クールに活力を与えた存在感を大きく評価して。
 その名前、その戦闘力、顔を覆いきらない口出しマスク……全てが、公と私、善と悪、人と英雄の狭間で揺れ続ける“半端な存在”を示す造形が極めて秀逸で、組織に切り捨てられながらも、青春を捧げてきたデストロンの邪悪を認めきれず、首領への傾倒も捨てきれず、人として過去を割り切れないヒーロー未満の姿勢が、3クール分の戦いを積み重ねて“立派な先輩ライダー”となったV3と対比に置かれる事によってヒーローの鮮度も甦らせたのは、お見事。
 仇敵としてのヨロイ元帥も引き立てられて悪の幹部がいまいちパッとしない問題も解決すると、有望な青年をマインドコントール的に取り込む活動など、デストロンとは如何なる“悪”なのか、も補強されて寓意としての臨場感を増し、物語終盤のカンフル剤として縦横無尽に機能した、見事なキャラクターでした。
 「俺は君に、仮面ライダー4号の名前を贈るぞ。ライダーマーーーン!!」
 第2位は、劇中劇『にじよめ学園 ズキューン葵』。インパクトのある劇中劇が本編に関わってくるアイデア自体は珍しくないですが(そういえばアニメ『機動戦艦ナデシコ』には荒川さんも参加していましたね……)、実写特撮ジャンルでは日本屈指のアイコンといえる《スーパー戦隊》パロディの中に美少女アニメを放り込んできた思い切りの良さに、変身ガジェット、黒幕の動機、博士の正体、と使い切ってみせたのはポイントが高かったです。あと初期の青柳の、特撮ヒーローは興味ないけど葵は好き、という、まあそういう事はあるな……というスタンスで愛嬌を付けたのは地味に上手かったな、と。
 「ズキューーーン!」
 第3位は、後輩に日本の平和と番組の未来を託して海の彼方へ消えていったダブルライダー先輩。新たなる悪の組織の登場からニューヒーロー誕生までを丁寧に描いた第1話において、たっぷり出演&アクション担当により巨大な悪の存在を引き立てると共に、正統派続編の象徴にして外連味の確保も担い、活劇のテンポを損ねる事なく後輩にスムーズにバトンを渡したのは、実に良い仕事でした。
 その後、改造した後輩の致命的弱点をテープに吹き込んだ上で持って回った隠し方をしたり、海外から小包で強化アイテムを届けてくる所業などで、めでたく東映駄メンターの会への入会資格を得るなどもありましたが、vsキバ男爵編における客演回も盛り上がり、存在感を示しつつ後輩の立場を奪わない、バランスの良い使われ方でありました。
 「頑張れ、仮面ライダーV3!」
 「俺たちは、君を見守ってるぞ!」
 次点として、『帰ってくれタローマン』で紹介された発掘映像「ぼくたちタローマン応援団」コーナーより、川崎クリマーズ所属(当時)・長崎茂選手。『帰ってくれタローマン』は架空昭和史の要素が薄かったのが個人的に物足りなかったのですが、その中で、大変ツボに刺さった1コーナー(笑) この、言わされている感が、素晴らしい。
 「ちびっこのみんなも、べらぼうになろう。タローマン、応援してます」

☆印象の強かった監督&脚本家部門☆
1位 香村純子 (『アキバレンジャー』『ウィザード』)
2位 鈴木生朗 (『仮面ライダーV3』『同X』)
3位 継田淳 (『ウルトラマンブレーザー』)

