東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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仁義なき日本征服-五代目襲名-

仮面ライダーX』感想・第5-6話

◆第5話「一つ目怪人の人さらい作戦!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:鈴木生朗)
 「おお、なかなかいい腕だな」
 今日もバイクで爆走していた敬介が、とある中年男性に目を付けられる一方、見るからに悪そうな顔の運転手――演:中田博久――が幼稚園バスをまるごとジャックし、前作でも怪人の人間体で登場し、次作『アマゾン』では幹部に昇格する中田博久さんの存在感は、今回の見所の一つ。
 大量の園児がトンネルの中でまとめて姿を消し、運転手の正体は、ゴッド機関の一つ目怪人・キクロプス!
 「一つ目レーザーー!」
 岩のような顔が特徴的なキクロプスがバスを消し飛ばして証拠を隠滅する一方、敬介は通りすがりの喫茶店の中から聞こえてきた幼稚園バス行方不明のニュースを耳にして、改造人間の強化聴覚を表現。
 「これはひょっとするとひょっとだぞ……」
 喫茶店のカウンターでイヤホンを使ってラジオを聞いていた店主――誰あろう立花藤兵衛の肩を叩いた敬介は力加減を間違えてしまい……多分、藤兵衛じゃなければ、死んでいた。
 普通の人間には聞こえる筈のない声が店外で聞こえた、と迂闊な言動から敬介は素性を怪しまれ、
 「お、おまえまさか、デストロンの改造人間じゃあるまいな?!」
 「……デストロン? なんですかそれ?」
 「あ、そうか……デストロンは壊滅したんだっけ。……どうもまだデストロンノイローゼ気味だな……」
 心機一転、商売替えをしたらしいが悪の組織との戦いの日々を忘れられず、既に後の迷妄の徴候が見え始めていた藤兵衛は、敬介を強引に追い出すと、くすぶっていた魂の炎のたぎるままに悪の組織センサーを発動して、一人バイクで峠へ。
 そこで、トンネルに入ったスクールバスから響く悲鳴を耳にすると、中から逃げてきた黒ずくめの女に助けを求められるが、駆けつけた敬介にトンネルに入るのを止められる。
 「また邪魔しに出てきたのね」
 「涼子さん……君はいったい何をやってるんだ。本当にゴッドの仲間なのか?」
 制作上のトラブルがあったらしい今作、パイロット版に抜擢された長坂さんの後に、伊上・鈴木と常連脚本家が続く事になりましたが、これ二人とも、涼子と霧子については本当に何もわからないまま書いているのでは(笑)
 前回、涼子がメドウサに内部粛清を受けた筈の件が全くスペクタクルとして機能しないまま平然とゴッドの手先として再登場するのは(まあ前回の涼子は恐らく霧子だったのでしょうが……)、制作タイミングを考えると、今回の脚本&演出は実際に把握していない可能性が高そうなのですが、見事なまでの五里霧中。
 涼子は二人を銃撃するとトンネルの中に姿を消し、それを追った敬介と藤兵衛の前に現れる一つ目怪人・キクロプス。
 ナレーションによりキクロプスの原典が解説されると、二人はゴッド戦闘工作員に追われ、数々の死線をくぐり抜け、研ぎ澄まされた危機感知能力により、放たれる一つ目レーザー(視認不能)を、さらっとかわす立花藤兵衛(笑)
 まさかこの中年男性が、かつて死をも厭わない多数の少年少女を手足とし、日本全国に張り巡らせた恐るべき情報ネットワークの首魁として、巨大な悪の組織と死闘を繰り広げてきた歴戦の猛者とは夢にも思わない敬介は、セットアップ! そして、ライドルサインで仮面ライダーX!
