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顔が指輪で指輪が顔で

仮面ライダーウィザード』感想・第3話

◆第3話「変身! 生中継」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子/きだつよし)
 「僕も魔法使いになれたんだーーー!!」
 魔法使いに憧れるナップザック男・奈良瞬平は、指から炎を出すちちんぷいぷい大道芸人としてTVの取材を受け、得意の絶頂。
 ……やっている事は、人間火炎放射器でしかないわけですが(笑)
 ファントムの能力に絡め、映像的なわかりやすさでこうなったのは納得できる一方、当の本人はこの魔法で、いったいどんな夢と希望を世間に与えたいつもりなのかは、ちょっと問いただしたい。
 ゲートの経過観察として瞬平の様子を見に行く割と真面目な晴人さんは、ファントムの小細工に違いないと心配して警告を発するが、かえって仲違い。
 「魔法使いになりたい……か」
 指輪を縁に、晴人とコヨミが面影堂を訪れた過去が描かれ、今のところ追加装備は支援者がフィーリングで適当に増やしていくシステム。
 輪島さんはどうも元々、自分が魔法の指輪を作っている自覚が無かったようですが、達人(ないしスキル持ち)が素材の声に従っている内に、隠されていた効果を引き出してしまう感じ……?
 (あの司会者がファントムだ。奈良瞬平をその気にさせておいて、ここでガツンと落とすつもりだ)
 瞬平のTV出演を知った晴人はファントムの狙いを察し、生中継で魔法にチャレンジする瞬平だが、晴人の読み通り、そしてファントムのもくろみ通り、火炎放射に失敗。
 TV局に乗り込んでいく晴人は前回自爆した安眠の指輪で警備員を眠らせ、地面に転がって眠る警備員に向けてちゃんと謝るところで、ちょっと好感度が上がりました(笑)
 生中継で正体を現した犬ファントムが、瞬平の影の中に入り込むと思い出の絵本を炎で燃やさせるのがえげつなく、前後編な事もあり、だいぶ駆け足だった第1話に比べると、標的が絶望に陥る描写はしっかり。
 「見たか。これが、おまえの魔法の正体だ。はーっははははは! ……おまえの心の支えは灰となった。さあ、絶望の淵に沈め! 早くファントムを生み出せ!」
 やはり、象徴的な物品の破壊になにか呪術的な作用があるという事なのか、犬ファントムは高笑いすると瞬平の精神を追い詰めていくが、そこに晴人が駆け込んできて、ドライバーオン。
 「魔法使いってのは諦めが悪くてな――変身」
 今作における「魔法使い」は現状概ね「ヒーロー(仮面ライダー)」の言い換えとなっていますが、そんな「ヒーロー」の負の面を受け止めて己が背負おうとする晴人の姿は、メタ的には「英雄はただ一人でいい」(『仮面ライダークウガ』主題歌より)を意識している節もありそう。
 かくして、ファントムに続いてウィザードも、「変身! 生中継」し、
 「ファントムも魔法使いも何考えてんだ」
 犬ファントムのミスディレクションの意図もあったと思われる国家公安局の人(そこはかとなく感じる北條さん風味)が、お茶を吹くと慌ててもみ消しの指示を出し、いやホント、お仕事ご苦労様です!
 多分その魔法使いは、積極的に何かを隠そうとする意識がありません!
 (自覚的な秘密厳守で進めると制約が強くなる事もあり、国家が頑張ってもみ消しています、を早めに示したのはスッキリした作りとなって、凛子さんは当然、要監視対象として尾行されている事も補足)
 犬ファントムの影移動能力に苦戦するウィザードは、新作の指輪を使ってスタジオ内をまばゆく照らす事でファントムの潜める影を消し去り、この戦闘中ずっと、両手両膝をついた姿勢で絶望している瞬平の役者さんが、ちょっと大変そう。
 敵の特殊能力を封じてアドバンテージを取ったウィザードは、ぐるぐる回りながら剣と足技の連続攻撃で反撃すると、1-2話で出番の無かった水のエレメントを発動し、すいすいすいすい~。
 水の防壁で犬ファイアーを跳ね返し、横一文字の水流斬撃で犬ファントムを撃破すると、瞬平のアンダーワールドの中へと飛び込んだウィザードは第1話に続いてのドラゴンバトルとなり、変形合体したドラゴンバイクを右足の先にはめて放つ必殺キックは、大がかりな馬鹿っぽさで面白かったです(笑)
 巨大生物もキックの一部にしてしまえば、シリーズ40年分の文脈と繋がってしまうというか(笑)
 個人的にあまり、『龍騎』以降の作品に取り入れられたフルCGエネミー相手の特殊戦闘は好きではないのですが――種目が急に変わるというか、どうも本編と馴染まない感じがあって――現実世界ではなく「アンダーワールドに入り込む」プロセスを通っている事と、生まれかけのファントムの「心中の得体の知れない怪物」感が出ている事で、今作では比較的、受け止めやすくはあり。
 (……ちちんぷいぷい、か)
 ウィザードは精神世界の中で、瞬平の思い出の絵本に目を留め、後日――凛子が面影堂に駆け込むと、瞬平は押しかけ助手として晴人の肩を揉んでおり、なんだか、その場の勢いで誰でも彼でも口説いていたら早くも収拾が付かなくなってきたみたいな事に(笑)
 近い時期の作品だと『エグゼイド』の永夢先生が、段々「あなたの笑顔」ハンターみたいになっていましたが、序盤から「おまえの希望になる」男になっており、口説きレベルが、高い。
 「……うるさいのが倍になったんだけど」
 まずは第1話の拡張版というか、改めて前後編で、『ウィザード』の物語における基本的な因果関係の繋がりを示す、といった作り。前編時点でオチが読めるなどオーソドックスな内容となりましたが、一番衝撃的だったのは、携帯電話が折りたたみ式だった事です!
 次回――逆襲のコヨミ?