 第1位は、香村純子。『ゼンカイジャー』終盤への不満から評価を下方修正していたのですが、くしくも今年、『アキバレンジャー』『ウィザード』で、『ゴーカイ』と『ジュウオウ』の間の仕事を見る機会を得て、やはり“巧い”人だな、と。どちらも約10年前の仕事ではありますが、再評価票。今後も東映特撮に参加してくれなら、“巧く”使ってほしい脚本家。
 第2位は、鈴木生朗。必ずしも今日的な視点から質が高いというわけではないのですが、メインの伊上さん以外では最も信頼できるサブライターであり、サブライター陣の中ではほぼ唯一といっていい、“作品世界への見通し”を感じた脚本家として、印象に残りました。少年ライダー隊を如何にして物語の中に落とし込むのか、への工夫が感じられたのは鈴木脚本回だけでしたし、この時代の《仮面ライダー》シリーズに、居てくれて良かった脚本家(まあ『ストロンガー』辺りではだいぶカオスな脚本も繰り出しますが!)。
 第3位は、継田淳。久々の《ウルトラ》シリーズという事もあってか、当初そこまでノれていなかった『ブレーザー』にすっと入れるようになったのが個人的に第5-6話ぐらいだったのですが、スタンダードなアイデアに今風な要素を加えてアレンジした上で、あくまで怪獣バトルエンタメである事を主軸に置き、エピソードテーマを押し出しすぎない抑制的なバランス感覚が好印象。無論、コンビを組んだ辻本監督の手腕もあったのでしょうが、今後ちょっと気にしておきたい名前となりました。
 ランクインはしませんでしたが、『ブレーザー』では、1クール目を鮮やかに締めた第11-12話を担当した、演出:武居正能と、脚本:足木淳一郎も、印象的でした。

☆ヒロイン部門☆
1位 光明寺博士 (『人造人間キカイダー』)
2位 丸目豪作 (『イナズマン』)
3位 コヨミ (『仮面ライダーウィザード』)
次点 渡五郎 (『イナズマンF』)

 第1位は、昨年、戦慄のパーフェクトヒロインぶりを見せつけた光明寺博士。主人公の大きな行動原理にして敵味方に追われ続ける物語の中心人物であり、逃亡生活の中で多彩なコスチュームチェンジを見せ、悪の首領に病的な執着で求められた結果、「カプセルの中に囚われながら最強兵器のエネルギー源となる」実績を解除する離れ業で四回転半ジャンプを決め、もはやその扱いは、姫。
 東映ヒーロー史上に伝説として名を刻むライバルキャラ誕生と同時に、東映ヒーロー史上最強クラスのヒロイン力の持ち主が誕生するという奇跡の共鳴で、貫禄の二連覇となりました!
 「あなたに造っていただいたジローが、今お救い致します!」
 第2位は、渡五郎の相棒・丸目豪作。主にコメディリリーフの役回りを務めましたが、当時のコメディリリーフにままある、正気を疑う言行で場の雰囲気を台無しにしたり、人間性に疑問を感じる選択を取ったりといった事が少なく(人間性の難を貫いた服部半平という成功例もありますが)、がさつで間が抜けているが気骨のある好漢として描かれていたのが大変良かったところ。脇を固めるおいしい存在として『イナズマン』の中では一番好きなキャラありで、助演部門でも充分にランクインを狙えたのですが、通して見た時に何が最も印象的だったかといえば、渡五郎専用ヒロインとして、その堅実なヒロイン力の発揮ぶりだったので(笑)
 「おまえともあろうもんが、リヤカーぐらい引っ張れないで、頭に怪我をするとはどうかしてるぞ」
 第3位は、主人公のパートナー的立ち位置として、正攻法の美少女だけどしかめ面系ヒロイン・コヨミちゃん。
 魔法人形としての体に、失われた記憶。同じ惨劇の生き残りとして晴人と過去の一部を共有し、導入部分における視聴者へのわかりやすいフック、晴人にとっては元も身近な「希望」を見せ続けなければいけない相手……と、重要な立ち位置の割には意外と出番が無いのですが、定期的に見せる貫禄の正ヒロインムーヴも評価して。……個人的にはもう少し長く、凛子と瞬平に対するクール期間が欲しかったな、とは思うところです(笑)
 「……うるさいのが倍になったんだけど」
 次点として、デスパー軍団と戦う為、大学を辞め、友人知人と距離を置いて自らを社会と切り離した結果、限りなく没個性な模範的ヒーロー同志と化した渡五郎。……とにかく『F』の五郎は、物語が進行すればする程に個性を感じる言行や反応が消えて無くなっていき、最後に残ったのが「生身での戦闘力が心ともなく、割とデスパーに痛めつけられては囚われるマッチポンプなヒロイン力」になってしまったのですが、渡五郎の主体がヒーローの依り代であると考えると、その性質が“ヒーロー召喚の触媒”となるのは当然の帰結とはいえ、別れの挨拶もないまま丸目豪作との縁を断ち切った五郎が自らをヒロインにするしかなかったのは、実に悲しい到達点でありました。
 「自由の戦士・イナズマン!」
 なお伝説のエターナルヒロイン・立花藤兵衛は、2016年に1位(『仮面ライダーストロンガー』)、2019年に2位(『仮面ライダー1号』)を獲得しているので、今回のランキングからは外して、めでたく殿堂入りとしたいと思います。
 藤兵衛は他に、サイドキック・コメディリリーフ・日常キャラ・(暗黒駄)メンター・情報ソース……と一人のキャラにおよそありとあらゆる役割が与えられていて、普通ならキメラ化して破綻しそうなところを、小林昭二さんの存在感をベースに、なんかもう藤兵衛なら仕方ないか……で突破しているのが、本当に滅茶苦茶なキャラ(笑)
 そして立花藤兵衛といえば忘れてはいけない顔が……