 「仮面ライダー……まさか。俺は夢を見てんじゃないだろうな?!」
 新たな自称仮面ライダーの姿に驚愕した藤兵衛は、不意を突いた工作員に側頭部と顔面を殴られると、完全な脱力状態(転落用のくったり人形がくったりしすぎて、ちょっと衝撃映像)で崖を滑り落ちていき……多分、藤兵衛じゃなければ、死んでいた。
 XはXでライドルホイップで工作員の首を撥ね飛ばし、殺伐バトルの中で気を失った藤兵衛は、霧子と敬介にによって救出される。
 改めて霧子の正体を問う敬介だが、「あたしは少なくとも、あなたの敵ではないわ」と話を誤魔化した霧子は、進行中のゴッドの作戦とアジトの場所を伝えると、「それを潰すのが、あなたの役目です」と、またも神教授のメッセンジャーとしか思えない言動に徹し、霧子はやはり、なんらかの事態でJINステーションが活動不能に陥った時(或いは、敬介がちっともJINステーションに顔を出さなかった場合)に備えて、改造した息子の行動を監視&操縦する為に用意されていた、地上行動用ボディ&バックアップなのでは。
 ――つまり、姿形は水木涼子だが、中身は紛う事なき神啓太郎。
 いずれ、「人間の体は脆い。だが、マシンの体は違う。そしてマシンからマシンへ、記憶と精神をデータとして移植し続ければ、私という存在は永遠になるのだ。神にも等しき不滅の存在……私は、この名の通り、神となるのだ! 愛する息子敬介、おまえの集めてくれたデータは究極のマシンを産み出す為の役に立つ……そう、ゴッド機関とは、私が神になる為の装置だったのだよ……!」みたいな展開が待ち受けていそうで不安になりますが、神啓太郎ラスボス説を採用すると、「神敬介」の名前が大変えげつない事になりますね!
 そそくさと姿を消す霧子を追おうとする敬介だが、おう、待てや兄ちゃん、誰に断って仮面ライダーの看板つこうとるんじゃ、と藤兵衛に強硬に引き留められてしまう。
 「……君は仮面ライダーなのか? 俺の名は立花藤兵衛。かつてライダー隊の会長だった」
 立花藤兵衛の登場と回想により前2作と世界観が接続され、何故よりによってトリプルライダー曲乗りトライアングルシーン(笑)
 「だが君はその4人の誰でもない! 君はいったい何者だ! 何者なんだ?!」
 「……俺の名は、神敬介」
 ここまでコミカル寄りの描写が続いていた藤兵衛ですが、真剣な表情で敬介に指を突きつけると場がぐっと引き締まるのはさすがで、俺に許可なく仮面ライダーを名乗る事は許さん!!
 訴訟の危機を感じた敬介は名前と素性を明かし、都市伝説的に語られていた「仮面ライダー」の名を極道親父が勝手に拝借して、改造した息子に与える事で、「公の英雄」としての役割をスティグマとして刻み込んだ感じが物凄いですが(好意的に受け止めれば“希望の象徴”でありますが)、神教授、どこまでも手の込んだ仕込み。
 敬介と藤兵衛、二人の間で「仮面ライダーエックス」の名が繰り返し強調されると、二人が固く握手を交わす事により、立花藤兵衛を見届け人及び後見人とした仮面ライダー」の正式襲名が描かれ、回避される訴訟。
 日本征服における障害としてブラックリストの最上位に名を連ねる立花藤兵衛が、神敬介と接触した事に危機感を抱いたゴッド総司令@サッカーボールは、作戦の進行を早めるように指示を出し、ある時はバスの運転手……またある時は片目の靴磨き……と変装を見せるキクロプス人間体は、さらってきた子供達を冷凍室へと運び込む。
 「おまえ達はゴッドの奴隷になるのだ。ははははは!」
 ゴッドの大規模誘拐作戦……その真の目的は、ゴッドの日本支配後、奴隷として使役する為の少年少女を冷凍保存しておく事にあった!(それ以上の年齢は、皆殺しにしたい予定と思われます)
 敬介と藤兵衛は、霧子からの情報を元に地下アジトへと潜入し、早速トラック運転手の扮装で囮役を務める藤兵衛の血がたぎりすぎですが、恐るべき真ヒロインの参戦により「おまえはやはり、一人で戦わなければならん。誰も頼らず、自分だけの力で」が、あっという間に崩れ去ろうとしています(笑)
 ……作品の目論見が崩壊しつつあるのはともかく、敬介にとっては、父の目論見からは外れた方が良いのだろうな感。
 涼子によりあっさり正体のばれた藤兵衛は冷凍保存の危機に陥るが、敬介が突入し、セットアップ!
