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オーレンジャーロボは壊れただけだ

超力戦隊オーレンジャー』感想・第21-22話

◆第21話「嵐を呼ぶケン玉」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 オーレンジャーロボとレッドパンチャーのエアロビクスシーンからスタートし、大変ノリノリでキレキレのレッドパンチャー、というか中の隊長。
 修理後の動作確認テストの名目で、二体並んで武突参流古武術もといエアロビを踊り狂う巨大ロボの図は、今見ると、ぶっ飛びすぎてちょっと面白さを感じます(笑)
 「オーレンジャーロボは、70%回復している」
 一方、バラノイアの諜報能力は相変わらず異常に高く、ほぼ確実に超力基地の中にスパイが居る(か、ハッキングしている)のですが、こと諜報能力に関しては、《スーパー戦隊》歴代悪の組織でもトップクラスのような。
 「あなた、こういう希望が見えてきた時が、人の心に一番隙が出来るもの」
 アバンタイトルの画はギャグでしたが、皇妃ヒステリアは人間心理を巧妙に突こうとする陰湿な姿を見せて緊迫感を引き上げ、地上では、吾郎・樹里・桃の三人が制服姿でエアロビに興じる中、オーロボの操縦を任されている昌平と裕司は待遇に不満顔。
 「レッドパンチャーみたいに、一人で操縦できれば楽なんだけどなぁ」
 「ホントに。どうして隊長だけ自分のロボットが……」
 ……うん多分、君たちがレッドパンチャーを操縦しようとすると、五体バラバラになるんじゃないかな。
 そこに、顔見知りの少年ミキオくん(多分、未来っ子回&ボクシング回と、同じ少年)が田舎の友達を連れて訪れ、「私たちの街で作ったロボットを、操縦してほしいんです」と頼まれると、自分のロボが欲しいと愚痴っていた裕司が渡りに船とこれを快諾。
 国防任務そっちのけで夢野市へ向かった裕司を待っていたのは、7年の歳月と5億円の予算を投入して 復讐ただそれだけ 街興しの為に開発された、完全木造巨大ロボット・剣玉ロボ……なぜ、そんな邪悪な顔にしてしまったのか。
 昔から林業が盛んで、木製玩具の伝統を持つ街では、敢えて木製にこだわって制作した巨大ロボ――ピノキオ事件の記憶も新しい中、バラノイアからの技術供与疑惑を避けようとした結果なのか、地方都市に謎のテクノロジーが生まれる事になっていますが、この街のどこかには表に顔を出したくない真の開発者である、“発明おじさん”が居るのでは……――に、剣玉をさせようとしていたが失敗続き。
 そこで巨大ロボ操縦のマイスターとして白羽の矢が立てられたオーレンジャーの一員として、大船に乗ったつもりで任せて下さい、と調子よく引き受ける青だがすんなりとは行かず、しばらくドタバタ大騒動。
 ひとまず剣玉の練習から始める事になり……定期的に流行がある印象ですが、放映当時にブームか何かがあったのでしょうか。
 ところがその夜、地球に降り立ったヒステリア一行が剣玉ロボそっくりに作ったバラケンダマと本物をこっそりすり替え。それを知るよしも無い裕司は、業務に戻れとやってきた隊長たちの前で、街の人たちの為にも練習の成果を、と乗り込むと巨大剣玉を見事に成功させ、最初はどうなる事かと思いましたが、巨大ロボの存在を、人々の「夢と希望」に繋げるのは、意外や素朴な面白さ。
 まあ、超力戦隊が地球防衛の為の最前線で戦う切り札的な部隊である以上、今この人たちに夢や希望を与えられなくて何が「ヒーロー」かという正しさと、それはそれとして地球が占領されたら元も子もない、という存在意義との間の開きがかなり大きいのは、なかなか厄介なところではあります。
 剣玉ロボの成功に、歓喜の市長は剣玉踊りを始め、見所は、現状に色々と問題を感じながらも市民感情に配慮して、真顔のまま踊りに付き合う隊長。
 だがやはり、あまりにも怪しい、と剣玉ロボへの違和感を青に伝える隊長だが、その指示で青がコックピットを下りるのは一歩遅く、マシン獣の正体を現したバラ剣玉は、内部の青を拘束して大暴れを開始。
 ヒステリアが現れて謀略の種を明かし、このままなら明日の朝刊の一面は、「国際空軍超力戦隊所属オーブルー、民間開発の巨大ロボットで大暴れ。原因は、給料への不満か? 拘束された三田裕司容疑者は、「俺もロボットに乗って暴れたかった……」などと供述しており……」よ! と、超力戦隊の社会的抹殺も図る策士ぶりを見せ、有能。
 ヒステリアの引き連れてきた戦闘員を相手に、駐車場の起伏を利用しながらカット割らずに見せる生身のアクションシーンがなかなか面白く、変身した4人は剣玉ビームによる派手な爆発に見舞われると、レッドパンチャー出前一丁ヘイお待ち!