☆悪の組織部門☆
1位 少年ライダー隊 (『仮面ライダーV3』)
2位 ゴッド機関 (『仮面ライダーX』)
3位 ファントム (『仮面ライダーウィザード』)
次点 新人類帝国 (『イナズマン』)

 第1位は、日本全国に張り巡らされた脅威の情報ネットワーク、少年ライダー隊!
 かなり根本的なところで、「日本各地で目撃した怪事件の情報を本部に連絡してくる少年少女たち」の存在と、「デストロンの活動を目撃した為に家族を皆殺しにされた」主人公ヒーローの出自とが正面衝突を引き起こしているのですが、商業的事情などから排除できなかったのかと思われるライダー隊の存在を割り切った結果、「抹殺の危険性を把握しながらネットワークに参加する少年少女たち」と「抹殺の危険性を把握しながら少年少女たちを利用する首魁・立場藤兵衛」が誕生してしまい、仮面ライダーと悪の改造人間が表裏一体であるならば、少年ライダー隊と悪の秘密結社もまた表裏一体なのであります。
 劇中で“悪”と定義づけられているわけではありませんが、壁に少年・障子に少女・犬も歩けばライダー隊、とばかりに日本全国津々浦々を網羅する監視網と、それを十全に生かす通信網に加え、個々の構成員の鋼の忠誠心も鉄壁であり、潜在的な危険性も考慮しつつ、今年最も、インパクトのあった組織、という事で(笑)
 「よく言った。それでこそ少年ライダー隊の隊員だ」
 第2位は、日本全滅を狙う、恐怖の秘密組織ゴッド機関。
 出だしこそ、「世界の対立する大国同士が密かに手を握り、改造人間を使って、日本全滅を狙う」……って何それ?! 感が物凄かったですが、物語が進むにつれて、ゴッド機関の言い分にも一理あるのかもしれない、と思わせる日本に渦巻く狂気! 悪の組織としては今のところ、日本の地場産業として著名な、放っておくと裏山に生えてくるマッドサイエンティストに押され気味ですが、神話伝説モチーフの怪人デザインも、ゴッド総司令からのミッション通達シーンの演出的工夫も面白く、幹部キャラ・アポロガイストの存在感も光り、鮮度の高さと期待票も込みで。
 「余はゴッド総司令」
 第3位は、株式会社ワイズマンこと、ファントムの皆さん。
 規模も大目標もあやふやですが、命令系統は明確に存在するので組織扱いとし……最初の増員計画で「仮面ライダー」を生み出してしまった失策により、これからだった組織の拡大が上手く進められないままくすぶっているもの悲しさは付きまとうものの、「人間の表皮を纏いながら、人間とは隔絶した存在」としての怪人描写の徹底ぶりは、なんといっても特筆すべき長所。特に香村脚本では“卑劣にして邪悪”な絶望ミッションに筆が走り、ヴァルキリーやリザードマンといった印象的な怪人を送り出してくれました。
 また、「ネタ要員」でも「仮面ライダー候補」でもなく「徹底的に悪辣な外道」として幹部クラスをじっくり描いているのも好感が持て、総合的に、ヒーローの裏表としての怪人存在を描き直す事、へのこだわりが光ります。
 「さて……おまえの誘う先は絶望か、ふふふふ、それとも……」
 次点として、悪のミュータント軍団・新人類帝国。
 「帝国」は努力目標でありトップの「帝王」は自称である事が途中で判明するなど典型的な右肩下がりの組織でしたが、序盤に見せてくれた大がかりな特撮によるヒーローとの超能力対決は見応えがあったのに加え、あまりにも強すぎるヒーローとの戦いに、PVの制作と日夜のイメトレにより心を守ろうとする首領の姿は、鮮烈でありました(笑)
 「次は、どんな悪辣な方法でおまえを苦しめるか、それを考えるだけで胸がワクワクするわい」
 他、今見るとあまりにも正道すぎてランクインは逃したデストロンですが、作戦失敗を理由に安易な処刑を連発する事なく組織の和を尊ぶ首領の姿勢と、「まさかデストロンの作戦が、高知に変わったとは気付くまい」は特記しておきたいと思います(笑)
 続いては毎年の激戦区。

