『スマイルプリキュア!』感想16・第四次プリキュアロボット大戦
●第35話「やよい、地球を守れ! プリキュアがロボニナ~ル!?」
凄くどこかで見たような顔のロボットが、凄くどこかで見たような目の光り方をすると、スーパーロボッターパンチを放って悪のロボットを撃破した直後、鉄人戦士ロボッターDXのCMが入り、お値段9,980円也。
「ね?」
「え……なにが?」
やよいは目を爛々と輝かせ、みゆきとキャンディははしゃぎ、あかねとなおは首をひねり、れいかはよくわかっておらず、シビアな、温度差だった。
一方、バッドエンドでは狼さんと赤鬼さんも悪役ロボットの玩具ではしゃいでいたが、それを見ていて一計を閃いた魔女さんが、玩具を錬金釜にドボンし……今、地球は何かに狙われている!
刻々と忍び寄る悪魔の手を知らぬまま、新発売の玩具の列に並んでいたやよい、とそれに付き合わされていた一同だが、そこにバッドエンド勢が姿を見せると、サブタイトルから約1分という史上最速のバッドエンドが発生し……おしまいだ……転売ヤーだ……転売ヤーが……だがそんなバッドエンドは許さない! と物凄くテンションの高いやよいがセンターに入ってスマイルチャージが発動し、五つの光が導く未来! 鉄人戦士・スマイルプリキュア!!
さっそく、秘密兵器ロボニナ~ルを取り出す魔女だったが、狙いが狂ってキュアハッピーが光線を浴びた事で、巨大なハッピーロボが誕生し、体は鋼、血は原子力。
「プリキュアが、ロボットになっちまった……」
の時の狼さんの顔が、今までで一番面白かったです!
身内を巨大ロボにしてプリキュアにぶつけるつもりだった予定が狂う魔女だが、ノリノリの狼と赤鬼は黒っ鼻を取り出すと悪ロボの上半身と下半身をアカンベェ化して中に乗り込み、アカンベェの新ギミックが思わぬ形で有効活用(笑)
元々これまでがリモコンスタイルだったと考えると、狙い澄ましたロボット物の進化……?!(多分違う)
そして迫り来る敵ロボの攻撃を前に……ハッピーロボは、棒立ちだった。
「誰かが操縦しないと、ロボットは動かないんだよ!」
「それは困りましたね」
「興味ないなー」
「すこぶる興味ないね」
巨大ロボ化しているからわかりにくいけど、今一応、君らの友達が殴り飛ばされたところだからな?! この後、一歩間違えると、海の藻屑と沈んで二度と浮かんでこないところだったからな?!
「我々が、地球の平和を守るのだ」
そして、ハッピーロボの胸部コックピットが開いて鼻息の荒いピースさんは、完全に、友情とか、どうでもよくなっていた。
「だって、巨大ロボットだぞ? かーーーっと熱くならないか?」
ピースの中の不滅の牙もそう言っています。
ところが、巨大ロボットは好きだが操縦は門外漢のピースはハッピーロボを動かすごとができず、右往左往。メンバー揃って頓珍漢な操縦で危機また危機に陥るが、悪ロボの必殺攻撃が迫ったその時、やよいから受け取った図鑑を読破していたビューティが華麗な操縦で体勢を立て直すと敵の攻撃を完全に見切って打ち破り……つまり、ロボットの操縦に必要なのも、知力。
相変わらずの残酷なスマイルヒエラルキーですが、操縦をマスターしたビューティがパイロットに切り替わった途端、瞳に光の入ったハッピーロボがそれまでとガラリと変わった動きを見せると、格好いいBGMまで流れ出すのは定番ながら面白かったです。
後、ピースが適当にボタンを押すと、ハッピーロボのアホ毛がクルクル回るところ。
もう少し頑張れば、ハッピー・アホ毛・ブゥゥゥメラン! ぐらい飛び出したかもしれません。
形勢を逆転された狼さんと赤鬼さんは、一時的に友情のパワーに目覚め……バッドエンド・クロス!
「「合体アカンベェー!!」」
「がったいしたクル?!」
「合体しただわさ!」
「合体したーーー!!」
「合体したな」「合体したね」
こういう若干コアな趣味を取り扱ったエピソードでは、メンバーの中に温度差がある方が好きなので、盛り上がりについていけないサニーとマーチの口調が平板なのは面白い一方、二人とも後で、みゆきには謝っておいた方がいいと思う。
合体アカンベェvsハッピーロボの戦いはデコルの力で天空へと移り、今回何が凄いって、作画に大張正己まで入ったパロディ満載のエピソードで、主題歌バトルを始めた事でしょうか(笑)
まあ、それ自体がまたパロディになっているわけではありますが。
最終的には、外野でキャンディと並んで賑やかしをやっていた魔女がマジックアイテムを破壊する事で、ハッピーのロボ化が解除。元に戻ったスマイルプリキュアはレインボーバーニングで合体アカンベェを葬り去り、史上空前のバトルは幕を閉じるのであった……最終決戦でもないのに、8割方バトルしかしていない、のは相当に珍しい回でありましょうか。
監督が是が非でもやりたかったそうなので、シリーズでも変わった形のパロディ回だったのかとは思われますが、作画スタッフも揃えてやりきってくれたところは良かったです。あと、メンバー内の温度差。それと、人間としての尊厳をだいぶ奪われ気味だったのをあまり気にさせない、ハッピーさんのアホの子パワー、偉大。
なお、ピース回っぽい作りとオチにはなっているのですが、体を張ったのはハッピーで、操縦していたのはビューティなので、ピース、叫んでいただけでほぼ何もしていない(笑)
……一応まあ、やよりがれいかに大図鑑を渡したのが勝利の鍵だったといえば鍵でしたが。
今回の教訓:いついかなる時に巨大ロボに乗っても大丈夫なように、もう少し鍛えよう、知力。