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路線は変わるよ虹色に

非公認戦隊アキバレンジャー』感想・第11話

◆第11話「二代目はサワヤカ無痛戦士」◆ (監督:田崎竜太 脚本:荒川稔久
 ナレーション「人類への復讐の為に、高度な科学力を駆使して、デリュージョンワールドから怪人を繰り出す、ドクターZ。その野望を打ち砕き、子供達の未来を守る為、愛と勇気で立ち上がった、3人の戦士がいた」
 主人公入れ替えを契機に嘘前振りから始まり、流れるBGMがやたら格好いい(笑)
 ナレーションも本格的だと思ったら、公認では『ハリケンジャー』『シンケンジャー』で名調子を聞かせてくれた宮田浩徳さん!
 「事件は秋葉原を越えて拡大しそうな気配。赤木さん、今までどうもありがとう!」
 そして、追い打ちを決める葉加瀬が、酷い(笑)
 OPの歌詞も替わって新展開が強調されると、ひみつきちでは、初代から二代目への継承の儀式が行われ、赤木は自転車で厚木へ……の前に、さやかに連絡すると、さやかもまた転職して渡米する事になっており……果たしていったい、どこからどこまでが妄想なのか。
 さやかの言行があまりに赤木に都合が良い事を考えると、お礼の電話がかかってきた辺りからなのか!?
 「時は来た。これより我らは、真の野望の実現に向けて……新たな第一歩を踏み出す。ステマ乙は、本日只今をもって解散し、並行次元より、デリュージョン帝国を、建設する!」
 「……帝国?」
 一方、ドクターZはステマ乙の発展的解散による新たな悪の組織の立ち上げを宣言。初耳のマルシーナが目を丸くする中、社畜たちがまさかの戦闘服チェンジを見せると、これまでとは全く毛色が違う怪人、モウソボーグ・ドリルサイクロプスが姿を見せる。
 「破壊せよ。殺戮せよ。人間どもの社会を、我が帝国の支配下に」
 一つのアニメ企画への憎しみが、いつの間にやら人類社会全体まで拡大し、邪魔な奴らは皆殺しの命令を下され、出撃するデリュージョン戦闘部隊。
 ひみつきちでは、タクマ・青柳・萌黄の3名が、色違いで揃いのジャンパーに身を包むと、葉加瀬は長官(多分、小田切長官コスプレ)へとクラスチェンジ。
 「アキバレンジャー、出動よ!」
 基地にはいつの間にやら怪人反応を検知するシステムまで設置されており、レッド交代にともない、もはや別の作品になっている勢い(笑)。
 赤木不在の状況で、新たなフル名乗りもばっちり決まると、如何にも公認様! なカメラワークとポージングが随所に盛り込まれ…………ど、どういう視線で見ればいいのこの番組?!
 (……何かが違う。いったい何?)
 一方、作戦の中枢から外され、川沿いをフラフラ歩いていたマルシーナは、厚木へと急ぐ赤木の自転車と激突すると違和感の正体解明を赤木の知識に求め、思わず『サンバルカン』第23話を引き合いに出して解説している内に、現実と物語の奇妙な符合に気付いた赤木は、アメリカ行きの切符ともいえる厚木基地の通行許可証を、わざと川へと投げ捨ててみる。
 「俺の予想が悪い方に当たれば、あの通行許可証は必ず俺の手元に戻ってくる」
 「は? ありえないでしょ、そんなの」
 せせら笑うマルシーナだが、たまたま警察が川をさらって遺留品の捜索中で、赤木の悪い予想通りに、許可証は赤木の元へ帰還。
 「そんな馬鹿な?!」
 「やっぱりそうだ……だからこんなあり得ない事が起こるんだ」
 「だからさっきからなに言ってるの?!
 「……この世界は、一つの番組で……俺達は……俺達は番組のキャラクターだとしたら?!」
 ……え、本当にそっち進むの?!