☆悪役部門☆
1位 ウデスパー (『イナズマンF』)
2位 ハカイダー/サブロー (『人造人間キカイダー』)
3位 フェニックス/ユウゴ (『仮面ライダーウィザード』)
4位 マルシーナ (『非公認戦隊アキバレンジャー』)
5位 宇宙電磁怪獣ゲバルガ (『ウルトラマンブレーザー』)

 第1位は、デスパー軍団の頼れる参謀・ウデスパー。
 総統の片腕として現場のフォローに走り回る、マルチで有能な組織の屋台骨で……もう完全に、私の好みにドンピシャですね! 他の特撮ヒーロー物だと、『ルパパト』のデストラさんに通じる感じというか(笑)
 見た目はずんぐりむっくりで格好良いとは言い難いのですが、台詞回しの渋さと、右手にアタッチメントを取り付ける戦闘スタイルは面白く、何より、右デスパーにして腕スパーであり、合わせて総統の右腕スパーである、という洒落たネーミングセンスが大変秀逸でありました。……再生ウデスパーと合体ウデスパーについては、惜しい人を亡くしました、という事で。
 「おまえは私の猟犬だ。主人の命令に従えばよいのだ。ゆけ。……どうした? 私の猟犬らしく、渡五郎に噛みついてこい!」
 第2位は、東映ヒーロー悪のライバルの真祖的存在ハカイダー
 成る程これがハカイダー! とようやくオリジナルを見る事ができたハカイダー、〔黒くて・強くて・ちょっと芝居がかっていて・独自の美学を振り回し・早退する〕と既にこの時点で、後の東映悪のライバルキャラのエッセンスをほぼ網羅している、ザ・東映悪のライバル(勿論、更にその背後に西部劇や時代劇のエッセンスがあるのでしょうが)として納得の存在感でしたが、第2位に留まったのは、私が『01』ハカイダーに変な思い入れがある事と、後継キャラを数多く見ている為に元祖のインパクトが弱くなってしまったのが主な理由になります(笑)
 ハカイダー登場を契機に怒濤の最終章が展開する構成や、「その出自ゆえに、決してヒーローが本気で戦ってくれない宿命」を背負った悲哀とその果てのアイデンティティの崩壊など、どこかシニカルなダークヒーローとして面白い存在でありました。
 「キカイダー、今度会った時は、必ずおまえの命をもらうぞ」
 第3位は、フェニックス。当初は言動も行動も粗雑なだけの暴れん坊キャラとして良い印象は無かったのですが、非常に出来のよかったDウィザード誕生編の人畜非道ぶりをスプリングボードにぐいぐい存在感を増していくと、暴力の化身としての性質は保持したまま“人の皮を被り会話も出来るが決して相容れない人外”としてのファントムを象徴するキャラへと成長していき、『ウィザード』前半戦をもり立ててくれた良い悪役でした。
 ワイズマンへの忠誠度が高く、短絡的な行動を嫌うミサ/メデューサとセットで描く事によって、双方の個性を引き立てる描写も上手くはまると、入れ替わりの幹部ポジションといえるソラ/グレムリンへのパスも綺麗に繋げる使い切りぶりを見せ、キャラクター性が好きなわけではないながら、悪役としての貢献度を高く評価したいタイプ。後、この台詞が最高でした(笑)↓
 「俺は暴れるしか脳がないんじゃない! 暴れたいだけだ!」
 第4位は、ステマ乙開発部長マルシーナ。“露出度の高い悪の女幹部”という、《スーパー戦隊》のパロディというよりもはや、《スーパー戦隊》のパロディのパロディめいた“色物”として登場するも、中盤からグイグイと存在感を増してくると、赤木と共に世界の真実に触れ、敵サイドにおける“作者の思い通りにならないキャラクター”に成長を遂げたのは、作品後半のテーマに奥行きを作って、大変いい仕事でありました。役者さんの好演含めて、今年見ていた作品の中では最も、“化けた”キャラとして。
 「歯止めのない妄想力! どこまで行くかしらねぇ!」
 第5位は、宇宙電磁怪獣ゲバルガ。新作怪獣を次々と送り出してくれるのが魅力の一つとなっている『ブレーザー』ですが、その中でも1クール目に最も印象に残った一体。天然自然の隕石ではありえない高速機動で迎撃ミサイルをかわして地球に着陸すると、球状の形態では折りたたんでいた手足を広げていった際に目と口に見立てられる胸の模様がまず顔を出す不気味さは、宇宙から訪れた“得体の知れない何か”の見せ方として、120点でありました。登場エピソードの出来も良く、総合的な未知の脅威としての面白さも良かったです。
 「……行くぞ、ブレーザー
 他、ランクインを逃したグループでは、ドクター・ギル、メデューサ/ミサ、門前仲町ハシビロコウ、キバ男爵、といったあたりが割とポイント高かった面々。ジニアス黒田は私の中でオールタイムベスト級のキャラなので、今回は除外としました。
 とか言いつつ…… 

