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ミスリルショータイム

仮面ライダーウィザード』感想・第5話

◆第5話「決戦のコンクール」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし)
 「おい、玄関先で騒ぐな。迷惑だ」
 突然の夜間の訪問にドアを開けて応対し、自分と全く関係ない話題で騒ぎ出した成人男女を良識的な発言でたしなめると家に招き入れるピアニストの高木さん、現在は諸事情でやさぐれてて何かと突っ慳貪ですが、やはり、物凄くいい人なのでは。
 詐欺に遭いそうで、心配になるレベル。
 そんな高木を襲うケットシーとの戦闘中、必殺技を放つガッツが足りなくなってしまったウィザードだが、魔力が切れても剣では切れると握手ソードを掴んでケットシーに攻撃を続け、つまり、どんな時でも筋肉こそ最強です。
 このまま挽肉になるまで叩き続けてやる! と物理魔法を行使するウィザードだが、とうとうガッツ切れで変身さえ維持できなくなってしまい、ケットシーに敗北。
 最初から戦闘経験があって複数のスキルとフォームを使いこなす“強い”ヒーローとして登場したウィザードですが、明確な弱点と理由がありつつ、割と早い初敗戦となりました(だからこそ、リスクを負っても行使されるコヨミとの繋がりが強調される事に)。
 高木が、コンクールに対する苦悩から腕を失っても構わないと捨て鉢になっている事を指摘した晴人は電池切れで気を失い、凛子と瞬平は面影堂で輪島から、コヨミは恐らく、ファントムを産み出しても何故か死ぬ事が無かった代わりに、命も記憶も希望もファントムに奪われて抜け殻となった《ゲート》だろうと明かされる。
 「今のコヨミは、晴人に魔力を貰って、擬似的に生きてるんだ」
 前回冒頭では珍しく隠し事をしたかと思ったら、「気付いたか……」スイッチ一つで、とにかくみんな、口が軽い(笑)
 「別に言葉だけが心の全てじゃないさ。絶望しても構わないって言ってるやつほど、絶望したくないんだよ」
 晴人を心配するあまり、高木の為に戦う必要は無いと主張するコヨミは、必ずしも表向きの態度が高木の全てではないと諭された事で、ファントムの儀式により全てを失った日――晴人と出会って最初の記憶を思い出す。
 「私の事はほっといて! 私なんて……記憶も無ければ、肌のぬくもりもない。ただの人の形をした化け物よ!」
 自らのアイデンティティどころか、人間として生きている当たり前の証さえ失い、生きていく意義を見いだせずに崩れ落ちるコヨミに対し、晴人が同じところ――水の中に腰を沈めて語りかけるのが、良い見せ方。
 「前に進むには今を受け入れるしかないだろ。…………俺達が何者だろうと、今を生きようぜ」
 「……今を、生きる?」
 「……約束する。俺がおまえの――最後の希望だ」
 晴人いきなりメンタル強すぎ、の感はありますが、そもそもメンタルが強いからこそファントムを制御して生き残る事が出来た、という因果関係が成立しており、
 晴人が希望になる事でコヨミは――
 コヨミの希望になる事で晴人は――
 互いに絶望の淵に立ちならもこれまでの戦いを乗り越えてきた事が明らかになり、両者を結びつける太く重い環の存在が早々に示される事に。
 自らの過去の体験から、コヨミは晴人を信じるよう高木を説得し、基本、攻撃カードしか持っていない凛子と瞬平は、ウィザード希望同盟を結成してコヨミ城の陥落に成功し、コヨミさん、割と、正面攻撃に弱かった。
 そしてコンクールの日――高木は心機一転、今の自分としてピアノに向き合う事を選ぶも、ケットシーがグールと共に会場を襲おうとするが、そこに現れるドーナッツの魔法使い
 「折角あいつが弾く気になってんだ。邪魔するのはやめてもらおうか」
 ウィザードは火あぶり変身し、高木のピアノをBGMにバトルスタート。大量のグールを多重分身の術で片付けると、ふふふフォームで飛行攻撃し、マントの裾を払ってから、剣を構えて斬りかかるのは、実にザ・ウィザードな格好良さ。
 「さあ、フィナーレだ」
 挿入歌(各属性テーマソング?)に乗せて適度に痛めつけたケットシーを竜巻斬りでフィニッシュし、パイロット版で一気に基本能力を見せた後、改めてそれぞれに見せ場を作る手法は、巧い形になりました。
 コンクールを終えた高木は海外留学の決意を語り、他人の口から聞かされる過去の口説き文句を平然と受け止めて微笑を返せる晴人さん、メンタルが魔法合金すぎますが、某宇宙海賊だったら、狼狽のあまりドーナッツを撒き散らしながら鳥に八つ当たりしてその場をどうにか切り抜けようとしていたかもしれません。
 コヨミの抱える秘密と晴人との関係が明らかになり、コヨミ回としては悪くない前後編でしたが、それと「凛子と瞬平に対してガードの下がるコヨミ」の二つを同時にやろうとした為に、後者はだいぶ強引に。
 早い内に面影堂の日常パートからギスギスした要素を排除したかったのでしょうが、出来れば別々のエピソードとして扱ってほしい要素でした。
 次回――どどどのターン?