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混沌! 超力戦隊

超力戦隊オーレンジャー』感想・第25-26話

◆第25話「お祭り一発勝負」◆ (監督:辻野正人 脚本:上原正三
 見所は、祭り囃子に合わせてやたら華麗なステップを踏む昌平。
 ある日、平和な家族団らんの誕生パーティに乗り込んできたのは、ブリキの帽子を被った巨大なナマズのような姿の腹ぺこマシン獣・バラハングリー。
 大量の寿司を平らげて一家の家計に大ダメージを与えたバラハングリーは、続けてテーブルも平らげてしまうと、お笑いのようで警察への通報は許さない周到さを見せて電話機もゴクリ。大量のアルコールで酔っ払うと、TVから流れてきた祭り囃子に合わせて踊り出し、一緒に踊りながら隙を突いて反抗を試みる一家だが、逆襲に失敗。
 強盗マシン獣と平凡な一家による珍妙な画が延々と続いた末に、バラハングリーが高鼾をかいてリビングに寝っ転がると、そこにロボット研究家を名乗る白衣の中年男性・辺名小太郎が姿を見せ……恐らくバラバラマン(『ロボット8ちゃん』)のパロディなのですが、ストーリー進行にはあまり寄与しないギャグを繰り返すゲストも、そのゲストがバラバラマンのパロディな事にも、だいぶ困惑します。
 ……まあ、辺名おじさん役の赤星昇一郎さんと、一家の父親役の斉藤暁さんポイントは高いのですが。マシン獣が完全に前後不覚に陥ったところでようやくオーレンジャーが呼ばれると、ここでも、最初から変身して走ってきた5人が通報のあった家を通り過ぎて少年に呼び止められる、小ネタだが作品世界はきっちり壊してくる困ったタイプのギャグが入り、スタッフが、原作者:八手三郎に人質でも取られているのでしょうか。
 「これはバラノイアのマシン獣です。請求書を出しても、恐らく……」
 バラハングリーを解体しようとしてカビまみれになった辺名おじさんを「ビッグバン掃除機!」で助けるベタなギャグが入ると、回収したバラハングリーの爆破処理として、表面に「火薬」と張り付けられたコントのような樽が積み上げられていき……スタッフが、原作者:八手三郎に人質でも取られているのでしょうか。
 アチャコチャによって再起動し、爆破の危機を逃れたバラハングリーは人間社会が好きだと言い出すが、その本来の目的は、カビカビ菌をばらまき、地球に食糧難を引き起こす事。
 被害一家の少年に事情聴取した隊長は、マシン獣が祭り囃子を気に入っていたと情報を手に入れると、はっぴ姿でオーレンジャー神輿を繰り出し、水着 → 浴衣 → 祭装束と夏のコスプレシリーズを完遂。
 オーレン神輿の掛け声に釣られてバラノイア印のハングリー神輿も出現し、喧嘩神輿に勝利する超力戦隊だが、コミカルな見た目に反して思わぬ戦闘能力を見せるバラハングリーは隊長さえ退け、苦戦するオーレンジャーは三浦の指示で「お祭り戦法だ!」と笛を鳴らして太鼓を叩き、ぴーひゃらら。
 再び祭り囃子に乗せられたバラハングリーが踊り始めると、お祭りフォームの三浦が升酒を振るまい……宮内洋はかつて『ジャッカー電撃隊』第31話において、クライマックスに女神輿を率いて登場して積み重ねたドラマもサスペンスもビッグ・ボンバー! する行動隊長・番場壮吉を演じているのですが、べらんめえ調で喋っている時が妙に楽しそうで、これは、役者さんの趣味なのでは……? 感が、微妙に漂います(笑)
 まあ、ストーリーは全く違いますし、長い芸歴の中で2本見た事があるだけなので偶然の産物かとは思いますが、宮内さん的にキザキャラの延長線上なのか、江戸っ子キャラを演じていると、やたら楽しそうなのが印象的。
 三浦の機略に乗ったバラハングリーはまんまと酔いつぶれ、神話的といえば神話的な成り行きから、
 「オーレバズーカ!」
 「「「「オーレ!」」」」
 「ファイヤー!!」
 て、な、何故、この展開で新兵器なの?!