☆ヒーロー部門☆
1位 星野吾郎/オーレッド (『超力戦隊オーレンジャー』)
2位 ソノイ (『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』)
3位 操真晴人/仮面ライダーウィザード (『仮面ライダーウィザード』)
4位 ヒルマ・ゲント/ウルトラマンブレーザー (『ウルトラマンブレーザー』)
5位 神敬介/仮面ライダー (『仮面ライダーX』)

 当初は殿堂入りでランキングからは外そうと考えていたのですが、やはり今年のランキングは隊長抜きでは締まらない、と思い直してまして、ヒーロー部門の第1位は、我が最愛の戦隊レッド、星野吾郎!
 古今無双のバラノイア百人組み手で衝撃のデビューを飾ると、知勇兼備で人心掌握術にも長けた完璧超人ぶりが序盤からトップギア。暑苦しい一歩手前の二枚目ぶりと真摯な真面目さに人間的圧力の強さを兼ね備え、帰って来た昭和ヒーローとして圧倒的ハイスペックを見せつけ、部下のメイン回には飛び蹴りで介入し、一人で必殺兵器のバックファイアを受け止め、あまりにもぶっ飛んでいるので、もはや面白い、の領域に到達。改めて、80年代的リーダーと不滅の牙の中間に位置する存在であるな、としみじみ感じました。
 また再見で気がついた点として、気合いの声がこれだけ耳に残る戦隊ヒーロー、というのは歴代でも割と珍しいかもなと(笑) 色々と持っていきすぎる点には作劇としての良し悪しはあるものの、ニューヒーロー誕生回として大傑作の第1話を始め、大好きなレッドです。
 「あちゃあ! ほあちゃぁ! うぉりゃぁぁ!!」
 第2位は、脳人の戦士、ソノイ。
 感想本文でも書いたように、『ドンブラ』終盤の展開については不満が色々あるのですが、自身と並び立つ存在にして宿命の敵と出会った男が、友情と使命の狭間で死闘を繰り広げながら、紆余曲折の末に新たな道を見出す“ソノイの物語”としては相応に満足の出来る落着となったので、桃井タロウからバトンを受け取った者の一人、として。
 斬られたり甦ったり成分が混ざったり元に戻ったり、1年間、たっぷりと楽しませてもらいました! そしてその「変化」の最終的象徴が、おでん屋台の軒先に集約されるのが、『ドンブラ』マジックとして美しかったです
 「……いいものですね、おでんというのは」
 第3位は、絶望を希望に変える指輪の魔法使い、操真晴人/仮面ライダーウィザード。
 気取った調子で洒落っ気の強い伊達男、という《平成ライダー》ではかなり珍しい造形の主人公ですが、それが“懸命にヒーローを演じようとしている”仮面の一部なのかもしれない、と思わせるのが好みで、「仮面ライダー」を「魔法使い」と言い換える事によって「ヒーロー」とは何か? に対して非常にストレートに押し出してくる話の作りと、喪失を背負って“「最後の希望」であろうとする男”の組み合わせは、今後も楽しみです。
 やや“自分が薄く見える”ところは気にかかりますが、それが強さと裏返しの危うさであるとしっかり描かれた上で、基本的に真面目、謝る所は謝れる、などさりげない描写も好感度高め。
