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仁藤の番号は多分知らない

仮面ライダーウィザード』感想・第22話

◆第22話「不死鳥の暴走」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:きだつよし)
 「そういえば……凛子ちゃんは?」
 大門凛子さん、面影堂に出勤してくるのが当たり前のような扱い。
 独自にファントムに近づいていた凛子が、フェニックスの炎に飲み込まれた事を知らず、瞬平と買い出しに出た晴人はビルの屋上にテントを広げて暮らす仁藤に声をかけられ、不法占拠……ではなく、たまたまビルのオーナーを助けお礼に使わせてもらっていて、一安心。
 屋上鍋のシーンはコミカルに描かれ、前回の影響が残っているのか、やや晴人がリアクション過剰気味な気がします(笑)
 ……まあ、珍しく同年代の男だらけなので、ちょっと気が抜けている所もあるのかもですが、この辺りは仁藤の扱い含めて演出陣も色々と調整中といった感じ(とりあえず登場シーンは「食べる」で特徴付けを統一されている感)。ただ、仁藤からファントム情報の提供を求められるも引き気味の対応に終始する晴人さんは、もう少し仁藤に優しくしてあげてもいいとは思います。
 「あの人……全部食べちゃいましたよ」
 買った食材を食べ尽くされ、瞬平が一人で買い出しに戻る一方、街を歩いていたミサの前に姿を見せるピーターパン男は……どうも嫌われていた。
 「相変わらずつれないなぁ」
 「あなたに構ってる暇はないの」
 「それは残念。けど、ゲートを探してる場合じゃないと思うんだけどなぁ」
 軽薄な調子でミサをからかいながら、ユウゴが退職の準備を進めていると情報を提供したピーターパン男は、続けて瞬平と接触
 「ねえ、君って指輪の魔法使いの優秀な助手さんだよね?」
 魔法使いに届けてほしい、と渡された包みの中身はなんと血で汚れた凛子の警察手帳であり、晴人は慌てて凛子の行方を捜索。事態をひっかき回す青年は既にユウゴとも接触しており、至近距離でフェニックスの炎に飲み込まれた凛子を拾って、魔法使いをおびき寄せる餌に使えばいい、と提案していた事が判明。
 「実はワイズマンのやり方には思うところがあってさ……君みたいな奴は、応援したくなるんだ」
 ひたすら軽い調子のトリックスターは指輪の魔法使いをおびき出すと確約し……まあ確実に、フェニックスが街でひと暴れした方が早いのですが、巧妙にそれを止めている気配。
 一向に凛子の行方を掴めずにいた晴人は、困った時のコネクション、と木崎に電話をかけ、国安0課が久々に登場。一捜査官の居場所とか知るわけがない木崎さん、携帯電話(スマホだ……)をがしっと掴んで、思い切り顔を近づけながら「そんな事ぐらいで電話をかけてくるな」と返す仕草がおいしい(笑)
 イラッと来て電話を叩っ切る感情的な面と、そもそも晴人が「そんな事」ぐらいで連絡を取ってくるのが変事なのでは? と判断する知性を併せ持つ木崎が思い直してどこかへ電話をかけていた頃、ユウゴの元に晴人より先に現れたのは、ミサ。
 「……見つけた」
 の底冷えするような言い回しは、段々と良い感じになってきています。
 「俺はもう、誰の言いなりにもならない」
 「忘れたの? ワイズマンの意思に逆らう事は許されない」
 「うるせぇ! 俺は俺のやりたいようにやるんだ」
 「――そうはさせない」
 「悪いが俺は……死なねぇぜ?」
 の台詞回しは格好良く、睨み合うミサとユウゴは、姿を変えて激突。
 「死なないあなたを私は止められる。わかってるでしょ?」
 その名の由来の如く、邪眼を用いてフェニックスを石化させるメデューサだが、俺は脱サラして焼き鳥屋をやるんだーーー!! と夢への情熱を燃やすフェニックスは、迸る魔力で内側から石化を打破。
 「そんな……馬鹿な!」
 「惜しかったな。昔の俺ならともかく、今の俺はおまえじゃ止められねぇ。わかったらワイズマンに伝えな。俺は、俺のやりたいようにやるってな」
 そろそろフェニックス最後の見せ場でフィーバータイムではあるのでしょうが、これまで底を見せない実力者ポジションだったメデューサ、虎の子の石化魔法を破られてしまい、主人公の居ないところで立場が危うい!
