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指輪も、魔法も、あるんだよ

仮面ライダーウィザード』感想・第24話

◆第24話「魔法使いの祖母」◆ (監督:舞原賢三 脚本:香村純子)
 凛子から連絡を受けたとめかしこんでいる仁藤をドーナツ屋で目撃する晴人と瞬平……ミサには「かわいこちゃん」とあっさり籠絡されていたのに対して、今の今まで凛子に特段の反応を見せていなかったので、てっきりストライクゾーンの外なのかとばかり思っていたら、そうでもなかった模様。
 まあここは若干以上に、コミカル演出の勢いで調子のいい男になったような気もしますが、現れた凛子……の背後から姿を見せたのは、少々表情きつめの老婦人。
 「ばあちゃぁん?!」
 OPにはオールドラゴンが加わり、これまで謎の風来坊みたいだった仁藤の肉親が現れ、考古学を学ぶ大学生だった仁藤、敷地内に蔵もある福井の旧家の生まれと判明(河原で化石を拾ったのが古代ロマンに目覚めたきっかけとされているので、そこからの福井県でしょうか)。
 大学に通っている筈が遊び呆けてふらついている、と思われている仁藤が祖母からダッシュで逃走すると、取り残された仁藤祖母は瞬平が案内する事になるが、ミサから絶望ミッションを受けたムキムキ男が、ゲートであった祖母を狙ってワータイガーへと変身する。
 ここ数話の扱いがあんまりだと思ったのか、老婆をかばってひのきの棒でファントムに立ち向かう瞬平が成長した根性を見せると、駆けつけた晴人がウィザードに変身。
 祖母の前で変身できない仁藤は、物陰でこっそり変身すると、声音を誤魔化す為に、魔法少女プリティービーストを名乗り、城茂ばりの三方向ズームインから高いところで決めポーズ。
 「あなたもパクっと、食べてあげるワ」
 「おまえ、気持ち悪いぞ」
 ファントムにツッコまれながらもめげずにメルヘン空間を展開してサーベルを振るうビースト、ウィザードのお株を奪うクラシックバレエ殺法は、なんか普段より強かった(笑)
 「Magic(マジ)かよ、Magic(マジ)で!」
 ウィザードにも思わず鬼龍院翔が憑依し、二対一になると形勢不利とみたワータイガーは撤収。
 ビーストは自分の芝居にえづいて膝から崩れ落ち、祖母の視線を感じると逃走……を、ソラが見ていた。
 ここまでやってくれると突き抜けて面白かった魔法少女ビースト誕生の後、仁藤祖母は面影堂で事情の説明を受けるとおもむろに店内を見回し……初対面の少女を発見。
 「もしかして魔法少女ビーストって、あなただったの?」
 ギャグ空間から距離を取ろうと無言を通していたコヨミちゃんが誤爆を受けると、その場を誤魔化そうと騒ぎ始めた仁藤は祖母の叱責を受け、腕白小僧だった少年時代、躾に厳しい祖母には叱られてばかりだったと晴人にこぼし、仁藤は晴人に、祖母は瞬平に、それぞれの思いを別々の場面で口にするのは、聞き役に回った二人の存在感も出て良かったところ。
 また、仁藤が人の話を遮って自分のペースで話を進めようとしがちなのは、どうやら祖母との関係性が一因らしいとも補強されました。
 正社員に採用されたいならそれなりの実績をあげてこい、とミサに門前払いを受けたグレムリンがムキムキ男に接触する一方、仁藤に頼まれた晴人と瞬平は福井まで仁藤祖母を送っていく事になり、相変わらず、東京以外は勢力圏だと思われていないし実際その節がある株式会社ワイズマン(笑)
 中期目標の先の大目標や、白い魔法使いとの関係性など中核部分の謎は多いワイズマン組織ですが、勢力拡大の第一歩として怪人増産計画を実行したら、いきなり仮面ライダーに逃げられたみたいな悲哀は漂います。
 変装した仁藤がこっそりと見守る中、スムーズに乗り込まずに乗降口手前で周囲を窺う晴人さん、路線バス的には超迷惑な客だな……と思っていたら、停留所に、取り残された(笑)
 晴人の抗議を無視して走り出すバスの運転手はさすがにファントムで、バスを暴走させながら車内にグールを放つと、仁藤祖母に貰ったお守りを手に飛び出す瞬平だが、一発ノックアウト。
 「祖母ちゃん……説教は後でな」
 さすがにこの危急を見過ごせずに仁藤はやむなく変身すると、一般乗客も巻き込みながら走行するバス車内でのバトルという趣向になり、そういえばこの手のカーアクションもなかなか珍しくなった印象です(70年代だったら、バスの屋根の上で戦っていそう)。
 背後からようやくバイクで追いついたウィザードがビッグ張り手でバスを強制停車させると、二人の魔法使いが並んでカメレオンとすいすいすい。
 まだ完全に歩調を合わせるとまではいかないも、前回の仁藤の配慮に思うところがあったのか、晴人なりに仁藤に協力できるところは協力しようとする歩み寄りの一歩目は窺えます。
 「後はおまえだ、メインディッシュ!」
 ところが、筋肉至上主義だと思われたワーウルフ突然の飛び道具により指輪交換アクシデントが発生し、ビーストの指輪を用いてイルカになったウィザードは、地面潜行からのマジカルドルフィンジャンプ。
 「おい仁藤! この指輪、俺にくんない?」
 恐らくは、玩具の互換性を示す為に入れたシーンかと思われますが、後継モデル(ウィザード)は過去のバージョンのOSに対応したアプリを動かせるけど、旧モデル(ビースト)は最新のアプリに対応できない世知辛さは、魔法使いシステムにおけるなんらかの布石の意味もありそうでしょうか。
 ワーウルフの分断作戦を阻止したW魔法使いだったが、会話の断片から孫の体質を知った仁藤祖母が、(今回時点では明確にされないものの)自らを孫の餌にしようと物陰から進み出る、あー、そう来るか、という展開。
 「そこのファントム! 私を絶望させない」
 「おいなに言ってんだ祖母ちゃん?!」
 咄嗟に仁藤祖母を守ろうとして飛び出した瞬平が、代わりにファントムパンチの直撃を受けて派手に吹き飛ぶと地面を5回ほど転がり、ひたすら体を張る役割でまたもノックダウン。
 「……面白い事になってきたね。くふふ」
 そこへ現れたソラは、今回もいやらしい笑みを浮かべるとグレムリンへと変身し、
 「ねえ、もし良かったら交換しない? この子と、そちらのお婆ちゃん」
 気絶した瞬平と仁藤祖母の交換を持ちかけ、人の感性に自ら近づく事で、人の感情を好んで手の内で弄ぶ、フェニックスとは別の形の悪辣ぶりをアピールし、香村脚本回にしてはファントムが力任せだなと思ったら、今回はグレムリンのターンでした!
 ビースト登場エピソードの後編を引き継ぐ形で、再び「命」の選択を突きつけられた仁藤は、果たして何を選ぶのか。ストレートな葛藤と選択が仁藤に与えられて、つづく。