 戦いがアジトの外部に移ると、Xは新ギミックのライドロープを用いてターザンキックを放ち、ナレーションさんがライドルの機能についても解説。
 高い所に現れた怪人にライドルスティックを投げつけたXは、棍棒持った怪人と素手での戦いを強いられ、安易な投擲、良くない。
 パワー系怪人とは相性が悪いのか執拗な殴打を受けるXだが、棍棒を膝蹴りで叩き落とすとレーザーもかわして高く飛び上がり……あ、鉄塔に引っかかっていたライドルを拾った(笑)
 しっかりと武器の場所を把握していたファインプレーから、再びの投げライドルでキクロプスの目を潰すと、怒濤の攻勢を仕掛けてトドメはXキック!
 怪人はのたうちまわりながら消滅し、既に冷凍されていた子供達は霧子によって治療された事が語られると、子供達の歓声を受けたXライダーは少年を抱え上げて
 「一生懸命勉強するんだよ」
 などと社会的好感度の引き上げを図り、なかなか、「誰も頼らず、自分だけの力で」戦うのは難しいのだった……!
 怯むな! 進め! 我らの、Xライダー!

◆第6話「日本列島ズタズタ作戦!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:鈴木生朗)
 見所1は、工事現場の三角コーンからミッションを伝える総司令。
 見所2は、「よし、わかった。皆まで言うな!」と云う立花藤兵衛(タイムリー)。
 ゴッド機関は日本国内に大量の武器弾薬を運び込み、各地で内乱を誘発させようと目論むが、爆発物輸送中のトラブルが路線バスの転落事故を引き起こしてしまう。
 現場を調査していた敬介は、この事故で両親を失い身寄りのない少女を助けると藤兵衛の元へ連れて行き、二つ返事で身柄を引き受ける藤兵衛の、
 「おじさんにはね、あんたとおんなじぐらいのお友達が一杯いるんだ。あんたもすぐ仲間に入れるからね」
 が、『V3』を踏まえた上だと、怖すぎます(笑)
  (この年で両親を亡くすなんて可哀想に……確か、○○議員の奥さんがずっと子供を欲しがっていたな。潜入工作のイロハを叩き込んで、適当なところで里子に出すのにうってつけじゃないか) 
 少年ライダー隊は、いつもどこかで、あなたを見ている。
 転落事故について詳しく調べようとした矢先、喫茶店の様子を窺う怪しい影を追う敬介だがそれは涼子の罠で、工作員待ち伏せを受けると敬介は、セットアップ!
 工作員を蹴散らすとクルーザーで車の後を追うが、迫り来るブルドーザー、そして、姿を現すゴッドのサイボーグ、牛男ミノタウルス。
 ゴッド怪人の名前がモチーフそのままなのが、怪人らしさに欠けるとでも判断されたのか、前回今回と怪人名の前に説明書きが付き、怪人自らそれをアピールしてくる形式に変更。
 牛頭の兜を被った戦士の石像、とでもいったデザインが秀逸なミノタウルスは、ブルドーザーとの同時攻撃が失敗すると撤収するが、両親の墓参りに向かった少女がゴッドにさらわれて人質にされ、捜しに向かった敬介と藤兵衛もまた、囚われの身となってしまう。
 「あと3分で爆発だ。3人仲良く、あの世へ行くがいい」
 涼子が繰り返し暗躍し、敬介にとってのファム・ファタールとしてノワール・サスペンス風味をスパイスに加える狙いはわかるものの、絶体絶命の危機に霧子が出てきて3人を助けるのは全く面白くなく、涼子/霧子がキャラクター的厚みの不足したまま“話を転がす為の便利なコマ”でしかないのが残念なのですが、そもそも同一(と思われる)人物が敵か味方かわからない行動を取るから面白いものを、最初から別人として扱っているので、使い方が致命的に間違っているのではないかという(笑)
 「Xライダー、急いであの男たちを追いなさい。それがあなたの務めです」
 ミノタウルス一味を追うXは、新挿入歌に乗せてのバトルを展開し、前作に比べるとかなり、劇中ボーカル曲を多用する作り。
 両拳につけたナックルを合わせると牛の頭を象っているといった装備品のデザインも凝っているミノタウルスですが、飛び道具の火花は頭の辺りから適当に散らばっているので、ただの前振りモーションだ!
 Xキックを浴びると粉状に溶けた怪人は、湿気た花火みたいな爆発で最期を迎え、涼子/霧子問題が足を引っ張った事もあり、いまいちパッとしない決着&出来となりました。
 次回――なんか、もう、予告がヤバい(笑)