 音楽も演出もサスペンス調となり、自分が途中退場キャラの役割を割り振られているのでは、と考え込む赤木は、今起きている不自然な状況の全てに説明を付ける、一つの言葉に辿り着く。
 そうつまりこれは、ジョーカーが栄転して新たに赴任した行動隊長が主役も宿敵の座も全てを強奪していったり、超時空ヒーロー・ゴールドプラチナムが飛んできて主人公たちのパワーレベリングを始めたり、誰とは言いませんがメインライターが交代したりする、テコ入れ新展開なのではないか、と。
 「俺はなぜ見逃したんだ……」
 一方、ひみつきちでは葉加瀬がドリルサイクロプスの分析をするとデータを赤に転送し、本格的にすっかり別の作品が始まっていた。アキバレンジャーは、フォーメーションを組んだ赤青黄がコマのように高速回転して標的を弾き飛ばす心技体アタックで怪人を撃破し、目指せ公認なのか、もはやここは公認された世界なのか。
 「そんな……この世界が、『非公認戦隊アキバレンジャー』という番組かもしれないなんて!」
 赤木とマルシーナは、なんとしてもこの物語から赤木信夫の存在を抹消しようとする力により、謎の外国人部隊の襲撃を受け、二人をかばった社畜A、殉職……?
 「あたしはこれでも悪の幹部だから、マシンガンぐらいは平気だし」
 凄い事を言い出したマルシーナは、赤木を守って自らを盾にすると《ここは私に任せて先に行け》を発動し、急速に上昇するヒロイン力(笑)
 秋葉原では、ボウケンレッドから“大それた力”を受け取ったアキバレッドがデリューナイトに必殺拳を浴びせると、
 「貴様は知らないだろうが、俺と貴様は宿命のライバルだ!」
 と一方的にフラグを立ててナイトは逃走。今のところ、今作で赤木の次にフラグを使いこなしているのはデリューナイトなのですが、果たしてその正体は何者なのか……ナイトの後を追ったアキバレンジャーの前に現れたのは、秋葉原の地に戻り、真実を突き止めようとする赤木信夫。
 赤木はこの世界が番組である事を証明しようと仲間たちを黙らせると周囲の様子を窺い……
 「……来た! テロップだ!」
 「「「え?!」」」
 衝撃の伏線だったテロップを、手で掴んで止めた(笑)
 「僕には……何も見えない」
 タクマが当惑する中、赤木は、青柳と萌黄のキャラ変も指摘。
 「『アキバレンジャー』はオタク風味の痛い番組から、ちゃんとした公認ぽい番組に変えようとする力が働いているんだ! つまりこれは路線変更! テコ入れなんだ!」
 赤木はここまでの、如何にもテコ入れな要素を並べて指摘すると、一切を無表情で聞いていたタクマはインターポールからの帰還命令を受け、本来消される筈だった赤木に代わって急遽退場するゲストキャラへと格下げされる事に。
 「これは……テコ入れが中止された」
 タクマは、ナイトの粘着発言も無視してバイクで走り去っていき……タクマが「デリュージョン帝国、絶対許せねぇ!」と叫ぶと、テーマBGMと共に光り輝く先輩が空から降ってきては“大それた力”を与えてくれるルートは無くなりました!
 「なに? この私が大いなる意思に操られている?」
 その頃、体のあちこちに傷を負いながらもアジトへと帰還したマルシーナは、赤木に説明された世界の歪みをドクターZへと伝え、“大いなる意思”にまで本当に触れられてしまい、なんだか、視聴者目線のメタなツッコミを全て呑み込んでいくモンスターみたいになってきました(笑)
 元々ドクターZの目的は、萌えに毒された人々を矯正し、理想のアニメを発信する事だったと判明し、一瞬、正気を取り戻すZだが……謎のノイズが走ると、再び非情なる帝国の支配者・ドクターZに戻り、マルシーナを追放。
 葉加瀬の呪いは根本的に無かった事になるが、急激な変化を始めたシリーズの流れはどこに向かおうとしているのか……赤木が不安を胸に抱え、ラスボス候補に日笠Pが浮上する中、現実と虚構の境界がさらにねじくれ曲がって、つづく。
 《スーパー戦隊》パロディに始まった今作、中盤以降の急展開が丸ごと「テコ入れ」という名のメタな力の作用だったとパロディの素材にされると、作品全体がメタ構造作品のパロディへと風呂敷を広げ木枯らしに巻かれて東京上空を飛び回っておりますが、一体全体どこに着地するのかさっぱりわからなくなってきたところで、次回、最終回……?!