東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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改造人間は三連休の夢を見ない

仮面ライダーV3』感想・第34話

◆第34話「危機一発! キバ男爵対三人ライダー!!」◆ (監督:塚田正煕 脚本:鈴木生朗)
 ※「一発」は表記まま。

 トリプルライダーに次々と巨大な牙を打ち込むイメトレに励むキバ男爵は、一号・二号・V3を象った人形を炎の中にくべると、キバ一族の母なる魔女・スミロドーンを100万年の眠りより甦らせ……もはや本当に改造人間ではないのか、或いはそういう設定の改造人間作成装置なのかどうか、キバ一族の位置づけに関する謎は深まるばかりです。
 キバ男爵に冠せられた「魔法使い」の称号とは、いわゆる「ウィザード」、天才的なプログラマーにしてデストロンきっての改造人間作成コードの作り手、本名:木場・弾作(35才)、とかなのでは。
 真相はさておき、ドレス姿の妖艶な魔女が、全ての牙ある獣の母にして猛獣の祖先・原始タイガーの姿へと変身する一方、ライダー隊本部では帰ってきた本郷猛により、少年ライダー隊入隊の儀式が行われていた。
 「さあ、今日から君たちはライダー隊員だ」
 活きの良い子供たちだ、みたいな大変いい笑顔で見送っていますが、少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり――貴様らも永遠であり、当時のある研究機関の調査によると、少年ライダー隊員の入隊後半年時点での生存率は、26.1%ほどだったという説があると噂されています。
 トリプルライダーが手分けしてキバ男爵について探りを入れる中、素性を偽ったスミロドーン魔女の届けてきた呪いの人形に触れ、猛毒に倒れてしまう本郷猛。
 病院に運び込まれた本郷は先回りしていたデストロンにさらわれ、藤兵衛と純子を閉じ込めた魔女は、姿を変えると志郎に奇襲を仕掛け、キ、キ、キ、キ、キババイク……!!
 もう今回は、これだけで120点(笑)
 車体に巨大な牙を被せた素っ頓狂なバイクに女性ライダーを乗せる奇抜な映像が優れた破壊力を生み出し、銃撃を受けた志郎が変身すると、魔女もまた原始タイガーの正体を現し、声が山下啓介に(※OPクレジットの市川治は間違いとの事)。
 スミロドーンファイヤーを受けて敗北したV3が囚われの身となる一方、藤兵衛と純子を助け出した一文字もまた、毒ガス手紙を仕掛けてきた魔女を追ってライダー2号へと変身し、キババイクを駆るスミロドーン、の画が凄すぎて、もう、150点つけます(笑)
 そのバイクで、一応のバイクバトルをさせようとする、発想が凄い。
 2号と怪人は取っ組み合うが、V3に続いて2号もまたスミロドーンファイアーに敗れ、Aパートでトリプルライダーが全員捕獲ないし敗北するハイペース。
 「ふふふふはははは! 馬鹿者ども、まんまと罠に落ちたな。いずれ正気に返るのを待って、苦しめるだけ苦しめてから殺してやる」
 フラグを立てたキバ男爵は、拘束した本郷と志郎の頬を、念のために凄く長い牙の先でつついて意識不明を確認すると高笑いしながら去っていくが……ハイ、起きてた。
 男爵らが部屋を出ると二人は腹筋で身を起こし、拘束具の破壊にやたら勢いがついてちょっと面白い事に(笑)
 ダブルライダー先輩効果なのか、今回はなんだか、凄くいい感じにテンションが高いな……!
 「ハハ、アジトを見つ出して潰すが目的だったからな。人形の毒からはとっくに治っていたんだが、大人しくここまで運ばれてきた。ハハハ……」
 「実は俺もそうなんですよ」
 「「ハハハハハ」」
 睡眠薬も効かない、酒にも酔えない、それでも戦うのが、正義の改造人間の辛いところってやつよ、と小粋な改造人間ジョークから頷き合った本郷と志郎は、暗闇の中で変身……を決めようとするが、室内に光線が照射されるとモーション途中で固まってしまい、「罠にはまったと見せかけて……」のいつものパターンから、“ヒーロー逆転開始の象徴”を妨害されるのが、ショックシーンとして効果的に。
 「……どうやら向こうの方がうわてらしいな」
 「おのれ…………さすがはキバ男爵」
 ついでにキバ男爵の株を上げ、変身不能の危機に陥った二人は室内の壁に「しらべる」コマンドを繰り返すが隙は見当たらず、焦れる志郎に対し本郷は、慌てず騒がず頼れるもう一人の男の名を告げる――。
 「愚かな魔女め。一文字隼人につけられたのを気付かんのか」
 前年、散々苦労させられたトラウマが甦ったのか、寛容さには定評のあるデストロン首領が珍しく自ら駄目出しを行い、ファイヤーで塵と化したと見せかけて勿論無事だった一文字は、アジトへと侵入。
 男爵と魔女が慌てて司令室に向かうと、そこには一文字の手により既に解放されていた本郷と志郎の姿があり、3人揃ってしばらく戦闘員を相手の生身アクション。
 ……順序としては勿論逆なのですが、この時期の藤岡弘の、作画:島本和彦感が凄い(笑)
 「キバ男爵! どんな手を使っても正義は必ず勝つ!
 「世界に悪の栄えた試しはないのだ!」
 「我々が居る限り、デストロンの世界征服は不可能だ!」
 啖呵を切った3人は、強敵スミロドーンのファイアーにあぶられると、
 「ライダー――変身」
 「――変身!」
 「変身――V・3!」
 待ってましたの一斉変身を決め、スミロドーンの強敵ぶりをたっぷり描いていたので、前回ほどの残虐ファイト感は出ずに繰り広げられる激しい攻防。
 戦いが海岸線へともつれ込むと、まずは後輩のV3が突っ込んでいって怪人を羽交い締めにし、その間に1号と2号がサイクロンに乗り込むと、横に並んだサイクロンの後部シートに足を置き、騎馬戦の要領でトライアングルを形成するV3(笑)
 中国雑伎団めいた〔バイク-V3-バイク〕という少々頭のおかしい絵面でサイクロンが走り出すと、これが、力と技とギリギリを駆ける命の輝き!
 「「「ライダートリプルパワー!」」」
 による体当たりが炸裂し、スミロドーンは壮絶な爆死を遂げるのであった。
 その敗死を目にしたキバ男爵は、キバ一族召喚システムである悪魔の祭壇を自爆させて姿を消し……
 ナレーション「デストロンある限り、この3人に休日はないのだ」
 いよいよキバ男爵を追い詰めたトリプルライダーの姿が「俺たちの夏休みは今日だけだ!」ばりの哀しいナレーションで締められて、つづく。
 伊上先生が連投していた事もあり、前回-今回と、第23話以来の鈴木脚本でしたが、ダブルライダー先輩帰還による燃料投下が良い具合にテンションを引き上げたのに加え、ゲストのスミロドーン魔女が好演、塚田監督の陰影を利かせた演出も効果的となって(特にシルエット変身→照明ついて変身失敗)、今回は面白かったです。
 次回――ラストはやっぱりマンモス。