 予告済みではありましたが、物語も折り返し地点で、夏休みギャグ回だと思っていたら突然の合体バズーカが投入されて酔いつぶれたマシン獣を撃破する衝撃のデビュー戦を飾り、ここ数話の『オーレンジャー』の、裏でいったい何が起きているの……? 感は、キカイダー01』中盤レベル。
 懐古的作風にしても、時間が巻き戻りすぎています。
 ……まあ、酔いつぶれて地面に転がるバラハングリーを、ジャイアントローラーで轢き殺すのは、それはそれでまずい画になった気もしますが。
 巨大化したバラハングリーのカビ攻撃を受けて身動き取れなくなるオーロボだが、足下で三浦が太鼓を叩き出すとマシン獣はまたも戦いそっちのけで踊り出し、祭で縦横無尽の活躍を見せる三浦……三浦、三浦回? 三浦回だから、新兵器投入……?!
 謎が解けたような解けないような気分の中、出前されたレッドパンチャーが顔面ビームでカビを消し飛ばすと、祭り囃子に乗りながらの超砲撃合体により、バラハングリーは消し飛ぶのであった。
 戦い終わり、平和の戻った街に子供神輿の歓声が響く中、アチャはバラバラ男に追いかけ回され、う、うーん…………もしかして、民間人のコメディリリーフとして、セミレギュラーにするつもりなのでしょうか…………?
 第19話以降のコミカル要素増量路線が極まった感のあるエピソードでしたが、改めて見ると、辻野監督は序盤から細かい描写を割とコメディに寄せていて、監督の方向性と、作品の路線修正が夏の終わりを触媒に、盛大な打ち上げ花火となって弾けてしまった感。
 そんな辻野監督が本編屈指のハードな内容だったジニアス黒田編も演出しているのが面白いところでありますが、思えば見ようによってはギャグに近い画をジニアス黒田という存在が呑み込んでいた部分はあって、ギャグと狂気は紙一重だなとも頷く次第。
 次回――物語は新たな展開を迎える!

◆第26話「6億歳少年戦士」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升
 「リキのマークだ……」
 超力基地の地下に存在する、超文明の遺跡に巨大な「王」に似た文字が浮かび上がるのと時を同じくして、次元の裂け目から出現する巨大なピラミッド状の建造物。
 地表に着地したその内部では、一組の少年と少女が目を覚まし、その二人こそ、超古代の伝説の勇者・リキと、超古代に神の使いとして人間と共存していた存在・ドリンなのだった!
 超時空……黄金……尖った形状……ううっ……視聴者の一人が甦る記憶に頭痛を感じている中、超力文明の壁画や碑文の解読を進めていた参謀長はリキのマークについて隊長らに説明し、そもそもマシン獣とは、6億年前、超古代文明で誕生したものとの推論を述べる。
 6億年前、超古代文明とその作り出したマシンとの間で激しい戦いが起こると多くのドリンが命を落とし、この戦いに勝利した古代人は、勇者リキと一人のドリンを眠りにつかせて時の流れの止まった異次元宇宙へと送り込み、マシン獣の再来に備えて6億年のタイマーをセットしていたのであった!
