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デストロン首領に国境は無い

仮面ライダーV3』感想・第48話

◆第48話「見た! デストロン首領の顔!!」◆ (監督:折田至 脚本:海堂肇)
 デストロン首領が手打ちの席を設けると宣言した代々木オリンピック体育館に潜入したV3とライダーマンは、いよいよデストロンの首領らしき人影を鉄格子越しに目撃。
 「よし、二手に分かれて、正体を突き止めよう」
 ……と言った20秒後に真っ正面から部屋の中に突っ込んでいくライダーマン?!
 首領が姿を消し、残ったヨロイ元帥にロープアームが巻き付けられると、計画通り、と言わんばかりにV3は別室に飛び込んでいき、前回はいつになく慎重に行動していたのが、開始1分で早くもぐっちゃぐちゃ。
 これならもう、前回ラストからいつものノリで真っ正面からカチコミ仕掛けていた方がスッキリしたように思いますし……どういう経緯で海堂肇(阿部征司と平山亮の共同筆名)脚本になったのかわかりませんが、前回の次回予告がおかしかった事も合わせて、なにかアクシデントでもあったのでしょうか。
 椅子に腰掛けた首領らしき人影へ迫るV3だが、フードを剥ぎ取ろうとすると、ものの見事に落とし穴へと落下。
 続けて、ライダーマンも落とし穴に落下。
 「それはただの落とし穴とは違う。じっくり味わって、死ぬがいい」
 ヨロイ元帥は、スペシャルな落とし穴内部の空気を吸い出す事で真空状態を作り出し、酸欠に苦しめられるライダーマンと、風力エネルギーを得られなくなってしまうV3。
 「すまん! 俺が迂闊だった! 罠とは知らなかった……許してくれ!」
 「わかっている!  私もよく罠には引っかかる!!
 ライダーマンは時間稼ぎに携帯酸素ボンベを取り出すが、V3の方はエネルギーの補充が効かない木偶の坊と化し、二人を活動不能に追い込んだヨロイ元帥は、東京皆殺し計画を進行――都内各地で謎のヒトデが上陸しては、好奇心旺盛な少年たちに拾われ、え、その大きさのヒトデ、家で、飼うの……?!
 今回も流用脚本なのかはわかりませんが、少年たちの存在はかなり強引に挟み込まれ、その都合により前回(お正月気分でのんびりしていたら、偽結城のガス攻撃を受けて昏倒)の今回で友達と外へ遊びに行っているシゲルにしても、全く脈絡なく作業員に扮して代々木オリンピック体育館の地下に潜入している藤兵衛にしても、いくらなんでも過剰な飛躍。
 恐るべき人食いヒトデが東京都下で暴れ回る中、いよいよ携帯酸素の尽きかけるライダーマンは、一か八かドリルアームで壁に穴を開けようとするが、バッテリー切れ。壁を叩いて隣室のV3に状況説明していると、地下道を進む藤兵衛が二人のやり取りを正確に把握して外部から電気を送り込み、会長様が好き放題。
 藤兵衛の支援により電気エネルギーを得たライダーマンのドリルが壁に穴を開けると、空気の通り道が出来た事でV3もパワーを取り戻し、V3とライダーマン、それぞれのエネルギー源が異なる事で窮地を脱する流れは面白さもあるのですが、藤兵衛潜入から壁をトントン叩き合う地味な会話シーンを繰り返して脱出を果たすまでの顛末に約3分以上が割かれており、だいぶ尺稼ぎ感は漂います。
 人食いヒトデ大暴れの連絡を受けたV3は病院へ急行すると巨大なヒトデの怪人とぶつかり、ヒトデモチーフの定番である直立した星型ではなく、ヒトデ要素をフードのように被せているのは、なかなか面白いデザイン。
 変幻自在のヒトデ怪人に苦戦するV3だが、ライダーマンが駆けつけてパワーアームを繰り出すとヒトデは逃走し、二人はひとまず追い詰められた人々の救出に成功する。
 「どうしてこの病院ばかりに、あんなに攻撃をかけてくるんですかね?」
 敵の動きに疑問を抱く志郎だが、防火シャッターにはとても見えないバリケードがヒトデの侵入を防ごうと下りてきたり、ここは明らかに普通の病院ではないと思います(笑)
 案の定、数日前から特別室の様子がおかしい、と情報を手に入れた志郎と結城が特別室に踏み込むと何故かデストロン首領の笑い声が響き渡り、隠し部屋を発見する志郎……明らかにこの病院、デストロン資本なのでは。