 「レッドパンチャー! オーブルーが人質になっている事、忘れるな!」
 さしもの隊長も、巨大マシン獣をあちゃぁ! と殴り飛ばしてボディを貫通させたパンチで流れるように内部の裕司だけを引っこ抜くのは無理だったようで、俺ごとほあちゃぁ! して下さい! と軍人らしい覚悟を裕司が叫ぶも、防戦一方。
 その苦戦を見ていた緑黄桃が、すり替えられた本物の剣玉ロボの利用を思いつくと、山中に放棄されていた剣玉ロボを発見して隊長に連絡を取り、レッドパンチャーは逃げると見せて、バラ剣玉を山の中へと誘導。
 かさにかかって攻めに出るバラ剣玉の不意を突き、じゃーんじゃーんと登場した伏兵の剣玉ロボがロープアームでバラ剣玉の足を引っかけると、パンチャーは地面に倒れたバラ剣玉の装甲を破壊。そこに待機していた黄桃が飛び込んで内部の裕司を救出し、前回-今回と、“一人乗りロボ”の活躍を前提として、他のメンバーに見せ場をどう配分するのか、に一工夫のある作劇。
 ……まあ裕司は、街興しの夢を守ろうといいところを見せた以外は、人質になって反撃の機会も与えられませんでしたが(笑)
 剣玉ロボに乗り込むのに何故わざわざ変身するのかと思ったら、そこしか変身の機会が無かったからというオチで、夢野市の皆さんはまず、剣玉ロボを自在に操縦する為の負荷に耐えうる剣玉スーツの開発が必要なのかもしれません。
 裕司が無事に救出されると、挿入歌に乗せて怒濤の反撃が始まり、レッドパンチャーは、挿入歌とガトリングパンチの格好良さが、得。ボクシングスキルと古武術スキルの上昇した隊長操るRパンチャーは、華麗なフットワークから繰り出す連続パンチでバラ剣玉を圧倒し、超力戦隊の致命的なスキャンダルは闇に葬り去られるのであった。
 ……後日、とある方面より夢野市に多額の寄付金の申し出があったとかなかったとか、高度に政治的な、上の方のお話です。
 2話連続でメンバーの一人がクライマックスバトルに参加しない変化球でしたが、80年代、セオリーの構築とそのアレンジに腐心してきた曽田さんらしく、一人乗りロボという課題をどう克服するのかに意識の見える組み立ては、『ターボレンジャー』『ファイブマン』頃の試行錯誤を思わせる作劇でした。
 レッドパンチャー初登場回は、全体構成の問題で1話に要素を詰め込みすぎて無理が目立ちましたが、前回-今回はそういう点で割と見所のあるエピソードだったなと。

◆第22話「合体マル秘(※○の中に「秘」)指令!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「オーレンジャーロボは完全に回復したぞ!」
 前回のエアロビに続き、今回は短距離走や跳び箱、バスケやサッカーが繰り広げられてオーレンジャーロボの動作確認リハビリが行われ、放映当時は前回と合わせて、『オーレンジャー』はどこへ行こうとしているのか……と思った覚えがありますが、前作を踏まえて考えてみると、三神将が「意思を持った超越的存在だが、“メンター”としても“仲間”としても中途半端な扱いに終始した上、合体忍法との辻褄やメンバーからの捉えられ方など、巨大ロボとしての位置づけがとにかく曖昧」だったので、今作では改めて巨大ロボを、“親しみを持てる仲間”として位置づけようとする意識があったのかもしれません。
 そう考えると、次作『カーレンジャー』では巨大ロボの素体がメンバー5人の“夢の車”だったり、更にその次の『メガレンジャー』では少々いきすぎなぐらいレッドが巨大ロボに愛着を示していたのは、巨大ロボと戦隊メンバーの距離感を近づけたい狙いがこの時期の流れとしてあったのかもなと。
 ロボットに対する「リハビリ」という少々違和感のある言葉も、受け手に向けて仲間意識を感じてほしい表現だと思うと、ある程度の納得は出来ますし、販促の都合による1号ロボの敗北とその後の戦闘不能期間をどう描くのか、についての試みとしては、改めて見ると面白いアプローチ。
 ……まあこの辺りは我ながら如何にも、再見ゆえに、という見方になりますが(笑)
 戦線復帰するオーロボだが、街を蹂躙していく転がる岩のような巨大マシン獣に立ち向かうと、Rパンチャーともども大苦戦。
 「思い知ったか球(たま)の力。この世で一番美しく、一番強い形。それは球体だ。しかもその動きは変幻自在」
 バッカスフンド自慢のマシン獣は、Rパンチャーのジャンプ攻撃に対しては人型に変形してカウンターを浴びせ……た、球は……?! と思ったら空中で再び球体となったその正体は、マシン獣・バラマジロ。
 全身至るところにトゲを生やして長く鋭い爪を鳴らし、アルマジロとアンキロサウルスとセンザンコウの邪悪な煮物みたいな姿が、強敵にふさわしくなかなか格好いいデザイン。
