東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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白昼にイタさの数だけ強くなる

非公認戦隊アキバレンジャー』感想・第9話

◆第9話「痛戦隊、解散。」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
 「只今をもって、アキバレンジャーは、解散します」
 前回ラスト、行方知れずの父親が何か良からぬ事を考えていると察知した葉加瀬は、萌え萌えズキューンの封印と、アキバレンジャーの解散を宣言。
 納得の行かない赤木に対し、他にもやる事はあるし、と切り替えの早い青柳と萌黄だが、そこに再び塚Pからの電話が入り、マルシーナの演じる塚Pは、なんで、胡散臭い記者風なのか……(笑)
 このチャンスを逃せないと飛びついたものの、変身アイテムはひみつきちの金庫の中……強盗にでも入るつもりか、と青柳と萌黄から冷たい視線を向けられた赤木は、悩み抜いた末にボール紙で自作のスーツを作るが、通りがかった小学生にも笑われてしまう出来で、膝をついて絶望。
 「このままじゃ塚Pに会えない……だからって、ヒーローが泥棒は出来ないし……」
 良識の一線を見せる赤木ですが、探せば「ヒーローが泥棒」の例はありそうな気がしてなりません(笑)
 少なくとも某轟轟戦隊は限りなく、「ヒーローが説教強盗」でしたね!!
 前回は、公認になりたいが故に正義を見失いがちになる赤木たちの姿がかなり危うげな印象でしたが、今回は、倫理的な一線を自ら引いた事に加えて、赤木のお手製スーツから漂う悲壮感により、千載一遇のチャンスをどうしても逃したくない涙ぐましいファン心理に見える部分が多少のフォローになっており、そんな赤木の前に現れた救世主は、あの謎の長髪男。
 「これがあれば! 俺は再びアキバレッドになれる!」
 男は、葉加瀬が厳重にしまっていた筈の萌え萌えズキューンを赤木へと差し出し、塚Pに会って公認への道を切り開きたい欲望に負けて手を伸ばしてしまう赤木、徹夜でスーツを自作していた事で出来たクマ&台詞の合わせ技により、だいぶ病んだ感じなのは意図的な演出でしょうが、なんだか、とうとう転売に手を出してしまったみたいな印象(笑)
 妄想経由東映本社行きの為、秋葉原の街でステマ怪人を探し回る赤木は、月島アルパカの兄貴分、江戸っ子の浅草アルパカを発見。
 「出たーーーーー!!」
 係長を発見すると満面の笑みになり、本格的に、ダメな感じになっていた。
 「兄でも姉でもなんでもいい!」
 笑顔で重妄想した赤木が、キレキレの動きでハッピ姿の社畜を蹴散らす一方、青柳と萌黄は東映本社の前でばったり遭遇。そこにマルシーナが現れると二人にズキューンを渡し、怪しげな思惑を感じながらも赤木を助ける為、葉加瀬の制止を振り切って二人は妄想世界へと突入する。
 強敵・浅草アルパカと激闘を広げていた赤の元に青と黄が参戦すると、アキバレンジャーは個別爆発名乗りを決めて、痛さは、強さーーー!!
