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100万円ゲートハンター

仮面ライダーウィザード』感想・第32話

◆第32話「危険なアルバイト」◆ (監督:石田秀範 脚本:石橋大助)
 株式会社ワイズマンは今、ワンマン社長の鶴の一声による、突然の人事に揺れていた!
 「ぼ・くが~、ミサちゃんに指示を出す筈じゃなかったけ~? そうだよね~?」
 「ゲートを見つけられるのは私だけよ」
 ゲート感知能力についてミサの特殊能力と本人から申告があり、やはり、宇都宮P戦隊における巨大化担当のパターンでしょうか。
 「わかってるよ~。だから協力してほしい事があるんだ、ミサちゃんに! 僕の大切な、部下としてね」
 「私が部下?!」
 目を剥くミサさん、ボウリングタイムを邪魔されて激怒、に続く面白さ(笑)
 ソラは噛んでいたガムを手に乗せて捨てさせる直球のパワハラムーヴを行い、なんだか、権力を得た途端にケチな小悪党になって自ら賞味期限を縮めてくれています。
 一方、キャンプ場でオイル缶を爆発させた仁藤は、高校時代の友人・土屋と再会し、ギター狂いの土屋が向かった、怪しすぎる高額バイトの面接に同行。
 不可解な面接の裏ではソラ主催による、バイトの面接と称して集めた人間を、マジックミラー越しにミサにチェックさせて大量のゲートを効率よく見つけ出そう作戦が進行しており……逆に考えるとミサさん、これまで地道に雑踏をチェックしてゲートを確認しては、部下のファントムを呼び出して絶望ミッションを指示していたのかと思うと、物凄い働き者。
 さすが、ワイズマン秘密警察の女です。
 土屋は仁藤にとって、考古学の道へと背中を押してくれた親友であり、その親友が危ないバイトにはまってしまっているのではないか……と心配する仁藤に付き合った晴人と凛子は、背後にファントムが関与している可能性を発見。
 面接モブの変人アピールや、面影堂での「おかわり」連呼シーンなど、全体的にくどい時の石田監督なのですが、小型化した晴人のビル潜入シーンは、映像的な面白さがあり……あ、晴人が仁藤の事を「攻介」と呼んだ。
 マジックミラーを据え付けた集団面接の秘密に晴人らが気付くと、上司に受けたパワハラへの意趣返しとして、故意に情報を流そうと残業していたミサは大口ブラスターの光弾を素手で防ぎ、最近のミサさんは、生身の時の方が強そう。
 研修先と称して屋敷に集められたゲート達の前で、黒衣の面接官が植物系ファントムの正体を見せ、一挙に多数の絶望ミッションを果たそうとするが、そこに晴人と仁藤が飛び込んできて変身。
 だがウィザードもビーストも、神出鬼没でのらりくらりとした動きのファントムに苦戦し、映さない足下に台車でも置いて滑らせているのか、下半身を動かさずに地面を横移動するファントムのアクションは、面白い一工夫。
 パワーアップ回でスプリガンを倒して以降、グール相手にしか勝ち星がつかないビーストHが地面を転がると、ウィザードはクリスタルなドラゴンのパワーを受けてインフィニティ!
 圧倒的にシャイニングな大胸筋によりファントムの攻撃をノーガードで防ぐと、テーマソングに乗せてファントムを切り刻み、インフィニティ高速移動から、シャイニング&ダイナミックなアックスでファントムを粉砕するが……弾け飛んだファントムから何か緑のもやもやが出てきてゲートたちに張り付いた事を、爆発に背を向けて格好つけていた為に、全く気付かない、大やらかし。
 ウィザードはきっと、落とし穴を用意しておいたら落ちるタイプのライダーだと思うのです。
 「あーあ。まあいいや。彼はこれからが、本番だからさ。フフ」
 「……本番?」
 ちらっと顔を出したソラはスキップしながら姿を消し、掘っ立て小屋を畳んだ土屋が、友情の証を仁藤に渡すと軽トラで東京を去っていって……つづく。
 石田監督は、画面手前に大量の何かを横切らせるのが定番ギャグとして好きだな……と(面影堂での食事場面や、しばしば使う黒服モブもそうですが、「集団が一つの事をする」のが好きな笑いなのだろうなと)、くどい時の石田演出に関しては、今作2回目な事もあってある程度割り切れたのですが、喋り方がぼそぼそしていて台詞が聞き取りづらいファントムに対して、土屋を始めゲート達はやたら騒がしい為に、エピソード内の音量レベルが過度に一定しなかったのは、個人的に辛かった点。
 途中でファントムの台詞を聞き取るのは諦めたのですが、ギャップによる笑いを狙っていたのだとしたら、ストレスの大きい作りになってしまいました。
 脚本は、ここまで、きだ・香村で回してきた今作に、『シンケン』『ゴーカイ』で宇都宮Pとは縁のある石橋さんが初参加(『シンケン』のサブ参加は“無”みたいな出来でしたが、『ゴーカイ』の餃子回は良かった)。
 前編時点では、演出サイドの味付けと思われるものが濃すぎてなんとも言えない感が強かったですが、脚本時点の土屋がどんなキャラ付けだったのかは気になるところです(笑)
 次回――如何にも箸休め的なメイン回で親友を救う筈が、今回もグールの掃除係に終わって地面を転がっている内にウイザードインフィニティにおいしいところを持って行かれた仁藤攻介/ビーストハイパーに、見せ場はあるのか?!