『仮面ライダーV3』感想・第47話
◆第47話「待ち伏せ! デストロン首領!!」◆ (監督:折田至 脚本:伊上勝)
デストロン恐怖のクリスマスを打ち破り、新たな同志・結城丈二と手を結んだ風見志郎。年が明け、振り袖純子さんがより分けていた少年ライダー隊本部に届く年賀状の中に、どういうわけか結城丈二宛の一通が入っており、その差出人はなんと、デストロンの大幹部・ヨロイ元帥!
なにぶん立花スポーツ店の開店祝いに花輪を送った過去を持つデストロン、年賀状形式の挑戦状、と思えば受け止められる範囲でありますが意外とシンプルなペン字であり、一応、年賀状の体裁なのだから、筆文字の「謹賀新年」ぐらいは入れておいてほしかたっところです(笑)
なおデーストロンでは、干支は常に蠍年なのだ風見志郎!
露骨な罠とは感じながらも志郎と結城は年賀状に記された横浜の住所へと向かい、まさにそこで、黒塗りの車に乗って邸宅の中に入っていくヨロイ元帥を目撃し……ここは、先日まで、デスパー軍団のアジトがあった場所では(笑)
先行して敷地の中に入り込んだ志郎が邸内の様子を窺おうとしているところに、炎のシルエットで姿を現したのは当のヨロイ元帥。
「ようこそ、風見志郎。デーストロンの正月パーティに、参加するかね?」
「ふふふふ、面白い。……是非とも参加させてもらいましょうか」
屋敷の中に招かれると、全身を黒いフードで覆った参加者がテーブルに着いて待っており、その数……4人。
そして、おせちさえ無かった。
デストロンの寂しすぎる正月パーティに志郎がタダ酒の希望を打ち砕かれていた頃、ヨロイ元帥は待機していた結城にも、一緒にどんちゃん騒ぎしようぜ、と声をかけていた。渋る結城は、裏切り者の上に腰抜けなのかと挑発されると、僕の隠し芸に腰を抜かすなよ?! とメットオンし、結城丈二、学者肌だが割と短気で思い込みの激しい男。
一方、パーティでは余興としてデストロンぐるぐる音頭が披露されており、風見志郎へのお年玉として渡されたのは、シーラカンスの巨大な標本、が変じた怪人シーラカンスキッド。
酒も無い! おせちもない! 現金も無い! と暴れ出した志郎がV3に変身すると、シーラカンスKは口から風船爆弾を吐いて楽しいパーティー会場は一瞬で激しいカチコミの場へ。
V3が外に誘い出される一方、別行動で家捜ししていたライダーマンはヨロイ元帥の下へ辿り着くが当然それこそがヨロイ元帥の目論みであり、見事に罠にはまってみせるのも、初期V3の背中を追いかけている感が漂います(笑)
「果たしてライダーV3は、助けに来るかな?」
「勿論だ!」
「今面白いものを見せてやる」
庭でV3と戦っていたシーラカンスKが屋敷の中に逃げ込むと、V3が目にしたのは、廊下に転がり、助けを求めるライダーマン。
「あ! あれは……」
「見たか。デーストロンライダーマンだ」
マスクの下から整形手術により本物と瓜二つにされた顔が姿を見せると、声まで完全に再現された偽ライダーマンの芝居に騙されたV3は邸から撤収し、ここにデストロンの東京都皆殺し作戦の幕が開かれる――。
「俺の偽物に何をさせるつもりだ?!」
「ライダーV3は、味方と信じるライダーマン……いや、結城丈二に殺される。そして少年ライダー隊の全滅。最後の仕上げには、東京都民皆殺し。全ては、結城丈二のやった事になる」
ヨロイ元帥は不吉に予言し、紆余曲折を経てデストロンから足を洗った結城丈二がさっそくデストロンの罠に利用されるのは、志郎らの心理的陥穽を突く有効性も高い上で、手元にある一番面白いカードを出し惜しみなく使う盛り上がりもあり、そして、結城丈二の(厄介系)ヒロイン力がまた増大した!
「はははははは! ふふはははははは! 風見志郎! 死ね!」
パーティ会場からエスケープ後、デストロンの手勢を見た、と志郎を高台に誘い出した、ちょっと目つきの悪い偽結城丈二は即座に背後から志郎に襲いかかり、いや、せっかく偽結城を使うのなら、もっと色々出来たのではーーー?!