 「レッドパンチャー、オーレンジャーロボ、合体せよ!」
 二大ロボの苦戦に、基地の偉い人が今思いついた、みたいな事を命令すると、隊長が超砲撃合体をコールし、マニュアルに従って背中合わせになるが見事に失敗。
 過去には、制作者も知らない謎パワーでスーパー合体した事例もあるので、設計段階で組み込んでいただけマシですが、さすがに長いリハビリ期間があったのだからその間に合体テストの一つや二つしておけ参謀長、の緊急事態に走って逃げ出す二大ロボ(笑)
 これを目にしたバッカスフンドは、合体の可能性を確実に潰さねばならぬ、と軍を退いての調査を指示し、大胆なようで案外と慎重であり、戦力を温存しての確実な勝利を期するあまり後手に回りがちな、皇帝陛下の悪い癖がまた出てしまいました。
 バッカスフンドの判断ミスにより辛くも虎口を逃れた5人は基地へと戻り、戦場のど真ん中でのぶっつけ本番合体の自殺行為強要に、場合によっては「参謀長知っていますか? 戦場で左官クラスが死ぬ時は、“後ろからの流れ弾”が多いそうですよ?(ちゃきっ)」となりかねないところでしたが、5人の参謀長への忠誠心はやや不自然なほど高く、郷里の家族を人質にされているのか、或いは、超力の注入と共にナノマシンサイズの忠誠回路が埋め込まれる仕様なのか。
 そんな参謀長の調査によりRパンチャーのデータメモリに欠損がある事が判明し、桐野少尉の妹・美雪の元を訪れた5人は、桐野の慰霊碑の近くでRパンチャーのメモリーを拾ったと思われる少年の目撃情報を入手。
 亡き父の遺した対話型コンピュータを完成させる為、高品質のメモリーチップを求めていた少年の身柄を巡って超力戦隊とバラノイアが激突し、ハイテンポな新挿入歌に乗せた長尺のバトルに突入すると、少年をかばいながら勢いに乗せて、軽く20体ぐらいの戦闘員を葬り去る隊長(笑)
 迫り来る巨大アルマジロボールをオーロボが押さえ込む中、赤と少年はタコ足マシンに追われると、第1話の映像も交えたバラノイアの山狩りとなり、ずっと少年を同行させながらの山中アクションは少々大変そう。
 吊り橋で挟撃を受けて更なるキルカウントを稼ぐ隊長だが、皇帝サンダーを受けると少年を連れての超力ダイブを決め、川へと落下。
 「合体はさせん。メモリは吹っ飛ばしてやる!」
 そういえば初体験な(気がする)水落ちから復帰するも、無慈悲な皇帝サンダーがコンピュータを吹っ飛ばし、少年をかばった隊長の制服の破れ具合が、なんかもう、大変な事に。
 「父さんの発明が……」
 「メモリーが……」
 「ぬ~~ん、恨み重なる貴様には、この儂がトドメを刺してやる」
 だがその時、背中にかばった少年から耳打ちを受けると、バッカスフンドへ向けて啖呵を切る隊長。なんとその背中には爆発の直前にコンピューターに読み込まれていた合体プログラムのコードが爆発の閃光で焼き付いていたのだ!!
 焼き付いていたのだ!!
 ……焼き付いていたのだ!!
 隊長が派手に脱がされていたのは、遠山桜ならぬ星野コードをやるためだったようですが、それにしても唖然とする展開(笑)
 「バッカスフンド! オーレンジャーは負けない!」
 参謀長が、謎カメラ映像で確認したコードをRパンチャーに送信すると、超力変身した隊長はパンチャーに乗り込み、窮地に陥るオーロボの元へ。移動と奇襲攻撃を兼ねたマグナパンチャーから、続けて放ったパンチャーガトリングも通用しないが、マシン獣の慢心により生まれた隙を使い、改めて、超砲撃合体!
 二体のロボが背中合わせにくっつく面白い仕様から、ぐるりと回ったRパンチャーの腕がオーロボのショルダーキャノンの体裁となると、後頭部についていた砲撃メットを被り、バスターオーレンジャーロボ誕生!
 バスターオーロボは、いきなりの必殺飛び道具でバラマジロを瞬殺し、アクション的に固定砲台ロボはあまり好きではないのですが、一ひねり入れてきた名前は格好よく、やはり、超突撃合体アサルトオーレンジャーロボも出てくるのでしょうか(笑) ……ここからしばらくは、記憶が薄くて。
 割と可哀想な目に合ったままの少年については、超力戦隊がコンピューター作りに協力する、と約束してなんとなく大団円の雰囲気でまとめるのですが、父の形見は粉々にされてしまったので、世が世ならファントムが生まれかねません。
 まあ、元はといえば国際空軍の大不祥事から始まっているこの案件、後日、とある方面から少年宅に最新鋭の工具とPCパーツ一式が届いたとか届かないとか、高度に政治的な、上の方のお話です。
 ジニアス黒田編で杉村さんがオーバーヒートしたのか、新ロボ登場から4話をかけてのスーパー合体編を曽田先生が4連投で担当し、次回――夏だ! 水着だ! 機銃掃射だ!