 また、ヒーローとしてのアクションがとにかく格好良く、4つの基本属性それぞれに武器の持ち方から立ち回りのスタイルまで差異を持たせたこだわりの上で、「回る」をキーとして統一感を持たせたアイデアはすばらしく、こと仮面ライダーのアクション、としてはこれまで見たシリーズの中でも、屈指のお気に入りとなりました。また作品として、そのアクションへのこだわりを自覚的に武器に使っているところも、高評価。来年の第1位候補として、後半戦の活躍も期待。
 「約束する。俺が最後の希望だ」
 第4位は、ヒルマ・ゲント/ウルトラマンブレーザー。防衛部隊の最前線でキャリアを積んできた妻子持ちの30男という、シリーズでは異色の主人公像を、役者さんの積んできたキャリアと上手く重ねて硬軟使い分けを駆使する人物像を上手く活かしたストーリー展開と、それはそれとして内部の超存在に若干振り回されながら、変身すると野獣のごときハンターアクション! のギャップが見事に印象的。
 第1話、怪獣に対してビルの影から顔を出すシーンで、私の中では完全に、宇宙の怪獣ハンター(赤いアイツと同じフォルダ)となってしまいました(笑)
 このランキングの執筆時点で、視聴を中断中の為(配信作品でいっぱいいっぱいになってしまい……)2クール目に入ってまた色々と状況が変わっているかもしれませんが、地球人類の側から「この存在はなんだ?」と、視聴者にとっても謎なブレーザーさんと探り探り関係性を築こうとしていくアプローチも面白く、後半も楽しみです。
 「るぅぅぅぅぅおおぅ!」
 年末急浮上で風見先輩を押しのけて第5位に滑り込んだのは、神敬介/仮面ライダーX。
 とにかくライドルを用いた殺陣の格好良さとバリエーションの豊富さがポイント高く、アクションでの立ち回りが魅力。素手の戦闘は素手の戦闘で好きですが、得物を振り回しての戦いがシリーズ3作目の新機軸として良いアクセントになっており、個人的にはかなり気に入っています。……その気になればいつでも、ライドルを投げて格闘戦に移行できますし(笑)
 番組そのものの大幅路線修正というメタ的な事情の影響も含めて、極道父だの二重スパイの恋人だの、身近な人間に振り回されまくる人生の流転により、急速に“公”のヒーローへと改造されつつも、その核にある“私”の部分がかえって強調される面も生んでおり、悲劇的な出自を高笑いで呑み込んだ風見先輩とは違う、悲劇の貴公子といった風情も印象的。
 また、前作終盤に結城丈二との対比で風見志郎の陰影が増したように、“できる男”アポロガイスト室長が「やるなXライダー」ムーヴを行ってくれる事により敬介の主人公性も引き立てられる事となり、結果的なものも含めて、シリーズの作劇的進化を感じるキャラクター像となっています。頼れる助力者の立花藤兵衛も、船乗りを目指していた敬介の夢そっちのけで、グランプリレーサーに魔改造しようとしているのがまた趣深いですね!
 「見ていてくれ親父。――セットアップ!」
 ……なお、割とギリギリまで、隊長を殿堂入りとして、アニメ『牙狼<GARO> -炎の刻印-』のアルフォンソを第1位に据えても許される言い訳が無いかどうか考えていたのですが、さすがにそれはダメではないだろうか、と断念した事を白状しておきます。
 好みのツボという点では、今年ぶっちぎりで好きなキャラでした!
 最後に作品部門は……最終的に、あの歌が強かった。