……と思ったのですが、偽結城のスペックは本物結城よりも高く、下手な芝居でボロを出す確率を高めるよりも機先を制して暴力に訴えるのが最適解だった事が判明し、思い切りよく崖から投擲される志郎。
一方、縛り付けられた本物ライダーマンは、ヨロイ元帥が部屋を離れた途端に慌てて電話をかけてきた首領から和解を提案され、みんな仲良しデストロン(死んでも甦るワンチャンスあり)。
「悪いことは言わん。ヨロイ元帥と仲直りするのだ」
「……しかし……」
「その立会人に私がなろう」
「……首領が?」
伊上脚本のセオリーとしては互いに罠を仕掛けあっているのですが、ここまでの描写が描写だけに、二人とも結構本気な可能性が否定しづらい……!!
「結城丈二、デストロンに再び入れ」
首領は立会人として来日すると、手打ちの席を代々木オリンピック体育館に設けると告げ、ヨロイ元帥が戻ってきた途端にそそくさと通話を終了するのが、変なリアル(笑)
ヨロイ元帥は、偽結城が風見志郎を絶壁から叩き落とし、少年ライダー隊本部に向かっていると告げ、超呑気に年賀状の整理とかしていた藤兵衛らに迫る偽結城。
「おお。志郎はどうした?」
「皆さんを待ってます」
「どこで?」
「地獄の底で」
藤兵衛らは偽結城のばらまいたガスに倒れると、本部に時限爆弾が仕掛けられ、いよいよ基地壊滅?! と思われたその時、崖下に凄い体勢で転がっていた風見志郎が雄々しく復活。
「風見志郎?!」
「貴様まさか……」
「まさか? ふふふ……俺は初めからデストロンを裏切ってはいない。全ては、貴様に接近する為の芝居よ」
風見志郎を奇襲で仕留め損ねた場合のプランBが発動し、しっかりと台本を練っていた偽結城は、迫真の演技から逃走。逃げ出した結城をバイクで追う志郎が、回収してきた時限爆弾をポイ捨てすると、物凄い威力で吹き飛ぶ山肌(笑)
「おぉ」
仕掛けた当人の偽結城が首をすくめて驚いており、立花藤兵衛抹殺には、これだけの破壊力が必要なのです。
志郎が炎のバリケードで足止めを受けている間に、偽結城からプランB発動の連絡を受けたヨロイ元帥は、事態をややこしくする為にライダーマンの身柄を解放。
「結城丈二は、デストロンにとって裏切り者であり、同時にまた、風見志郎にとっても裏切り者。……貴様を自由にしてやる。風見志郎に始末してもらえ!」
「生憎だがそうはいかんヨロイ元帥!」
攪乱と衝突による戦力ダウンを目論むデストロンだが、思ったより早くV3が屋敷に辿り着いてしまい、偽ライダーマン作戦、敢えなく失敗!
作戦そのものはかなり面白かったので、もう二転三転しながら後編に続いていくのかと思っていたら割と急展開で処理されたのは、ちょっと勿体なく感じたところです。
V3とライダーマンに挟まれた偽結城はシーラカンスKへと変身し、ここ2エピソードの怪人と比べると、戦闘力もデザインも今ひとつなシーラカンスKは、砂浜での戦いの末に必殺錐揉みキックで爆散。
姿を消したヨロイ元帥は、来日する首領を出迎える為に代々木に向かったのに違いない、こいつは一気に大将首を穫るチェンスやで、と 腹にダイナマイトを巻き付けた V3とライダーマンは代々木に向かってバイクを走らせ、サブタイトルは、「デストロン首領“が”待ち伏せ!」ではなく、「デストロン首領“を”待ち伏せ!」でした。
ライダーマンが昔取った杵柄を活かし、偽ライダーマンを名乗って戦闘員を油断させると、二人は警戒網の内側へと潜入成功。そこで二人は、通気口から響くデストロンの大合唱を耳にし……いよいよ日本にデストロンの首領が姿を見せるのか?!
「首領、なにとぞ我々に、偉大なるあーくまの名の下に、そのお姿を……」
さすがに慎重な姿勢を取り、ステルスアクションで通風口からのぞき込むV3とライダーマン、鉄格子の向こうには全身黒フードの人影が姿を見せ、果たしてデストロン首領の正体とは――?!
怪人撃破後に約3分を使って、デストロン首領の正体に近づく流れが描かれる変則的な構成で、いよいよ佳境に迫る戦い。
次回――「デストロンライダーマンの罠にはまったV3は、謎の建物に落ち込んだ。しかしそこで見たものは、なんとデストロンの首領の姿であった」
………………なんだか、予告ナレーションと本編の展開が噛み合っていないのですが、次回また、デストロンライダーマンが出てきて罠にはめられるのでありましょうか(笑) 偽結城作戦が妙にあっさり終わったのはちょっと違和感もあったので、当初の台本では偽ライダーマンがもう少し引っかき回す予定が撮影・編集時に整理をされた結果、予告の差し替えが間に合わなかったとかもありそうですが。