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内部監査の男

仮面ライダーX』感想・第10話

◆第10話「GOD秘密警察! アポロガイスト!!」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝
 前回のあらすじナレーションが「Xライダーは初めて戦いに敗れた」を念押しし、記憶ファイルは上書きして保存されました。
 今の私は仮面ライダーエックスver.2.02、恋人といちゃいちゃしたメモリーなど必要ない、と梯子を上り下りしてはペイント弾を浴びる特訓に励むXは、藤兵衛のアドバイスを受けるとマッハアキレスの弱点について考えを巡らせ、その特性が名前の通りなら弱点は踵では……と出典の神話を思い返す際に背後に映されるイメージイラストが、やたら格好いい。
 「……アキレス腱だ! 弱点は足につけるジェットローラーだ……地上では奴のスピードに負ける。だが、空中で戦えば……」
 ……衝撃!
 特訓を始めた時点では、何を特訓するか決めていなかった!!
 「オヤジさん! 手を借ります!」
 「よし! 俺をアキレスだと思ってかかってこい!」
 「とぉぉ!」
 そんじょそこらの常人とは覚悟が違いすぎる藤兵衛に向けて斜め回転ジャンプで近づいたXは、その体を掴むと空中高く跳び上がってからスピンをかけて放り投げ、激しい横回転で身動きできないまま宙を舞う藤兵衛めがけてキックを放つと寸止め(……?)で回収し、投げる方も、投げられる方も、常軌を逸していた。
 「今の、呼吸だ。忘れるなよ!」
 「はい!」
 「……敵ながらいい根性をしている。さすがだXライダー」
 腰に手を当てながら特訓の風景を見つめていたアポロガイストは、怨敵を評価する芸術点10.00の悪のライバルムーヴをキメると、マッハアキレスの作戦進行を窺いに村へと戻り、その正体は、総司令に繋がるホットラインを持つ、ゴッド秘密警察の第一室長!
 つまり、主に総司令の場当たり的なミッション発令によって混乱が起こりがちな作戦の優先目標について、できる限りの修正を試みつつ、最終的には現場に責任を押しつけて八方が丸く収まる報告書をまとめる大切なお仕事なのであった。
 マッハアキレス、態度が悪い。ちょっと足が速いからって調子に乗りすぎ。0点。
 室長の勤務評定によりマッハアキレスに見切りが付けられて第二作戦の準備が進められる中、特訓を終えて喫茶店に戻った敬介らの前に現れたのは、洗脳されてメッセンジャーとされた少女。
 「解毒剤を大井埠頭まで取りに来い」
 とアキレスからの挑戦状が届けられ、未完成の必殺技と共にバイクを走らせる敬介だが、喫茶店では藤兵衛もまたドリームビールスの犠牲となってしまい、大井埠頭に辿り着いた敬介を待っていたのは、二人の人質とゴッド忍法ローラー地獄。
 先輩なら……先輩ならこんな時どうするのか……
 (人質が犠牲になるよりも早く敵を殴れ! by本郷猛)
 の一件はまだ聞いていなかった敬介は、無抵抗のままロープをかけられて地面を引きずり回されるが、神家秘伝の縄抜けの術から、X忍法ローラー返しの術で窮地を脱すると、一騎打ちに持ち込むヒーローのターン。
 ……あ、ライドル、取られた(笑)
 大事なライドルをなんとか取り戻したXは、空中に放り投げたマッハアキレスに複雑な回転から連続で蹴りを叩き込むX二段キックを炸裂させるも熟練度不足からトドメは刺し損ねるが、アキレスが一応真面目に持ってきていた解毒剤を入手。
 最後のあがきを見せようとするマッハアキレスは、物陰から現れた室長の内部監査バスターによりアキレス腱断裂! から大爆発で退職となり、このアポロガイストが居る限り、出張費の水増し請求は許されない!
 マッハアトラスを処分したゴッド機関はドリームビールス計画を中止すると、新たな怪人・火焔プロメテスに、既に投薬済みの村人たちを破壊工作員として訓練する第二作戦を指令。
 さっそく訓練に取りかかったプロメテスは、解毒剤を入手したXライダーが迫ってきているから村を退去せよ、というアポロガイストからの指示にへそを曲げると村で待ち伏せしてのX抹殺計画を進め…………お、おかしい、命令系統を整理して規律の厳格化を図る筈だったのに、余計な混乱が起きている?
 行く手に罠が待ち受けているとは知らず、少女から得た情報で問題の山村に辿り着いた敬介は増産した解毒剤を配ろうするのだが、そこに現れるプロメテス。
 その指揮により、村人からマシンガンを撃たれ、まさかの竹槍突撃を受けた敬介は逃げ出すが、地雷網に誘い込まれて派手に吹き飛ぶと身柄を拘束されて天井から吊され、順調に、V3先輩の後継者の地位を固めていきます。
 「ふふふははは、口ほどにもない。俺はアポロガイストを連れてくる。このザマを見せ、奴の驚く顔が見たいもんだ」
 サイドカーに乗ってその場を離れると、敬介確保を自慢げに語るプロメテスに向けて、室長、「馬鹿ー!」と一喝(笑)
 慌てて村へ戻るプロメテスだが、アポロガイストの推測通り、「俺は始めから気絶などしていない」と言い出した敬介は、油断したプロメテスが村から離れた際に既に村人を解放済みであると告げ……定番の伊上節でありますが、いつの間にか戦闘員に変装して村の中に入り込んでいる藤兵衛が怖い(笑)
 不覚を悟ったプロメテスは、背中に背負った手投げナパームを投擲し(ゴッド怪人の手持ち武器はエックス同様、武器ホルダーが用意されている場合が多いのは、デザイン上の面白み)、家屋を吹き飛ばすその威力を見たXはセットアップ!
 クルーザーアタックから久々の主題歌バトルとなると、地中に逃げたプロメテスにXキックが炸裂し、燃えるたてがみを持った蛇、とでもいったデザインは面白かったのですが、後編Bパートだけの出番であっさり爆死。
 アポロガイスト室長の、燃え盛る踏み台となるのでありました。
 シリーズ前2作における「現場の最高指揮官」とは違う立場の幹部キャラとしてデビューしたアポロガイスト、とにかくデザインの格好良さ(と人間体のただ者では無いファッション)が光りますが、命令の優先順位に混乱を来しやすいゴッドの問題点を是正しようとする役職には追加キャラとして大変納得すると共に、有能だが性格に難があり現場からは物凄く嫌われているので、仕事を真面目に遂行しようとするほど却って不協和音を招く、のが物凄い説得力(笑)
 果たして室長は、今後いかなる活躍を見せる(仲違いを引き起こす)のか、物語の新たなアクセントとして、楽しみにしていきたいと思います。
 次回――ゴッドの水蛇怪人ヒュドラーが巻き起こす社会的混乱!