☆作品部門☆
1位 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』
2位 『非公認戦隊アキバレンジャー
3位 『人造人間キカイダー

 正直今年は、これだ、という作品がなく消去法的な選び方になりましが、第1位は、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』!
 感想本文で書いたように、期待の跳び箱をどんどんどんどん積み重ね続けた末に、飛び越えるどころか顔面からぶつかってしまった最終盤には不満が大きいのですが、全体の9割はもんどり打ちながら大変楽しんだので、年間トータルの総合点で。
 尖った要素を上手く愛嬌に転じたタロウはじめキャラ造形の巧さ、井上敏樹の十八番である錯綜する人間関係の面白さ、非常に魅力的な悪役だったソノイ、キャラが“化ける”面白さを見せてくれたソノニとソノザ、造形もアクションも良かったオニタイジン、さりげなくもしっかりしたヒーロー精神の描写と誰も彼も君もへの広がり……と好きなところが多い一方、メタ要素が結局物語と特に繋がらずに放棄されたり、一部過度な悪ふざけが致命傷になったり、まとまらない最終盤と持て余したジロウ……といった短所も気になるのですが、「絆」と云わずに「縁」と置く距離感の織り成す世界観は大変気持ちよく、それを見事に歌いあげたEDがまた素晴らしかったです!
 つまり最後は、「Don't Boo!ドンブラザーズ」加点という事で(笑)
 「えんができたな」
 第2位は、公式だけど非公認、妄想の海に浮かんだ明晰夢非公認戦隊アキバレンジャー』。
 今年、ラストまで見た作品の中では最も完成度高くまとまっていた作品であり、その点では『ドンブラ』より上の面もあるのですが、上記のように、ED加点の前に敗れ去りました(笑) 『バトルフィーバーJ』が始まった為にシーズン2も手を出せず、いつかニチアサに出る日が来たら、応援するから許せ赤木。
 公認様多数参加のスタッフによる解像度の高いパロディと、豪華すぎる素材、パロディに留まる事なく基本設定を十二分に活かしたテクニカルな一編から、急展開の末の驚愕の真相は見事にしてやられ、カオスな終幕から約束された様式美に辿り着いてみせたこだわりには、参りました(笑) 後、あまり期待していなかったアクション面で、きちっと魅せてくれたのも、高ポイント。
 「痛さは、強さーーー!!」
 第3位は、東映ヒーロー悪のライバルの源流にして結晶的存在・ハカイダーと、東映ヒーロー史上屈指のヒロイン・光明寺博士を世に送り出した、『人造人間キカイダー』。
 消去法の更に消去法、といった感じの第3位ですが、不完全な良心回路と悪魔の笛の描き出すテーマ性や、最終章キカイダー編の圧縮された切れ味、そして世界に羽ばたくKAWAIIなど、印象的な要素は多い作品でありました。また、レギュラー三羽烏(ヒロイン・子供・コメディリリーフ)を最後まで持て余さずに使い切ったのは、地味に秀逸。
 「チェンジ! スイッチオン! 1・2・3!」