 ……アイデアそのものは珍しくないにしても、シリーズの流れとしては、あからさまに『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の焼き直しになっていて、前作に続き、新展開にあたって直近の成功作品の要素を露骨に持ち込んでくるのは残念なところで、制作サイドのタネ切れを感じずにはいられません。
 また、『ジュウレンジャー』においては、惑星ネメシスの地球接近の周期が把握されていたり、戦士復活の役割を担う祭司が存在していたのですが、今作ではマシン獣の再来が「6億年後」に断定されている根拠が全くわからない為に(超力予言者でも居たのかもしれませんが……)、アイデアだけ流用して細部に気を遣っている様子が見えないのも、がっくり来るところ。
 ドリンの口からバッカスフンドの名が出る事で三浦説が裏打ちされ、ドリンの生みだした王印のステッキを手にする、金色アーマーの少年リキ。
 「私の大事なリキ、負けないでね」
 わかりやすくリキ専用ヒロインのドリンですが、三浦により、可愛らしい女の子の姿をしているが「人間では無い」といきなり断言されているのが、割と酷い(笑)
 ……まあ、ニンフみたいなものと受け止めておけば良いのかもですが(実際、ルックスや衣装は『ターボレンジャー』の妖精シーロンぽさあり)、緑色のミニ恐竜みたいなものを抱えて出てきた為に、あーー、これが成長すると、人間に好かれやすく庇護欲を生じさせる姿に擬態するのかと余計な事を考えてしまって困ります。
 今のところ、〔『ジュウレンジャー』×ゴールドプラチナム(『ブルースワット』)〕みたいな印象の新展開、6億年後の地球に降り立ったリキを戸惑わせるのが、暗闇の中に照り輝く後楽園ゆうえんちのアトラクションなのは、如何にもな小林演出。
 逃げ出すようにその場から走り出すと、サーカスのピエロ調の不気味な集団が立ちふさがるのがまた小林義明ですが、前回とはまた違う形で、ここまでの路線とは全く違う演出に、だいぶ困惑。
 不気味なパントマイムを見せるピエロがバラノイア戦闘員の正体を現すと、リキが生身アクションで高い戦闘力を見せつけ、黄金アーマーでのアクロバットな戦闘は思わぬ格好良さ。
 そしてバラノイアの月面基地では、リキの復活を知ったバッカスフンドが、ムチを手にした女性ケリス(演じるのは、『ライブマン』マゼンダや『ダイレンジャー』ガラ役だった天祭揚子さん)の元へと大慌てで向かい、バラノイアの生物研究所みたいな設定なのかもしれませんが、何故かマシン帝国の月面基地内部で地球人女性の見た目をしたキャラクターが登場し、赤木信夫(非公認)! これが公認様による本気のテコ入れだ! みたいな事になってきました(笑)
 謎の超次元ピラミッドを探すオーレンジャーは、地上を哨戒するバラノイアの戦闘機を目撃。隊長と昌平はリキを発見するも素性を疑われ、いきなりの飛び蹴りから殴り合いに発展しかけるが、バラノイアの攻撃を受けて超力変身。
 「リキ、6億年の恨み、今こそ晴らしてやる」
 共通の敵バッカスフンドもホログラムで登場してくれた事で大変わかりやすくなる一方、ミニ恐竜・パクを追ったドリンを追いかけた裕司・樹里・桃の前には、バッカスフンドが放った刺客・ケリスが姿を見せ、お祭り男の前例はあるにしても、地球人の姿をしている敵が登場する事態に、誰一人ツッコまなくて困ります。
 ドリンの危機を察知してリキは走り出し、猛獣使いめいたケリスの命令により、生物的なパーツ構成の加わった、これまでとはまた路線違いのマシン獣・バラゴブリンが出現。……路線違いの敵が出てくる事そのものはともかく、その路線の違いについて“面白くなる”説明が劇中でされないのが、困ったところ。
 黄青桃の個人必殺攻撃の全く通用しないバラゴブリンを前に、3人はドリンをかばいながら撤収。
 「バラゴブリンは一度狙った獲物は絶対に逃がさん」
 4人の背後に緑の猛獣の毒牙が迫る中、月面基地では、6億年前、超古代文明に叛乱を起こすも敗れ、たった一人生き延びて宇宙へと逃げたバッカスフンドが、辿り着いたバラノイア星においてヒステリアやブルドント、数多のマシン獣を作り上げてバラノイア帝国を建設した過去が語られ、中盤の新展開において「今後はこういう基本設定で話を進めます」を敵方が長々と説明するのも『ブルースワット』を思い出してしまいます(笑)
 現在の地球が侵略を受けたのは、元はといえば超古代文明が原因だった事が判明し、復讐に燃えるバッカスフンドがリキとドリンの命を狙い、新メンバー2人への洗礼として、爆発爆発どんどん爆発、でつづく。