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魔法使い、燦然

仮面ライダーウィザード』感想・第31話

◆第31話「涙」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:きだつよし)
 アンダーワールドでのドラゴン大爆発により晴人のドライバーが割れると、ビーストとレギオンは排出され、晴人は気絶。
 「全てを知ってどうするつもりだ、グレムリン?」
 「…………あなたと同じだ。だって、僕は、グレムリンじゃなくて……ソラ、だから」
 宙吊りソラとワイズマンが“賢者の石”を巡って謎めいたやり取りをかわす一方、ドラゴンの声を聞いて跳ね起きた晴人は、自らの魔力が完全に失われている事を知り、仁藤は懸命にレギオンを探し回っていた。
 「すまねぇ晴人……。あのファントムはぜってぇ俺が倒す」
 ここで「食ってやる」ではなく「倒す」になっているのが、今の仁藤にとっての戦う意味の変化を示していて、仁藤の好感度が上がります。
 「あいつ……混乱してるな。やらなきゃっていう気持ちと、魔力を無くした事の整理が出来てないんだ。望んで得た力じゃないとはいえ、魔法は晴人の一部だったからな」
 ファントムを探す、と弱った体で面影堂を飛び出した晴人は、凛子と瞬平に止められているところを仁藤と再会し、「皆まで言うな」の仁藤が「いいから聞け」から晴人に謝罪し、
 「今のおまえじゃ、魔法の使えないおまえじゃ、ファントムは倒せねぇ」
 と、晴人が繰り返してきた言葉を、真っ正面から突きつける役割を担ったのは格好良かったところで、この冒頭で私の中の仁藤の株価がだいぶ上昇しました。
 一方、エキサイティング内藤は、晴人の心を壊しきれなかった事でエキサイトを感じられなくなっており……フラフラしていたところを仁藤と接触
 「ここでてめぇを倒せなかったら、晴人に顔向けできねぇ」
 ビーストとレギオンが激突を始めていた頃、ベンチで黄昏れていた晴人は前回の兄妹と出会い、妹は重い病気を抱えて手術を控えていると、まあそんな気がした事情を説明。
 「……魔力が消えて初めてわかった。俺には魔法以外にできることがなんにもないって。魔法が使えなきゃ、女の子一人喜ばす事もできないって」
 当初から“私”が薄い傾向は気になる部分でしたが(とはいえ、“魔法使い”で居られる事のコアに強烈な“私”が存在してはいるのですが)、思いの外、空っぽな自意識を抱えていた事を吐露する晴人、それ自体はそう珍しくはないものの、その落ち込みを出力する台詞は、らしい(笑)
 「…………そうかな」
 「え?」
 少年は、晴人が魔法で妹を喜ばせた行為よりも、妹を喜ばせようとしてくれた気持ち――今回のファントムがこだわる“美しさ”の部分といえましょうか――すなわち「魔法より、その心が」嬉しかったのだと晴人に告げ、滅茶苦茶出来たお兄ちゃんですが、それは瞬平のデリカシーの無い発言など、気にも留めないわけです!
 「俺のへたくそな手品、最後はちゃんと笑ってくれるんだ」
 もとても良い台詞で、兄妹の美しい心の前に、光に包まれた瞬平が浄化されて消え去ってしまいそうです。
 よし次回から、君が面影堂に来るといいぞ!
 ……まあ、幾分以上に出来すぎて、晴人に立ち直りのきっかけを与える装置の役割が露骨になった部分はありましたが、叙情的な音楽のままビーストの戦闘に繋げ、ビーストHへのフォームチェンジでスイッチ切り替え。
 「成る程……下品なおまえをここまで変えたのは、あの魔法使いの心か」
 食い意地ではなく友の為に戦うビーストの奮戦はしかし、レギオンの欲望にも火を付けてしまい、エキサイティング!
 面影堂に戻った晴人は、机の上に置かれたコヨミの指輪を目にすると、輪島に諭され、二人が初めて出会った場所――サバト海岸――に急ぎ、魔法の使えなくなった晴人を気遣い、バッテリーが切れた時に一人で消えようとしていたコヨミを……背後から抱きしめたーーー!
 コヨミちゃんがミニサイズな事もあってあまり男女の生々しさが出ないのと、ボディは人形設定だから、という事で思い切りよくいけたのか、シリーズでも割と珍しめな演出の印象。
 「晴人の言うとおりだった。今をちゃんと生きたお陰で、思い出も、仲間も出来た」
 「コヨミ! ……今の俺には魔力は無い。けど、それでも俺は……俺は……」
 「……あったかい。……晴人のお陰で……私は人として消える事ができる。……晴人の心に、みんなが救われてきた。……魔法なんか無くったって……みんなの希望になれる。だから……魔法を無くした事も……私が消える事も……悲しまないで」
 「……コヨミ」
 世界に絶望して消えるのではなく、希望を抱いたまま消えるのだと……そしてそれは、“特別な力”が無くてもきっと出来る事なのだと、魔法を失った晴人が、魔法なき者から希望を託される形で、今作途中から織り込まれている“希望の継承”が描かれ、コヨミをぎゅっと抱きしめる晴人。
 「いィ……実にいィ。――やはりお前の心は美しい」
 ……ちょっと驚いた直球の抱きしめムーヴが盛り上がっていたところでエキサイティングお邪魔虫が姿を現し、ここに来てファントムに、新しいパターンの最低さですね!