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 ……今年は正直、年明け失速パターンにはまった『ドンブラ』を皮切りに、『龍騎』(※再見)・『イナズマン』『同F』・『カクレン』と肌に合わず、前半~中盤までは不作の年だったのですが、後半に入って、『ブレーザー』『ウィザード』『アキバレンジャー』『X』といった割とツボに刺さってくる作品が出てきて、全体的には帳尻が合ったような1年となりました。
 特に『ブレーザー』は、久々に現行《ウルトラ》をかなり楽しく見ております。
 ランキングの方は年末に『X』勢が急浮上してきましたが、他の作品もあれこれ光るところがあった……という感じで、今年は特にメカ部門と暗黒駄メンターがかなり豊作でありました。後、立ち回りが印象に残るヒーローが部門上位に来た結果に。
 そんな中で今年の三大インパクト(接触順)は、
 少年ライダー隊!
 モエモエズキューーン!
 神啓太郎!
 といったところ(笑)
 『V3』は今見ると割と優等生というか、前作『仮面ライダー』同様、今となっては後世の作品の基盤に位置しているが故に、典型的なヒーロー像と典型的な悪の組織の構図に見えてしまうところがあるのですが、そこに設定面での無理を承知でねじ込まれた少年ライダー隊の存在を呑み込もうとした結果、図抜けた狂気が生まれてしまったなと(笑)
 50周年記念の流れで、『仮面ライダー』を起点として、正統後継者『V3』、弟子入りから分派するも後に破門される『イナズマン(F)』、そして同時代に拳を打ち合わせ独自の流派を築こうとした『キカイダー』の3作品を完走する事が出来たのですが、変身ヒーローブームの爆発直後の作品において、「ヒーロー」をどう描くのか? の模索を横に並べて見る事が出来たのは面白かったところです(で、基点をちゃんと見ておけば良かった……! となるいつものパターン)
 そして、《仮面ライダー》シリーズ4年目の新機軸として『X』が誕生するわけですが、遺体爆破スイッチの直後に、イメージ映像で浮かぶ神啓太郎のやりきった笑顔は、あまりにも刺激的でありました。
 去年はまとめてみると、割と「神」要素の目立つ1年だったのですが、今年も終わってみると、
 流される神霊的存在としての桃井タロウ・原罪を胸に神の現し身にされる事を否定するジロー・閉ざされた世界で自らを擬似的な神としていた神崎志郎・神的存在を自称する三神将・神にも等しき八手三郎・神の名を関した悪の組織ゴッド機関と、神の名を持つ神啓太郎
 ……と、「神」要素づいている1年であったかもしれません。
 まあ基本的に「神」に見立てられるモチーフの用例が多いのでは、という話でもありますが、途中脱落した『仮面ライダーギーツ』もデザ神がキーワードでしたし……ブレーザーさんも、戦う前は奉納の舞いを踊っていますね!
 現行『ガッチャード』と『ブレーザー』をまた長く中断してしまっていますが、体勢が整い次第、再開したい予定です。
 配信作品は、現在の枠組みで順調に続いたとすれば、『X』→『アマゾン』、『バトルフィーバーJ』→『デンジマン』の2作は是非とも見たい予定。あと出来れば、『ブレイド』の後に『響鬼』を改めてしっかり見たいのですが、『オーレン』『ウィザード』の終盤と配信が重なりそうなので、その時の状況次第で……。
 今回のランキングからは、登場後の視聴本数の関係で外しましたが、来年の躍進に期待しているキャラは、黒鋼スパナとアポロガイスト室長です!
 それから割と気に入っているポイントの多い『ウィザード』勢が後半どうなっていくのかは、楽しみなところ。我ながら、ウィザードインフィニティのデザイン(造形)にシャンゼリオン風味を感じて結構好きになってしまったのは、予想外でした(笑)
 発表された新戦隊は、波乗りスキルを求められるメインライターにホビーアニメのジャンルでキャリアのある人を据える、という一種の正攻法は良いのではないかと、はまる事を期待しています。後、パイロット版が中澤監督で嬉しい。
 ……今年もまた、『キュウレン』最終クールと『ゴーバス』後半戦を積んだままだった事実に今気付いてしまいましたが、色々ぼちぼちやっていきたい次第……脳内整理の為に始めた簡易レビュー企画も進めたかったり、もうちょっと諸々、データ的なものをまとめたいな、と思ってはいるところです。
 心はいつも、

 ドンブラコ 大集合 踊れ笑え ハッハッハッ
 さあ老いも 若きも 誰も彼も君も

 で行ければなと(笑)
 拙文が、多少なりとも皆様に福をお届けできていれば幸いでありますが、来年も、皆様に良き特撮作品との縁が繋がらん事を!
 以上、今年の振り返り企画、長々とお付き合いありがとうございました。