 「目指すは11時に銀座ー!」
 一方、アキバレッドには通信を切られ、青柳には電話を切られた葉加瀬は、赤木本体を止めようと平手打ちを炸裂させるが、妄想にどっぷりと浸かった赤木は目を覚まさず、妄想バトルの方はボーカル付きで大変盛り上がっていた。
 萌えマグナム発射寸前、電池切れだった妄想解除装置(ほぼTVのリモコンだった)がスイッチオンされて赤木たち3人は強制的に現実に引き戻されるが、現実と妄想の境界は既にギリギリまで揺らいでおり、自らその壁を突破して現実世界へと飛び出してくる浅草アルパカ。
 「妄想世界と、現実世界の間の壁が壊れたから……これで奴らは、あちらからこちらに自由に来れる!」
 ひみつきちの店員と客は、もんじゃヘラ地獄攻撃を受けて、体のあちこちに熱々のもんじゃ焼きを押しつけられ、とうとうステマ怪人により、「現実」の秋葉原に人的被害が発生してしまう。
 「これが、壁の壊れた世界?! 妄想なんかじゃすまない、全部が現実になった世界……。……俺のせいか……俺が、自分のエゴで、勝手な事したから」
 赤木らは秋葉原の街で火傷に苦しむ人々を目の当たりにし、あ、ちゃんと反省した。
 ここは押さえてほしかった部分だったので、きちっとやってくれてホッとしました。
 3人はアルパカを倒す為、現実で重妄想……できず。
 「モエモエズキューンは、現実に変身する為の道具じゃない」
 葉加瀬が冷静に現実を突きつける中、路地裏からさやかの悲鳴が響き渡り、ダッシュする愛の戦士・赤木信夫。
 さやかを助けようとアルパカにぶつかっていく萌黄と青柳だが、現実化したステマ怪人の前には手も足も出ず、赤木もまた蹴り一つで吹き飛ばされるが、それでも萌え萌えズキューンを握りしめ……
 「無理だよ信ピョン!」
 「現実じゃ変身できないんですよ!」
 「……出来る!!」
 「なにィ?!」
 「俺は……妄想と現実の壁を壊すほどの痛い男! 現実だろうがどこだろうが、変身して戦ってやるんだ! ――じゅうもうそーう!!」
 痛さの壁さえ乗り越える絶叫に萌え萌えズキューンが反応すると、赤木はダッシュ変身を決め飛び蹴り一発でさやかを救出。
 「自分の妄想の責任は、自分で取る!」
 は普通に格好いい台詞で、散りばめた要素を集めていって綺麗な線でクライマックスの台詞に集約する香村さんの得意技が非公認でも炸裂。
 現実世界に“大それた力”まで喚び出したレッドは、主題歌ブーストも背に受けて怒濤の連続攻撃を決めると、秋葉原アンダーグランドカルチャーアタックで浅草アルパカを撃破し、ア! ア! 愛を抱いて! キ! キ! 気力だァァッ! バ! バ! 爆発!!
 妄想力を使いすぎたのか、直後に変身が解けると気を失って倒れる赤木だが、目覚めると仲間たちより手当を受けており、3人に謝罪した葉加瀬が事情を説明……する前に姿を見せたマルシーナが、偽塚Pの種明かし。
 そして現れる、ひみつきちから萌え萌えズキューンを強奪して赤木たちに持たせた長髪の男――その正体は、若干キャプテン・ハーロックのコスプレ気味ながら、総合的には完全に悪のマッドサイエンティスト衣装に身を包んだ、銀髪の男――邪団法人ステマ乙代表・ドクターZ!
 「昭和っぽいラスボス来た~~~」
 「お父さん! なんて姿に!」
 「「「お父さん?!」」」
 「……違う! 貴様はもう、私の娘ではない! 貴様が、『ズキューン葵』の主演声優を射止めた瞬間からな」
 「……は?」
 「え? な、なに? ……今、あまりにも場違いな新情報が聞こえたのは、気のせいか?」
 えー……見ているこちらも、一体どれが重要な情報かわからなくて、困惑しております(笑)
 「ははははは、今は精々はしゃいでいろ。我が侵略が始まれば、笑いも消える。ここからが本番だ。楽しみにしていたまえ。はーっはははははは……!」
 困惑と衝撃のダイナマイトを投げ込むだけ投げ込み、高笑いしてマントを翻すドクターZ以下ステマ乙の面々は、現実では瞬間退場できないのでゾロゾロ歩いて帰り、つづく。
 葉加瀬役の内田真礼さんが人気声優らしいというのはさすがに知っていましたが(※それ以上は知らないので確認してみたところ、今作の出演は声優として売れ始める少し前ぐらいだった模様……そして、当時23歳にちょっと驚き)、今作ではあくまで女優としての起用かと思っていたら、「劇中の職業が声優だった」という、一種メタな展開が放り込まれ、これはまんまと騙されました(笑)
 どこまで想定した仕込みだったのかはさておき、ひみつきちのコスプレとして着ていた白衣も目くらましになって、そうだ、葉加瀬は別に、博士じゃないんだ! という気付き。
 赤木の変身時、葉加瀬を襲った謎の苦痛の正体とは何か、ドクターZは何故『ズキューン葵』にこだわるのか、妄想と現実の壁が崩れた時、紛うことなき駄メンターというかクズ父案件になってきた物語の行く末に待つものは……次回――ファイヤー爽やか・ニューカマー?!