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薔薇色の青春、明日はアキバの風が吹くのだ

非公認戦隊アキバレンジャー』感想・最終話

◆最終話「反省会!痛くなければザッツオーライ!」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
 ナレーション「妄想の海に浮かぶ街・秋葉原。痛さを強さと勘違いし、徒花のごとき物語を紡いだ若者たち。かつて彼等はこう名乗った――」
 第11話に続いてナレーションに宮田浩徳さんを迎え、八手三郎から「第2シーズンをやりたいのなら、これを見て自分たちの何が悪かったか反省しなさい。」と送られてきたDVDを見ながら、赤木・青柳・萌黄・葉加瀬が喋り散らす体裁の実質総集編で、見所は、やけっぱち気味に『ズキューン葵』の主題歌を熱唱して場を繋ぐ葉加瀬博世。
 基本、普通の総集編として進みつつ、編集された映像により、自分たちの目では初めて見る変身バンクや、ミニコーナーの台本について
 ナレーション「八手先生、なんか、デカブルーブラックコンドル推してます? 気のせい? ああ、ハイ」
 といった小ネタが挟まれ、一同テコ入れ展開をくさしている内に、辿り着いてしまう――究極の真実。
 「俺がテコ入れフラグに気付かなかったら今頃なぁ……」
 「今頃……そっかぁ! 番組続いてたんじゃない?」
 「そう、そうですよね! 交代させられそうになったの、おじさんだけだもんね」
 実は原作者によるテコ入れだった、で中盤以降の新要素を全て無意味化してみせた今作、最終話にして、真相に気付いた後の延命行為を無意味化してみせ、ここまでやりきってくれると、面白いの領域(笑)
 だがそれもこれも、
 「反省しなきゃなんねぇのは、八手三郎本人じゃねぇ?!」
 と、初期設定の問題を無視して登場人物に反省を押しつける原作者に抗議する赤木ですが……うん、まあ、初期設定の問題と路線修正は東映特撮では珍しくない話すぎて、触れてはいけないダークに近いグレーゾーン……みたいな。
 映像そっちのけで脱線している内に、送られてきたDVDの真の狙いは、シーズン2を餌に赤木たちに反省を促すのではなく、キャストコメンタリー付き総集編により低予算で1話分をでっちあげて穴埋めする為だったと、更なる秘められた真相に気付く赤木(笑)
 「なにか、なにか爪痕を残して、第2シーズンに繋げたいぞ……!」
 このままでは八手三郎の思惑に乗せられたまま、なし崩し的に総集編で番組が終了してしまう……慌てる赤木たちが最後の足掻きを見せようとすると、またもゆめりあが妙案をひらめキング。
 一度スタッフルームに引っ込んだ赤青黄は、ゆめりあ制作のアキバレンジャーコスプレスーツに身を包むと、顔出し名乗りから揃い踏みを決め、
 「痛さは、強さーーー!! ハイ」
 「「「非公認戦隊! アキバレンジャー!!」」」
 ……大概滅茶苦茶な作品だったのに、最終回で顔出し名乗りから視聴者への挨拶をやって締め、こだわりの様式美に白旗(笑)
 最後はオフショット集でのスタッフロールとなり、普段、EDでオフショットやNGシーンを流されるのが物凄く嫌いなのですが、原作者:八手三郎まで引きずり出してみせた今作のメタ度合いでは、物語世界の破壊については、もはや気にするようなものではなくなった事もあり、EDの曲調ともピッタリはまって、祭の終わりを告げる思わぬ爽やかなEDでありました。

 特に好きなエピソードは、第5話「イタイタ☆イエローママ」(監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)と、第7話「妄走イタッシャー限界突破せよ!」(監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久)。
 第5話は、作品コンセプトを十全に生かし切り、とにかく出来の良かった一本。
 第7話は、後にテコ入れの始まりと判明するシリアスな縦軸が入ってパロディ控えめになりながら、それまでの今作らしさも上手く残したバランスの光る一本でした。
 好き……というわけではないですが、特に印象に残ったキャラとしては、マルシーナ。
 ヒーロー側との接点が生まれる内に……というのも一種のお約束でありますが、役者さんの演技が中盤ぐらいからはまってきたのも含めて、一番、“化けた”キャラだったな、と。
 後、荒川さんへの刺客、門前仲町ハシビロコウ(笑)
 第1-2話の感想で書いたように、恐らくはリアルタイムだったら早々に脱落するかここまで楽しくは見られず、「時間が適度に色々な要素を薄めた今だからこそ、適度な距離感で笑って見られるタイプの作品」でありましたが、パロディに始まりSFからメタミステリに飛翔して乱痴気騒ぎで終わって様式美で締める……前に視聴者の喜怒哀楽に対して一定の落とし前は付ける構成により、気持ちよくエンドマークを迎える事が出来て、良かったです。
 高いが、安い!!