 ビーストHを、エキサイティング次元断裂で足止めしてきたレギオンの火球攻撃でコヨミと晴人は吹き飛ばされるが、希望を失わず、立ち向かう事を選ぶ晴人。
 「俺はまだ……やられるわけにはいけない!」
 だがレギオンは、晴人の抵抗を軽々と受け止めて弄び、絶望的な戦いに真ヒロイン力を発動しようとしたコヨミもまた、魔力を失って倒れるとピクリとも動かなくなり……絶叫し、膝を付いた晴人だが、その心はまだ絶望には染まらない。
 「俺は……俺は諦めない。命がある限り、コヨミの命も諦めない!」
 絶望に抗おうとする晴人めがけてレギオン薙刀が振り下ろされた刹那、こぼれ落ちた晴人の涙から凄まじい力が放出されるとその手中に新たな指輪が生じ、立ち上がった晴人が銀色に輝く指輪を用いると、砕け散っていたドライバーが復活。
 「心の強さで俺を甦らせたか」
 「……ドラゴン」
 「相変わらず面白い奴だ。改めておまえの希望になってやる!」
 死と再生を経験した事で、なんかドラゴンさんがほだされてるーーー!(笑)
 ……後この理屈だと、王子様(晴人)の涙で甦ったのはドラゴン、という事になるのですが、ド、ドラゴンなの?! ドラゴンが真ヒロインなの?!
 ここに来て、ヒロインレースで影も踏ませぬぶっちぎり独走状態だったコヨミちゃんの背中に思わぬ刺客がひたひたと迫り、ヒーローどころかパワーソースの方まで死と再生を経験しての、シャバドゥビタッチ。
 「――変身!」
 果たしてそれは、希望と絶望の繰り返される無限の円環なのか――《インフィニティ》の名がひたすらリピートされると、白い水晶のようなドラゴンが晴人の周囲を回転して、装いも新たに全身ギンギラギンなクリスタルボディのウィザードが誕生……してしまった……。
 「俺が最後の希望だ」
 「エキサイティング! その心、改めて切り刻ませてもらうぞ」
 無限に至った魔法使いは、微動だにせずにレギオン薙刀をはじき返し、それを見つめる、白くて胡散臭い人。
 「面倒な事になったな……」
 一応、表向き、主人公にヒーローの力を与えた人が、主人公の復活と更なる強化形態を見てのコメントとしては、かなり酷い(笑)
 「来い、ドラゴン」
 クリスタルな魔法使いの声に応えてドラゴンは剣と斧を組み合わせたような形の武器へと姿を変え、レギオンを一方的に切り刻むウィザードIは、前回今回とかなり強かったレギオン光弾さえ意にも介さない、超合金のスーパーボディ。
 そう、つまりこれは、インフィニティ大・胸・筋!
 筋肉こそが希望、筋肉こそが魔導の極み、と無限に近づく真理に到達したウィザードIは、高速移動による連続斬りをレギオンに浴びせると、武器を逆に持ち替えてアックスモードから、フィナーレは巨大アックスによる一刀両断で締め、最強(?)フォームの武器が斧、は珍しいような……と思ったら、『オーズ』のプトティラの継承的な装備でありましょうか。
 コヨミちゃんは晴人による魔力供給で意識を取り戻し……
 「晴人……」
 「コヨミのお陰で、俺は最後まで諦めずに済んだ。ありがとう」
 希望を受け取った魔法使いは甦り、笑顔を取り戻す二人に、仲間たちも飛び込んできて、大団円。
 一方、株式会社ファントムでは人事異動の発表があり、新たな上司として紹介されたソラに、ミサ大ショックで、つづく。
 オールドラゴンからそこまで間を空けずに更なる強化形態となったウィザードインフィニティ、予告で見た時はどうなる事かと思いましたが、動くとそんなに悪くないパターンで、ホッと一安心。造形面での面白さが大きいですが、個人的には、大好きな作品『超光戦士シャンゼリオン』の主人公・シャンゼリオンの進化形態みたいな表面素材のシャイニング感で、ポイントが上がっております(笑)
 ……フィナーレ技も「シャイニングなんとか」と叫んでいたように聞こえましたし、これはもう、実質シャンゼリオンインフィニティ。
 強化の段取りに関しては、「涙」とか「心の強さ」とか、今回時点では物凄くふわっとした“奇跡”となりましたが、コヨミちゃんが倒れた際に何か白い光がキラキラしていたので、後々、その関連性が明らかになりそうな感じでしょうか……というか、繋げてくれないと困る(笑)
 もともと序盤の回想で、晴人とコヨミは、互いに互いを“生かす”存在として描かれていたので、その部分は十分な説得力でありました。
 諸々の情報が出たタイミングを考えると、コヨミと“賢者の石”には何か関係がありそうですが(そのもの……?)、胡散臭い白い人を含めて、面白く繋がってくれる事を期待。