 止まらない爆熱ロードを突き進むフェニックスが社長の使いを退ける一方、晴人の元には情報を集めてくれた木崎から、凛子が聞き込みに出たまま音信不通になっている事が伝えられる。
 「面白いねぇ。人があたふたする姿は」
 それを高所から見下ろしていたピーターパン男は、電話を終えた晴人の間合いに気配も察知させずに入り込むと、軽く肉体言語でコミュニケーション。
 「ファントムか」
 「やだなぁ、その十把一絡げな言い方。ソラ、って呼んでよ」
 ミサなりユウゴなり、ファントムを人間名で呼ぶ事が性格のアクセントになっているピーターパン男――ソラから、凛子とユウゴの居場所を伝えられた晴人はバイクを召喚し、魔宝石のプレゼントに続いて、風属性の幹部格と思われる存在が、ひたすら暗躍。
 便利使いにならないように扱いに慎重さを要求されるキャラにはなりそうですが、今のところユウゴとは対照的な立ち回りが良い色分けになっていますし、できる限り盛大に弾け飛んでほしいポイントはきっちりと貯めてくれています(笑)
 「生きてる内に礼だけは言っておくぜ。自分のやりたいようにやりゃあいいって、教えてくれた事をな」
 ユウゴは廃倉庫で意識を取り戻した凛子を見下ろし、前回、「お前のお陰で、吹っ切れた」相手を躊躇なく焼却しようとした後で、生死の境を彷徨っている相手へ対する改めての“特別扱い”が精神的な隔絶を示すのが、香村さんからのパスを受けて、大変えげつない追い打ち。
 でっかい夢は無限大、とユウゴが高笑いする中、真打ち登場。痛々しく負傷した凛子の姿に怒りの晴人はドライバーオンし、このところちょっと仁藤の勢いに押され気味でしたが、抑えた怒りの表情と声音が、大変格好いい。
 「――変身!」
 「おお、いいね。いいねいいね!」
 フェニックスの放った炎を切り裂き、凛子救出を優先しようとするウィザードだが、フェニックスはそれを阻み、舞うようにぶつかり合う剣と剣は、ザ・『ウィザード』なアクションで大迫力。
 ヒーローのパワーアップがある程度進むと、どうして初手から強化形態を使わないのか問題が出てきますが、消費魔力の有限性を理由にしつつ、今作はやはり、このアクションにこだわって見せてくれるのが、いいところ。
 力勝負では不利と見たウィザードは、以前に完勝したみずタイプとなるが、フェニックスはブリザードに耐え抜き、進化したその魔力を見せつける。
 「同じ技は、二度と効かねぇって言ったぞ」
 ならばと、ひこうタイプでサイクロンキックを放つとこうかはばつぐんだ! からのビュンビュンストライクが炸裂し、不死身のフェニックス、6話ぶり3度目の大・爆・発……かと思いきや、無数の火球となって、即座に大・復・活。
 「悪い、待たせたな」
 再生能力さえ強化されたフェニックスを雨に、じめんタイプから重力攻撃を放つウィザードだったがそれさえも破られ……あ、あれ? もしかして、冒頭で輪島と瞬平にドラゴンタイマー壊されたの、ギャグで処理されなかった?!
 特訓の成果を出す暇もなく、フェニックスを相手に初顔合わせ以来の絶望的な劣勢を強いられるウィザード。
 「さあ、こっからは俺様の、ショータイムだ」
 フェニックスは巨大な炎の翼を広げ、それに包み込まれたウィザード焼死?! でブラックアウトして、つづく。
 なにがしかのリスクはありそうとはいえ、ドラゴンタイマーを使う素振りも見せないまま完敗目前は話の都合が出てしまいましたが、各色のドラゴンフォームで立ち向かうも全て敗北、はフリーランスとして七つの海に漕ぎだしたフェニックスの脅威を示すのにこれ以上ない見せ方となり、手頃なフォームの数と、個々の特色にこだわったアクションは、今作の大きな武器。
 最近ピンチが平常運転になってきた指輪の魔法使いは、果たしてこの絶望の炎を乗り越える事が出来るのか――次回、シンプルなサブタイトルで、決戦。