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真っ赤なオレオレ! 大それた公認詐欺!

非公認戦隊アキバレンジャー』感想・第8話

◆第8話「痛き特訓の絆は公認ロードの陰謀交差点」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:香村純子)
 前回ラストに赤木たちが見ていた映像、の体裁で青柳と萌黄のコスプレも投入されたアニメ『にじよめ学園 ズキューン葵』のOPから始まり、劇中劇へのフォーカスとしては定番中の定番ですが、どうしてもやっておきたかったのでしょうか(笑)
 ……公認様は公認様で、かつて「浜ちゃんさんのダイノガッツが奇跡を起こした」案件(『爆竜戦隊アバレンジャー』第26話「釣りバカアバレ日誌、どもども」(監督:中澤祥次郎 脚本:前川淳))があるので、そうかマルシーナも、ダイノガッツに目覚めていたのか……。
 塚田P(CV:高戸靖広が、後の煌めきを考えるとちょっと面白い事に)からの電話は、ひみつきちへの取材申し込みだったが、それを断った葉加瀬はどこかに出かけ、公認ロードが通行止めを受けた事に不満たらたらの赤木たち3人(青柳、すっかり染まってしまって、青柳……)は、こうなったら、先日のロボット出現の関係者です! と東映に直接名乗り出ようぜ、と大変迷惑な方向にひらめキングし、当然、守衛に追い返されていた。
 「ふぅ……まったく、これだから痛いファンは」
 返す言葉もございません。
 葉加瀬父はアニメにはまって研究の道から離れた人物だったと判明する一方、神田明神の階段でたそがれていた3人は、路地裏でもんじゃ焼きを作るステマ怪人・月島アルパカの姿を発見。
 「秋葉原もんじゃタウン計画はおいらの夢! 邪魔する野郎は、ぎたぎたのめっためったにしてやるパカ!」
 「黙れ係長! おまえこそ俺達の夢の踏み台になれ!」
 あ、酷いこと言った。
 目指せ公認! と重妄想する赤木たちだが、塚田Pを名乗る人物からの電話もマルシーナの声帯模写による偽物であり、3人は、全く気にも留めていない人から気にされていると勘違いしたまま、戦闘に突入。
 「さあ、早く壁を壊して、こちらの世界へいらっしゃい」
 背後に立ったマルシーナに気付かぬまま、妄想世界でアルパカを圧倒するアキバレンジャーだが、急遽レッドが必殺技にストップをかけ、塚Pに認めてもらう為には、アルパカごと現実世界へ飛び出さなければいけない、とだいぶ本末転倒な気もする目的を主張。
 「困るよ~、もっと粘ってくんないとさー」
 だが、月島アルパカは、いまいち、弱かった。
 「おまえとギリギリの激戦にならなきゃ、俺達は現実世界に出て、おまえを倒せないだろ!」
 あ、酷いこと言った。
 「ここはやはり……特訓のパターンでござるな」
 イエローがスイッチをポチッとなすると、過去作品の特訓再現が地獄の電撃キャンプからスタートし、前回とのバランスも意識したのか、今回はストレートなパロディネタが多め。
 「何をぐずぐずしている! 前進するんだ! もたもたするな!」
 アキバレッドがすっかり鬼軍曹気分な一方、二次元に没頭してイラストを描きまくり、アニメ会社にデザインを売り込んでいた父の足跡を追う葉加瀬は、『にじよめ学園 ズキューン葵』の制作元であるスタジオベルビレッジ(鈴村……)に辿り着き、そこで父が『ズキューン葵』の制作に関わっていた事を知る。
 番組の企画当初、『ズキューン葵』にキャラクターデザインとして参加していた葉加瀬父だが、方向性の違いや人間関係における度重なる問題から作品を外されており……妙な要素が繋がってきましたが、ここに来て、こんなに『ズキューン葵』と書く事になるとは思いもよりませんでした!(笑)
 その頃、赤木たちの妄想の中では、厳しい特訓を乗り越えた月島アルパカとの間に心の繋がりが芽生えており、イエローが戦闘を拒否。
 「これは、一体どこへ繋がるフラグなんだ……?」
 考え込むレッドだが、月島アルパカは実は性悪で、特訓で得た力により殺意の揺らぐアキバレンジャーを始末しようと目論んでおり、結局、怪人を倒して公認になりたい! という欲望が勝っています(笑)
 表向きはフェアでフレンドリーな姿勢を貫いて、アキバレンジャーの心を迷わせようとするアルパカだったが、逆にそれが、そうか、そうだよな、全力で殺し合ってこそ、俺達の絆は永遠になるんだよな! とアキバレンジャーの闘争心に火を付けてしまい、第8話にして、爆発を背負っての名乗り、初成功。
 開き直ったアルパカのもんじゃヘラシュートと、アキバレンジャーの萌えマグナムがぶつかり合った衝撃で、妄想と現実の壁は再び崩れ、戦いはまたも現実の秋葉原へ。
 (妄想に入った場所とは異なる座標から出現。ふふふ……事は着実に進行しているわ)
 マルシーナがほくそえむ中、スマホを構える市民にアピールしたアキバレンジャーは公認様の“大それた力”を召喚し、なんかそれっぽいバンクが入った(笑)
 そしてまさかの、三つの力が合体武器に……!
 「完成!」
 「「「ダイソレタキャノン!!!」」」
 ……名前は、だいぶ酷かった(笑)
 そこまでやるのかと、これはとても予想外だった合体武器が火を噴き、ダイソレタファイヤーで天高く打ち上げられた月島アルパカは、汚い花火としてアキバレンジャーの踏み台にされ、大爆死。
 「目的達成まであと一歩、てところね」
 イエローは集まった人々に萌黄ゆめりあの名刺を配り歩き、それを受け取った怪しすぎる長髪の男がマルシーナに近づくと不気味な笑みを浮かべ、塚Pより前に警官に見つかって慌てて逃げ出すアキバレンジャー
 元より、公認になりたい、という気持ちは持っていたにしても、たとえ妄想とはいえ(間接的に)「悪」を倒すヒーローだった赤木たちが、自分たちが公認される為ならば、現実に「悪」が飛び出してきても(すぐに倒すから?)問題ない、と戦いを盛り上げる為に悪の強化に荷担し、いわば、
 〔公認化 > 現実への悪の出現〕
 になっているのは、だいぶ行動原理がねじれてきているのですが、気がつけば現状、アキバレンジャーこそが「妄想の怪人を実体化する悪」の立場になりつつある点がきっちり拾われてくれると、個人的には嬉しいポイント。
 ここには、“「悪」へのカウンターとして存在できる「ヒーロー」”への意識が入っていそうでありますが、妄想のヒーローが公認されるよりも先に、妄想の怪人が現実を侵食しつつある大いなる皮肉の行く先に、果たして大それた英雄の魂は残っているのか。
 行方の知れない父親に関する情報を脳裏に並べ、脳細胞をトップギアにした葉加瀬は何かに気付き、次回――もしも妄想が弱ければ、ステマがたちまち攻めてくる。