 「とうとう見つけたぞ、デストロンの首領!」
 「よく来たな風見志郎」
 「今日こそおまえの正体を暴いてやる!」
 「さあ、やれるかな?」
 隠し部屋の中にはデストロン首領らしき人影が座しており、〔敵の不自然な動き×デストロン首領の居場所〕を成立させるにあたり「攻撃が集中されている場所」に潜んでいたのはだいぶ不自然で(「攻撃の空白地帯」ならまだわかりますが……)、お忍びで来日中のデストロン首領の隠れ家が怪人に執拗な攻撃を仕掛けられる理由って、東京皆殺し作戦にかこつけて、ライダーマン贔屓の首領をヨロイ元帥が抹殺しようとしている、しか思いつかないのですが(笑)
 デストロンに浮上する内紛疑惑だが、親衛隊戦闘員が現れると志郎と結城の行く手を阻み、スローモーションでの戦闘からデストロンマークを背にシルエットで変身するV3とライダーマン……は効果的な演出というより、どうにも尺稼ぎ感が漂います。
 親衛隊を蹴散らし、首領に迫るV3は黒フードを引きはがすがその下にあったのはまたも仮面であり、こうなったら四の五の言わずに蹴り殺してやる、と必殺キックを放った時――
 「首領! 逃げて下さい!」
 何故かライダーマンが割って入るとV3のキックを受けて倒れ、驚愕しながら受け止めたV3に、ポイってされた(笑)
 首領を追ったV3はヒトデ怪人の噛みつき攻撃に苦しむと、飛び蹴りも軽くはたき落とされるが、意識を回復したライダーマンがネットアームを放ってヒトデの分裂を封じたところにV3三段キックが格好良く炸裂し、もはや怪人の名前になっていないオニヒトデは、名乗る機会さえ与えられぬまま溶けて消え去るのであった。
 「俺はどんなに軽蔑されようと、殴られようと蹴られようと殺されようと、今はなんとも言い訳もできない。何故あんな事をやってしまったのか……」
 人食いヒトデによる東京皆殺し計画は阻止するも、デストロン首領のタマを獲る千載一遇の機会を逸した事について、結城は真摯に謝罪。この時点では、脳内に忠誠回路でも埋め込まれているのかと思ったのですが……
 「……何故あの首領を助けたりしたんだ。日本中の……いや、全人類の敵。デストロンの首領をなぜ助けたりしたんだ?!」
 「風見……君がもし僕の立場だったらあの時どうした?」
 言い訳を始めたぞ(笑)
 「俺は……俺はあの首領に育てられたんだ。全くひとりぼっちの俺が、全く誰にも理解されずに死にたいとさえ思っていた助手時代に、俺を救ってくれた、恩人なんだ」
 言い訳を、続けたぞ。
 「今はデストロンの悪もわかっている。デストロンと戦う決意も充分に言ってきた。しかしあの時は思わずやってしまったんだ。自分の目の前で……恩人がやられるのは見たくなかったんだ」
 言い訳を、繰り返したぞ!!
 「……わかったよ、結城。…………おまえはいい奴だな。今どき珍しいよ」
 「風見!」
 笑顔で喜ぶ結城ですが、普通に捉えるとこれは、割ときつめの厭味なのでは。
 「でもな……もうあんな事はするな。俺は……あくまでデストロンを倒す。人間の自由の為にも戦うぞ。君も一緒に戦ってくれ。いいな」
 「ああ!」
 二人は満面の笑みで握手をかわし、う、うん……?
 デストロン時代の結城が首領に心服し、今もそれを捨てきれない背景、いわゆるマインドコントロールの要素などが補強されて、デストロンが有望な青年を絡め取るやり口が劇中でも示唆された点は悪くなかったですし、それが「結城丈二」というキャラクター性の説得力強化にもなってはいるのですが、会話の流れが悪くてどうもスッキリしない事に。
 感情を吐露した後に自己分析や言い訳を始める事はあるにしても、ヒーロー見習いの言葉としては言い訳がましさがくどくなってしまいましたし、物語における感情の流れや受け手の感じる疑問からいっても志郎の詰問から始まった方がスムーズで、「俺はどんなに軽蔑されようと、殴られようと蹴られようと殺されようと、今はなんとも言い訳もできない」のくだりは無くても良かったような。
 ……まあ実際に、結城丈二の脳には忠誠回路が埋め込まれており、その機能が思考の辻褄を後から合わせている可能性はまだありますが。
 次回――風見志郎、絶体絶命?!